龍神が審神者になる?
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――アオ――
不動とにっかりを顕現し二日。
つまり今日は、やな兄のとこで花見の日!
あれから柚兄から「大丈夫」という連絡で、そのまま進めたらしいけど、ほんとに大丈夫かな…。
そうそう、不動とにっかり、昨日から出陣してるんだけど、成長早いね…昨日はずっと出陣と遠征で頑張ってたけど、早く強くなりたいのか、皆に追いつきたいのか、もっかい行くを繰り返してた。
タフだね…。
まぁおかげで、全体の平均、練度7くらいまで上がった(早いよね…)
あと、時々不動が変な感じなんだけど…急にキリッとしてたり、お酒が抜けたように、素面のようだったり…不動ってこんな子なんだね…。
で、今は朝から皆でやな兄のとこにきてます。
花見の手伝いに。
『まさかの餃子好評やったとは…嬉しいけど』
「お土産の餃子、あっという間になくなったしな」
「うん、最低一振りに一個はいけたんだけど、お代わりは戦争だったよ…」
少し遠い目をしながら、光忠さんが話してくれる。
中途半端ですみませんでした。
『……柚兄、大丈夫そうなん?昨日少し会えたけど、あんまり寝てないのか、休めてる感じじゃなかったけど…』
「俺も日を改めると言ったんだがな。大丈夫の一点張り。ま、こうして用意してるが…何かあれば中止するし、ほんとに大丈夫で来たら続行するさ」
「アオは、昨日柚に会えたんだね」
『はい。心配だったんで、顔を見に。でも休めてる感じもないから、誰かに聞こうかとしたんですが…』
「奏も、刀剣もバタバタしていてなあ…」
『あとピリピリしてる感じもして…』
「なにか大掛かりなことがあるんだろうか…」
餃子の準備をしながら柚兄のことを話す。
ほんとに柚兄大丈夫かな………まさか…。
『…』
「?…アオ、どうしたんだい」
『…俺、奏さんとこ行く。やっぱ気になるし』
借りてるエプロンを脱ぐと、向かう用意する。
今日の近侍の鶴、近侍補佐の小夜…といきたいが、小夜にはこっちをお願いし、厚に声をかける。
『鶴と厚は一緒にいきて。小夜、すまんがこっちを陸奥と任せる。やな兄、皆さん、すみませんが…』
「かまわない。もう少ししたら俺も行こうと思ってたしな。まんば、太朗と俺の刀持ってきてくれるか」
「わかった」
『やな兄…』
「もしどっかの本丸処理でてこずってるなら、太朗も居た方がいいだろうしな。ただまだ分かんねえし、様子見で」
各々準備を進め、やな兄と俺の連れてく刀剣の準備が終わると、ゲートへ向かう。
「もし急遽ブラック案件処理になったら、連絡入れる。今日の厨以外の面子は、誰が呼ばれても大丈夫なように準備しといてくれ」
『小夜、陸奥。こっちお願いね』
「はい…アオさん、気をつけて…ブラック案件なら、アオさんは戻ってきてください」
「ほおじゃの…聞いちゅう話のようなら、まだアオには早い気もするきの」
「うん…僕らもそれなりに練度がないと、きついから…それに、アオさんはまだ仮の状態のはずだから…」
皆が心配してくれるが、今日まで数日過ごした中で、俺が頑固なのを知ったようだ、止めても行くだろうと判断したんだね…。
言葉を交わし俺とやな兄、お互いの刀剣を連れて、政府へ。
俺も一応所属の部署に行くと、柚兄は居なかったが、奏さんがバタバタとしていた。
石切丸さん、薬研さん、堀川さんも待機しているようだ。
「奏さん」
「!…柳、アオさん…?」
「なんでアオさん達…」
『柚兄が心配で…柚兄は…?』
「今は休ませるために帰らせています…すみません、バタバタしていて…」
奏さんもお疲れ気味だ…。
顔色がよくない…。
「ブラック案件か?」
「こんのすけに聞きましたか…えぇ、しかも、そこの調査を任されていた役員が、隠蔽しようとしたこともあり、バタバタしてますね」
「!…そこの本丸は」
「…確かな情報なのか、それを調べるのも困難で…しかも、役員はまだ研修中の子を調査に行かせたんです…」
「『!』」
「奏、それは役員の研修中か?」
「はい。といっても、役員になるか、審神者になるかを迷ってる子ですね。…私の又従兄弟になります…」
「!九重か!」
「ここのえ?それがその研修中の子の名前かい」
「はい。今年アカデミー卒業で、まだ迷ってるようなので、研修にきたらどうかと誘ったんですが、まさか巻き込まれてるとは…」
そうか、身内が行かされ不安で、心配で…そりゃ休めないよ…。
『…奏さん、その九重さんが行ってどれくらいなの?』
「……一日が経とうとしています…」
「まずいじゃねぇか…九重はアカデミーで最低限の防衛を学んだだけだろ?」
「そうですね、最近いろいろ試してはいても、まだ使えません」
「うまく隠れていてくれたら、生きてるだろが…」
「九重と誰か刀剣も?」
「フリーの刀剣を、しばらく九重さんに。ほんとは、僕たちの誰かがつこうとしたんですが、任務もあったので…」
「タイミングが合わなかったんだな…柚も調査を?」
「はい、もともとあった情報の洗い出し、通報などあった中にそれらしきものがなかったかなどの確認をお願いしてました。ですがそれも苦戦を強いられ、あまり休ませてあげれず…」
俺は柚兄に電話してみる。
なんだろう、胸騒ぎがして仕方ない。
でも、何度コール音がしても、出る様子がない。
ただ寝てるだけなら構わない。
でも刀剣すらもでないのは違和感がある。
『柚兄、でない』
「……大将、奏、柳」
『「「ん?」」』
「柚の愛染からだ。救援要請」
「「な!?」」
厚の携帯に柚兄の愛染さんから連絡…しかも救援要請…?
『厚、どういうこと』
「柚の電話が鳴ったことで、俺のとこに急いで連絡いれたんだろうな。九重無事、疲労、瘴気濃い、堕ち神ありだ」
『九重さんは無事だけど、疲労がすごいてことかな』
「瘴気が濃い…耐性のない九重ではきついでしょうね…」
「しかも堕ち神…」
『堕ち神…響きから堕ちた神はわかるけど、なんで本丸に…………え、まさか…』
「…刀剣男士、だったものになります…」
…行かなきゃいけない。
泣いてる子がいる。
『…奏さん、行かせてください』
「ダメです。アオさんはここに。柳、急遽で申し訳ないですが、いけますか?」
「一部隊分、あと四振りきてもらうが行ける。アオ、さすがのお前も留守番だ」
『残念。何が何でも行くよ。むしろ居る方が九重さんも助けれる。時間もない』
「ですが」
『それに、泣いてるから』
俺の言葉に首を傾げる皆。
でも時間が惜しいから、俺は転移装置の方へ向かう。
奏さん達がなにか言ってるが、気にしてられない。
早くいかないと、ただそれだけ。
少し遅れてやな兄もきた。
「アオ」
『止めても行く』
「わかってる。だから俺らもいく。部隊待ちたいとこだが…」
『その時間も惜しい。苦しんで泣いてる子がいるから』
「九重か?」
『たぶん、「刀剣男士」』
「無事なやつか」
『わからない。あと俺が行けば簡易的な浄化になるだろうから』
やな兄も何かを思って、止めなくなったんだろうしね。
転移装置のところへつくと、こんがいた。
「アオ様、ボクもお供します」
『こん…』
「あの本丸の調査は、ボクもしてましたから…」
『…ありがとう』
「こんのすけ、向かいながら分かってることを教えてくれ」
そういうと、やな兄は行先を設定する。
そして向かう途中、こんの話を聞く。
「あの本丸は、最初は普通の本丸でした。ですが、最初の審神者様がご病気で、引退、引継ぎになったんです。
引き継がれた審神者様は、最初は普通だったのですが、だんだん任務も怠りだしまして…何度か担当が見に行ったのですが、体調がよくないと報告にありました。」
『その担当は、九重さんを行かせたやつ?』
「いえ、普通の担当官でした。何度か様子を見に行って、しばらく様子を見ていたら、担当官と連絡がつかなくり…そしてその本丸担当のこんのすけとも、連絡がとれず…それで、その担当官の上司が、ブラック本丸対策課兼戦闘系の部署に調査の依頼を入れたんです。調査部門の方でまず調査…この時、例の役員が担当になりました」
簡単な話じゃなかったな…。
いや簡単な話じゃないのは最初からわかってるけど、なんていうかな、情報量が思ったより多かった、うん。
『その役員が調査を怠って、悪化って感じかな』
「こちらではそのように考えています。役員の報告書は信用が持てないので、どこまで本当なのか…連絡の取れなくなった担当官の報告書も、信じていいものかと…」
「それで調査に時間もかかり、こんな緊急案件になったんだな」
「はい…」
と、ちょうど話していると、例の本丸へ着く。
うわ…どうしたらこんな瘴気がたまるかな…。
「これはまた…」
「ブラックになって長いとこうなる…耐性のないやつは、毒になる」
「だが、アオの傍にいると瘴気が薄い。浄化されてるんだろう」
『今更だけど、鶴大丈夫…?』
「あぁ、意外と平気だぜ?」
「御神刀である太朗とかのが耐性はあるが、刀剣もそれなりに体制はある。まぁ慣れてないとだんだんきつくなるがな…」
『厚は…慣れてるか』
「そうだな…小夜と俺は何度もきてるからな、こういうとこ」
「こんのすけ、バレないように執務室、もしくは私室で情報を集めてくれ。ブラックの確実な証拠を」
「かしこまりました!」
やな兄がそう指示を出すと、こんのすけは走っていく。
足とお尻かわいいな…(現実逃避)
と、逃避してる場合じゃない。
俺は声を聴くために周りを見る。
『…だめだ、響きすぎてあの子の声が混ざる…』
「とにかく、柚と九重探すぞ。俺はあっちからいく。アオ達はそっちから。もし外側で見つからないようなら、中に入るが、警戒して行け。あと太朗連れてけ」
『え、でも…』
「念のためだ。太朗、厚も居るが、アオを頼むぞ」
「えぇ、もちろんです。アオさん、よろしくお願いします」
『…すみません。よろしくお願いします。厚も、俺と鶴は初めてだし、頼むな』
「任された!」
二手に別れ、外側をぐるっと回る。
俺が通るとすこしは浄化されてるようで、気持ち綺麗になっていってる感じがする。
時々、折れた刀の破片など見つかるが……ここの刀剣だった者達かな…あとで供養してやらなきゃ…。
そのまま外側を見たが、中の方が瘴気や気配がある、やな兄に中に入ることを連絡し、ゆっくり進む。
『太郎さん、屋内だと、その大きな刀は不利になります。なので、縁側の方から見て回りますが、中に入った時は、部屋の外で警戒をお願いしたいです』
「そうですね、私の大きさでは、中は辛いですから、わかりました」
『鶴、お前も辛そなら太郎さんと待機、警戒してくれ。厚は一緒に中へ、俺の警護はあまりしなくて大丈夫だから、経験からいろいろ見て教えてくれ』
「大将、大将が強いのはわかるが、俺は今大将の守刀だ。勝手に警護するぜ」
『あ、この子神たちからほんといろいろ聞いてるな……じゃあ勝手によろしく』
少し笑いながら進むと、大広間あたりだろうか、気配が多い。
「大将、下がってくれ」
『…いるね』
「そうですね、気配が多い。アオさん、開けるのは私が。後ろにいてください。厚さん、アオさんのそばに、鶴丸さんも」
太郎さんに言われ、下がる。
それを確認した太郎さんは、襖を開けた。
中には、怪我をして動けない刀剣、折れた刀、今にも折れそうな刀達がいた。
「これは……」
『………ここまでなってるなんて…』
俺たちに気づいた刀剣が、無理やり体を動かし、警戒しだす。
「だれ、だ…」
「人間…役員か…」
『……厚、この札を重症なやつから貼っていって。治癒の術が働くようになってる。俺がやると余計警戒しそうだしな』
「わかった、鶴丸、大将頼む」
「あぁ」
『嫌なら、俺は近づかない。だが怪我の簡単な治療はさせてもらう。それと俺は審神者で、一応戦闘系審神者だ。厚に渡した札に治癒の力がある。札に限りもあるから、重傷者からな。それと、話してくれないか…何が起きたか、何が起きてるかを』
見たところ、いつ折れてもおかしくない刀剣がほとんだ…まだ無事なのは、獅子王さん、乱さん、五虎退さん、膝丸さん、大倶利伽羅さん……あとはギリギリな刀剣ばかり…間に合えばいいけど……。
「…あんた、戦闘系審神者なら…この本丸の調査か…?」
『それもたぶん含まれるんだろうけど、俺はここへきた俺の兄と、上司の身内を探しにきた』
「なぁ、愛染をつれた男と、一緒に女を見なかったか?」
「…………」
『…君たちも、縁のある刀、兄弟が居るだろ?…先にここへきた俺の兄は、体が弱いんだ、マシになったけど、もし死んだら……俺は悲しい。一緒に居るであろう人も、上司の大切な身内…頼む、何か知ってるなら、教えてくれないか…?』
俺が片膝をつき、頭を下げると、戸惑った空気を感じる。
だが大事だから、誠意を見せなきゃいけない。
「……あ、あのっ」
『乱さんに、五虎退さん…?』
「ゆ、柚って人と、九重、って人…?」
『!柚兄と九重さんを見た…?』
「乱…」
「……僕たちにも、兄弟がいた…黙ってるなんて、できない……それに、この人の御札、暖かった…だから…」
「ぼ、ぼくもです…虎くん達も、警戒して、ない…ですし…」
そういえば、五虎退さんの虎、俺の傍から離れないな……。
「大将が軽くでも、瘴気を浄化してるから、虎たちも居心地いいんじゃないか?」
『歩く空気清浄機になった気分……』
「なるほど、アオさんは空気清浄機だったのですね」
『太郎さんたぶんちゃいます』
「まぁまぁ…それで、2人の居場所、わかるかい?」
「外の、倉庫の中に逃げ込むの見たよ…あの刀から…」
「あの刀…?」
「……堕ちた神…俺たちの、元仲間…」
『……その刀剣の意識は、もうない?』
「おそらくないだろう…俺達も、あいつにやられたから、ここに隠れてる…」
「敵味方の区別ができないくらいか……」
ふむ…敵味方区別できないほど…でもこの声は………。
『……あれ、ここに入ってこない感じ?』
「最初は、九重ってやつが、次に柚ってやつが、簡易結界の札を貼ってくれたんだが…」
「なるほど…瘴気も濃いため、長く持たなかったのですね、我々が見つけれるくらいには」
『……ここにくるまでに、たくさんの刀剣の破片など見た…全部、その刀剣が…?』
「いや、あいつは…ここの審神者を殺しただけで、刀剣は折っていない…まだだけど…」
『審神者を……柚兄達が来る前、担当官来てなかったか?』
「きてたけど、あの人……死んだ主さんが、殺したの……」
「瘴気も溜まるわけだな…殺した経緯知りたいとこだが、その堕ちた刀剣と、柚達を早く救出しないと」
「ガゥ!がぅ!」
『ん?……君、案内してくれるの…?』
「ガウ!」
「と、とらくん、だめだよ……」
「ガウゥ…ガウ!」
『………君は頑固なんだな、俺と同じだ…五虎退さん、この子、お借りさせてください』
「え…で、でも…」
『俺からもだめだと言っても、きっとこの子はついてくる…なら、守ります。必ず。だから、お願いします』
五虎退のとらさんも、元気なのはこの子だけみたいだ。
柚兄たちに何か恩があるのか、絶対行く!をやめない。
え、なんでわかるって?
………………秘密で。
「わ、わかりまし、た……」
『それと、少し強めに結界の札を貼ります。無理やり外から破らない限り、大丈夫でしょうが、いざとなったら、逃げるように。札も止血はできても、万全じゃないし…何より今弱ってる皆さんに、ここの瘴気はきつい…』
「……アンタ、名前は…?」
『失礼、名乗ってませんでしたね。俺はアオです』
名乗りをあげ、襖に札を貼り、俺たちは外へ。
そして虎を肩に乗せ、外の倉庫を目指す。
『虎くん、俺から離れるなよ』
「ガウ」
「大将の傍は浄化されてるから、離れたら瘴気に当てられるからな」
「それにしても、君は虎の言葉がわかるのかい?」
『まぁなんとなく?』
鶴は少し引きつった笑みだったが、太郎さんも厚もわかってるからか、苦笑していた。
倉庫の方へ向かってると、遠くに禍々しい気配と、戦闘音が聞こえる。
そして、あの声も…。
『……まさか』
「アオ?」
音のする方へ向かうと、遠くに柚兄達がいた。
おそらく居場所がバレて、逃げていたんだろう、来派達もボロボロだ。
急いで向かうと、柚兄にトドメといわんばかりに、刀を振り下ろす堕ちた者。
でも柚兄の手首が光、刀を弾く。
皆が驚く中、俺はダッシュして間に張り込み、堕ちた刀剣を離れさせる。
「「「アオ!」」」
『遅れてごめん。話はあとね。愛染さん、この札を柚兄の重症部分に。厚さんは、この札を九重さんに』
急ぎ札を渡し、目の前の堕ちた刀剣と向き合う。
『…君やったんやね、泣いてたんは』
不動とにっかりを顕現し二日。
つまり今日は、やな兄のとこで花見の日!
あれから柚兄から「大丈夫」という連絡で、そのまま進めたらしいけど、ほんとに大丈夫かな…。
そうそう、不動とにっかり、昨日から出陣してるんだけど、成長早いね…昨日はずっと出陣と遠征で頑張ってたけど、早く強くなりたいのか、皆に追いつきたいのか、もっかい行くを繰り返してた。
タフだね…。
まぁおかげで、全体の平均、練度7くらいまで上がった(早いよね…)
あと、時々不動が変な感じなんだけど…急にキリッとしてたり、お酒が抜けたように、素面のようだったり…不動ってこんな子なんだね…。
で、今は朝から皆でやな兄のとこにきてます。
花見の手伝いに。
『まさかの餃子好評やったとは…嬉しいけど』
「お土産の餃子、あっという間になくなったしな」
「うん、最低一振りに一個はいけたんだけど、お代わりは戦争だったよ…」
少し遠い目をしながら、光忠さんが話してくれる。
中途半端ですみませんでした。
『……柚兄、大丈夫そうなん?昨日少し会えたけど、あんまり寝てないのか、休めてる感じじゃなかったけど…』
「俺も日を改めると言ったんだがな。大丈夫の一点張り。ま、こうして用意してるが…何かあれば中止するし、ほんとに大丈夫で来たら続行するさ」
「アオは、昨日柚に会えたんだね」
『はい。心配だったんで、顔を見に。でも休めてる感じもないから、誰かに聞こうかとしたんですが…』
「奏も、刀剣もバタバタしていてなあ…」
『あとピリピリしてる感じもして…』
「なにか大掛かりなことがあるんだろうか…」
餃子の準備をしながら柚兄のことを話す。
ほんとに柚兄大丈夫かな………まさか…。
『…』
「?…アオ、どうしたんだい」
『…俺、奏さんとこ行く。やっぱ気になるし』
借りてるエプロンを脱ぐと、向かう用意する。
今日の近侍の鶴、近侍補佐の小夜…といきたいが、小夜にはこっちをお願いし、厚に声をかける。
『鶴と厚は一緒にいきて。小夜、すまんがこっちを陸奥と任せる。やな兄、皆さん、すみませんが…』
「かまわない。もう少ししたら俺も行こうと思ってたしな。まんば、太朗と俺の刀持ってきてくれるか」
「わかった」
『やな兄…』
「もしどっかの本丸処理でてこずってるなら、太朗も居た方がいいだろうしな。ただまだ分かんねえし、様子見で」
各々準備を進め、やな兄と俺の連れてく刀剣の準備が終わると、ゲートへ向かう。
「もし急遽ブラック案件処理になったら、連絡入れる。今日の厨以外の面子は、誰が呼ばれても大丈夫なように準備しといてくれ」
『小夜、陸奥。こっちお願いね』
「はい…アオさん、気をつけて…ブラック案件なら、アオさんは戻ってきてください」
「ほおじゃの…聞いちゅう話のようなら、まだアオには早い気もするきの」
「うん…僕らもそれなりに練度がないと、きついから…それに、アオさんはまだ仮の状態のはずだから…」
皆が心配してくれるが、今日まで数日過ごした中で、俺が頑固なのを知ったようだ、止めても行くだろうと判断したんだね…。
言葉を交わし俺とやな兄、お互いの刀剣を連れて、政府へ。
俺も一応所属の部署に行くと、柚兄は居なかったが、奏さんがバタバタとしていた。
石切丸さん、薬研さん、堀川さんも待機しているようだ。
「奏さん」
「!…柳、アオさん…?」
「なんでアオさん達…」
『柚兄が心配で…柚兄は…?』
「今は休ませるために帰らせています…すみません、バタバタしていて…」
奏さんもお疲れ気味だ…。
顔色がよくない…。
「ブラック案件か?」
「こんのすけに聞きましたか…えぇ、しかも、そこの調査を任されていた役員が、隠蔽しようとしたこともあり、バタバタしてますね」
「!…そこの本丸は」
「…確かな情報なのか、それを調べるのも困難で…しかも、役員はまだ研修中の子を調査に行かせたんです…」
「『!』」
「奏、それは役員の研修中か?」
「はい。といっても、役員になるか、審神者になるかを迷ってる子ですね。…私の又従兄弟になります…」
「!九重か!」
「ここのえ?それがその研修中の子の名前かい」
「はい。今年アカデミー卒業で、まだ迷ってるようなので、研修にきたらどうかと誘ったんですが、まさか巻き込まれてるとは…」
そうか、身内が行かされ不安で、心配で…そりゃ休めないよ…。
『…奏さん、その九重さんが行ってどれくらいなの?』
「……一日が経とうとしています…」
「まずいじゃねぇか…九重はアカデミーで最低限の防衛を学んだだけだろ?」
「そうですね、最近いろいろ試してはいても、まだ使えません」
「うまく隠れていてくれたら、生きてるだろが…」
「九重と誰か刀剣も?」
「フリーの刀剣を、しばらく九重さんに。ほんとは、僕たちの誰かがつこうとしたんですが、任務もあったので…」
「タイミングが合わなかったんだな…柚も調査を?」
「はい、もともとあった情報の洗い出し、通報などあった中にそれらしきものがなかったかなどの確認をお願いしてました。ですがそれも苦戦を強いられ、あまり休ませてあげれず…」
俺は柚兄に電話してみる。
なんだろう、胸騒ぎがして仕方ない。
でも、何度コール音がしても、出る様子がない。
ただ寝てるだけなら構わない。
でも刀剣すらもでないのは違和感がある。
『柚兄、でない』
「……大将、奏、柳」
『「「ん?」」』
「柚の愛染からだ。救援要請」
「「な!?」」
厚の携帯に柚兄の愛染さんから連絡…しかも救援要請…?
『厚、どういうこと』
「柚の電話が鳴ったことで、俺のとこに急いで連絡いれたんだろうな。九重無事、疲労、瘴気濃い、堕ち神ありだ」
『九重さんは無事だけど、疲労がすごいてことかな』
「瘴気が濃い…耐性のない九重ではきついでしょうね…」
「しかも堕ち神…」
『堕ち神…響きから堕ちた神はわかるけど、なんで本丸に…………え、まさか…』
「…刀剣男士、だったものになります…」
…行かなきゃいけない。
泣いてる子がいる。
『…奏さん、行かせてください』
「ダメです。アオさんはここに。柳、急遽で申し訳ないですが、いけますか?」
「一部隊分、あと四振りきてもらうが行ける。アオ、さすがのお前も留守番だ」
『残念。何が何でも行くよ。むしろ居る方が九重さんも助けれる。時間もない』
「ですが」
『それに、泣いてるから』
俺の言葉に首を傾げる皆。
でも時間が惜しいから、俺は転移装置の方へ向かう。
奏さん達がなにか言ってるが、気にしてられない。
早くいかないと、ただそれだけ。
少し遅れてやな兄もきた。
「アオ」
『止めても行く』
「わかってる。だから俺らもいく。部隊待ちたいとこだが…」
『その時間も惜しい。苦しんで泣いてる子がいるから』
「九重か?」
『たぶん、「刀剣男士」』
「無事なやつか」
『わからない。あと俺が行けば簡易的な浄化になるだろうから』
やな兄も何かを思って、止めなくなったんだろうしね。
転移装置のところへつくと、こんがいた。
「アオ様、ボクもお供します」
『こん…』
「あの本丸の調査は、ボクもしてましたから…」
『…ありがとう』
「こんのすけ、向かいながら分かってることを教えてくれ」
そういうと、やな兄は行先を設定する。
そして向かう途中、こんの話を聞く。
「あの本丸は、最初は普通の本丸でした。ですが、最初の審神者様がご病気で、引退、引継ぎになったんです。
引き継がれた審神者様は、最初は普通だったのですが、だんだん任務も怠りだしまして…何度か担当が見に行ったのですが、体調がよくないと報告にありました。」
『その担当は、九重さんを行かせたやつ?』
「いえ、普通の担当官でした。何度か様子を見に行って、しばらく様子を見ていたら、担当官と連絡がつかなくり…そしてその本丸担当のこんのすけとも、連絡がとれず…それで、その担当官の上司が、ブラック本丸対策課兼戦闘系の部署に調査の依頼を入れたんです。調査部門の方でまず調査…この時、例の役員が担当になりました」
簡単な話じゃなかったな…。
いや簡単な話じゃないのは最初からわかってるけど、なんていうかな、情報量が思ったより多かった、うん。
『その役員が調査を怠って、悪化って感じかな』
「こちらではそのように考えています。役員の報告書は信用が持てないので、どこまで本当なのか…連絡の取れなくなった担当官の報告書も、信じていいものかと…」
「それで調査に時間もかかり、こんな緊急案件になったんだな」
「はい…」
と、ちょうど話していると、例の本丸へ着く。
うわ…どうしたらこんな瘴気がたまるかな…。
「これはまた…」
「ブラックになって長いとこうなる…耐性のないやつは、毒になる」
「だが、アオの傍にいると瘴気が薄い。浄化されてるんだろう」
『今更だけど、鶴大丈夫…?』
「あぁ、意外と平気だぜ?」
「御神刀である太朗とかのが耐性はあるが、刀剣もそれなりに体制はある。まぁ慣れてないとだんだんきつくなるがな…」
『厚は…慣れてるか』
「そうだな…小夜と俺は何度もきてるからな、こういうとこ」
「こんのすけ、バレないように執務室、もしくは私室で情報を集めてくれ。ブラックの確実な証拠を」
「かしこまりました!」
やな兄がそう指示を出すと、こんのすけは走っていく。
足とお尻かわいいな…(現実逃避)
と、逃避してる場合じゃない。
俺は声を聴くために周りを見る。
『…だめだ、響きすぎてあの子の声が混ざる…』
「とにかく、柚と九重探すぞ。俺はあっちからいく。アオ達はそっちから。もし外側で見つからないようなら、中に入るが、警戒して行け。あと太朗連れてけ」
『え、でも…』
「念のためだ。太朗、厚も居るが、アオを頼むぞ」
「えぇ、もちろんです。アオさん、よろしくお願いします」
『…すみません。よろしくお願いします。厚も、俺と鶴は初めてだし、頼むな』
「任された!」
二手に別れ、外側をぐるっと回る。
俺が通るとすこしは浄化されてるようで、気持ち綺麗になっていってる感じがする。
時々、折れた刀の破片など見つかるが……ここの刀剣だった者達かな…あとで供養してやらなきゃ…。
そのまま外側を見たが、中の方が瘴気や気配がある、やな兄に中に入ることを連絡し、ゆっくり進む。
『太郎さん、屋内だと、その大きな刀は不利になります。なので、縁側の方から見て回りますが、中に入った時は、部屋の外で警戒をお願いしたいです』
「そうですね、私の大きさでは、中は辛いですから、わかりました」
『鶴、お前も辛そなら太郎さんと待機、警戒してくれ。厚は一緒に中へ、俺の警護はあまりしなくて大丈夫だから、経験からいろいろ見て教えてくれ』
「大将、大将が強いのはわかるが、俺は今大将の守刀だ。勝手に警護するぜ」
『あ、この子神たちからほんといろいろ聞いてるな……じゃあ勝手によろしく』
少し笑いながら進むと、大広間あたりだろうか、気配が多い。
「大将、下がってくれ」
『…いるね』
「そうですね、気配が多い。アオさん、開けるのは私が。後ろにいてください。厚さん、アオさんのそばに、鶴丸さんも」
太郎さんに言われ、下がる。
それを確認した太郎さんは、襖を開けた。
中には、怪我をして動けない刀剣、折れた刀、今にも折れそうな刀達がいた。
「これは……」
『………ここまでなってるなんて…』
俺たちに気づいた刀剣が、無理やり体を動かし、警戒しだす。
「だれ、だ…」
「人間…役員か…」
『……厚、この札を重症なやつから貼っていって。治癒の術が働くようになってる。俺がやると余計警戒しそうだしな』
「わかった、鶴丸、大将頼む」
「あぁ」
『嫌なら、俺は近づかない。だが怪我の簡単な治療はさせてもらう。それと俺は審神者で、一応戦闘系審神者だ。厚に渡した札に治癒の力がある。札に限りもあるから、重傷者からな。それと、話してくれないか…何が起きたか、何が起きてるかを』
見たところ、いつ折れてもおかしくない刀剣がほとんだ…まだ無事なのは、獅子王さん、乱さん、五虎退さん、膝丸さん、大倶利伽羅さん……あとはギリギリな刀剣ばかり…間に合えばいいけど……。
「…あんた、戦闘系審神者なら…この本丸の調査か…?」
『それもたぶん含まれるんだろうけど、俺はここへきた俺の兄と、上司の身内を探しにきた』
「なぁ、愛染をつれた男と、一緒に女を見なかったか?」
「…………」
『…君たちも、縁のある刀、兄弟が居るだろ?…先にここへきた俺の兄は、体が弱いんだ、マシになったけど、もし死んだら……俺は悲しい。一緒に居るであろう人も、上司の大切な身内…頼む、何か知ってるなら、教えてくれないか…?』
俺が片膝をつき、頭を下げると、戸惑った空気を感じる。
だが大事だから、誠意を見せなきゃいけない。
「……あ、あのっ」
『乱さんに、五虎退さん…?』
「ゆ、柚って人と、九重、って人…?」
『!柚兄と九重さんを見た…?』
「乱…」
「……僕たちにも、兄弟がいた…黙ってるなんて、できない……それに、この人の御札、暖かった…だから…」
「ぼ、ぼくもです…虎くん達も、警戒して、ない…ですし…」
そういえば、五虎退さんの虎、俺の傍から離れないな……。
「大将が軽くでも、瘴気を浄化してるから、虎たちも居心地いいんじゃないか?」
『歩く空気清浄機になった気分……』
「なるほど、アオさんは空気清浄機だったのですね」
『太郎さんたぶんちゃいます』
「まぁまぁ…それで、2人の居場所、わかるかい?」
「外の、倉庫の中に逃げ込むの見たよ…あの刀から…」
「あの刀…?」
「……堕ちた神…俺たちの、元仲間…」
『……その刀剣の意識は、もうない?』
「おそらくないだろう…俺達も、あいつにやられたから、ここに隠れてる…」
「敵味方の区別ができないくらいか……」
ふむ…敵味方区別できないほど…でもこの声は………。
『……あれ、ここに入ってこない感じ?』
「最初は、九重ってやつが、次に柚ってやつが、簡易結界の札を貼ってくれたんだが…」
「なるほど…瘴気も濃いため、長く持たなかったのですね、我々が見つけれるくらいには」
『……ここにくるまでに、たくさんの刀剣の破片など見た…全部、その刀剣が…?』
「いや、あいつは…ここの審神者を殺しただけで、刀剣は折っていない…まだだけど…」
『審神者を……柚兄達が来る前、担当官来てなかったか?』
「きてたけど、あの人……死んだ主さんが、殺したの……」
「瘴気も溜まるわけだな…殺した経緯知りたいとこだが、その堕ちた刀剣と、柚達を早く救出しないと」
「ガゥ!がぅ!」
『ん?……君、案内してくれるの…?』
「ガウ!」
「と、とらくん、だめだよ……」
「ガウゥ…ガウ!」
『………君は頑固なんだな、俺と同じだ…五虎退さん、この子、お借りさせてください』
「え…で、でも…」
『俺からもだめだと言っても、きっとこの子はついてくる…なら、守ります。必ず。だから、お願いします』
五虎退のとらさんも、元気なのはこの子だけみたいだ。
柚兄たちに何か恩があるのか、絶対行く!をやめない。
え、なんでわかるって?
………………秘密で。
「わ、わかりまし、た……」
『それと、少し強めに結界の札を貼ります。無理やり外から破らない限り、大丈夫でしょうが、いざとなったら、逃げるように。札も止血はできても、万全じゃないし…何より今弱ってる皆さんに、ここの瘴気はきつい…』
「……アンタ、名前は…?」
『失礼、名乗ってませんでしたね。俺はアオです』
名乗りをあげ、襖に札を貼り、俺たちは外へ。
そして虎を肩に乗せ、外の倉庫を目指す。
『虎くん、俺から離れるなよ』
「ガウ」
「大将の傍は浄化されてるから、離れたら瘴気に当てられるからな」
「それにしても、君は虎の言葉がわかるのかい?」
『まぁなんとなく?』
鶴は少し引きつった笑みだったが、太郎さんも厚もわかってるからか、苦笑していた。
倉庫の方へ向かってると、遠くに禍々しい気配と、戦闘音が聞こえる。
そして、あの声も…。
『……まさか』
「アオ?」
音のする方へ向かうと、遠くに柚兄達がいた。
おそらく居場所がバレて、逃げていたんだろう、来派達もボロボロだ。
急いで向かうと、柚兄にトドメといわんばかりに、刀を振り下ろす堕ちた者。
でも柚兄の手首が光、刀を弾く。
皆が驚く中、俺はダッシュして間に張り込み、堕ちた刀剣を離れさせる。
「「「アオ!」」」
『遅れてごめん。話はあとね。愛染さん、この札を柚兄の重症部分に。厚さんは、この札を九重さんに』
急ぎ札を渡し、目の前の堕ちた刀剣と向き合う。
『…君やったんやね、泣いてたんは』