龍神が審神者になる?
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――アオside――
万屋街から本丸へ帰宅した俺らは『ただいまー』と言いながら玄関に入る。
すると、お米を炊いてる匂いがしてきた。
『あれ、お米炊いてる…?』
「米?」
『匂いするから』
「…大将は鼻もいいんだな…」
薬研に関心されてるのかよくわからないけど、まあいいよな。
すると、留守番してた二人が内番服状態で迎えてくれた。
「おかえり、大将たち!」
「おかえりなさい。連絡もらったものと、収穫した方が良さそうなものは、厨へ置いてるよ…」
「あと、大将が買ったもの、食材は厨、それ以外は一応執務室に置いてあるから、後で確認してくれ!」
『うちの厚と小夜が優秀…いい子……二人ともありがとうな。一度みんな動きやすい服に着替えてから、晩御飯作るか…』
「あ、大将。米勝手に炊いたけど…大丈夫だったか?」
『もーまんたい。むしろありがとう、一つ仕事減った。どこまでできるかわかんねぇし、米に関してはあえて言わなかったんだ』
鶴を顕現し、みんなそれぞれ着替えに行ってもらう。
俺も襷を用意しに私室へ。
執務室のは、後ででも大丈夫だろ。
襷をやりながら、先に厨へ行き手を洗う。
厚たちが採ってきてくれた食材を確認すると、まだ始めたばかりの本丸だからか、意外と少なかった。
けどメニューは……うん、久々に食べたいし、カレーにしよう。
「アオさん、お米はもう少しかかる…」
『お、そっか。なら今のうちに作るかな』
「何するんだ?」
『最初はハンバーグにしようかと。和風やチーズ、いろいろ用意して。でも久々にカレーが食べたくなってきたから、カレーと、いくつかトッピングと、サラダだな。
余れば明日ドリアにもできるし、多めに作る。刀剣男士はけっこう食べるって、やな兄にも教えてもらってたし』
「それでこんなに買って来たんだな」
厚と小夜が手を洗い、拭きながら材料を見る。
さてさて…。
『厚と小夜はどれくらい料理できる?』
「切ることはだいたいの刀剣は得意じゃないかな…時々苦手な人もいるけど…」
「たしかに。料理、ってなると苦手になるやつもいるよな」
『じゃあ三人は確認するとして…厚と小夜はほんと悪いけど、手伝ってもらうこと多いから、覚悟しといて』
「大丈夫だって!」
「うん…それにカレーは僕らも手伝ったことあるし、出来る料理もあるから…」
『君らほんまハイスペック…じゃあまず、じゃがいもと人参を洗ってもらっていい?今日買った分は切った量見て使うか決めるから。一人が洗って、一人が皮を剥いて』
「ほいきた!」
「わかった…」
二人が洗ってる間に、必要な食材だけ残し、あとは冷蔵庫へ。
ちょうど三人が来たから、手を洗ってもらう。
今厚たちがしてる工程を見てもらい、覚えてもらう。
「厚の使ってるそれはなんだ?」
「ピーラーって言って、野菜の皮むきに使う現代の道具だぜ!」
「包丁は使わんがか?」
「これに慣れると意外と便利でな…ジャガイモの芽も、この穴が開いたところでくりぬけるし」
「面白そうだな!」
「慣れない時は、たまに自分の指も軽く切ってしまうから、気を付けないと…」
さすが先輩二人。
よくわかってらっしゃる。
皮を剥いてもらったジャガイモから、俺が切っていく。
その様子を少し見せて、三人にもやってもらう。
……うん、陸奥と鶴は少し不安だけど、慣れたら大丈夫そうだな。
薬研は器用なのか、できてるし。
次の人参も同じように軽く見てもらい、やってもらう。
で、次は玉ねぎだけど…。
『小夜、玉ねぎを薄めに切ってもらっていい?こっちに入れてる方』
「わかった…」
『皆は様子を見て覚えて。玉ねぎは目に染みるから…厚、小夜辛そうなら交代しながらお願い』
「わかった、大将は?」
『俺はこっちの玉ねぎをみじん切り』
そういって、各々作業に入る。
玉ねぎを剥いて、上と下を切ったら、みじん切りするために切り込みをいれていく。
それが終わると、みじん切りをしていく………目がああぁぁあ…!
時々涙を拭きながら小夜たちを確認すると、小夜のやり方を分かったのか、三人が手伝ってる。
「大将、あっちは小夜も居るから、俺もみじん切りするぜ。一度目を洗ってきたらどうだ…?」
『そうするっ…目がああぁぁ…』
厚に代わってもらい、手を洗い、目も洗う。
玉ねぎめ…美味しくして食ってやる…。
三人も玉ねぎの脅威(?)がわかったようで、交代しながらやっていた。
『小夜、そっち三人に任せて大丈夫そうなら、フライパンで玉ねぎ炒めて…』
「飴色になるまで…?」
『よくわかったな…あ、神に教えてもらったか』
「うん…ジャガイモと人参も炒めておくね…」
『ありがとう…こっちはみじん切り終わったらハンバーグ作る…』
厚と交代し、みじん切りを再開。
…厚、慣れてるな…もうみじん切り終わりそうだ。
『厚、みじん切り終わらせるから、大きいボウルにそこのひき肉入れて、ビニール手袋して捏ねて』
「あいよ。肉に調味料先に入れるか?」
『うん、まぁカレーがメインだから、シンプルに塩コショウだけでいこう』
「りょーかい」
みじん切りを終わらせると、それを空いてるコンロで軽く色がつくまで炒める、それを薬研が代わってくれたので、俺は他の準備。
『薬研、軽く色が変わるくらいまででいいから炒めて、火を止めたら少し冷ますから、こっちにフライパン事もってきて』
「任せな」
『厚、もう塩コショウした?』
「いや、まだだぜ」
『んじゃ俺入れるから、そのまま捏ねてくれ』
「あいよ」
少し手を避けさせたところに塩コショウを振り、捏ねてもらう。
これを2,3回繰り返し……。
すると、薬研がフライパンを持ってきたので確認。
うん、いい色だ。
お礼を言い、厚ての布巾の上にフライパンを置いてもらい、牛乳とパン粉、卵の準備をする。
薬研に牛乳とパン粉を、指示した分量で量ってもらい…卵はこのままで、割って入れればいいから…。
『すまん厚、玉ねぎ冷めるまで少しそのまま待機しといて…』
「大丈夫だって!」
『火から下ろしてるし、もう少し冷めたら、玉ねぎとこの材料入れて、また混ぜてもらうから…向こうは小夜がやってくれてるな…あ、小夜。カレーに入れる肉、これ。炒めてから入れてくれ』
「わかった…」
「大将、ルーはどれ使うんだ?甘口から大辛までいろいろあったけど」
『あぁ…厚と小夜はどれくらいの辛さ平気?』
「俺は辛口いけるぜ!」
「僕は、甘口…でも、チーズあれば中辛や辛口も大丈夫…」
『あぁ、チーズまろやかになるもんな。んー……小夜、そっちルー入れる手前まで進めたら、もう一つ鍋出して、甘口と辛口の二種類でいこう』
「わかった…今水入れたから、沸騰するまでにお肉するね…」
『助かる』
と、ちょうどいい感じに冷めてきた玉ねぎをボールへ。
捏ねてもらいながら、牛乳とパン粉、卵を俺と薬研で入れる。
更に追加で、もう少し塩コショウ…。
しっかり混ざったら、厚にハンバーグの形を作ってもらう。
今回はカレーに乗せるから、小から中くらいの大きさ。
薬研に見てもらい、それを真似てもらう。
出来たやつは大きめのトレーに入れていき、コンロが空いたら焼けるように準備しておく。
よし、こっちは大丈夫そうだな…。
俺はルーを取り出し、細かく刻んでいく。
こうすると溶けやすいんだよな。
ルーも細かく切ると、陸奥と鶴が鍋を持ち、もう一つの鍋へ半分入れていた。
小夜が指示してくれたんだろうな、さすが。
炒めた肉も入れ、野菜が柔らかくなるまで煮込む。
圧力鍋使ってるから、すぐに柔らかくなるだろう。
『小夜、そっち圧力鍋だし、しばらくそのままで大丈夫。残ってるレタスとミニトマト、キュウリ、コーンを使って、人数分のサラダお願いできるか?』
「わかった…」
慣れてる小夜を筆頭に、サラダへ取り掛かる鶴に陸奥。
優秀だねぇ。
こっちは全部出来たから、あとはタイミング見てルーを入れて、ハンバーグも焼いて、完成かな。
『よし、後は仕上げだけだし、使い終わった食器を先に洗うかな…』
「大将、それくらい俺らがするぜ」
「あぁ、今のうちに買ってきたもの確認してきたらどうだ?」
『んー…わかった、ありがとう。じゃあ…小夜、そっちから陸奥か鶴借りれる?で、薬研は本渡すし、一緒に来て』
「わかった」
「何か運ぶんですか…?」
『うん、12本入りの水と、96本入りの水を俺の私室に』
「…それは、重そうだね…こっちは大丈夫だから、鶴丸さんも陸奥守さんも、アオさんを手伝ってください…」
「俺も居るしな!」
「わかったぜよ」
「あぁ、任せろ」
『ありがとう。じゃあこの12本入りは俺が持つから、96本入りを二人でお願い』
「大将、俺も行くんだ。そっちのは俺が持つぜ」
そういうと、薬研は12本入りの水を軽々と持ち上げた。
…短刀でも、差はやっぱありそうだな…。
『ありがとう、んじゃ行くぞ』
先に俺の私室へそれを運びこみ、小さな台所の端の方へ置いてもらう。
それから執務室へ行き、薬研と陸奥へ本を渡す。
鶴が何が好きかわかんなかったから、歴史ものの雑誌を渡してみた。
それぞれ自分の部屋へ置きに行き、俺の分は後でいいやと結論づけ、厨へ戻る。
戻ると、厚が食器を洗い、小夜が拭いて食器を片付けていくように分担していた。
…ほんとに、手慣れているなー…。
俺は鍋の様子を見るため、蓋を開け、お玉で柔らかくなってるか、軽く切るように確認する。
柔らかくなっていたため、手前にある鍋に甘口のルーを。
奥にある鍋に辛口のルーを入れる。
細かく刻んでいたから、溶けるのも早い。
少し牛乳とケチャップ、ソースなどの調味料を入れて、味を確認…うん、いけそうだな。
このまま弱火で煮て…。
「大将、洗い物終わったぜ」
『ありがとう。カレーの方は終わったから、あとはハンバーグだけだ。
小夜、米炊けてる?』
「…うん、大丈夫だよ…」
「戻ったぜよ、アオ」
『お、みんなも戻ってきたか。そうだな……この人数なら隣の部屋でもいいか。人数増えたら、大広間で食べるようにしよう。
じゃあ小夜と鶴は、水かお茶か、どっちでもいいし、みんなの好きな方を用意てくれ。
厚と陸奥はテーブルの上を拭いてくれ。
薬研は大きめの大皿を用意して、ここにおいてくれ。それが終わればハンバーグの入った奴持っててくれ』
そう指示を出すと、みんな動いていく。
薬研はすぐに大皿を見つけると、隣へ置き、ハンバーグを持ってくる。
フライパンは使えるように厚たちが用意してくれていたから、火をつけ、温まってきたところに油を入れる。
そんでハンバーグを数個入れていき、ハンバーグの真ん中を軽く押す。
しばらく様子見ながら火を調節し、片面が焼けると、ひっくり返す。
蓋をして、もう少し焼く。
「アオ、皿だしちゅうよ」
『お、ありがとう陸奥。あ、厚、どれくらいチーズ要るかわかんねぇから、適当な皿に、チーズ適当に入れといて』
「チーズ美味いもんなー」
『そうなんよーピザ用のだから、熱々ご飯とカレールーでいい感じに溶けると思うぞ』
「んじゃ多めに出しとくぜ!」
『さんきゅ』
一回目のハンバーグが出来上がり、隣に置いてた皿へ入れていく。
次のハンバーグも入れ、全部焼いていく。
途中鍋を掻き混ぜ…よし、全部できた!
『できたー!あー…久々に作った…』
「お疲れ様、アオさん…」
「茶の準備できてるぜ」
『ありがとー…みんなどれくらい食うかわかんねぇから、最初は適当にご飯入れるぞー。カレールーは辛口と甘口あるから、好きな方や気になる方選べー』
そう指示だしをし、ご飯を盛っていく。
人数分用意してから、それぞれにルーを選んでもらう。
厚は辛口、小夜も辛口…チーズ入れるためか。
あとの3人も、まずは辛口を選んだみたいだった。
全員分のカレーを入れて、それぞれ隣へ運び、ハンバーグも持って行ってもらった。
サラダは小夜が先に持って行ってたようで、今日買ってきたドレッシング数種類も出してくれてる。
厚もスプーンや箸などだしてくれて…よし。
『んじゃ、今日もお疲れ様でした。明日から通常の本丸業務しながら、いろいろやってくようになる。厚と小夜に頼りまくることになるけど…みんなで頑張っていこう』
軽くそういえば、みんな力強く頷いてくれた。
『よし、んじゃ…いただきまーす!』と手を合わせて言えば、みんなも真似していう。
そしてカレーを食べだす…三人は初カレーに目を輝かせ、更に辛さに口の中が大変なのか、お茶を飲んだりしていた。
チーズを入れると辛さマシになることを小夜が教えている。
それぞれチーズ入れたり、厚のようにハンバーグ乗せたりして、美味しそうに食べてくれる。
『あー久々に自分で作ったカレーだわー…』
「現世では家族の方が…?」
『うん。俺もたまに作ってたけど、基本家族の誰かが作ってた』
「かれーってこんなに辛いんだな…だが美味いな」
「辛さは調節できるぞ。店とかに行けばもっと辛いのあるしな!」
『うんうん。あとこの辛口と、もう一つの鍋のは甘口で、間に中辛って辛さのもある。甘口は辛くないから、辛いのダメならそっちもあり。でも甘すぎても…ってなるなら、甘口と辛口のルーを入れて調節もあり』
いろいろ話しながら、おかわりもして、みんな完食する。
量が心配だったけど、ハンバーグにサラダもあったからか、みんな満腹のようでよかった。
ハンバーグとルーはまだあるから、明日の昼にカレードリアでもするかな…。
洗い物をみんなに任せ、俺は私室へ行きメモやらノートやら用意して、執務室へ。
後で明日のこととかいろいろ相談するためだ。
みんながくるまでに、執務室のパソコンやタブレットをいじりながら、今日の報告書を作成する。
それをパソコンで読み取り、柚兄に送り…よし。
携帯を見ると、現世の家族からはもちろん、神や神楽、奏さんからも連絡がきてて、少し驚いた…。
あ、やな兄からも来てる。
内容は明日のことだった。
それらを確認していると、みんながやってきた。
『お、洗い物ありがとう、みんな』
「かまんかまん!報告書書けたがか?」
『うん、もう送ったよ。やな兄からも連絡きてた』
「明日のことか」
「明日はどうするんだ?」
『午前中に、通常任務できるだけ終わらせる。遠征は人数もう少し増えたら始めるかな。内番も、畑以外は今のところ大丈夫かな…で、午後はやな兄達がくるから、少しパソコンを厚や小夜、陸奥に教えてもらう。
それのあとは、まだ決まってないかな…』
とりあえず簡単な明日の予定を伝え、少し大きなテーブルを出して、俺はノートやメモを開く。
『ま、明日のことはまだわかんねぇから、違う事するぞー』
「会議か?」
『まあそんな感じかな』
「お茶、淹れる…?」
『あ、じゃあ小夜、俺の私室の方が近いから、そっちで淹れてきてくれ。甘いのもほしいし、なんか注文しよ。時間的に間に合う奴。みんなも甘いものいる?』
するとみんなも欲しいのか、興味あるのか「いる!」と反応する。
小夜には鶴がついていった。
『んー…何しようかな…和菓子は俺は好きだけど、みんな甘いの大丈夫かわかんねぇし…』
「あ、そうだ。大将、タブレット借りてもいいか?」
『ほいほい』
厚にタブレットを貸すと、慣れた様子で操作していく。
目当てのものが見つかったのか、俺に見せてきた。
「これどうだ?期間限定なんだけど、これなら時間関係なく注文できるぞ」
『どれどれ……桜特集?』
「そ!政府でも人気で、美味いって評判いいみたいだぞ」
『へー。じゃあこれの…ゼリーにしようか。これくらいなら満腹でも大丈夫だろうし』
そう考え、桜のゼリーを人数分注文する。
木箱から取り出しみんなに配り終えると、小夜たちも戻ってきた。
『ありがと、小夜、鶴。桜のゼリー食べながら会議しよっか。
あ、何かメモとりたいなら、紙置いとくし、使ってくれ』
机の真ん中にルーズリーフを適当に置き、ボールペンも置いておく。
『さてさて…まず、近侍と第一部隊隊長は別にすると話したな。昨日や今日は陸奥のままだったけど、明日からはまた陸奥から、顕現順にしてもらうな。で、更に、厚と小夜を近侍補佐として、俺らの補佐をしてもらう。
この近侍補佐、これから人数増えたらしていくかはまだ決めてないから、今後次第だな。二人は明日どっちがやるか相談しといてな』
「わかりました…」
「任せな!」
『ん。で、これは確認…厚、小夜、君ら医療はどう?手当てとかできる?』
「簡単な手当てや、応急処置くらいなら…」
「だな…政府に居る刀剣は、最低限の手当ての仕方を覚えなきゃだし…」
『ふむ…個体によって、苦手なやつや、出来るやつって別れるか?』
「そうだな…柚んとこの俺は、俺より医療に強いと思うぞ?」
「あそこの厚は、柚さんとこのだからね…他の僕でも、包帯巻くのは出来るけど、それ以外は苦手そうな…いろいろいたよ…」
『やっぱ個体によるか…じゃあ、薬研の補佐や、他に医療を覚えれそうなやつは、うちに来てみてからじゃないとな…』
「そうだな…いざって時の簡単な手当ては、出来るだけ覚えた方がいいと思うが、来たやつによるな」
「あ、補佐というか、薬草なら小夜は分かるぜ」
「小夜坊そうなのか?」
「そんなに詳しくはないけど…神さんやナナシさんから少し、教わりました…」
『マジか。小夜ナナシに教わってたんか…よし、薬研、小夜を補佐か、薬草作りするなら、小夜を筆頭にしてもらうのはどうだ?まあナナシも言ってたけど、主に覚えるのは薬研なんだけど』
「あぁ、心強いし、俺は大歓迎だ」
『小夜も構わないか?』
「はい…やります…」
『ありがとな』
「小夜助、よろしくな」
「うん…」
ノートに薬研の補佐候補、小夜を書き込み、厚も簡単な手当ては出来ることをメモして…。
次は…。
『あ、みんな、ゼリーにお茶、気にせず食べなよ。まだ始まったばっかの本丸だし、会議らしい会議はまだ出来ないだろうから。今日は確認くらいの予定だし』
「確認ちゅうんは、厚と小夜がどこまでできるかっちゅうことかの?」
『そそ。前の本丸に居た経験もあるし、政府にもいたわけだから、いろいろ聞いときたいし。ほんと頼りまくっちゃうけど…』
「オレらは気にしてないって」
「はい…ボクたちの経験が本丸のためになるなら、それは嬉しいことだから…」
『やだうちの厚と小夜が優秀すぎて困る…』
「アオ…それで、他は?」
『ん-と……厚たちに聞きたいことは、一応ほとんど聞いたんだよ。戦闘系は、たぶんまだ言われないから、聞いても仕方ないかなって。
で、みんなに聞きたいんだけど…欲しい部屋とか、なんかある?』
すると、みんな首を傾げた。
ごめん、説明不足で…。
『あー…例えば、書庫が欲しいとか、薬研なら、医務室が欲しい、もしくは医務室兼一人部屋が欲しいとか…』
「あぁ、ナナシというお人が言ってたやつか」
『そう。確かに書庫があれば、本丸で共有できる医療の本や、その他いろんな本も共有できるからさ』
「なるほどな…確かに、書庫は合っても困らないからな」
「薬研にいちいち聞かなくとも、自分で知識を付けることもできるわけか」
『うん、薬研に聞いたり、ナナシに聞いたりも出来るけど、忙しかったりするわけだしな。医療関係の本以外もあれば、今後増える刀剣の気になる本が見つかるかもだし、知識も増やせるからな』
少しづつゼリーを食べながら、タブレットの見取り図を出し、考える。
手入れ部屋の隣使えないかな…明日確認するか…。
メモに明日確認することを書いて…。
「あ、大将。明日午前中に出陣するのか?」
『うん、時間に余裕ありそうなら二回行ってもらうかも』
「じゃあ出陣前に刀装作るのどうだ?最低皆に行きわたるくらいの量」
「刀装は、刀種によって、付けれないものもあるから…みんなに行きわたるかはわからないけど…」
『なるほど…その辺は刀剣達に任せるしかないか…必要な資源はどれくらい?』
「最初は全部50でやるからな…人数もいるから、資源に余裕あるなら、10個分作ろうかと思う」
『えーと…資源の数は……うん、大丈夫。じゃあ刀装作りをみんなに教えながらやってもらっていいかい』
「おう!」
『鍛刀は…明日はなしにするかなぁ…』
「しないのかい?」
『増やして戦力あげるのもいいけど、まだみんなのこと分かってないし、食事量もどれくらいいるかまだまだ把握してないし…悩むなぁ…』
んー…と悩んでいると、携帯が鳴り、電話だと知らせる。
画面を見ると【柚兄】と出ていた。
『柚兄…?ごめん、ちょっと出るな』
皆に断りを入れてから、電話に出る。
『柚兄?』
<や、アオ。報告書読んだけど、あれから万屋街行った?>
『うん、行った。めちゃ広かった』
<俺も最初は驚いたよ。まあ長く出歩けなかったけど、地図だけでも見ごたえあるしね>
『だね…あれ俺以外にも刀剣達迷子になりそうで心配だわ…』
<あはは…確かに…>
『それで、どしたの?その確認のために電話してきたん?』
<もちろん、本題は別。…アオ>
急に真剣な声になったから、俺も真剣に聞こうと耳を澄ませる。
<前から考えていたんだけど…俺のとこに居る来派の三人。アオに任せたい>
『……は?』
…………………………………………はいいいぃぃぃ!?
万屋街から本丸へ帰宅した俺らは『ただいまー』と言いながら玄関に入る。
すると、お米を炊いてる匂いがしてきた。
『あれ、お米炊いてる…?』
「米?」
『匂いするから』
「…大将は鼻もいいんだな…」
薬研に関心されてるのかよくわからないけど、まあいいよな。
すると、留守番してた二人が内番服状態で迎えてくれた。
「おかえり、大将たち!」
「おかえりなさい。連絡もらったものと、収穫した方が良さそうなものは、厨へ置いてるよ…」
「あと、大将が買ったもの、食材は厨、それ以外は一応執務室に置いてあるから、後で確認してくれ!」
『うちの厚と小夜が優秀…いい子……二人ともありがとうな。一度みんな動きやすい服に着替えてから、晩御飯作るか…』
「あ、大将。米勝手に炊いたけど…大丈夫だったか?」
『もーまんたい。むしろありがとう、一つ仕事減った。どこまでできるかわかんねぇし、米に関してはあえて言わなかったんだ』
鶴を顕現し、みんなそれぞれ着替えに行ってもらう。
俺も襷を用意しに私室へ。
執務室のは、後ででも大丈夫だろ。
襷をやりながら、先に厨へ行き手を洗う。
厚たちが採ってきてくれた食材を確認すると、まだ始めたばかりの本丸だからか、意外と少なかった。
けどメニューは……うん、久々に食べたいし、カレーにしよう。
「アオさん、お米はもう少しかかる…」
『お、そっか。なら今のうちに作るかな』
「何するんだ?」
『最初はハンバーグにしようかと。和風やチーズ、いろいろ用意して。でも久々にカレーが食べたくなってきたから、カレーと、いくつかトッピングと、サラダだな。
余れば明日ドリアにもできるし、多めに作る。刀剣男士はけっこう食べるって、やな兄にも教えてもらってたし』
「それでこんなに買って来たんだな」
厚と小夜が手を洗い、拭きながら材料を見る。
さてさて…。
『厚と小夜はどれくらい料理できる?』
「切ることはだいたいの刀剣は得意じゃないかな…時々苦手な人もいるけど…」
「たしかに。料理、ってなると苦手になるやつもいるよな」
『じゃあ三人は確認するとして…厚と小夜はほんと悪いけど、手伝ってもらうこと多いから、覚悟しといて』
「大丈夫だって!」
「うん…それにカレーは僕らも手伝ったことあるし、出来る料理もあるから…」
『君らほんまハイスペック…じゃあまず、じゃがいもと人参を洗ってもらっていい?今日買った分は切った量見て使うか決めるから。一人が洗って、一人が皮を剥いて』
「ほいきた!」
「わかった…」
二人が洗ってる間に、必要な食材だけ残し、あとは冷蔵庫へ。
ちょうど三人が来たから、手を洗ってもらう。
今厚たちがしてる工程を見てもらい、覚えてもらう。
「厚の使ってるそれはなんだ?」
「ピーラーって言って、野菜の皮むきに使う現代の道具だぜ!」
「包丁は使わんがか?」
「これに慣れると意外と便利でな…ジャガイモの芽も、この穴が開いたところでくりぬけるし」
「面白そうだな!」
「慣れない時は、たまに自分の指も軽く切ってしまうから、気を付けないと…」
さすが先輩二人。
よくわかってらっしゃる。
皮を剥いてもらったジャガイモから、俺が切っていく。
その様子を少し見せて、三人にもやってもらう。
……うん、陸奥と鶴は少し不安だけど、慣れたら大丈夫そうだな。
薬研は器用なのか、できてるし。
次の人参も同じように軽く見てもらい、やってもらう。
で、次は玉ねぎだけど…。
『小夜、玉ねぎを薄めに切ってもらっていい?こっちに入れてる方』
「わかった…」
『皆は様子を見て覚えて。玉ねぎは目に染みるから…厚、小夜辛そうなら交代しながらお願い』
「わかった、大将は?」
『俺はこっちの玉ねぎをみじん切り』
そういって、各々作業に入る。
玉ねぎを剥いて、上と下を切ったら、みじん切りするために切り込みをいれていく。
それが終わると、みじん切りをしていく………目がああぁぁあ…!
時々涙を拭きながら小夜たちを確認すると、小夜のやり方を分かったのか、三人が手伝ってる。
「大将、あっちは小夜も居るから、俺もみじん切りするぜ。一度目を洗ってきたらどうだ…?」
『そうするっ…目がああぁぁ…』
厚に代わってもらい、手を洗い、目も洗う。
玉ねぎめ…美味しくして食ってやる…。
三人も玉ねぎの脅威(?)がわかったようで、交代しながらやっていた。
『小夜、そっち三人に任せて大丈夫そうなら、フライパンで玉ねぎ炒めて…』
「飴色になるまで…?」
『よくわかったな…あ、神に教えてもらったか』
「うん…ジャガイモと人参も炒めておくね…」
『ありがとう…こっちはみじん切り終わったらハンバーグ作る…』
厚と交代し、みじん切りを再開。
…厚、慣れてるな…もうみじん切り終わりそうだ。
『厚、みじん切り終わらせるから、大きいボウルにそこのひき肉入れて、ビニール手袋して捏ねて』
「あいよ。肉に調味料先に入れるか?」
『うん、まぁカレーがメインだから、シンプルに塩コショウだけでいこう』
「りょーかい」
みじん切りを終わらせると、それを空いてるコンロで軽く色がつくまで炒める、それを薬研が代わってくれたので、俺は他の準備。
『薬研、軽く色が変わるくらいまででいいから炒めて、火を止めたら少し冷ますから、こっちにフライパン事もってきて』
「任せな」
『厚、もう塩コショウした?』
「いや、まだだぜ」
『んじゃ俺入れるから、そのまま捏ねてくれ』
「あいよ」
少し手を避けさせたところに塩コショウを振り、捏ねてもらう。
これを2,3回繰り返し……。
すると、薬研がフライパンを持ってきたので確認。
うん、いい色だ。
お礼を言い、厚ての布巾の上にフライパンを置いてもらい、牛乳とパン粉、卵の準備をする。
薬研に牛乳とパン粉を、指示した分量で量ってもらい…卵はこのままで、割って入れればいいから…。
『すまん厚、玉ねぎ冷めるまで少しそのまま待機しといて…』
「大丈夫だって!」
『火から下ろしてるし、もう少し冷めたら、玉ねぎとこの材料入れて、また混ぜてもらうから…向こうは小夜がやってくれてるな…あ、小夜。カレーに入れる肉、これ。炒めてから入れてくれ』
「わかった…」
「大将、ルーはどれ使うんだ?甘口から大辛までいろいろあったけど」
『あぁ…厚と小夜はどれくらいの辛さ平気?』
「俺は辛口いけるぜ!」
「僕は、甘口…でも、チーズあれば中辛や辛口も大丈夫…」
『あぁ、チーズまろやかになるもんな。んー……小夜、そっちルー入れる手前まで進めたら、もう一つ鍋出して、甘口と辛口の二種類でいこう』
「わかった…今水入れたから、沸騰するまでにお肉するね…」
『助かる』
と、ちょうどいい感じに冷めてきた玉ねぎをボールへ。
捏ねてもらいながら、牛乳とパン粉、卵を俺と薬研で入れる。
更に追加で、もう少し塩コショウ…。
しっかり混ざったら、厚にハンバーグの形を作ってもらう。
今回はカレーに乗せるから、小から中くらいの大きさ。
薬研に見てもらい、それを真似てもらう。
出来たやつは大きめのトレーに入れていき、コンロが空いたら焼けるように準備しておく。
よし、こっちは大丈夫そうだな…。
俺はルーを取り出し、細かく刻んでいく。
こうすると溶けやすいんだよな。
ルーも細かく切ると、陸奥と鶴が鍋を持ち、もう一つの鍋へ半分入れていた。
小夜が指示してくれたんだろうな、さすが。
炒めた肉も入れ、野菜が柔らかくなるまで煮込む。
圧力鍋使ってるから、すぐに柔らかくなるだろう。
『小夜、そっち圧力鍋だし、しばらくそのままで大丈夫。残ってるレタスとミニトマト、キュウリ、コーンを使って、人数分のサラダお願いできるか?』
「わかった…」
慣れてる小夜を筆頭に、サラダへ取り掛かる鶴に陸奥。
優秀だねぇ。
こっちは全部出来たから、あとはタイミング見てルーを入れて、ハンバーグも焼いて、完成かな。
『よし、後は仕上げだけだし、使い終わった食器を先に洗うかな…』
「大将、それくらい俺らがするぜ」
「あぁ、今のうちに買ってきたもの確認してきたらどうだ?」
『んー…わかった、ありがとう。じゃあ…小夜、そっちから陸奥か鶴借りれる?で、薬研は本渡すし、一緒に来て』
「わかった」
「何か運ぶんですか…?」
『うん、12本入りの水と、96本入りの水を俺の私室に』
「…それは、重そうだね…こっちは大丈夫だから、鶴丸さんも陸奥守さんも、アオさんを手伝ってください…」
「俺も居るしな!」
「わかったぜよ」
「あぁ、任せろ」
『ありがとう。じゃあこの12本入りは俺が持つから、96本入りを二人でお願い』
「大将、俺も行くんだ。そっちのは俺が持つぜ」
そういうと、薬研は12本入りの水を軽々と持ち上げた。
…短刀でも、差はやっぱありそうだな…。
『ありがとう、んじゃ行くぞ』
先に俺の私室へそれを運びこみ、小さな台所の端の方へ置いてもらう。
それから執務室へ行き、薬研と陸奥へ本を渡す。
鶴が何が好きかわかんなかったから、歴史ものの雑誌を渡してみた。
それぞれ自分の部屋へ置きに行き、俺の分は後でいいやと結論づけ、厨へ戻る。
戻ると、厚が食器を洗い、小夜が拭いて食器を片付けていくように分担していた。
…ほんとに、手慣れているなー…。
俺は鍋の様子を見るため、蓋を開け、お玉で柔らかくなってるか、軽く切るように確認する。
柔らかくなっていたため、手前にある鍋に甘口のルーを。
奥にある鍋に辛口のルーを入れる。
細かく刻んでいたから、溶けるのも早い。
少し牛乳とケチャップ、ソースなどの調味料を入れて、味を確認…うん、いけそうだな。
このまま弱火で煮て…。
「大将、洗い物終わったぜ」
『ありがとう。カレーの方は終わったから、あとはハンバーグだけだ。
小夜、米炊けてる?』
「…うん、大丈夫だよ…」
「戻ったぜよ、アオ」
『お、みんなも戻ってきたか。そうだな……この人数なら隣の部屋でもいいか。人数増えたら、大広間で食べるようにしよう。
じゃあ小夜と鶴は、水かお茶か、どっちでもいいし、みんなの好きな方を用意てくれ。
厚と陸奥はテーブルの上を拭いてくれ。
薬研は大きめの大皿を用意して、ここにおいてくれ。それが終わればハンバーグの入った奴持っててくれ』
そう指示を出すと、みんな動いていく。
薬研はすぐに大皿を見つけると、隣へ置き、ハンバーグを持ってくる。
フライパンは使えるように厚たちが用意してくれていたから、火をつけ、温まってきたところに油を入れる。
そんでハンバーグを数個入れていき、ハンバーグの真ん中を軽く押す。
しばらく様子見ながら火を調節し、片面が焼けると、ひっくり返す。
蓋をして、もう少し焼く。
「アオ、皿だしちゅうよ」
『お、ありがとう陸奥。あ、厚、どれくらいチーズ要るかわかんねぇから、適当な皿に、チーズ適当に入れといて』
「チーズ美味いもんなー」
『そうなんよーピザ用のだから、熱々ご飯とカレールーでいい感じに溶けると思うぞ』
「んじゃ多めに出しとくぜ!」
『さんきゅ』
一回目のハンバーグが出来上がり、隣に置いてた皿へ入れていく。
次のハンバーグも入れ、全部焼いていく。
途中鍋を掻き混ぜ…よし、全部できた!
『できたー!あー…久々に作った…』
「お疲れ様、アオさん…」
「茶の準備できてるぜ」
『ありがとー…みんなどれくらい食うかわかんねぇから、最初は適当にご飯入れるぞー。カレールーは辛口と甘口あるから、好きな方や気になる方選べー』
そう指示だしをし、ご飯を盛っていく。
人数分用意してから、それぞれにルーを選んでもらう。
厚は辛口、小夜も辛口…チーズ入れるためか。
あとの3人も、まずは辛口を選んだみたいだった。
全員分のカレーを入れて、それぞれ隣へ運び、ハンバーグも持って行ってもらった。
サラダは小夜が先に持って行ってたようで、今日買ってきたドレッシング数種類も出してくれてる。
厚もスプーンや箸などだしてくれて…よし。
『んじゃ、今日もお疲れ様でした。明日から通常の本丸業務しながら、いろいろやってくようになる。厚と小夜に頼りまくることになるけど…みんなで頑張っていこう』
軽くそういえば、みんな力強く頷いてくれた。
『よし、んじゃ…いただきまーす!』と手を合わせて言えば、みんなも真似していう。
そしてカレーを食べだす…三人は初カレーに目を輝かせ、更に辛さに口の中が大変なのか、お茶を飲んだりしていた。
チーズを入れると辛さマシになることを小夜が教えている。
それぞれチーズ入れたり、厚のようにハンバーグ乗せたりして、美味しそうに食べてくれる。
『あー久々に自分で作ったカレーだわー…』
「現世では家族の方が…?」
『うん。俺もたまに作ってたけど、基本家族の誰かが作ってた』
「かれーってこんなに辛いんだな…だが美味いな」
「辛さは調節できるぞ。店とかに行けばもっと辛いのあるしな!」
『うんうん。あとこの辛口と、もう一つの鍋のは甘口で、間に中辛って辛さのもある。甘口は辛くないから、辛いのダメならそっちもあり。でも甘すぎても…ってなるなら、甘口と辛口のルーを入れて調節もあり』
いろいろ話しながら、おかわりもして、みんな完食する。
量が心配だったけど、ハンバーグにサラダもあったからか、みんな満腹のようでよかった。
ハンバーグとルーはまだあるから、明日の昼にカレードリアでもするかな…。
洗い物をみんなに任せ、俺は私室へ行きメモやらノートやら用意して、執務室へ。
後で明日のこととかいろいろ相談するためだ。
みんながくるまでに、執務室のパソコンやタブレットをいじりながら、今日の報告書を作成する。
それをパソコンで読み取り、柚兄に送り…よし。
携帯を見ると、現世の家族からはもちろん、神や神楽、奏さんからも連絡がきてて、少し驚いた…。
あ、やな兄からも来てる。
内容は明日のことだった。
それらを確認していると、みんながやってきた。
『お、洗い物ありがとう、みんな』
「かまんかまん!報告書書けたがか?」
『うん、もう送ったよ。やな兄からも連絡きてた』
「明日のことか」
「明日はどうするんだ?」
『午前中に、通常任務できるだけ終わらせる。遠征は人数もう少し増えたら始めるかな。内番も、畑以外は今のところ大丈夫かな…で、午後はやな兄達がくるから、少しパソコンを厚や小夜、陸奥に教えてもらう。
それのあとは、まだ決まってないかな…』
とりあえず簡単な明日の予定を伝え、少し大きなテーブルを出して、俺はノートやメモを開く。
『ま、明日のことはまだわかんねぇから、違う事するぞー』
「会議か?」
『まあそんな感じかな』
「お茶、淹れる…?」
『あ、じゃあ小夜、俺の私室の方が近いから、そっちで淹れてきてくれ。甘いのもほしいし、なんか注文しよ。時間的に間に合う奴。みんなも甘いものいる?』
するとみんなも欲しいのか、興味あるのか「いる!」と反応する。
小夜には鶴がついていった。
『んー…何しようかな…和菓子は俺は好きだけど、みんな甘いの大丈夫かわかんねぇし…』
「あ、そうだ。大将、タブレット借りてもいいか?」
『ほいほい』
厚にタブレットを貸すと、慣れた様子で操作していく。
目当てのものが見つかったのか、俺に見せてきた。
「これどうだ?期間限定なんだけど、これなら時間関係なく注文できるぞ」
『どれどれ……桜特集?』
「そ!政府でも人気で、美味いって評判いいみたいだぞ」
『へー。じゃあこれの…ゼリーにしようか。これくらいなら満腹でも大丈夫だろうし』
そう考え、桜のゼリーを人数分注文する。
木箱から取り出しみんなに配り終えると、小夜たちも戻ってきた。
『ありがと、小夜、鶴。桜のゼリー食べながら会議しよっか。
あ、何かメモとりたいなら、紙置いとくし、使ってくれ』
机の真ん中にルーズリーフを適当に置き、ボールペンも置いておく。
『さてさて…まず、近侍と第一部隊隊長は別にすると話したな。昨日や今日は陸奥のままだったけど、明日からはまた陸奥から、顕現順にしてもらうな。で、更に、厚と小夜を近侍補佐として、俺らの補佐をしてもらう。
この近侍補佐、これから人数増えたらしていくかはまだ決めてないから、今後次第だな。二人は明日どっちがやるか相談しといてな』
「わかりました…」
「任せな!」
『ん。で、これは確認…厚、小夜、君ら医療はどう?手当てとかできる?』
「簡単な手当てや、応急処置くらいなら…」
「だな…政府に居る刀剣は、最低限の手当ての仕方を覚えなきゃだし…」
『ふむ…個体によって、苦手なやつや、出来るやつって別れるか?』
「そうだな…柚んとこの俺は、俺より医療に強いと思うぞ?」
「あそこの厚は、柚さんとこのだからね…他の僕でも、包帯巻くのは出来るけど、それ以外は苦手そうな…いろいろいたよ…」
『やっぱ個体によるか…じゃあ、薬研の補佐や、他に医療を覚えれそうなやつは、うちに来てみてからじゃないとな…』
「そうだな…いざって時の簡単な手当ては、出来るだけ覚えた方がいいと思うが、来たやつによるな」
「あ、補佐というか、薬草なら小夜は分かるぜ」
「小夜坊そうなのか?」
「そんなに詳しくはないけど…神さんやナナシさんから少し、教わりました…」
『マジか。小夜ナナシに教わってたんか…よし、薬研、小夜を補佐か、薬草作りするなら、小夜を筆頭にしてもらうのはどうだ?まあナナシも言ってたけど、主に覚えるのは薬研なんだけど』
「あぁ、心強いし、俺は大歓迎だ」
『小夜も構わないか?』
「はい…やります…」
『ありがとな』
「小夜助、よろしくな」
「うん…」
ノートに薬研の補佐候補、小夜を書き込み、厚も簡単な手当ては出来ることをメモして…。
次は…。
『あ、みんな、ゼリーにお茶、気にせず食べなよ。まだ始まったばっかの本丸だし、会議らしい会議はまだ出来ないだろうから。今日は確認くらいの予定だし』
「確認ちゅうんは、厚と小夜がどこまでできるかっちゅうことかの?」
『そそ。前の本丸に居た経験もあるし、政府にもいたわけだから、いろいろ聞いときたいし。ほんと頼りまくっちゃうけど…』
「オレらは気にしてないって」
「はい…ボクたちの経験が本丸のためになるなら、それは嬉しいことだから…」
『やだうちの厚と小夜が優秀すぎて困る…』
「アオ…それで、他は?」
『ん-と……厚たちに聞きたいことは、一応ほとんど聞いたんだよ。戦闘系は、たぶんまだ言われないから、聞いても仕方ないかなって。
で、みんなに聞きたいんだけど…欲しい部屋とか、なんかある?』
すると、みんな首を傾げた。
ごめん、説明不足で…。
『あー…例えば、書庫が欲しいとか、薬研なら、医務室が欲しい、もしくは医務室兼一人部屋が欲しいとか…』
「あぁ、ナナシというお人が言ってたやつか」
『そう。確かに書庫があれば、本丸で共有できる医療の本や、その他いろんな本も共有できるからさ』
「なるほどな…確かに、書庫は合っても困らないからな」
「薬研にいちいち聞かなくとも、自分で知識を付けることもできるわけか」
『うん、薬研に聞いたり、ナナシに聞いたりも出来るけど、忙しかったりするわけだしな。医療関係の本以外もあれば、今後増える刀剣の気になる本が見つかるかもだし、知識も増やせるからな』
少しづつゼリーを食べながら、タブレットの見取り図を出し、考える。
手入れ部屋の隣使えないかな…明日確認するか…。
メモに明日確認することを書いて…。
「あ、大将。明日午前中に出陣するのか?」
『うん、時間に余裕ありそうなら二回行ってもらうかも』
「じゃあ出陣前に刀装作るのどうだ?最低皆に行きわたるくらいの量」
「刀装は、刀種によって、付けれないものもあるから…みんなに行きわたるかはわからないけど…」
『なるほど…その辺は刀剣達に任せるしかないか…必要な資源はどれくらい?』
「最初は全部50でやるからな…人数もいるから、資源に余裕あるなら、10個分作ろうかと思う」
『えーと…資源の数は……うん、大丈夫。じゃあ刀装作りをみんなに教えながらやってもらっていいかい』
「おう!」
『鍛刀は…明日はなしにするかなぁ…』
「しないのかい?」
『増やして戦力あげるのもいいけど、まだみんなのこと分かってないし、食事量もどれくらいいるかまだまだ把握してないし…悩むなぁ…』
んー…と悩んでいると、携帯が鳴り、電話だと知らせる。
画面を見ると【柚兄】と出ていた。
『柚兄…?ごめん、ちょっと出るな』
皆に断りを入れてから、電話に出る。
『柚兄?』
<や、アオ。報告書読んだけど、あれから万屋街行った?>
『うん、行った。めちゃ広かった』
<俺も最初は驚いたよ。まあ長く出歩けなかったけど、地図だけでも見ごたえあるしね>
『だね…あれ俺以外にも刀剣達迷子になりそうで心配だわ…』
<あはは…確かに…>
『それで、どしたの?その確認のために電話してきたん?』
<もちろん、本題は別。…アオ>
急に真剣な声になったから、俺も真剣に聞こうと耳を澄ませる。
<前から考えていたんだけど…俺のとこに居る来派の三人。アオに任せたい>
『……は?』
…………………………………………はいいいぃぃぃ!?