3月

「この世界が愛でいっぱいになったら、平和になるのかしら?」
 まだ幼い王太女が言った。
「そうですね」
 傍にいた騎士団長が応える。
「しかし、愛ゆえの憎しみや争いが生まれることもあります」
「……難しいのですわ」
 王太女は猫のような口をきゅっと噤む。
「いずれ理解る時がきますよ」
 騎士団長は王太女の頭を優しく撫でた。
 ──貴女の平和を守る為なら、身命を賭して戦いましょう。それが私の愛。
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