龍神が審神者になりました?
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――アオside――
追いつめられてるひな兄。
ひな兄は決して弱くない…なのに追いつめられてる。
よく見たら怪我も酷い。
短刀たちが素早く敵を倒し、大きな刀達で周りも倒す。
よく見ると、人が何人か倒れてた。
もしかして彼らに気を取られた?
皆が敵を倒してる間に、ひな兄の元へ行く。
『ひな兄、怪我見せて』
「っは…ドジった…」
「ひな、何があった?」
「倒れてる人間は…」
「生きてる…気絶させただけだ」
『?敵?』
「いや、ここの管理をしてる職員だが、操られてたっぽくてな…メイン、ルーム…誰か来たと思ったら一人の職員で…」
『…もしかして、この脇腹の傷、その入ってきた職員にやられた?』
「よくわかったな…」
『毒を塗った刃物じゃないとこんな傷にならないし。遡行軍が毒を使えるかわかんないけど、そうかなと』
「それでひなが追いつめられたのか…」
「緋生、辛いとこすみません。メインルームの状況は?」
「俺を刺したやつに乗っ取られてる…中には遡行軍も何体か…警報ならなかったとこを見るに、外とも遮断されてるだろうな…」
「警報は本部にもいきますからね」
「アオ、その傷と、腕だけ治してくれ…システム復旧しなきゃだからな…」
『…わかった』
脇腹を治した後、腕の治療をしていると、周りの敵は片付いたようだった。
「ここは、上と違いあふれ出てきてるわけではないみたいですね」
「あふれ出てきてるのか、上」
「はい。時空の穴を繋がれて、大量にきてます。システムを止められてる以上、その穴を塞げません…」
「つまり奪還してひなを守りながら復旧、使えない様に細工もしないとってわけか」
「はい。扉を開けたら、敵を倒さないとですが、中に居るであろう職員は拘束です」
「奏さん、俺や岩融たちで扉から離れたとこに居るから、扉だけ開けて、もし機械に何かあったら、復旧もできないでしょ?」
「蛍丸の言う通りです…なので、それでお願いします。薬研、あなたは突撃してください。そして敵を外へ誘導、もし増援が来た時のため、柳と夏に防衛を」
「あ、柳、国広かしてもらうぞ」
「あぁ、わかった」
『よし、ひな兄、動かせる?』
「ん、すまんな。奏、頼む」
ひな兄がそういうと、奏さんは扉のロックを開ける。
すると短刀がでてくるが、外の部隊で倒し、奏さんの薬研が中から敵を誘導し、外へ。
意外と中にも居たな。
全員で対処し、俺と国広、ひな兄、厚と伽羅が中へ。
中に居た人間は虚ろな目でこちらを見ると、ゾンビのように襲ってきた。
伽羅が素早く拘束したけど。
君成長早いな…。
『ありがと、伽羅。国広、ヒナ兄とお願い。厚、隣の部屋かな…偵察お願い』
伽羅が抑えてくれてる間に、その人間の額に札を張る。
「それは?」
『拘束用の札。「縛」って書いてるだろ?』
「あんたの霊力の札か…」
『そ。無理矢理動いて札をはがそうとすると、脳がやられるけど…念のためこの札も腕と足にもしとくか』
腕と足にも札を張り、動けなくしてから伽羅は端へその人間を転がした。
「大将、こっちは大丈夫だ。見たところ休憩室だ」
『ありがとう厚。ヒナ兄、国広どう?』
「今やってる」
「まだかかるが、急いでやってる」
「俺と大倶利伽羅も外に居た方がいいか?」
『いや、俺ら三人は万が一ここに入ってきた敵の対処がいい。それより上が気になる…』
「悪いが先に全体のシステム復旧すっから、上の様子を見るためのカメラ修復は後だぞ」
『あぁ、いや…なんか…』
「アオ?」
『…行かなきゃ、って感覚に…この感覚どっかで…』
行かなきゃ、守らなきゃ、って感覚…そう、大昔に…。
『…ヨウ…?』
「緋生、こちらは今落ち着きました。そちらは?」
「もうちょいかかる」
「こいつ目がやべぇ…」
『…夏先輩、妹さん、神通力の他に変わったところあります?』
「え、なんで?」
『神通力使える知り合いが昔居たんですよ、ちょっと気になって』
「…変わったところ……あー…」
「あるのか」
「んまぁ……」
『…もし、俺の知り合いの可能性があって、今演練にきてるなら、狙われる可能性もあるんです』
「は、なんで…」
「…神通力で傷を治せる…つまり審神者であり治癒術を使うやつの方が、敵からしたら厄介か」
『あと悪い妖が居たら生き胆狙われる』
夏先輩は何か驚いたように、俺を見る。
「…なんで、妖…生き胆…?」
『俺の知り合いがそうでした。生き胆は心臓』
「生き胆食えば力が増すっていう昔の信仰だよな?妖の」
『あれ、やな兄知ってるの?』
「風雅達から聞いたことあってな」
「昔って…」
「平安くらいからあった信仰らしいぞ」
「平安…?」
『で、夏先輩どうですか?』
「………」
夏先輩は少し悩んでるような顔して考え込む。
そうしてると「あとは設定を少しいじったりして…」という声が聞こえる。
「夏?」
『?』
「…ガキの頃、聞いたことがある。ただ今は全然聞かないから、ガキの頃にしかなかったかもだが…」
『なんですか?』
「…前世の記憶」
「前世?」
「あぁ、妹は前世、平安で生まれ、治癒術も使えた。大事な友であり家族だったやつも居たが、自分が狙われたせいで亡くしてしまったと。そして自分を助けてくれた妖様と結婚して、大事な人たちに看取られ幸せに生きた、って」
それを聞いたと同時に、俺の片目から涙が流れた。
「え、アオ?え、え?」
「アオ、どうした…?」
『…そうか…今生きてるんだな…』
「えーと…?」
『…すみません。それで、妹さんは今日来てますか?』
「陽さんなら、上に居ましたよ。怪我人を治療してくれてます」
『!』
「あいつもきてるのか!」
『行かなきゃ』
「あ、アオ!まて!」
そんな声も無視して俺は急いで上へ戻る道を走る。
俺の部隊は、俺についてこれる短刀たちが来る。
伽羅も少し離れてるがついてくる。
鶴、明石、蛍は遅れながらも俺を追ってくる。
そして離れてるが皆も。
生まれてきてた。
大事な家族。
珱が、今を生きてる。
しかも戦闘系審神者。
後方支援がメインとはいえ、自衛の術はあるのだろうけど。
昔みたいに守られるだけじゃないかもしれない。
でも守らなきゃと、本能なのか、そう感じる。
「アオ!」
『薬研さん?』
「主からついていけとな。どこにいるかわかんないだろ?」
『あ…すみません』
「構わねえよ。春の間のろの間が敵が沸いてきてる場所だ。そこに陽の嬢ちゃんもいる」
『ここから遠いですか』
「いや、このままあがれば春の間の非常階段に出られる。そこからろの間に。いけばっいい!」
『おっけーっです!』
現れた敵を薬研さんとなぎ倒すが、全部を今構ってられない。
皆には悪いけど進むためだけに敵を切り伏せていく。
春の間に出ると敵が多かったが、追いついたやな兄達の部隊や短刀たちが手伝ってくれた。
「アオ!早すぎる!」
「はっは…はえぇ…」
『ごめんでも急いでる。あの子のところに早くいかないと』
「陽のところに?」
「アオ、かまわず行け。小夜、不動、厚、伽羅坊もついていけるなら」
『鶴…』
「お前がそこまで急ぐときは、大事な人の危ない時だからな。柚の時のように」
「こっちはのんびり、敵を倒しながら向かいますわ」
「柳も夏も、先に行っていいよ。俺ら大きい刀は機動が遅いからね。国行も鶴丸も先行っていーよ」
「なんで自分らもや」
「国行と鶴丸、早い方だからね」
「うむ。主よ、アオと先に行くがいい!」
「ええ、私たちはゆっくり行きます」
「主も、機動早い子は連れて、陽ちゃんとこ行きな!」
「…わかった」
そうと決まれば、俺らはまた走り出す。
『奏さんは』
「緋生とまんばが完全にシステム復旧するまで居ると言っていた。九重たちが護衛としている」
「あそこは片付いたし、増援が多すぎなきゃ九重たちでも対処できるしな」
『わかった』
俺の部隊は、蛍以外が付いてきていた。
やな兄の部隊は、乱さんと、少し離れて光忠さんが。
夏先輩のところは、後藤さん、和泉守さん、骨喰さん、少し離れて日本号さん、石切丸さんが。
残りは蛍と一緒に後から来るのだろう。
ろの間に付き、全員で敵を倒しながら、俺は珱を探す。
そして、怪我を治癒する一人の女の子を見つけた。
『いたっ!』
「陽!」
「兄さん…?」
珱の元へ向かってると、夏先輩の声に気づいたのだろう、こっちに気を取られた瞬間、敵に背後を取られた珱。
治癒してた相手は早々に逃げる。
『ちっ』
敵に気づき、傍にあった薙刀で迎え撃とうとする珱。
けど、薙刀は弾かれ、無防備になる。
血の気が引いた珱はぎゅっと目を閉じる。
その間に、俺が割り込み、背を向け抱きしめ、押し倒すように倒れる。
背中が、熱い。
『大丈夫?珱』
「え…?」
「!アオ!陽!」
「アオ!!」
珱を狙った敵はすぐに厚たちが倒してくれた。
「大将!陽を連れて下がれ!」
俺は珱を抱き上げ、薙刀も拾うと、できるだけ離れたところに移動する。
「アオ!陽!」
『夏先輩。大丈夫、妹さんは無事』
「ばっか!お前が!」
『俺も大丈夫』
「…さ、くら…?」
『…妹さん、俺はアオ。ちゃんと後で話そう?』
「アオ…ま、た…私を…」
『大丈夫。俺が強いの“覚えてる”だろ?』
「っで、も…!また、私のせいで…!」
「大将、怪我を!」
『薬研、俺より今は敵の撲滅。いや、お前は他の審神者の治療を』
「けどっ!」
『大丈夫、後で診てくれ。妹さんも、薬研と一緒に治療、もしくは援護を“頼める”?』
「!」
『もう、あの頃と違うだろ?』
「……っはい。後で、怪我を治させてくださいね、アオ…行ってください」
『あぁ、任せた。夏先輩、やな兄、神たちは?』
「神と神楽は前線だ、お前もここで」
『悪いけど、俺の大事なもんに手を出したあいつらを撲滅するまで、休む気ない』
「アオ!」
「柳さん…アオの好きにさせてください」
「「陽!?」」
「…アオは、今…」
「ものすごく、怒ってますから」と、静かに言った珱。
それに比例するように、俺の霊力も漏れだしていく。
「っ…霊力すげっ…」
「…アオ、後で説教な。前線行くぞ」
『ん』
前線に居るであろう神の元へ急ぐ。
まだ敵が沸いてきてるけど、ひな兄、まだかな。
と思ってると、敵のゲートが閉じていく。
「!ゲートが!」
【全審神者、刀剣男士、遅くなって悪い!システムを復旧した!】
「緋生か!」
【神!神楽!敵のゲートは閉じてきてるがまだ来る兆候がある!他も耐えてるが、ギリギリだぞ!】
「だよなっ!」
「俺らみたいに戦える審神者だけじゃ、ねぇっからな!」
【アオ!柳!夏!他の審神者も刀剣男士ももう限界に近い、暴れていいぞ!】
「いいのかよ。つか、見えてるってことはカメラの復旧もしたな」
「ひな!そっちは大丈夫なのか!」
【大丈夫だからさっさとそっちなんとかしろ!】
なんとかね、だったら…。
「アオ!柳!夏弥!」
『!神!』
「戦闘系審神者の三人に指令だ!敵を撲滅しろ!抑えてる霊力も解放許可する!
他の戦闘系審神者は刀剣男士と審神者を全力で守る!動ける審神者も自衛を第一に、刀剣を一振りも失うな!」
「つまり俺らにヘイトを向ければいいんだな!」
「許可も出たし、やるか」
『あぁ…さぁ…』
俺以外にも、霊力を抑えてたやな兄と夏先輩。
二人も俺も、霊力を解放する。
『舞い踊ろうか』
追いつめられてるひな兄。
ひな兄は決して弱くない…なのに追いつめられてる。
よく見たら怪我も酷い。
短刀たちが素早く敵を倒し、大きな刀達で周りも倒す。
よく見ると、人が何人か倒れてた。
もしかして彼らに気を取られた?
皆が敵を倒してる間に、ひな兄の元へ行く。
『ひな兄、怪我見せて』
「っは…ドジった…」
「ひな、何があった?」
「倒れてる人間は…」
「生きてる…気絶させただけだ」
『?敵?』
「いや、ここの管理をしてる職員だが、操られてたっぽくてな…メイン、ルーム…誰か来たと思ったら一人の職員で…」
『…もしかして、この脇腹の傷、その入ってきた職員にやられた?』
「よくわかったな…」
『毒を塗った刃物じゃないとこんな傷にならないし。遡行軍が毒を使えるかわかんないけど、そうかなと』
「それでひなが追いつめられたのか…」
「緋生、辛いとこすみません。メインルームの状況は?」
「俺を刺したやつに乗っ取られてる…中には遡行軍も何体か…警報ならなかったとこを見るに、外とも遮断されてるだろうな…」
「警報は本部にもいきますからね」
「アオ、その傷と、腕だけ治してくれ…システム復旧しなきゃだからな…」
『…わかった』
脇腹を治した後、腕の治療をしていると、周りの敵は片付いたようだった。
「ここは、上と違いあふれ出てきてるわけではないみたいですね」
「あふれ出てきてるのか、上」
「はい。時空の穴を繋がれて、大量にきてます。システムを止められてる以上、その穴を塞げません…」
「つまり奪還してひなを守りながら復旧、使えない様に細工もしないとってわけか」
「はい。扉を開けたら、敵を倒さないとですが、中に居るであろう職員は拘束です」
「奏さん、俺や岩融たちで扉から離れたとこに居るから、扉だけ開けて、もし機械に何かあったら、復旧もできないでしょ?」
「蛍丸の言う通りです…なので、それでお願いします。薬研、あなたは突撃してください。そして敵を外へ誘導、もし増援が来た時のため、柳と夏に防衛を」
「あ、柳、国広かしてもらうぞ」
「あぁ、わかった」
『よし、ひな兄、動かせる?』
「ん、すまんな。奏、頼む」
ひな兄がそういうと、奏さんは扉のロックを開ける。
すると短刀がでてくるが、外の部隊で倒し、奏さんの薬研が中から敵を誘導し、外へ。
意外と中にも居たな。
全員で対処し、俺と国広、ひな兄、厚と伽羅が中へ。
中に居た人間は虚ろな目でこちらを見ると、ゾンビのように襲ってきた。
伽羅が素早く拘束したけど。
君成長早いな…。
『ありがと、伽羅。国広、ヒナ兄とお願い。厚、隣の部屋かな…偵察お願い』
伽羅が抑えてくれてる間に、その人間の額に札を張る。
「それは?」
『拘束用の札。「縛」って書いてるだろ?』
「あんたの霊力の札か…」
『そ。無理矢理動いて札をはがそうとすると、脳がやられるけど…念のためこの札も腕と足にもしとくか』
腕と足にも札を張り、動けなくしてから伽羅は端へその人間を転がした。
「大将、こっちは大丈夫だ。見たところ休憩室だ」
『ありがとう厚。ヒナ兄、国広どう?』
「今やってる」
「まだかかるが、急いでやってる」
「俺と大倶利伽羅も外に居た方がいいか?」
『いや、俺ら三人は万が一ここに入ってきた敵の対処がいい。それより上が気になる…』
「悪いが先に全体のシステム復旧すっから、上の様子を見るためのカメラ修復は後だぞ」
『あぁ、いや…なんか…』
「アオ?」
『…行かなきゃ、って感覚に…この感覚どっかで…』
行かなきゃ、守らなきゃ、って感覚…そう、大昔に…。
『…ヨウ…?』
「緋生、こちらは今落ち着きました。そちらは?」
「もうちょいかかる」
「こいつ目がやべぇ…」
『…夏先輩、妹さん、神通力の他に変わったところあります?』
「え、なんで?」
『神通力使える知り合いが昔居たんですよ、ちょっと気になって』
「…変わったところ……あー…」
「あるのか」
「んまぁ……」
『…もし、俺の知り合いの可能性があって、今演練にきてるなら、狙われる可能性もあるんです』
「は、なんで…」
「…神通力で傷を治せる…つまり審神者であり治癒術を使うやつの方が、敵からしたら厄介か」
『あと悪い妖が居たら生き胆狙われる』
夏先輩は何か驚いたように、俺を見る。
「…なんで、妖…生き胆…?」
『俺の知り合いがそうでした。生き胆は心臓』
「生き胆食えば力が増すっていう昔の信仰だよな?妖の」
『あれ、やな兄知ってるの?』
「風雅達から聞いたことあってな」
「昔って…」
「平安くらいからあった信仰らしいぞ」
「平安…?」
『で、夏先輩どうですか?』
「………」
夏先輩は少し悩んでるような顔して考え込む。
そうしてると「あとは設定を少しいじったりして…」という声が聞こえる。
「夏?」
『?』
「…ガキの頃、聞いたことがある。ただ今は全然聞かないから、ガキの頃にしかなかったかもだが…」
『なんですか?』
「…前世の記憶」
「前世?」
「あぁ、妹は前世、平安で生まれ、治癒術も使えた。大事な友であり家族だったやつも居たが、自分が狙われたせいで亡くしてしまったと。そして自分を助けてくれた妖様と結婚して、大事な人たちに看取られ幸せに生きた、って」
それを聞いたと同時に、俺の片目から涙が流れた。
「え、アオ?え、え?」
「アオ、どうした…?」
『…そうか…今生きてるんだな…』
「えーと…?」
『…すみません。それで、妹さんは今日来てますか?』
「陽さんなら、上に居ましたよ。怪我人を治療してくれてます」
『!』
「あいつもきてるのか!」
『行かなきゃ』
「あ、アオ!まて!」
そんな声も無視して俺は急いで上へ戻る道を走る。
俺の部隊は、俺についてこれる短刀たちが来る。
伽羅も少し離れてるがついてくる。
鶴、明石、蛍は遅れながらも俺を追ってくる。
そして離れてるが皆も。
生まれてきてた。
大事な家族。
珱が、今を生きてる。
しかも戦闘系審神者。
後方支援がメインとはいえ、自衛の術はあるのだろうけど。
昔みたいに守られるだけじゃないかもしれない。
でも守らなきゃと、本能なのか、そう感じる。
「アオ!」
『薬研さん?』
「主からついていけとな。どこにいるかわかんないだろ?」
『あ…すみません』
「構わねえよ。春の間のろの間が敵が沸いてきてる場所だ。そこに陽の嬢ちゃんもいる」
『ここから遠いですか』
「いや、このままあがれば春の間の非常階段に出られる。そこからろの間に。いけばっいい!」
『おっけーっです!』
現れた敵を薬研さんとなぎ倒すが、全部を今構ってられない。
皆には悪いけど進むためだけに敵を切り伏せていく。
春の間に出ると敵が多かったが、追いついたやな兄達の部隊や短刀たちが手伝ってくれた。
「アオ!早すぎる!」
「はっは…はえぇ…」
『ごめんでも急いでる。あの子のところに早くいかないと』
「陽のところに?」
「アオ、かまわず行け。小夜、不動、厚、伽羅坊もついていけるなら」
『鶴…』
「お前がそこまで急ぐときは、大事な人の危ない時だからな。柚の時のように」
「こっちはのんびり、敵を倒しながら向かいますわ」
「柳も夏も、先に行っていいよ。俺ら大きい刀は機動が遅いからね。国行も鶴丸も先行っていーよ」
「なんで自分らもや」
「国行と鶴丸、早い方だからね」
「うむ。主よ、アオと先に行くがいい!」
「ええ、私たちはゆっくり行きます」
「主も、機動早い子は連れて、陽ちゃんとこ行きな!」
「…わかった」
そうと決まれば、俺らはまた走り出す。
『奏さんは』
「緋生とまんばが完全にシステム復旧するまで居ると言っていた。九重たちが護衛としている」
「あそこは片付いたし、増援が多すぎなきゃ九重たちでも対処できるしな」
『わかった』
俺の部隊は、蛍以外が付いてきていた。
やな兄の部隊は、乱さんと、少し離れて光忠さんが。
夏先輩のところは、後藤さん、和泉守さん、骨喰さん、少し離れて日本号さん、石切丸さんが。
残りは蛍と一緒に後から来るのだろう。
ろの間に付き、全員で敵を倒しながら、俺は珱を探す。
そして、怪我を治癒する一人の女の子を見つけた。
『いたっ!』
「陽!」
「兄さん…?」
珱の元へ向かってると、夏先輩の声に気づいたのだろう、こっちに気を取られた瞬間、敵に背後を取られた珱。
治癒してた相手は早々に逃げる。
『ちっ』
敵に気づき、傍にあった薙刀で迎え撃とうとする珱。
けど、薙刀は弾かれ、無防備になる。
血の気が引いた珱はぎゅっと目を閉じる。
その間に、俺が割り込み、背を向け抱きしめ、押し倒すように倒れる。
背中が、熱い。
『大丈夫?珱』
「え…?」
「!アオ!陽!」
「アオ!!」
珱を狙った敵はすぐに厚たちが倒してくれた。
「大将!陽を連れて下がれ!」
俺は珱を抱き上げ、薙刀も拾うと、できるだけ離れたところに移動する。
「アオ!陽!」
『夏先輩。大丈夫、妹さんは無事』
「ばっか!お前が!」
『俺も大丈夫』
「…さ、くら…?」
『…妹さん、俺はアオ。ちゃんと後で話そう?』
「アオ…ま、た…私を…」
『大丈夫。俺が強いの“覚えてる”だろ?』
「っで、も…!また、私のせいで…!」
「大将、怪我を!」
『薬研、俺より今は敵の撲滅。いや、お前は他の審神者の治療を』
「けどっ!」
『大丈夫、後で診てくれ。妹さんも、薬研と一緒に治療、もしくは援護を“頼める”?』
「!」
『もう、あの頃と違うだろ?』
「……っはい。後で、怪我を治させてくださいね、アオ…行ってください」
『あぁ、任せた。夏先輩、やな兄、神たちは?』
「神と神楽は前線だ、お前もここで」
『悪いけど、俺の大事なもんに手を出したあいつらを撲滅するまで、休む気ない』
「アオ!」
「柳さん…アオの好きにさせてください」
「「陽!?」」
「…アオは、今…」
「ものすごく、怒ってますから」と、静かに言った珱。
それに比例するように、俺の霊力も漏れだしていく。
「っ…霊力すげっ…」
「…アオ、後で説教な。前線行くぞ」
『ん』
前線に居るであろう神の元へ急ぐ。
まだ敵が沸いてきてるけど、ひな兄、まだかな。
と思ってると、敵のゲートが閉じていく。
「!ゲートが!」
【全審神者、刀剣男士、遅くなって悪い!システムを復旧した!】
「緋生か!」
【神!神楽!敵のゲートは閉じてきてるがまだ来る兆候がある!他も耐えてるが、ギリギリだぞ!】
「だよなっ!」
「俺らみたいに戦える審神者だけじゃ、ねぇっからな!」
【アオ!柳!夏!他の審神者も刀剣男士ももう限界に近い、暴れていいぞ!】
「いいのかよ。つか、見えてるってことはカメラの復旧もしたな」
「ひな!そっちは大丈夫なのか!」
【大丈夫だからさっさとそっちなんとかしろ!】
なんとかね、だったら…。
「アオ!柳!夏弥!」
『!神!』
「戦闘系審神者の三人に指令だ!敵を撲滅しろ!抑えてる霊力も解放許可する!
他の戦闘系審神者は刀剣男士と審神者を全力で守る!動ける審神者も自衛を第一に、刀剣を一振りも失うな!」
「つまり俺らにヘイトを向ければいいんだな!」
「許可も出たし、やるか」
『あぁ…さぁ…』
俺以外にも、霊力を抑えてたやな兄と夏先輩。
二人も俺も、霊力を解放する。
『舞い踊ろうか』