龍神が審神者になる?
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ーーアオsideーー
『あー…よかった…厚が承認しても帰ってきた…』
「だな。これなら大将が出陣しても大丈夫だな」
『うん、よかった…。みんな怪我ないな?』
「あぁ。第一部隊、負傷者なし。ちゃんと帰還した」
『ありがとう、鶴。みんな、おつかれ。少し休憩したらもっかい行ってみてもいいかもな』
「あ、大将。先に手入れ部屋の隣見に行くのはどうだ?確か昨日確認するために、メモに書いてただろ?」
『oh……厚ありがと…すっかり忘れてたわ…。んじゃ、確認行こうかな…薬研、すまんが一緒に来てくれ。近侍の陸奥も。厚はお茶任せていいか?執務室に人数分。俺の私室の台所使っていいから』
「ほいきた!任せな!」
『鶴と小夜は先に執務室に行っててくれ。適当にメモできる紙出してるから、気になることとかあったら書いてくれてかまわない』
「わかった」
それぞれに指示を出して、俺と薬研、陸奥で手入れ部屋の隣の部屋へ。
『二人とも、出陣後なのに悪いな』
「なんちゃあない!まだまだ元気じゃよ」
「あぁ。昨日は怪我していたが、今日はしてない分元気だぜ」
『それはよかった。やっぱり人の体に慣れてないとキツいか…』
「ほぉじゃのぉ…小夜見とると慣れの差かのぉ」
「あぁ。軽く動く分には慣れても、戦闘になればなかなか違うな」
『んじゃこれから来る刀剣には、先に走るなりして慣れてもらった方がいいか…』
考えながら進んでると、目的地に到着。
中を確認すると、和風な待合室のような、休憩場のような場所だった。
布団もある。
「これは、医務室には使えないな…」
『うん、どっちかていうと…隣の手入れ部屋の待合室、かな…』
「つまり、手入れ部屋が混んでいたらここで待つっちゅうことかの?」
「あぁ。この扉、手入れ部屋に繋がってるしな。混んでる場合ここで手入れを待ち、空いたらここから手入れ部屋に移動だな」
『ふむ…薬研の医務室は手入れ部屋の近くがいい気がするんだけどな…』
「……大将、この隣は?」
『ん?タブレットで見た感じ、そこも空き部屋だな』
手入れ部屋の隣の隣。
そこへ移動すると、少し広めの部屋が出てきた。
「こっちは隣より広いのぉ」
『だな。薬研、ここはどうだ?』
「あぁ、問題ないと思う。大将が大怪我した時心配だが…軽い怪我なら、刀剣も大将もここで見れるだろう」
『まぁ刀剣達の怪我は俺が手入れするけど…ここなら広い分、体調悪い刀剣を休ませることも出来るし、薬研も勉強やら、もし薬作るとなっても大丈夫そうだしな』
「あぁ。大将、ここを医務室にしてもいいか?」
『もちろん。早い者勝ちだ』
俺は笑いながらタブレットを開き、今居る部屋のところに、医務室と入力する。
『よし。要るものや、こうしたいあれば言ってくれ。用意するし、なかったらナナシにもらったりしよう』
「ありがとな、大将」
「この本丸の医療は、薬研に任せるき、甘えちょけ!」
『お、陸奥分かってきたね。そう言うこと。それに医療関係は経費でいけるから、問題ない』
無事医務室も決まり、俺たちは執務室へ向かうと、お茶を淹れた厚も戻っていた。
「お、アオ達。おかえり」
「おかえりなさい…」
「おかえり!医務室決まったか?」
『ただいま。手入れ部屋の隣の隣にした。また部屋の前に札でもやっとくな』
厚の淹れてくれたお茶を飲み、今日したこと、決まったことをメモしていく。
報告書に書くためだ。
「あ、大将。柳から連絡きてたぞ?大将に連絡つかないって」
『え、マジか。携帯携帯……あーここに忘れて出迎え行ってたのか…』
「柳さんから、後で連絡ほしいと…」
『ん、厚も小夜も、ありがとな』
やな兄の連絡を確認すると、手合わせしたいか?とのこと。
いきなりどした、やな兄よ。
『手合わせしたいか、って来てるけど…どゆことや……ちょいと電話してくる…』
皆に一言入れ、執務室を出て電話をかける。
数コールの後、相手、やな兄が出る。
<はよ、メッセ見たか?>
『おはよー。見たよ、どゆこと?』
<刀剣同士の手合わせは、練度的に厳しいと思うが、お前自身な。まんばとの手合わせたまにしてたろ?あれ聞いてやってみたいて連中も居てな…>
『ふむ。でも国広は慣れてるからこそついてけるんやけどな…俺はいいよ。ちょうど厚達と体術やろうて話昨日してたし』
<んじゃ一度やるか…柚に刀剣一部隊分連れてく申請出すわ。すぐに通らなかったらまた今度で>
『ん。昼過ぎにくるんやけ?』
<あぁ。昼餉食ったら行く>
『了解。んじゃ、また後でね』
電話を終え、時間を確認すると、まだ10時すぎ。
もっかい出陣できそうだけど…どうするか…。
執務室に戻り、んー…と悩む。
「柳は何言うてきたがや?」
『んー…刀剣同士の手合わせというより、俺との手合わせやらないか?てこと。なんか国広と手合わせした話を向こうでしたら、やってみたいて人達居るみたい』
「なるほどな」
「神さん達から聞いてるけど… アオさん、強いって…」
「へぇ」
『でも、国広は慣れてるからこそついてけるんだよな…昼餉食べたら来るって言ってたけど、もっかい出陣するか、早目に昼餉食べて準備するか…』
「…大将、柳の旦那達がくるまでに、俺達で手合わせしてみないか?」
『お、薬研やる気満々?』
「やる気というより、大将の動きを見たい。今の俺達が大将とどれだけ差があるか」
「確かに…」
『え、俺そんな強くないと思うのに…』
「柳の旦那や柚の旦那に聞いたが、柳の旦那やあっちの山姥切の旦那より強いんだろ?」
『いや、たぶん慣れてるからだと思う。慣れてない相手だとわからん』
「なら、ここに居るオレ達は慣れてない相手だし、ちょうどいいんじゃないか?」
「あぁ!それに楽しそうじゃないか」
「体術なら、僕と厚が相手できるよ…皆さんは、まだ体術の稽古してないから…皆さんに見せるのもありかと…」
おぉ…皆やる気満々だわ……?
んー………。
『……わかった、11時くらいには切り上げて、昼餉の用意するから、それまでな』
「よっしゃ!そうと決まれば、道場に行こうぜ!」
嬉しそうに、楽しそうに、皆移動始める。
俺と手合わせしても面白くないのにー…。
念のため、タブレットと木箱も持って道場へ向かう。
皆防具は外し、本体も防具の側に置く。
俺は木箱から水分を出しておく。
『んで、誰がやる?』
「僕がやります…皆には、動きを見てもらいたいし…」
『ん。体術だけするか?』
「大将、武器ありで体術込みでやってくれ」
『おけ。んー………俺も短刀がいいか?』
「アオはなんでも使えるがか?」
『銃は禁止されてるけどな。基本どれでも』
「得意なのでいいです…」
『得意なやつ……そりゃ自前の刀なら得意だけど……』
んー…と悩みながら、小夜と同じ短刀の木刀を選ぶ。
『審判は?』
「オレがやるぜ!」
厚が名乗り出て、俺と小夜は構える。
『本気でな、小夜』
「うん…そのつもりです…」
「本気は構わないけどな、大将。怪我はしないでくれよ…一本取ったら終了。それじゃ、始め!」
厚の合図と共に、素早い動きで小夜が向かってくる。
それをかわして後ろを取り、拳を勢いよく下ろすも、しゃがんで交わされる。
そのまま足払いされるが、すぐに距離を空ける。
休む間もなく、体術に木刀を使い小夜は突っ込んでくるが、俺は交わしたりガードをする。
小夜早いなぁ……風雅より遅いけど。
でも普段俺より低い相手とやらないから、やりにくさはあるな。
時々攻めに転じるも、確実に入らないのは、俺が本気じゃないから。
小夜には本気でと言いながら、俺は本気じゃない。
というか、本気になれないんだなぁ…。
風雅とやる時は、俺より強いし本気で行くけど、俺が意地になるからいつも負ける。
じゃあ他は、となると、相手が本気でも、殺気を感じないからか、本気を出せない。
俺が焦ったり意地にならない限りは出ないかなぁ。
てか皆俺が強いて錯覚しすぎ…。
まぁ考えながらやる余裕があるからか、そう思われるんだろうな。
大抵なんも考えてないけど。
休みなく動いてるからか、焦りなのか、小夜の動きが少し鈍くなる。
そこを逃さず、木刀を持ってる腕を掴み、背負い投げをするが、なんとかバランスを保って着地…て、させないぞ。
着地する寸前、滑り込むように着地地点へ潜り込み、小夜を掴み床へ叩きつけ、首に短刀の木刀を当てる。
小夜は目を見開き固まり、驚いてる。
周りも驚いてるのか、静かだ。
「そ…それまで!勝者、大将!」
『…ふう…。小夜、怪我ないか?』
「…ぁ…はい……大丈夫、です…」
厚も小夜も驚き固まってた中、やっと声を出す。
そんなに驚くのか…。
『んー…これ、俺見本になるか…?』
「…アオ、今のは本気か?」
『ん?』
「どういうことじゃき?鶴丸」
「あぁ、何か違和感があってな。本気に見えなかった」
「けど、小夜助には本気でと言ってただろ?なら大将も本気だったんじゃねぇのか?」
「…アオさんは、本気じゃないよ」
「あぁ。本気じゃない。というより、出せないんだ」
『おろ、厚に小夜。もしかして神たちに聞いてた?』
「はい…アオさんは、懐に入れてる大事な相手には、基本本気を出せないと…」
「まぁ風雅あたりには、本気だろうけど、ともな」
『ふむ。個人情報駄々洩れだなぁ……にしても、鶴はすごいな。一度見ただけで見抜くかぁ』
俺は苦笑し、小夜の頭を撫でる。
『風雅は強いから、本気でやらないとすぐやられるんだ。でも俺が意地になって、最終的には負けるな。
家族内で本気でやることはあんまないが…殺気を向けられると本気になる、とは言われた』
「じゃあ風雅とやらは、殺気を?」
『いんや、風雅が殺気を俺に向けるのは、稽古終了の合図としてたまに、だな。基本向けない。
……風雅は一番、家族を大事にする奴だからな』
「…アオさんの本気は、きっと戦場じゃないと、見れないよ…」
「それを分かっててやったのか…」
「はい…僕の動きやアオさんの動きを見せるためですから…」
「あ、そうだ。大将。自分より小さい奴との戦闘苦手だろ」
『バレた…』
「主に風雅に稽古してもらってるって聞いてたし、大きい相手ばっかしてきたんだろうな。本気じゃないから小夜に一撃が入らないってのもあるかもだけど、やりにくそうだったし」
『よく見てるなぁ…小夜は確かに素早い、けど、風雅のが早いからついていけるんだよ。でも自分より低い相手は確かに苦手…』
「…小夜坊、厚、アオ。俺たちにも体術教えてくれないかい?アオに追いつくことが目標だが、あまりに差が大きい……だが、せめて足手まといにならないようにしたいんだ」
「あぁ。鶴丸の言う通りじゃ!」
「だな。邪魔にはならんようにしないとな」
『?俺お前たちを邪魔だなんて思ってないし、思うこともないぞ?お前たちは家族。居てくれるだけで嬉しい。
…でも、刀であるお前達をただの飾りで終わらせるつもりはない。俺の刀剣として強くなってもらうし、俺がやりたいことのために、手を貸してほしいから。俺のやりたいことについてはまだ言わないが、いずれな』
皆の目を見て、はっきり伝える。
今はまだ言えないけど、いつか、その時が来たら話す。
一瞬きょとんとしていたけど、すぐに皆笑ってくれて、任せろと言ってくれた。
『さて、あと30分もないな…どうする?』
「アオさん、厚と先に厨で、昼餉の準備したらいいよ…皆さんには、僕から簡単な体術を少し教えておくから…」
「そうだな…残り時間で手合わせしても遅くなるだろうから、オレ達は先に昼餉の準備しようぜ」
「あぁ、小夜坊に少し教わったら、俺たちも手伝いに行くさ」
『んー…わかった。もし怪我したら言えよ?手入れするから。小夜も無理するな、さっき強めに叩きつけたし…』
「はい…」
俺と厚で先に昼餉の用意に向かい、しばらくしてから四人がくる。
今日の昼ご飯はカレードリアです。
『あー…よかった…厚が承認しても帰ってきた…』
「だな。これなら大将が出陣しても大丈夫だな」
『うん、よかった…。みんな怪我ないな?』
「あぁ。第一部隊、負傷者なし。ちゃんと帰還した」
『ありがとう、鶴。みんな、おつかれ。少し休憩したらもっかい行ってみてもいいかもな』
「あ、大将。先に手入れ部屋の隣見に行くのはどうだ?確か昨日確認するために、メモに書いてただろ?」
『oh……厚ありがと…すっかり忘れてたわ…。んじゃ、確認行こうかな…薬研、すまんが一緒に来てくれ。近侍の陸奥も。厚はお茶任せていいか?執務室に人数分。俺の私室の台所使っていいから』
「ほいきた!任せな!」
『鶴と小夜は先に執務室に行っててくれ。適当にメモできる紙出してるから、気になることとかあったら書いてくれてかまわない』
「わかった」
それぞれに指示を出して、俺と薬研、陸奥で手入れ部屋の隣の部屋へ。
『二人とも、出陣後なのに悪いな』
「なんちゃあない!まだまだ元気じゃよ」
「あぁ。昨日は怪我していたが、今日はしてない分元気だぜ」
『それはよかった。やっぱり人の体に慣れてないとキツいか…』
「ほぉじゃのぉ…小夜見とると慣れの差かのぉ」
「あぁ。軽く動く分には慣れても、戦闘になればなかなか違うな」
『んじゃこれから来る刀剣には、先に走るなりして慣れてもらった方がいいか…』
考えながら進んでると、目的地に到着。
中を確認すると、和風な待合室のような、休憩場のような場所だった。
布団もある。
「これは、医務室には使えないな…」
『うん、どっちかていうと…隣の手入れ部屋の待合室、かな…』
「つまり、手入れ部屋が混んでいたらここで待つっちゅうことかの?」
「あぁ。この扉、手入れ部屋に繋がってるしな。混んでる場合ここで手入れを待ち、空いたらここから手入れ部屋に移動だな」
『ふむ…薬研の医務室は手入れ部屋の近くがいい気がするんだけどな…』
「……大将、この隣は?」
『ん?タブレットで見た感じ、そこも空き部屋だな』
手入れ部屋の隣の隣。
そこへ移動すると、少し広めの部屋が出てきた。
「こっちは隣より広いのぉ」
『だな。薬研、ここはどうだ?』
「あぁ、問題ないと思う。大将が大怪我した時心配だが…軽い怪我なら、刀剣も大将もここで見れるだろう」
『まぁ刀剣達の怪我は俺が手入れするけど…ここなら広い分、体調悪い刀剣を休ませることも出来るし、薬研も勉強やら、もし薬作るとなっても大丈夫そうだしな』
「あぁ。大将、ここを医務室にしてもいいか?」
『もちろん。早い者勝ちだ』
俺は笑いながらタブレットを開き、今居る部屋のところに、医務室と入力する。
『よし。要るものや、こうしたいあれば言ってくれ。用意するし、なかったらナナシにもらったりしよう』
「ありがとな、大将」
「この本丸の医療は、薬研に任せるき、甘えちょけ!」
『お、陸奥分かってきたね。そう言うこと。それに医療関係は経費でいけるから、問題ない』
無事医務室も決まり、俺たちは執務室へ向かうと、お茶を淹れた厚も戻っていた。
「お、アオ達。おかえり」
「おかえりなさい…」
「おかえり!医務室決まったか?」
『ただいま。手入れ部屋の隣の隣にした。また部屋の前に札でもやっとくな』
厚の淹れてくれたお茶を飲み、今日したこと、決まったことをメモしていく。
報告書に書くためだ。
「あ、大将。柳から連絡きてたぞ?大将に連絡つかないって」
『え、マジか。携帯携帯……あーここに忘れて出迎え行ってたのか…』
「柳さんから、後で連絡ほしいと…」
『ん、厚も小夜も、ありがとな』
やな兄の連絡を確認すると、手合わせしたいか?とのこと。
いきなりどした、やな兄よ。
『手合わせしたいか、って来てるけど…どゆことや……ちょいと電話してくる…』
皆に一言入れ、執務室を出て電話をかける。
数コールの後、相手、やな兄が出る。
<はよ、メッセ見たか?>
『おはよー。見たよ、どゆこと?』
<刀剣同士の手合わせは、練度的に厳しいと思うが、お前自身な。まんばとの手合わせたまにしてたろ?あれ聞いてやってみたいて連中も居てな…>
『ふむ。でも国広は慣れてるからこそついてけるんやけどな…俺はいいよ。ちょうど厚達と体術やろうて話昨日してたし』
<んじゃ一度やるか…柚に刀剣一部隊分連れてく申請出すわ。すぐに通らなかったらまた今度で>
『ん。昼過ぎにくるんやけ?』
<あぁ。昼餉食ったら行く>
『了解。んじゃ、また後でね』
電話を終え、時間を確認すると、まだ10時すぎ。
もっかい出陣できそうだけど…どうするか…。
執務室に戻り、んー…と悩む。
「柳は何言うてきたがや?」
『んー…刀剣同士の手合わせというより、俺との手合わせやらないか?てこと。なんか国広と手合わせした話を向こうでしたら、やってみたいて人達居るみたい』
「なるほどな」
「神さん達から聞いてるけど… アオさん、強いって…」
「へぇ」
『でも、国広は慣れてるからこそついてけるんだよな…昼餉食べたら来るって言ってたけど、もっかい出陣するか、早目に昼餉食べて準備するか…』
「…大将、柳の旦那達がくるまでに、俺達で手合わせしてみないか?」
『お、薬研やる気満々?』
「やる気というより、大将の動きを見たい。今の俺達が大将とどれだけ差があるか」
「確かに…」
『え、俺そんな強くないと思うのに…』
「柳の旦那や柚の旦那に聞いたが、柳の旦那やあっちの山姥切の旦那より強いんだろ?」
『いや、たぶん慣れてるからだと思う。慣れてない相手だとわからん』
「なら、ここに居るオレ達は慣れてない相手だし、ちょうどいいんじゃないか?」
「あぁ!それに楽しそうじゃないか」
「体術なら、僕と厚が相手できるよ…皆さんは、まだ体術の稽古してないから…皆さんに見せるのもありかと…」
おぉ…皆やる気満々だわ……?
んー………。
『……わかった、11時くらいには切り上げて、昼餉の用意するから、それまでな』
「よっしゃ!そうと決まれば、道場に行こうぜ!」
嬉しそうに、楽しそうに、皆移動始める。
俺と手合わせしても面白くないのにー…。
念のため、タブレットと木箱も持って道場へ向かう。
皆防具は外し、本体も防具の側に置く。
俺は木箱から水分を出しておく。
『んで、誰がやる?』
「僕がやります…皆には、動きを見てもらいたいし…」
『ん。体術だけするか?』
「大将、武器ありで体術込みでやってくれ」
『おけ。んー………俺も短刀がいいか?』
「アオはなんでも使えるがか?」
『銃は禁止されてるけどな。基本どれでも』
「得意なのでいいです…」
『得意なやつ……そりゃ自前の刀なら得意だけど……』
んー…と悩みながら、小夜と同じ短刀の木刀を選ぶ。
『審判は?』
「オレがやるぜ!」
厚が名乗り出て、俺と小夜は構える。
『本気でな、小夜』
「うん…そのつもりです…」
「本気は構わないけどな、大将。怪我はしないでくれよ…一本取ったら終了。それじゃ、始め!」
厚の合図と共に、素早い動きで小夜が向かってくる。
それをかわして後ろを取り、拳を勢いよく下ろすも、しゃがんで交わされる。
そのまま足払いされるが、すぐに距離を空ける。
休む間もなく、体術に木刀を使い小夜は突っ込んでくるが、俺は交わしたりガードをする。
小夜早いなぁ……風雅より遅いけど。
でも普段俺より低い相手とやらないから、やりにくさはあるな。
時々攻めに転じるも、確実に入らないのは、俺が本気じゃないから。
小夜には本気でと言いながら、俺は本気じゃない。
というか、本気になれないんだなぁ…。
風雅とやる時は、俺より強いし本気で行くけど、俺が意地になるからいつも負ける。
じゃあ他は、となると、相手が本気でも、殺気を感じないからか、本気を出せない。
俺が焦ったり意地にならない限りは出ないかなぁ。
てか皆俺が強いて錯覚しすぎ…。
まぁ考えながらやる余裕があるからか、そう思われるんだろうな。
大抵なんも考えてないけど。
休みなく動いてるからか、焦りなのか、小夜の動きが少し鈍くなる。
そこを逃さず、木刀を持ってる腕を掴み、背負い投げをするが、なんとかバランスを保って着地…て、させないぞ。
着地する寸前、滑り込むように着地地点へ潜り込み、小夜を掴み床へ叩きつけ、首に短刀の木刀を当てる。
小夜は目を見開き固まり、驚いてる。
周りも驚いてるのか、静かだ。
「そ…それまで!勝者、大将!」
『…ふう…。小夜、怪我ないか?』
「…ぁ…はい……大丈夫、です…」
厚も小夜も驚き固まってた中、やっと声を出す。
そんなに驚くのか…。
『んー…これ、俺見本になるか…?』
「…アオ、今のは本気か?」
『ん?』
「どういうことじゃき?鶴丸」
「あぁ、何か違和感があってな。本気に見えなかった」
「けど、小夜助には本気でと言ってただろ?なら大将も本気だったんじゃねぇのか?」
「…アオさんは、本気じゃないよ」
「あぁ。本気じゃない。というより、出せないんだ」
『おろ、厚に小夜。もしかして神たちに聞いてた?』
「はい…アオさんは、懐に入れてる大事な相手には、基本本気を出せないと…」
「まぁ風雅あたりには、本気だろうけど、ともな」
『ふむ。個人情報駄々洩れだなぁ……にしても、鶴はすごいな。一度見ただけで見抜くかぁ』
俺は苦笑し、小夜の頭を撫でる。
『風雅は強いから、本気でやらないとすぐやられるんだ。でも俺が意地になって、最終的には負けるな。
家族内で本気でやることはあんまないが…殺気を向けられると本気になる、とは言われた』
「じゃあ風雅とやらは、殺気を?」
『いんや、風雅が殺気を俺に向けるのは、稽古終了の合図としてたまに、だな。基本向けない。
……風雅は一番、家族を大事にする奴だからな』
「…アオさんの本気は、きっと戦場じゃないと、見れないよ…」
「それを分かっててやったのか…」
「はい…僕の動きやアオさんの動きを見せるためですから…」
「あ、そうだ。大将。自分より小さい奴との戦闘苦手だろ」
『バレた…』
「主に風雅に稽古してもらってるって聞いてたし、大きい相手ばっかしてきたんだろうな。本気じゃないから小夜に一撃が入らないってのもあるかもだけど、やりにくそうだったし」
『よく見てるなぁ…小夜は確かに素早い、けど、風雅のが早いからついていけるんだよ。でも自分より低い相手は確かに苦手…』
「…小夜坊、厚、アオ。俺たちにも体術教えてくれないかい?アオに追いつくことが目標だが、あまりに差が大きい……だが、せめて足手まといにならないようにしたいんだ」
「あぁ。鶴丸の言う通りじゃ!」
「だな。邪魔にはならんようにしないとな」
『?俺お前たちを邪魔だなんて思ってないし、思うこともないぞ?お前たちは家族。居てくれるだけで嬉しい。
…でも、刀であるお前達をただの飾りで終わらせるつもりはない。俺の刀剣として強くなってもらうし、俺がやりたいことのために、手を貸してほしいから。俺のやりたいことについてはまだ言わないが、いずれな』
皆の目を見て、はっきり伝える。
今はまだ言えないけど、いつか、その時が来たら話す。
一瞬きょとんとしていたけど、すぐに皆笑ってくれて、任せろと言ってくれた。
『さて、あと30分もないな…どうする?』
「アオさん、厚と先に厨で、昼餉の準備したらいいよ…皆さんには、僕から簡単な体術を少し教えておくから…」
「そうだな…残り時間で手合わせしても遅くなるだろうから、オレ達は先に昼餉の準備しようぜ」
「あぁ、小夜坊に少し教わったら、俺たちも手伝いに行くさ」
『んー…わかった。もし怪我したら言えよ?手入れするから。小夜も無理するな、さっき強めに叩きつけたし…』
「はい…」
俺と厚で先に昼餉の用意に向かい、しばらくしてから四人がくる。
今日の昼ご飯はカレードリアです。