龍神が審神者になる?
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――アオside――
おはようございます。
朝ごはんもいただき、神待ちしてまーす。
あ、朝のうちに来派と再契約しました!
荷物は今頃俺の本丸のなんでも箱に届いてるだろう…。
「神遅いな…」
「だね、もっと早く来ると思って構えてたのに…」
「ふぁあ…」
「朝早めに行くとしか聞いてませんでしたから…」
『まぁ神のことだしねぇ…』
ずずーとみんなでお茶を飲み待っていると、ゲートの動く音が。
「お、きたかな」
「だな…迎え行ってくる」
『お茶お願いしてくるねー』
「アオは待ってなよ、俺が頼んでくるから」
「俺も行くからさ」
『ありがとう、蛍、不動』
二人にお茶を任せ、少し待ってると……。
『え、なして抱えられてんの神』
「しかも風雅に…」
「今日のために仕事をさっきまでしとったらしくての。今無理矢理寝かせとるんじゃ」
「あ、会長も私と同じことを…」
「じゃあ話は風雅から?」
「せやな。神が起きるまでは俺が話すわ。あ、国広。これ、神が用意しとった茶菓子」
「すまないな。厨に渡してくる。茶も持ってくるから、待っていてくれ」
まさかの神は、風雅に抱えられて?参上しました。
えー…大丈夫なんか…。
少しして、国広とやな兄、歌仙さんに光忠さんが茶菓子とお茶を持ってきてくれた。
「神殿も忙しかったんだね」と言いながら、布団をかけてやる歌仙さん。
お母さんかな。
「さて、まずなんも知らんのは、ここと、アオの刀剣達の一部、柚の新しい刀剣達やったな。その面子に話すために来た」
「奏さんと俺らの刀剣と柚と厚、来派は知ってるから、まあ付き添いみたいなもんだな」
「せやな。で、真っ先に言うとやな…」
真剣な顔で風雅が話し出す。
「アオは龍神じゃ」
……………………………………。
「「「「「ええええぇぇぇぇ!?」」」」」
そういう反応します!?
もっと「何嘘言ってんだ?」くらいの驚き方というか何かなかったん!?
「アオ、漏れてる漏れてる」
『いや、つい…そんな驚きでくると思わなくて』
「まぁ普通は信じれないし、嘘言ってるとしか思わないしなぁ」
「嘘じゃないんじゃよなぁ…」
「え、で、でも!アオから神力感じないし、人間と変わりがないし…?」
『今出せる神力は抑えてるし、今は人間だしね』
「?…今出せる神力?」
「今は、人間…?」
「アオは何度も転生しとるんじゃ。人間や妖、半妖とかいろいろの。で、今生は人間じゃから、人と変わらん、見分けつかんのはしゃあない」
「しかも、聞いた話だと、アオは今までの記憶を思い出さないと、龍神の力は全部使えないらしい」
「じゃあ…今使える力もある…?」
『清光は体験してるよ、堕ち神の時』
「え………!俺の中に入ってきた時…?」
『そう。できる人間も居るらしい、とは聞いたけど。実はあの時、俺は少し龍神の力も使った』
そう、ただ癒すだけじゃなく、魂に語り掛ける必要があったから、龍神の力も少し解放してたのだ。
じゃないとあのまま癒し(陽)の力に負ける可能性もあったから。
「治癒術を使えた人間は見てきたことあるから、人間にも稀に、治癒術…神力を使えるもんは居る。しかもアオは刀剣にも使えるんじゃ」
「刀剣に…?」
「事実、清光は傷も治ってたろ?」
「あ……」
思い当たることに気づき、清光は驚く。
「なんで今話したんじゃ?もっと早お言えんかったがか?」
「それはー……」
「「「アオがめんどくさがった」」」
「えええぇぇ!!」
「なんとなくそんな気はしてたぜ…」
「アオ…」
『いやぁ…いちいち説明もめんどいから、初期メンバーに話して、今後皆に話してもらう形にしたくて』
えへ~と頭をかいてると、盛大なため息をつかれてしまった。
解せん。
「まあだいたいのアオの話は今ので終わりじゃ」
「おわりかよっ」
「だいたいじゃ、だいたい。アオの力について、話とかなあかんしの」
「…よく言う、「視た」ということと、あの組紐についてかい?」
驚いた。
鶴、よく覚えてたな…。
「…鶴丸はよお聞いとるみたいじゃな。せや、「視る」ことについてじゃ。組紐の件は、なんや使ったんか?」
『あ、柚兄に持たせてたやつが、役目を終えて切れたから。それかと』
「聞くだけやなく、よお見とるみたいじゃな」
「アオには、夢や、ふとした時に未来を視る…予知と言えばわかりやすいだろう」
「けど、なんでも視えるわけじゃないし、なんでも視れる、視たいものを視れるわけじゃない」
「せや…しかも、視た内容を、事細かに話してしまうと、アオにとって最悪のことが起きるんじゃ」
「最悪なこと…」
お茶を飲みながら、柚兄の方へ向いて、皆に話す。
『例えば、俺は今回の事件、柚兄はもっと重症…それこそ、命に係わるくらいの怪我をするという未来を視てた。それを回避するために、俺は組紐を渡した』
「組紐を?」
「あの時、まるで結界のようになっていたな…」
『そう、俺のもう一つの力。「念」って呼んでる。言霊と言えばわかりやすいかな…組紐に念、言霊を込めることで、柚兄の命を守った。柚兄の死に関わるような怪我をしそうな時、発動するように』
「「「「「!」」」」」
「じゃが、もしそれを細かく話せば…組紐の力があろうと、死に至ってた可能性は高かったんじゃ」
「だから、アオは話したくても話せないことが多い。何か言いたく無さそう、言いにくそうなときは、無理に聞こうとするなよ?
」
「失わなくていい命が失われる可能性もあるからね」
『命だけじゃない、軽症のはずが、体が動かせなくなるほどの重症になるかもしれない…だから、できれば、深く聞くことはしないでくれると助かる』
「まあ単に隠してる場合もあるけど、それは慣れだな、うん」
「慣れだねぇ」
「せやなぁ」
『驚きも大切です』
「おっ、アオはわかるか!」
『ふふふ…』
お茶菓子もいただいてると、神が起きた。
もうガバッと。
「っつ…俺、どれくらい寝てた…」
「一時間くらいじゃ」
「風雅…手刀はねぇだろう手刀は…」
「手刀したのか」
「手刀なんだね…」
『物理…』
「お前さんが頑張りすぎが悪い。もうちょい寝ててもよかったんに」
「あほ抜かせ…俺がアオを審神者に呼んだようなもんだ…ちゃんと刀剣に話す義理がある」
「アオのことは話したから、次は俺らの話じゃけどの」
「話し終わったのか?」
「一応はの。今の大事なことだけ。なんやあれば聞いてくるじゃろうしの」
はぁ…とため息をつき、頭をガシガシとかくと、壁に背を預ける神。
「なら俺らのことは、現当主のお前さんから話せ…」
「そのつもりじゃよ。その前に、休憩がてら菓子でも食い。神も食うか?」
「俺が持ってきた菓子か?」
「それもあるし、おふくろから預かってきとるやついくつかあるからの」
「…あんま甘くない奴もらう…」
風雅が出してくれたお菓子に俺と奏さんとここちゃんで選ぶ。
皆は神が持ってきたお菓子を先に食べている。
五虎退さんや乱さん、獅子王さんは珍しいのか、いろいろ食べてみていた。
神には抹茶の羊羹を渡していた。
「休憩できたとこで、俺らのことについてじゃ」
「風雅たち?」
座り直した風雅は、胸を張りいう。
「改めて自己紹介するわ。
俺は龍神の眷属、夜桜組二代目総大将、桜衣風雅じゃ」
「龍神の眷属…てことは…」
「アオの、って事かな?眷属のことだよ?」
「せやな。神も神楽も龍神で、二人の眷属でもあるけどの。誰が一番の主かと言われると、アオじゃ」
「アオが俺ら龍神の長だからな」
「神や神楽じゃないんだ…」
「俺らは最初のアオが龍神で生まれた時の叔父にあたるんだよ。今生は違うが、叔父には変わりはない」
『俺が最初に生まれた時は、母様が龍神の長だった。なんか長の条件がないと、長になれないとかで、俺は条件があってたから、次の長になった』
「だから俺らもある意味アオの眷属に近いとこはあるな」
『でも俺は家族として扱ってるから、眷属とか関係ないけどねぇ』
ケラケラと話すと、神と風雅にため息つかれた、解せん。
「俺らは、アオが死ねば、生まれ変わりを探し、時には保護し護り、時には見守り…それを繰り返して生きてきた。んで、俺らの元龍神の里が無くなる時…」
『……俺らの里を滅ぼしたのが、時間遡行軍だった』
「「「「な!?」」」」
「俺らもアオを勧誘したあの日に知ったんだけど、どうやらそうらしい」
「かといって、神たちはその歴史を変えたくてここに居るんじゃないからね」
「むしろ、その歴史を狙うようなら、守る。俺らのあれがあったから今があるんだ……壊されてたまるか」
『同感…許せないけど、その歴史も狙われるなら守らないと、今の俺らはいない…みんなと出会えた俺らが居なくなる…』
俺が団子の串をバキッと折るくらいには、力を入れ過ぎていたみたいだった。
「なら俺たちのやることは一つじゃあないか。アオの歴史も、俺たちが守るべき歴史も守るさ」
「鶴丸の言う通りじゃ!わしらはアオの願いを守りゆう!」
「うん、そうだね」
「「そうだぜ大将」」
「ひっく…」
「ふふふ…もちろん僕も守るよ?」
「そうですなぁ、なかったことになんかできまへん」
「アオは俺たちを助けてくれたんだから、頼ってよ」
『ちょっとうちの子優しいがすぎる無理尊い山走ってきていい?』
「それしたら俺と鬼ごっこじゃよ?」
『今は大人しくしてます…』
顔を両手で抑え、尊さをかみしめる。
やだうちの子…いい子ばかり…。
「アオさん、他にも何か使える力ってあるの?」
『んー…はっきり使える…わけじゃないんだけど、縁が見えるんよ、あと魂の色とか』
「え、すごい!アオくんには丸見えなのか!」
『いやここちゃん絶対意味違うよね?ね?』
「アオには確かに、縁や魂を見る力もあるが、絶対見えるわけじゃないんだよ」
「龍神の力が全部使えんから、意識して見れんのじゃよ。たまぁに見えるらしいで?」
「へぇ!」
『特に血縁者や、絆?が強い人は見えやすいかな。奏さんやここちゃんは特に見えるよ』
「はっ!私と奏姉の全てが丸見え…!?」
『「ちゃうちゃう」』
「ここ…?」
「うぃっす、お口チャックします」
ここちゃんのはわざとだろうね、気まずいというか、真面目?な話を柔らかくしてくれたし。
………無意識かもやけども…。
「神や神楽は見えないのか?」
「見えないな…魂はなんとなくわかるくらいだが、色までは見えないし、縁も見えない。だから長の資格はないんだ」
「それが長の条件なんかえ?」
「そうだな、はっきり両方見えないと長にはなれない。あとは予知の力があるかどうかもな」
「なら、今のアオは?」
「確かにはっきり見えていないが、わずかでも見えてるからセーフ。つか、予知とかできるからな」
「思い出したらもっと鮮明に見えたりするらしいで」
他にもまああるけど、まあ今は無理やしいいか。
『てか今更やけど神楽は?』
「ほんと今更だな」
「神楽はあっちに残って整理とか任せてる。俺ら二人が休みってのはあんまなくてな」
『へぇ……仕事さぼってたわけじゃないんだ』
「つか尋問の続きを任せた」
「あぁ…あの例の役員か」
「そう、あいつ他にもさぼりまくってた仕事を下の奴にやらせたりしててな。んでそれらの追及もしてる」
「そいつ、追放か?」
「その予定だな。死人も出てるし、ここという見習いを放り出したし。記憶消去していろいろ書き換えて現世に戻す、あと霊力も封印してな」
『殴りたいなぁ…』
「それはお前がやる仕事じゃないからダメだ」
ぶーと頬を膨らませるもふざけてるだけなので問題なし。
「で、報告書と奏から直接話を聞いたが…今更だが、お前たちは今の結果で大丈夫だったか?」
「あぁ、俺ら五振りは柚の…主の元で」
「俺は、アオの元で。これでよかった」
「俺たちが、自分たちで選んだ答えだからな」
「…問題ない」
「あ、主様が、柚さんで、虎君たちも喜んで、ます!」
「うん!ありがとう、神さん!」
「ならよかった。すまなかったな…俺が会長じゃない時は、目を光らせてたんだが…」
「私も、申し訳ありません。今のあの部署は、私が責任者なのに…」
『てか、神の時は全部見てたの?あの部署を』
「俺の時は、ブラック本丸対策課のみだった。そもそも戦闘系は、そこの部署にあったんだが、メインを戦闘系に変えたのは、奏に任せるようにしてからだ」
「それまでは、俺らも手伝っとったんじゃけど、人数も増えたからの…隠す奴も増えたから、時々抜き打ちで調べとったんじゃ」
『ふむ…増えたのは、戦闘系?ブラック本丸対策課?』
「ブラ本対策だな。そもそもブラックが増えたからなぁ…」
なんで大事な刀剣を苦しめるのか理解できない。
なんかの、一時的なモード!とかならわかる。
でもなんでそんなことになるんか理解できないや。
『こんなにうちの子はいい子なんに、自分の子を、本丸をブラックにする神経がわからない…ゲームみたいに、一時的なモードならまだわかるけど』
「まぁわかりたくねぇな」
ずずーとお茶を飲んでると、「主、今いいかい?」という歌仙さんの声が。
「いいぞーどうした?」
「失礼するよ。そろそろ昼餉だけど、おにぎりでも作って持ってくるかい?」
「もうそんな時間か…」
「そうだな…あ、大量に頼めるか?昨日のおかずも残ってたら」
「あぁ、もちろん。風雅殿も神殿もよく食べるからね。作り甲斐があるよ。それじゃ、出来たらもってくるから」
「すまんの歌仙」
「歌仙、梅干し入りも頼む…」
「あぁ、任せてくれ」
神の要望に笑って答えると、歌仙さんは戻って行った。
「ま、話はだいたい終わりじゃな。質問あれば受け付けるで」
「俺からいいか?風雅の旦那」
「どないしたん?」
「ナナシの旦那から、アオが重症時は夜桜組へ連絡しろと言われているが、何か理由があるのか?」
「あーそこまでまだ聞いとらんか。アオの体質なんじゃけど、重症を負うと、傷が治りにくいんじゃよ、俺ら夜桜組の治癒術使えるやつら数人かかっても、なかなか治らん」
「そんなにか…」
「軽い怪我や風邪はすぐ治せるんじゃけど、重症になると治りにくい…こないだ風蝶がしばらく泊まってたやろ?何度かに分けて怪我の治療したからじゃ。まだ中傷寄りの軽症やったらしいから、すぐに治ったんじゃけど、念のための」
「薬やナナシの旦那の治療でもか?」
「せやなぁ…治りが遅いだけで、もしかしたら命落とす可能性もあるでな。やから無駄かもしれんけど、治癒術も使わな、やな」
「…なるほどな…わかった。ありがとな」
「薬研には特に頑張ってもらうことなるわ、すまんが頼むな」
「もちろんだ、死なせない」
『頼もしい…』
「お前は無茶するなよ、そこそこ強いが、甘いとこは甘いしな」
『あい…』
清光が気にしてるようだったので、頭を撫でてやれば驚かれたけど、すぐに辛そうに笑う。
『清光、無理しない。あと、あれは俺の意思で止めたんやし、気にしない』
「うん…でも、もしもを考えて…」
『今俺はここに居る。それが答え。だろ?』
「…うん、ありがとう、アオ」
まだぎこちないけど、さっきよりマシになったので、良しとする。
まぁ…こればっかは仕方ないからな、時間かけてでも癒す。
そのあとも質問コーナーを開き、話していると、歌仙さん達が大量のお握りとみそ汁、昨日の残りをもってきてくれて、お昼にしました。
おはようございます。
朝ごはんもいただき、神待ちしてまーす。
あ、朝のうちに来派と再契約しました!
荷物は今頃俺の本丸のなんでも箱に届いてるだろう…。
「神遅いな…」
「だね、もっと早く来ると思って構えてたのに…」
「ふぁあ…」
「朝早めに行くとしか聞いてませんでしたから…」
『まぁ神のことだしねぇ…』
ずずーとみんなでお茶を飲み待っていると、ゲートの動く音が。
「お、きたかな」
「だな…迎え行ってくる」
『お茶お願いしてくるねー』
「アオは待ってなよ、俺が頼んでくるから」
「俺も行くからさ」
『ありがとう、蛍、不動』
二人にお茶を任せ、少し待ってると……。
『え、なして抱えられてんの神』
「しかも風雅に…」
「今日のために仕事をさっきまでしとったらしくての。今無理矢理寝かせとるんじゃ」
「あ、会長も私と同じことを…」
「じゃあ話は風雅から?」
「せやな。神が起きるまでは俺が話すわ。あ、国広。これ、神が用意しとった茶菓子」
「すまないな。厨に渡してくる。茶も持ってくるから、待っていてくれ」
まさかの神は、風雅に抱えられて?参上しました。
えー…大丈夫なんか…。
少しして、国広とやな兄、歌仙さんに光忠さんが茶菓子とお茶を持ってきてくれた。
「神殿も忙しかったんだね」と言いながら、布団をかけてやる歌仙さん。
お母さんかな。
「さて、まずなんも知らんのは、ここと、アオの刀剣達の一部、柚の新しい刀剣達やったな。その面子に話すために来た」
「奏さんと俺らの刀剣と柚と厚、来派は知ってるから、まあ付き添いみたいなもんだな」
「せやな。で、真っ先に言うとやな…」
真剣な顔で風雅が話し出す。
「アオは龍神じゃ」
……………………………………。
「「「「「ええええぇぇぇぇ!?」」」」」
そういう反応します!?
もっと「何嘘言ってんだ?」くらいの驚き方というか何かなかったん!?
「アオ、漏れてる漏れてる」
『いや、つい…そんな驚きでくると思わなくて』
「まぁ普通は信じれないし、嘘言ってるとしか思わないしなぁ」
「嘘じゃないんじゃよなぁ…」
「え、で、でも!アオから神力感じないし、人間と変わりがないし…?」
『今出せる神力は抑えてるし、今は人間だしね』
「?…今出せる神力?」
「今は、人間…?」
「アオは何度も転生しとるんじゃ。人間や妖、半妖とかいろいろの。で、今生は人間じゃから、人と変わらん、見分けつかんのはしゃあない」
「しかも、聞いた話だと、アオは今までの記憶を思い出さないと、龍神の力は全部使えないらしい」
「じゃあ…今使える力もある…?」
『清光は体験してるよ、堕ち神の時』
「え………!俺の中に入ってきた時…?」
『そう。できる人間も居るらしい、とは聞いたけど。実はあの時、俺は少し龍神の力も使った』
そう、ただ癒すだけじゃなく、魂に語り掛ける必要があったから、龍神の力も少し解放してたのだ。
じゃないとあのまま癒し(陽)の力に負ける可能性もあったから。
「治癒術を使えた人間は見てきたことあるから、人間にも稀に、治癒術…神力を使えるもんは居る。しかもアオは刀剣にも使えるんじゃ」
「刀剣に…?」
「事実、清光は傷も治ってたろ?」
「あ……」
思い当たることに気づき、清光は驚く。
「なんで今話したんじゃ?もっと早お言えんかったがか?」
「それはー……」
「「「アオがめんどくさがった」」」
「えええぇぇ!!」
「なんとなくそんな気はしてたぜ…」
「アオ…」
『いやぁ…いちいち説明もめんどいから、初期メンバーに話して、今後皆に話してもらう形にしたくて』
えへ~と頭をかいてると、盛大なため息をつかれてしまった。
解せん。
「まあだいたいのアオの話は今ので終わりじゃ」
「おわりかよっ」
「だいたいじゃ、だいたい。アオの力について、話とかなあかんしの」
「…よく言う、「視た」ということと、あの組紐についてかい?」
驚いた。
鶴、よく覚えてたな…。
「…鶴丸はよお聞いとるみたいじゃな。せや、「視る」ことについてじゃ。組紐の件は、なんや使ったんか?」
『あ、柚兄に持たせてたやつが、役目を終えて切れたから。それかと』
「聞くだけやなく、よお見とるみたいじゃな」
「アオには、夢や、ふとした時に未来を視る…予知と言えばわかりやすいだろう」
「けど、なんでも視えるわけじゃないし、なんでも視れる、視たいものを視れるわけじゃない」
「せや…しかも、視た内容を、事細かに話してしまうと、アオにとって最悪のことが起きるんじゃ」
「最悪なこと…」
お茶を飲みながら、柚兄の方へ向いて、皆に話す。
『例えば、俺は今回の事件、柚兄はもっと重症…それこそ、命に係わるくらいの怪我をするという未来を視てた。それを回避するために、俺は組紐を渡した』
「組紐を?」
「あの時、まるで結界のようになっていたな…」
『そう、俺のもう一つの力。「念」って呼んでる。言霊と言えばわかりやすいかな…組紐に念、言霊を込めることで、柚兄の命を守った。柚兄の死に関わるような怪我をしそうな時、発動するように』
「「「「「!」」」」」
「じゃが、もしそれを細かく話せば…組紐の力があろうと、死に至ってた可能性は高かったんじゃ」
「だから、アオは話したくても話せないことが多い。何か言いたく無さそう、言いにくそうなときは、無理に聞こうとするなよ?
」
「失わなくていい命が失われる可能性もあるからね」
『命だけじゃない、軽症のはずが、体が動かせなくなるほどの重症になるかもしれない…だから、できれば、深く聞くことはしないでくれると助かる』
「まあ単に隠してる場合もあるけど、それは慣れだな、うん」
「慣れだねぇ」
「せやなぁ」
『驚きも大切です』
「おっ、アオはわかるか!」
『ふふふ…』
お茶菓子もいただいてると、神が起きた。
もうガバッと。
「っつ…俺、どれくらい寝てた…」
「一時間くらいじゃ」
「風雅…手刀はねぇだろう手刀は…」
「手刀したのか」
「手刀なんだね…」
『物理…』
「お前さんが頑張りすぎが悪い。もうちょい寝ててもよかったんに」
「あほ抜かせ…俺がアオを審神者に呼んだようなもんだ…ちゃんと刀剣に話す義理がある」
「アオのことは話したから、次は俺らの話じゃけどの」
「話し終わったのか?」
「一応はの。今の大事なことだけ。なんやあれば聞いてくるじゃろうしの」
はぁ…とため息をつき、頭をガシガシとかくと、壁に背を預ける神。
「なら俺らのことは、現当主のお前さんから話せ…」
「そのつもりじゃよ。その前に、休憩がてら菓子でも食い。神も食うか?」
「俺が持ってきた菓子か?」
「それもあるし、おふくろから預かってきとるやついくつかあるからの」
「…あんま甘くない奴もらう…」
風雅が出してくれたお菓子に俺と奏さんとここちゃんで選ぶ。
皆は神が持ってきたお菓子を先に食べている。
五虎退さんや乱さん、獅子王さんは珍しいのか、いろいろ食べてみていた。
神には抹茶の羊羹を渡していた。
「休憩できたとこで、俺らのことについてじゃ」
「風雅たち?」
座り直した風雅は、胸を張りいう。
「改めて自己紹介するわ。
俺は龍神の眷属、夜桜組二代目総大将、桜衣風雅じゃ」
「龍神の眷属…てことは…」
「アオの、って事かな?眷属のことだよ?」
「せやな。神も神楽も龍神で、二人の眷属でもあるけどの。誰が一番の主かと言われると、アオじゃ」
「アオが俺ら龍神の長だからな」
「神や神楽じゃないんだ…」
「俺らは最初のアオが龍神で生まれた時の叔父にあたるんだよ。今生は違うが、叔父には変わりはない」
『俺が最初に生まれた時は、母様が龍神の長だった。なんか長の条件がないと、長になれないとかで、俺は条件があってたから、次の長になった』
「だから俺らもある意味アオの眷属に近いとこはあるな」
『でも俺は家族として扱ってるから、眷属とか関係ないけどねぇ』
ケラケラと話すと、神と風雅にため息つかれた、解せん。
「俺らは、アオが死ねば、生まれ変わりを探し、時には保護し護り、時には見守り…それを繰り返して生きてきた。んで、俺らの元龍神の里が無くなる時…」
『……俺らの里を滅ぼしたのが、時間遡行軍だった』
「「「「な!?」」」」
「俺らもアオを勧誘したあの日に知ったんだけど、どうやらそうらしい」
「かといって、神たちはその歴史を変えたくてここに居るんじゃないからね」
「むしろ、その歴史を狙うようなら、守る。俺らのあれがあったから今があるんだ……壊されてたまるか」
『同感…許せないけど、その歴史も狙われるなら守らないと、今の俺らはいない…みんなと出会えた俺らが居なくなる…』
俺が団子の串をバキッと折るくらいには、力を入れ過ぎていたみたいだった。
「なら俺たちのやることは一つじゃあないか。アオの歴史も、俺たちが守るべき歴史も守るさ」
「鶴丸の言う通りじゃ!わしらはアオの願いを守りゆう!」
「うん、そうだね」
「「そうだぜ大将」」
「ひっく…」
「ふふふ…もちろん僕も守るよ?」
「そうですなぁ、なかったことになんかできまへん」
「アオは俺たちを助けてくれたんだから、頼ってよ」
『ちょっとうちの子優しいがすぎる無理尊い山走ってきていい?』
「それしたら俺と鬼ごっこじゃよ?」
『今は大人しくしてます…』
顔を両手で抑え、尊さをかみしめる。
やだうちの子…いい子ばかり…。
「アオさん、他にも何か使える力ってあるの?」
『んー…はっきり使える…わけじゃないんだけど、縁が見えるんよ、あと魂の色とか』
「え、すごい!アオくんには丸見えなのか!」
『いやここちゃん絶対意味違うよね?ね?』
「アオには確かに、縁や魂を見る力もあるが、絶対見えるわけじゃないんだよ」
「龍神の力が全部使えんから、意識して見れんのじゃよ。たまぁに見えるらしいで?」
「へぇ!」
『特に血縁者や、絆?が強い人は見えやすいかな。奏さんやここちゃんは特に見えるよ』
「はっ!私と奏姉の全てが丸見え…!?」
『「ちゃうちゃう」』
「ここ…?」
「うぃっす、お口チャックします」
ここちゃんのはわざとだろうね、気まずいというか、真面目?な話を柔らかくしてくれたし。
………無意識かもやけども…。
「神や神楽は見えないのか?」
「見えないな…魂はなんとなくわかるくらいだが、色までは見えないし、縁も見えない。だから長の資格はないんだ」
「それが長の条件なんかえ?」
「そうだな、はっきり両方見えないと長にはなれない。あとは予知の力があるかどうかもな」
「なら、今のアオは?」
「確かにはっきり見えていないが、わずかでも見えてるからセーフ。つか、予知とかできるからな」
「思い出したらもっと鮮明に見えたりするらしいで」
他にもまああるけど、まあ今は無理やしいいか。
『てか今更やけど神楽は?』
「ほんと今更だな」
「神楽はあっちに残って整理とか任せてる。俺ら二人が休みってのはあんまなくてな」
『へぇ……仕事さぼってたわけじゃないんだ』
「つか尋問の続きを任せた」
「あぁ…あの例の役員か」
「そう、あいつ他にもさぼりまくってた仕事を下の奴にやらせたりしててな。んでそれらの追及もしてる」
「そいつ、追放か?」
「その予定だな。死人も出てるし、ここという見習いを放り出したし。記憶消去していろいろ書き換えて現世に戻す、あと霊力も封印してな」
『殴りたいなぁ…』
「それはお前がやる仕事じゃないからダメだ」
ぶーと頬を膨らませるもふざけてるだけなので問題なし。
「で、報告書と奏から直接話を聞いたが…今更だが、お前たちは今の結果で大丈夫だったか?」
「あぁ、俺ら五振りは柚の…主の元で」
「俺は、アオの元で。これでよかった」
「俺たちが、自分たちで選んだ答えだからな」
「…問題ない」
「あ、主様が、柚さんで、虎君たちも喜んで、ます!」
「うん!ありがとう、神さん!」
「ならよかった。すまなかったな…俺が会長じゃない時は、目を光らせてたんだが…」
「私も、申し訳ありません。今のあの部署は、私が責任者なのに…」
『てか、神の時は全部見てたの?あの部署を』
「俺の時は、ブラック本丸対策課のみだった。そもそも戦闘系は、そこの部署にあったんだが、メインを戦闘系に変えたのは、奏に任せるようにしてからだ」
「それまでは、俺らも手伝っとったんじゃけど、人数も増えたからの…隠す奴も増えたから、時々抜き打ちで調べとったんじゃ」
『ふむ…増えたのは、戦闘系?ブラック本丸対策課?』
「ブラ本対策だな。そもそもブラックが増えたからなぁ…」
なんで大事な刀剣を苦しめるのか理解できない。
なんかの、一時的なモード!とかならわかる。
でもなんでそんなことになるんか理解できないや。
『こんなにうちの子はいい子なんに、自分の子を、本丸をブラックにする神経がわからない…ゲームみたいに、一時的なモードならまだわかるけど』
「まぁわかりたくねぇな」
ずずーとお茶を飲んでると、「主、今いいかい?」という歌仙さんの声が。
「いいぞーどうした?」
「失礼するよ。そろそろ昼餉だけど、おにぎりでも作って持ってくるかい?」
「もうそんな時間か…」
「そうだな…あ、大量に頼めるか?昨日のおかずも残ってたら」
「あぁ、もちろん。風雅殿も神殿もよく食べるからね。作り甲斐があるよ。それじゃ、出来たらもってくるから」
「すまんの歌仙」
「歌仙、梅干し入りも頼む…」
「あぁ、任せてくれ」
神の要望に笑って答えると、歌仙さんは戻って行った。
「ま、話はだいたい終わりじゃな。質問あれば受け付けるで」
「俺からいいか?風雅の旦那」
「どないしたん?」
「ナナシの旦那から、アオが重症時は夜桜組へ連絡しろと言われているが、何か理由があるのか?」
「あーそこまでまだ聞いとらんか。アオの体質なんじゃけど、重症を負うと、傷が治りにくいんじゃよ、俺ら夜桜組の治癒術使えるやつら数人かかっても、なかなか治らん」
「そんなにか…」
「軽い怪我や風邪はすぐ治せるんじゃけど、重症になると治りにくい…こないだ風蝶がしばらく泊まってたやろ?何度かに分けて怪我の治療したからじゃ。まだ中傷寄りの軽症やったらしいから、すぐに治ったんじゃけど、念のための」
「薬やナナシの旦那の治療でもか?」
「せやなぁ…治りが遅いだけで、もしかしたら命落とす可能性もあるでな。やから無駄かもしれんけど、治癒術も使わな、やな」
「…なるほどな…わかった。ありがとな」
「薬研には特に頑張ってもらうことなるわ、すまんが頼むな」
「もちろんだ、死なせない」
『頼もしい…』
「お前は無茶するなよ、そこそこ強いが、甘いとこは甘いしな」
『あい…』
清光が気にしてるようだったので、頭を撫でてやれば驚かれたけど、すぐに辛そうに笑う。
『清光、無理しない。あと、あれは俺の意思で止めたんやし、気にしない』
「うん…でも、もしもを考えて…」
『今俺はここに居る。それが答え。だろ?』
「…うん、ありがとう、アオ」
まだぎこちないけど、さっきよりマシになったので、良しとする。
まぁ…こればっかは仕方ないからな、時間かけてでも癒す。
そのあとも質問コーナーを開き、話していると、歌仙さん達が大量のお握りとみそ汁、昨日の残りをもってきてくれて、お昼にしました。