龍神が審神者になる?
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――アオside――
ん-……安定してない中、よく視れたなぁ…。
まぁ…視たいものは視れないんだけど…。
…近いうち起こる出来事、か?
考えてもまとまらない…しゃーない。
起き上がり、洗面所に顔を洗いに行って、着替えて…。
よし…厨に行こう。
ごはん作らんとなー。
出来るだけ静かに移動する。
外はまだ暗い…ほんのり明るいくらいか。
厨につくと、まず手を洗い、そして米を洗う。
朝だけど、多めに炊いとくか、昨日の感じやと、陸奥と厚、薬研は結構食べてたし。
鶴もあの細身のどこに入るんだ?ってくらい、予想より食べてたなぁ。
小夜は少し遠慮してた感があったけど、厚や薬研よりは少なかった。
みそ汁もだし巻きもほうれん草のお浸しも多めに作ろう。
まずほうれん草の下処理をして、鍋に水を入れる。
沸騰するまでに、大きめのボールに卵を割って入れていき、だしや塩コショウなど、軽く味付けして…。
鍋が沸いたら、そこにほうれん草を入れ、さっと茹でる。
茹で上がったほうれん草をザルに移して、冷水で冷やし、水気をきり…。
ほうれん草を浸ける出汁を作り、均等に切り分けたほうれん草をパットの上に並べて、そこへ出汁をかけて、ラップをして冷蔵庫へ。
使った鍋をささっと洗って、みそ汁を作る用意をする。
具材は…豆腐とわかめでいっか。
沸騰した鍋に、出汁を少し入れ、乾燥わかめを入れる。
その間に豆腐を取り出し、賽の目に切って、ゆっくり鍋に入れる。
少し煮てから、火を止めて味噌を準備。
軽く冷めるまで、今のうちに大根おろしを作って…。
のんびりしてたから、ここまで一時間くらいかな…。
皆は起きたかな…いや、俺が早すぎただけなんだけどな。
少し冷めたみそ汁に味噌を入れ、お箸を使いながら梳かしていく。
溶かし終わったら、すこーし牛乳を入れる。
これ、意外とまろやかになるの。
味見もして…よし、大丈夫だな。
みそ汁はみんなが起きてきたら温めなおすとして…。
お米は…うん、炊けてるな。
「アオさん、おはようございます…」
『お、おはよー小夜。眠れたか?』
「はい…アオさんも、眠れた…?」
『一応寝たよ。考え事とかしてたから遅かったけど、大丈夫』
「辛かったら、休んでくださいね…」
『ありがとう、小夜。皆は起きてる?』
「はい…僕と厚が少し先に起きたので、僕が厨…厚は、洗面所に皆を連れてって、起きたらすることを教えてます…」
『優秀…ありがとな』
「いえ…何かお手伝いすること、ありますか…?」
『あ、じゃあテーブル拭いて、お皿とか用意してくれるか?ごはんとほうれん草のお浸し、出汁巻き卵に、みそ汁だから』
「わかった…」
小夜に手伝ってもらい、俺は出汁巻き作りを始める。
六人分の出汁巻きが出来上がる前に、みそ汁に火を入れて…。
小夜が用意してくれたお皿に、出汁巻き卵を乗せ、端に大根おろしも付ける。
小鉢にほうれん草のお浸しも人数分入れて…すると残りの皆がやってきた。
『おはよーみんな』
「おはよう大将!」
「おはよう」
「はよーさん、アオ早いのぉ」
「だな、寝たのか?大将。おはよう」
『寝るのは遅かったけど、一応寝たさ。ほれ、ごはん出来てるぞ。昨日みたいに向こうに運んでくれ』
それぞれ運び始めてる間に、小夜はお箸を用意してくれた。
出来上がったみそ汁も入れ、ご飯も入れ…よし。
お茶は…あ、昨日の夜小夜たちが作ってくれたやつがまだあるな。
後でまた作っておこう。
『よし、揃ったな。改めておはよう。今日から通常任務少しずつやっていく。で、午後はやな兄達がくるから、午前中に出陣最低一回は行こう。
おかわりあるし、海苔もふりかけ類もあるからな。んじゃ、いただきまーす!』
「「「「「いただきまーす」」」」」
皆の反応を観察しながら、俺も食べていく。
うん、出汁巻き濃いかなって思ったけど、いい感じだったわ。
机に出してる醤油…ではなく、俺はポン酢を取り、大根おろしへかけ、出汁巻きと食べる。
うん、ポン酢はやっぱり神だわ。
俺や厚、小夜の様子を見て、皆それぞれ醤油やポン酢と試している。
いやぁ…面白いな。
で、更に俺は鮭フレークをご飯にかけて…うまぁ…。
お、鶴も鮭フレークか。
厚と陸奥は海苔、小夜はのりたま、薬研はいろいろ試してるようだった。
お代わりは各々自分で入れに行き、出汁巻き欲しい人は更に追加で作ってやる。
お浸しも全部なくなり、今日も完売です。
小夜と鶴、薬研が洗い物をしてくれるらしく、俺と、今日の近侍の陸奥、近侍補佐の厚は、一緒に執務室へ。
と…その前に、私室に取りに行くものがあるため、二人には執務室で待ってもらう。
木箱とタブレット…メモに使うものなどを持ち、執務室へ行く。
机を出してくれていて、助かった。
『机、ありがとな。んじゃ、今日の出陣だけど…昨日薬研と陸奥が行ったから、今日は鶴と厚、小夜で行ってもらおうと思う』
「全員で行かんがか?」
『んー全員でもいいんだけどな、やな兄達が居るなら。ただ午後からくるし、もし何かあって、俺だけで対処できなかったら困るし…で、とりあえず先に三振りで。もっかいくらい行けそうなら、その時は全員で行ってもありかな、と』
「んー……大将、先に全員で行ってもいいか?それか、オレが先に残る」
『その心は?』
「先に全員で行くか、オレが残って大将の警護。で、午前中にもう一度行くなら、その時は分けて、昼餉の準備手伝う」
『あー…なるほど…それ忘れてたわ…』
「せやったらワシか薬研が先に残ってもええと思うがのう」
「それも考えたんだけどな、オレと小夜は確かに練度は戻ってる。でも経験がなくなったわけじゃねぇから、ある程度は戦える。だから今は、オレと小夜を分けての出陣がいいと思うんだ」
『ふむ…ならそれでいこうか。あ、厚は黒田家に居たから、戦略というか戦術というか…そういうの得意か?』
「もちろん!」
『なら厚、今日は近侍補佐と、俺の補佐のために出陣なしでもいいか?明日は小夜と交代で』
「任せな!」
『で、陸奥は近侍だから、今日の隊長を…んー…鶴で行ってみるか。陸奥は昨日したけど、気になることあれば小夜や今日の隊長の鶴に相談、もしくは助言。小夜には、皆の動きを直で見てもらい、こっちで厚はモニター越しに観察。こうした方がいいとかあれば教えてくれ。俺も勉強してかないとだから』
「まかせちょけ!」
「あぁ!」
『ん。ありがとう。じゃあ陸奥、三人に伝えてきてくれ。あ、あと小夜に、刀装の作り方教えてもらって』
「りょーかいじゃ!」
そういって陸奥はさっそく三人の元へ行った。
俺は厚に聞きたいことがあったため、そのまま残ってもらった。
『なぁ、厚。朝って日の出と共に起きる?』
「どうしたんだ?」
『いや、昨日寝る前に目覚ましかけようとして、何時に起きたらいいか分かんなかったんだ…昔の人は日の出と共に起きるのが当たり前だったし、皆もそうかな、って』
「んー…オレと小夜が居た本丸は、最初のころは日の出と共に起きるようにしてたらしいぜ?でも厨当番ができる…料理ができる刀剣が来てからは、刀剣達に料理を任せるようになって、当時の大将は六時から七時くらいに起きる感じだった。
で、オレと小夜が政府に居たときは、朝七時くらいに起きてたな。任務内容によってはもっと早く起きたり、休みの時は少し遅めに起きたり」
『なるほど…本丸いたとき、刀剣達がご飯を作るようになってから、刀剣達は何時起きだったんだ?』
「あー…燭台切がメインでやってたんだけど、基本四時か五時起きだったような…刀剣の数も増えて、大量に作らないといけなかったしなぁ」
『あーね…なら今日は俺早く起き過ぎたのか…』
「何時に起きたんだ大将?」
『四時くらい。でものんびり用意して作ってたから、皆起きてきたタイミングがばっちりやった』
えーと、紙に“出陣・函館”と霊力を込めながら書いて…。
「あ、大将。オレと小夜の荷物、今日届くって神楽から連絡きてた」
『マジか。俺のとこになんも連絡なかったんだけど……神楽会ったら一度しばくか…。
で、いつくらいに届くとか言うてた?』
「早かったら午前中らしい。最初はそのまま持ってくる予定にしてたんだけど、神楽が送る方が楽じゃないかって」
『ふむ。結構ある感じ?』
「いや、家具類は政府支給のものだったし、現世に行く用の服が数着と、書物やらの私物がほとんどだな」
『ん。あ、厚は粟田口部屋でよかったか?基本自由に選んでもらうようにしたいんだけど、兄弟や由縁の刀と一緒が良い子も居るだろうし、一人部屋のが良いって子も居るだろうからさ』
「オレも兄弟と一緒は嬉しいぜ!いろんな本丸見てきたけど、部屋割りは本丸によって様々だったな」
『あーやな兄達から聞いてたけど、やっぱいろいろあるんだな』
「あぁ!時々誰かの部屋に泊まりに行く事もあったらしい」
『それでいろんな刀剣達が交流する感じかな…同じ本丸に居て交流出来るだろうけど、仲を深めるためには泊まりに行ったり、顕現順に部屋割りするとかして、工夫してるんだろうな』
「だなー。ま、大将は大将のやり方でいいんだよ!」
『ん。出来るだけ皆の意思を尊重したいからさ』
厚と話していると、戦装束を着た鶴がやって来た。
「アオ、今大丈夫かい?」
『大丈夫ー。準備できた感じ?』
「あぁ、今日は俺が隊長と聞いてな。準備完了したから報告だ」
『ありがと。刀装もできた?』
「あぁ、小夜坊のおかげでな。流石に特上は無理だったが、上と並がいくつか出来た」
「旦那、今日の出陣の奴の分は出来たか?」
「なんとかな」
『よし、んじゃ行こうか』
タブレットなどを持ち、ゲートへ向かう。
ゲート前には出陣する皆が居た。
『準備万端、だな』
「もちろんじゃ!」
「アオさん、陸奥守さんから聞きました…こっちは大丈夫、任せてください…」
「あぁ、今日こそ敵大将を討ってくる」
『頼もしいな。…じゃ、第一部隊。小夜左文字』
「そこに敵がいるのなら」
『薬研藤四郎』
「組討なら任せとけ」
『陸奥守吉行』
「がっはっはっは!まかせちょけぇ!」
『そして、部隊長、鶴丸国永』
「あぁ。驚きの結果を君にもたらそう」
『場所は昨日と同じ函館。敵大将を討つ事を目標に、誰も折れずに戻ること。で、帰ってきたら必ず「ただいま」を言うこと。鶴、無理な進軍はするなよ』
「あぁ。大船に乗ったつもりで、任せておけ」
そう言いながらニカっと笑い、俺の頭をわしゃわしゃと撫でる。
俺も笑うと、出陣先の紙を渡す。
灯籠に霊力を込めると、周りに霊力の籠った火がつく。
俺が離れると鶴を筆頭に、出陣部隊が進む。
『行ってらっしゃい』
それぞれ返事を返し、渡した紙を灯籠に入れ、桜が舞い、出陣部隊は行った。
タブレットに出陣した部隊が表示されると、モニターに切り替える。
『んー…これ俺が許可出さないと帰ってこれないのか…』
「どうなんだろうな…大将も今後出陣ってなった時、大将以外が許可出せる必要はあるけど…この出陣の帰還要請きたら、オレが出せるか試してみないとな」
『だな。このゲートややこしいわ…出陣部隊見送れるのはありがたいけど、いちいち灯籠に霊力流したりしなきゃだし…』
厚と執務室へ戻り、モニターを見ながらノートなど用意する。
マニュアルも一応用意しといて…。
「敵部隊はまだ見当たらないようだな…大将はマニュアル読んでたんだよな?陣形はわかるか?」
『一応一通りは読んだけど、その場その場で臨機応変になりそうだから、あんま頭に入れてない。てか正直苦手だな、と』
「まぁ大将達の時代じゃ、戦いとかないもんな…」
『まぁそうだけどな。場合によっては、マニュアルにある陣形よりも、挟み撃ちのがいいかもしれんし、こればっかは戦場に居る面子に任せるしかなかな。て。二手に分かれる可能性もあれば、しっかり作戦立てる場合もあるし』
「確かにな…じゃあ大将は、まずいろんな戦いを見てみないとな。神たちから聞いてるけど、大将は体で覚えるタイプみたいだし」
『早い理解助かる。あと俺と連携は慣れてる奴じゃないと難しいだろうしな…一人で突っ込むタイプだと思ってるし』
「それは大将の動きを覚えないといけないな」
厚と話してると、小夜の「敵発見…」の声が聞こえる。
「昨日は陸奥守の旦那と薬研だけだったけど、今回は小夜に鶴丸の旦那いるから、苦戦することはないと思う。鶴丸の旦那、任せていいか」
<あぁ。話は聞こえていた。アオに戦い方を見せたいんだろう?>
『すまん』
<アオさんが謝ることじゃないよ…もともと戦いのない、平和な時代に生まれたんだし…>
<そうじゃのう。これから勉強していけばえいきの>
<それに、審神者になるまでに勉強はしてたんだろ?一応頭に入ってるなら後は覚えるだけだぜ、大将>
『優しさで溢れてる…頼むな、みんな』
頼もしい皆の返事を聞き、戦い方を見る。
まず薬研と小夜が飛び出す。
機動が早いから、敵の一体はすぐに小夜が倒し、もう一体の方は薬研が後ろから倒した。
『短刀は機動が早いから、敵の陣形を崩せるな…今のは二体だけだったけど』
「そうだな。陣形を崩して、そこを他の刀と連携して仕留める方法もある。今みたいに少ない数だと、薬研と小夜だけでも大丈夫だけど、すり抜けてくる敵も居る。そんな時は、後ろに居た鶴丸の旦那と陸奥守の旦那が仕留める、って戦法だな」
『昨日は薬研と陸奥だけだったから、すり抜けてもすぐに対処できなかった、ってとこかな…』
「あとは、戦闘に対し、人の体に慣れてなかったって可能性もあるな。オレや小夜は政府に居たし、練度が戻っただけで、人の体に慣れてないってことはないからな」
<確かに、昨日よりも動きやすいにゃあ>
<あぁ。昨日よりも軽い>
<鶴丸さんは、一昨日顕現したから、人の体にはもう慣れてると思う…でも油断はダメです…>
<そうだな…慎重にいくか>
四人は慎重に進みだし、敵大将を探す。
俺はさっきの厚の言葉、俺の思ったことなどノートに書いていく。
すると敵大将が見えた。
短刀と脇差だ。
『てか、2体だけじゃ陣形ってないようなもんだと思うけどなぁ』
「まぁそこは突っ込むな大将…」
『つい。鶴、無理するなよ』
<あぁ。大丈夫だ>
モニターの皆の刀装や生存を確認すると、確かに昨日より大丈夫そうだ。
でも何が起こるかわからんからな…。
<この戦場は、政府が用意した1番簡単な場所だから…大丈夫だよ、アオさん…>
『ありがとう、小夜。でも無理してほしくないからさ』
<うん…わかってる…>
<!敵に気付かれた>
<薬研、小夜坊。打ち漏らしてかまわない、掻き乱せ>
<撃ち漏らしはわしらがやるき!>
二人は鶴と陸奥の言葉を聞いて走り出す。
短刀に薬研が攻撃するも、掠っただけで致命傷にならず。
脇差は小夜が深手を、トドメを陸奥の銃が。
そして残りの短刀は、鶴がしっかり倒した。
『おぉ…!すごい!昨日のリベンジ果たしたな!』
<りべんじ、が何かわからんが… アオが喜んでるようならよかったぜ>
<ほぉじゃの!>
<あぁ。さて、鶴丸の旦那、帰還しようぜ>
<この帰還って出てるところに触れたら、帰還要請がアオさんのところに届きます…>
「あ、それオレが出せるか試してみるな。大将も出陣した時、誰かが出せるか試さないとだし」
<あぁ。わかった。これだな>
鶴が押して、帰還要請の文字がこちらのモニターに出る。
それを厚が承認するため、その文字のところに触れると、初めての出陣の時のように、向こうで桜が舞い、モニターも消えた。
「いけそうだな…大将、ゲートに確認行こうぜ」
『だな。無事帰還してくれてたらいいな…』
俺と厚は小走りでゲートへ。
するとそこに、まだ桜を舞わせてる第一部隊が無事な様子で居た。
「ただいま、アオ」
「ただいまです、アオさん…」
「大将、ただいま」
「アオ!ただいまじゃ!」
四人の元気な姿を見て、更に安心した俺。
俺と厚はホッと息を吐き、顔を見合わせて笑うと、一緒に言う。
「『おかえり!』」
ん-……安定してない中、よく視れたなぁ…。
まぁ…視たいものは視れないんだけど…。
…近いうち起こる出来事、か?
考えてもまとまらない…しゃーない。
起き上がり、洗面所に顔を洗いに行って、着替えて…。
よし…厨に行こう。
ごはん作らんとなー。
出来るだけ静かに移動する。
外はまだ暗い…ほんのり明るいくらいか。
厨につくと、まず手を洗い、そして米を洗う。
朝だけど、多めに炊いとくか、昨日の感じやと、陸奥と厚、薬研は結構食べてたし。
鶴もあの細身のどこに入るんだ?ってくらい、予想より食べてたなぁ。
小夜は少し遠慮してた感があったけど、厚や薬研よりは少なかった。
みそ汁もだし巻きもほうれん草のお浸しも多めに作ろう。
まずほうれん草の下処理をして、鍋に水を入れる。
沸騰するまでに、大きめのボールに卵を割って入れていき、だしや塩コショウなど、軽く味付けして…。
鍋が沸いたら、そこにほうれん草を入れ、さっと茹でる。
茹で上がったほうれん草をザルに移して、冷水で冷やし、水気をきり…。
ほうれん草を浸ける出汁を作り、均等に切り分けたほうれん草をパットの上に並べて、そこへ出汁をかけて、ラップをして冷蔵庫へ。
使った鍋をささっと洗って、みそ汁を作る用意をする。
具材は…豆腐とわかめでいっか。
沸騰した鍋に、出汁を少し入れ、乾燥わかめを入れる。
その間に豆腐を取り出し、賽の目に切って、ゆっくり鍋に入れる。
少し煮てから、火を止めて味噌を準備。
軽く冷めるまで、今のうちに大根おろしを作って…。
のんびりしてたから、ここまで一時間くらいかな…。
皆は起きたかな…いや、俺が早すぎただけなんだけどな。
少し冷めたみそ汁に味噌を入れ、お箸を使いながら梳かしていく。
溶かし終わったら、すこーし牛乳を入れる。
これ、意外とまろやかになるの。
味見もして…よし、大丈夫だな。
みそ汁はみんなが起きてきたら温めなおすとして…。
お米は…うん、炊けてるな。
「アオさん、おはようございます…」
『お、おはよー小夜。眠れたか?』
「はい…アオさんも、眠れた…?」
『一応寝たよ。考え事とかしてたから遅かったけど、大丈夫』
「辛かったら、休んでくださいね…」
『ありがとう、小夜。皆は起きてる?』
「はい…僕と厚が少し先に起きたので、僕が厨…厚は、洗面所に皆を連れてって、起きたらすることを教えてます…」
『優秀…ありがとな』
「いえ…何かお手伝いすること、ありますか…?」
『あ、じゃあテーブル拭いて、お皿とか用意してくれるか?ごはんとほうれん草のお浸し、出汁巻き卵に、みそ汁だから』
「わかった…」
小夜に手伝ってもらい、俺は出汁巻き作りを始める。
六人分の出汁巻きが出来上がる前に、みそ汁に火を入れて…。
小夜が用意してくれたお皿に、出汁巻き卵を乗せ、端に大根おろしも付ける。
小鉢にほうれん草のお浸しも人数分入れて…すると残りの皆がやってきた。
『おはよーみんな』
「おはよう大将!」
「おはよう」
「はよーさん、アオ早いのぉ」
「だな、寝たのか?大将。おはよう」
『寝るのは遅かったけど、一応寝たさ。ほれ、ごはん出来てるぞ。昨日みたいに向こうに運んでくれ』
それぞれ運び始めてる間に、小夜はお箸を用意してくれた。
出来上がったみそ汁も入れ、ご飯も入れ…よし。
お茶は…あ、昨日の夜小夜たちが作ってくれたやつがまだあるな。
後でまた作っておこう。
『よし、揃ったな。改めておはよう。今日から通常任務少しずつやっていく。で、午後はやな兄達がくるから、午前中に出陣最低一回は行こう。
おかわりあるし、海苔もふりかけ類もあるからな。んじゃ、いただきまーす!』
「「「「「いただきまーす」」」」」
皆の反応を観察しながら、俺も食べていく。
うん、出汁巻き濃いかなって思ったけど、いい感じだったわ。
机に出してる醤油…ではなく、俺はポン酢を取り、大根おろしへかけ、出汁巻きと食べる。
うん、ポン酢はやっぱり神だわ。
俺や厚、小夜の様子を見て、皆それぞれ醤油やポン酢と試している。
いやぁ…面白いな。
で、更に俺は鮭フレークをご飯にかけて…うまぁ…。
お、鶴も鮭フレークか。
厚と陸奥は海苔、小夜はのりたま、薬研はいろいろ試してるようだった。
お代わりは各々自分で入れに行き、出汁巻き欲しい人は更に追加で作ってやる。
お浸しも全部なくなり、今日も完売です。
小夜と鶴、薬研が洗い物をしてくれるらしく、俺と、今日の近侍の陸奥、近侍補佐の厚は、一緒に執務室へ。
と…その前に、私室に取りに行くものがあるため、二人には執務室で待ってもらう。
木箱とタブレット…メモに使うものなどを持ち、執務室へ行く。
机を出してくれていて、助かった。
『机、ありがとな。んじゃ、今日の出陣だけど…昨日薬研と陸奥が行ったから、今日は鶴と厚、小夜で行ってもらおうと思う』
「全員で行かんがか?」
『んー全員でもいいんだけどな、やな兄達が居るなら。ただ午後からくるし、もし何かあって、俺だけで対処できなかったら困るし…で、とりあえず先に三振りで。もっかいくらい行けそうなら、その時は全員で行ってもありかな、と』
「んー……大将、先に全員で行ってもいいか?それか、オレが先に残る」
『その心は?』
「先に全員で行くか、オレが残って大将の警護。で、午前中にもう一度行くなら、その時は分けて、昼餉の準備手伝う」
『あー…なるほど…それ忘れてたわ…』
「せやったらワシか薬研が先に残ってもええと思うがのう」
「それも考えたんだけどな、オレと小夜は確かに練度は戻ってる。でも経験がなくなったわけじゃねぇから、ある程度は戦える。だから今は、オレと小夜を分けての出陣がいいと思うんだ」
『ふむ…ならそれでいこうか。あ、厚は黒田家に居たから、戦略というか戦術というか…そういうの得意か?』
「もちろん!」
『なら厚、今日は近侍補佐と、俺の補佐のために出陣なしでもいいか?明日は小夜と交代で』
「任せな!」
『で、陸奥は近侍だから、今日の隊長を…んー…鶴で行ってみるか。陸奥は昨日したけど、気になることあれば小夜や今日の隊長の鶴に相談、もしくは助言。小夜には、皆の動きを直で見てもらい、こっちで厚はモニター越しに観察。こうした方がいいとかあれば教えてくれ。俺も勉強してかないとだから』
「まかせちょけ!」
「あぁ!」
『ん。ありがとう。じゃあ陸奥、三人に伝えてきてくれ。あ、あと小夜に、刀装の作り方教えてもらって』
「りょーかいじゃ!」
そういって陸奥はさっそく三人の元へ行った。
俺は厚に聞きたいことがあったため、そのまま残ってもらった。
『なぁ、厚。朝って日の出と共に起きる?』
「どうしたんだ?」
『いや、昨日寝る前に目覚ましかけようとして、何時に起きたらいいか分かんなかったんだ…昔の人は日の出と共に起きるのが当たり前だったし、皆もそうかな、って』
「んー…オレと小夜が居た本丸は、最初のころは日の出と共に起きるようにしてたらしいぜ?でも厨当番ができる…料理ができる刀剣が来てからは、刀剣達に料理を任せるようになって、当時の大将は六時から七時くらいに起きる感じだった。
で、オレと小夜が政府に居たときは、朝七時くらいに起きてたな。任務内容によってはもっと早く起きたり、休みの時は少し遅めに起きたり」
『なるほど…本丸いたとき、刀剣達がご飯を作るようになってから、刀剣達は何時起きだったんだ?』
「あー…燭台切がメインでやってたんだけど、基本四時か五時起きだったような…刀剣の数も増えて、大量に作らないといけなかったしなぁ」
『あーね…なら今日は俺早く起き過ぎたのか…』
「何時に起きたんだ大将?」
『四時くらい。でものんびり用意して作ってたから、皆起きてきたタイミングがばっちりやった』
えーと、紙に“出陣・函館”と霊力を込めながら書いて…。
「あ、大将。オレと小夜の荷物、今日届くって神楽から連絡きてた」
『マジか。俺のとこになんも連絡なかったんだけど……神楽会ったら一度しばくか…。
で、いつくらいに届くとか言うてた?』
「早かったら午前中らしい。最初はそのまま持ってくる予定にしてたんだけど、神楽が送る方が楽じゃないかって」
『ふむ。結構ある感じ?』
「いや、家具類は政府支給のものだったし、現世に行く用の服が数着と、書物やらの私物がほとんどだな」
『ん。あ、厚は粟田口部屋でよかったか?基本自由に選んでもらうようにしたいんだけど、兄弟や由縁の刀と一緒が良い子も居るだろうし、一人部屋のが良いって子も居るだろうからさ』
「オレも兄弟と一緒は嬉しいぜ!いろんな本丸見てきたけど、部屋割りは本丸によって様々だったな」
『あーやな兄達から聞いてたけど、やっぱいろいろあるんだな』
「あぁ!時々誰かの部屋に泊まりに行く事もあったらしい」
『それでいろんな刀剣達が交流する感じかな…同じ本丸に居て交流出来るだろうけど、仲を深めるためには泊まりに行ったり、顕現順に部屋割りするとかして、工夫してるんだろうな』
「だなー。ま、大将は大将のやり方でいいんだよ!」
『ん。出来るだけ皆の意思を尊重したいからさ』
厚と話していると、戦装束を着た鶴がやって来た。
「アオ、今大丈夫かい?」
『大丈夫ー。準備できた感じ?』
「あぁ、今日は俺が隊長と聞いてな。準備完了したから報告だ」
『ありがと。刀装もできた?』
「あぁ、小夜坊のおかげでな。流石に特上は無理だったが、上と並がいくつか出来た」
「旦那、今日の出陣の奴の分は出来たか?」
「なんとかな」
『よし、んじゃ行こうか』
タブレットなどを持ち、ゲートへ向かう。
ゲート前には出陣する皆が居た。
『準備万端、だな』
「もちろんじゃ!」
「アオさん、陸奥守さんから聞きました…こっちは大丈夫、任せてください…」
「あぁ、今日こそ敵大将を討ってくる」
『頼もしいな。…じゃ、第一部隊。小夜左文字』
「そこに敵がいるのなら」
『薬研藤四郎』
「組討なら任せとけ」
『陸奥守吉行』
「がっはっはっは!まかせちょけぇ!」
『そして、部隊長、鶴丸国永』
「あぁ。驚きの結果を君にもたらそう」
『場所は昨日と同じ函館。敵大将を討つ事を目標に、誰も折れずに戻ること。で、帰ってきたら必ず「ただいま」を言うこと。鶴、無理な進軍はするなよ』
「あぁ。大船に乗ったつもりで、任せておけ」
そう言いながらニカっと笑い、俺の頭をわしゃわしゃと撫でる。
俺も笑うと、出陣先の紙を渡す。
灯籠に霊力を込めると、周りに霊力の籠った火がつく。
俺が離れると鶴を筆頭に、出陣部隊が進む。
『行ってらっしゃい』
それぞれ返事を返し、渡した紙を灯籠に入れ、桜が舞い、出陣部隊は行った。
タブレットに出陣した部隊が表示されると、モニターに切り替える。
『んー…これ俺が許可出さないと帰ってこれないのか…』
「どうなんだろうな…大将も今後出陣ってなった時、大将以外が許可出せる必要はあるけど…この出陣の帰還要請きたら、オレが出せるか試してみないとな」
『だな。このゲートややこしいわ…出陣部隊見送れるのはありがたいけど、いちいち灯籠に霊力流したりしなきゃだし…』
厚と執務室へ戻り、モニターを見ながらノートなど用意する。
マニュアルも一応用意しといて…。
「敵部隊はまだ見当たらないようだな…大将はマニュアル読んでたんだよな?陣形はわかるか?」
『一応一通りは読んだけど、その場その場で臨機応変になりそうだから、あんま頭に入れてない。てか正直苦手だな、と』
「まぁ大将達の時代じゃ、戦いとかないもんな…」
『まぁそうだけどな。場合によっては、マニュアルにある陣形よりも、挟み撃ちのがいいかもしれんし、こればっかは戦場に居る面子に任せるしかなかな。て。二手に分かれる可能性もあれば、しっかり作戦立てる場合もあるし』
「確かにな…じゃあ大将は、まずいろんな戦いを見てみないとな。神たちから聞いてるけど、大将は体で覚えるタイプみたいだし」
『早い理解助かる。あと俺と連携は慣れてる奴じゃないと難しいだろうしな…一人で突っ込むタイプだと思ってるし』
「それは大将の動きを覚えないといけないな」
厚と話してると、小夜の「敵発見…」の声が聞こえる。
「昨日は陸奥守の旦那と薬研だけだったけど、今回は小夜に鶴丸の旦那いるから、苦戦することはないと思う。鶴丸の旦那、任せていいか」
<あぁ。話は聞こえていた。アオに戦い方を見せたいんだろう?>
『すまん』
<アオさんが謝ることじゃないよ…もともと戦いのない、平和な時代に生まれたんだし…>
<そうじゃのう。これから勉強していけばえいきの>
<それに、審神者になるまでに勉強はしてたんだろ?一応頭に入ってるなら後は覚えるだけだぜ、大将>
『優しさで溢れてる…頼むな、みんな』
頼もしい皆の返事を聞き、戦い方を見る。
まず薬研と小夜が飛び出す。
機動が早いから、敵の一体はすぐに小夜が倒し、もう一体の方は薬研が後ろから倒した。
『短刀は機動が早いから、敵の陣形を崩せるな…今のは二体だけだったけど』
「そうだな。陣形を崩して、そこを他の刀と連携して仕留める方法もある。今みたいに少ない数だと、薬研と小夜だけでも大丈夫だけど、すり抜けてくる敵も居る。そんな時は、後ろに居た鶴丸の旦那と陸奥守の旦那が仕留める、って戦法だな」
『昨日は薬研と陸奥だけだったから、すり抜けてもすぐに対処できなかった、ってとこかな…』
「あとは、戦闘に対し、人の体に慣れてなかったって可能性もあるな。オレや小夜は政府に居たし、練度が戻っただけで、人の体に慣れてないってことはないからな」
<確かに、昨日よりも動きやすいにゃあ>
<あぁ。昨日よりも軽い>
<鶴丸さんは、一昨日顕現したから、人の体にはもう慣れてると思う…でも油断はダメです…>
<そうだな…慎重にいくか>
四人は慎重に進みだし、敵大将を探す。
俺はさっきの厚の言葉、俺の思ったことなどノートに書いていく。
すると敵大将が見えた。
短刀と脇差だ。
『てか、2体だけじゃ陣形ってないようなもんだと思うけどなぁ』
「まぁそこは突っ込むな大将…」
『つい。鶴、無理するなよ』
<あぁ。大丈夫だ>
モニターの皆の刀装や生存を確認すると、確かに昨日より大丈夫そうだ。
でも何が起こるかわからんからな…。
<この戦場は、政府が用意した1番簡単な場所だから…大丈夫だよ、アオさん…>
『ありがとう、小夜。でも無理してほしくないからさ』
<うん…わかってる…>
<!敵に気付かれた>
<薬研、小夜坊。打ち漏らしてかまわない、掻き乱せ>
<撃ち漏らしはわしらがやるき!>
二人は鶴と陸奥の言葉を聞いて走り出す。
短刀に薬研が攻撃するも、掠っただけで致命傷にならず。
脇差は小夜が深手を、トドメを陸奥の銃が。
そして残りの短刀は、鶴がしっかり倒した。
『おぉ…!すごい!昨日のリベンジ果たしたな!』
<りべんじ、が何かわからんが… アオが喜んでるようならよかったぜ>
<ほぉじゃの!>
<あぁ。さて、鶴丸の旦那、帰還しようぜ>
<この帰還って出てるところに触れたら、帰還要請がアオさんのところに届きます…>
「あ、それオレが出せるか試してみるな。大将も出陣した時、誰かが出せるか試さないとだし」
<あぁ。わかった。これだな>
鶴が押して、帰還要請の文字がこちらのモニターに出る。
それを厚が承認するため、その文字のところに触れると、初めての出陣の時のように、向こうで桜が舞い、モニターも消えた。
「いけそうだな…大将、ゲートに確認行こうぜ」
『だな。無事帰還してくれてたらいいな…』
俺と厚は小走りでゲートへ。
するとそこに、まだ桜を舞わせてる第一部隊が無事な様子で居た。
「ただいま、アオ」
「ただいまです、アオさん…」
「大将、ただいま」
「アオ!ただいまじゃ!」
四人の元気な姿を見て、更に安心した俺。
俺と厚はホッと息を吐き、顔を見合わせて笑うと、一緒に言う。
「『おかえり!』」