龍神が審神者になる?
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ーーアオsideーー
神と柚兄が出て行った後、お菓子を広げ、水分を適当に選んでもらって談笑する。
『そういえば、神と刀剣らで何話してたん?』
「厚と小夜の紹介だな。あとは適当に話してたぞ。お前たちの心配もしていたが、神は俺たち刀剣の心配もしてくれるからな。本丸での事とかいろいろ話してた」
『代表直々にねぇ。あれ、代表て刀剣所持禁止なのか?』
「代表は一応、政治家みたいに投票とかで決まってなれるんだが、それ以外でもなれる方法があってな」
『え…その時のトップを暗殺してその座を奪う的な弱肉強食…?』
「アオさん…それは物騒だよ…」
「そんな物騒なやり方じゃねぇよ…。
本霊に気に入られたらなれるんだ」
『本霊…刀剣の?』
「そう。本霊に気に入られたら、投票とか関係なく代表になれるが、同時に本霊達の主になる。だからその時所持していた刀剣が居たら、政府所属の刀剣になるか、どこかの審神者の刀剣になる」
「神は政府に初めてきた時、本霊にすぐ気に入られたらしくてな。けど時の政府とか時間遡行軍とか刀剣とか、何も知らないのにいきなり代表なんてなれないって言って、最初は役員から始めたそうだ」
「その時戦闘系の部署に配属なって、俺たちが神の刀剣になったんだよ」
『へぇ…じゃあ神楽は?』
「神楽さんも、本霊に気に入られてましたけど…自分はトップとか向かないと言って、審神者になりました…神楽さんの刀剣達は、今も神楽さんの刀剣として、政府の仕事を手伝ってます…」
「んで、神さんが正式に代表やるって時に、神楽さんも会長に!って、当時の幹部やら役員らが何人も出てきて、会長してるってわけだ」
『なるほど…あの二人も大変やったんやねぇ…』
みんなでお菓子を分けながら食べるが、小夜さんが遠慮がち。
うーん…遠慮しなくていいんだけどねぇ。
『小夜さん、遠慮せず食べていいぞ』
「あ…はい…ありがとうございます…」
『あと、まだちゃんと俺の刀剣になったわけじゃないけど、俺に敬語はいらない。様付けも苦手だから、気軽にアオって呼んでほしい。
これは、厚さんにも言えるし、今後俺の刀剣になってくれる刀達にも言えることだ』
「え…」
『まぁこんのすけは無理だろうなぁて思って、せめてアオ様にしてもらってるんだけどな。薬研の大将呼びは気にならないからいいけど、主って呼ばれるより、審神者名でも名前で呼ばれたいんだよ』
笑いながら隣に居る小夜さんの頭を撫でれば、少し桜を舞わせていた。
いやぁ可愛いな。
「…それがあなたの望みなら、わかった…」
「あぁ!」
『ありがとな』
小夜さんと厚さんに了承してもらえたところで、神と柚兄が戻ってきた。
意外と早いな。
『おかえり、早かったね』
「神がその場で確認のハンコとかしたからね…。本来は早くてももうちょいかかるよ」
「後日でもいいんだが、その間にこいつらに任務任せちまいそうだしな。手っ取り早く終わらせた」
『任務入らない様に、それこそ権限使ったらいいんじゃない?』
「今までそうしてたけど、一応俺の刀剣でありながら、政府の刀剣でもあるからな…仕事が入っちまえば、先約がない限り任務は受けないといけねぇんだよ」
「それでさっさと手順を飛ばして、二振りをアオの刀剣に登録したったこと」
『なるほど』
お菓子を食べると、神も柚兄も席に戻ると、神から注意事項を説明される。
①再契約すると、練度は最初に戻るが、今までの知識や経験がなくなるわけじゃない
②霊力が馴染むまでは、ぎこちないだろうが、人の体に慣れてる分、感覚をすぐに掴むだろうから、すぐに普通と変わらなくなる
③神の元で働いていたのもあり、他の刀剣より、体術には自信があるだろう
と、これくらいだった。
『ふむ…体術に自信ありか』
「あぁ。もちろん、俺の元に居た山姥切も来派も得意だ。時間あるとき、お前も相手してもらえばいい。まあ…風雅に鍛えられてたお前には物足りないだろうが」
『物足りないかどうかは置いといて…刀剣男士だから、体術は苦手、もしくは無理かと思ってた』
「刀剣男士だからってできないわけじゃねぇよ。まあ苦手なやつも居るだろうが…」
『つまり教えれば出来るようになる…ふむ、やりたい子がいるなら教えよう』
俺は少しわくわくしながら、買ってきたペットボトルの緑茶を飲んだ。
『話は終わりかい?』
「あぁ、あと。これ」
神は懐からパスケースサイズの手帳みたいなやつを出し、俺に投げた。
普通にキャッチし、首をかしげながら中を見ると、俺の顔写真付きのカードが入っていた。
「お前のIDカードな。もう一つのポケットには通行証でも入れとけ。
通行証とIDカードは二つで一つのセットと思っとけ。一応どちらも、失くしたら再発行は出来るが、IDカードは時間もかかってめんどくせえからな…」
「しかも失くした理由によっては、罰金とかもあるからね…」
『気を付けます』
「あ、神さん。俺らが使ってた端末はどうしたらいいんだ?」
「あぁ、そのまま使ってていいぞ。連絡先も俺と神楽、戦闘系の部署、ブラック本丸対策課とか、一部だけだろ?
今後お前たちに任務の連絡は行かない様にするが、何かあれば連絡すればいい」
「わかりました…」
『?二人はケータイもってんの?』
「あぁ、政府所属の刀剣は、パートナーと居る事がほとんどだが、離れてるときの連絡用に一振りずつ持たせてる」
『ほー。俺んとこも慣れてきたら何振りかに持たせようかな…』
「金銭に余裕できてからにしろよ。支払いは審神者なんだしな」
『oh…』
確かに…貯金もあるとはいえ、毎月の支払となると、すぐに底をつきそうだ。
「さて…話は以上だ。何かあれば連絡するし、お前も連絡してきたらいい」
『ん。ありがとう』
「厚、小夜、アオを頼むぞ」
「任せとけ!」
「うん…」
「じゃあ、アオ。再契約しようか」
柚兄の言葉に頷くと、厚藤四郎と小夜左文字が刀に戻る。
二振りを手に持ち、霊力を流し込むと、桜の花びらが舞う。
「よっ……と。オレは、厚藤四郎。兄弟の中だと鎧通しに分類されるんだ」
「僕は小夜左文字。あなたは……誰かに復讐を望むのか……?」
『改めまして、俺は新人審神者のアオ。さっき言ったように、俺のことはアオと呼んでくれ。よろしくな』
「あぁ!よろしくな!」
「よろしく、お願いします…」
無事、二人が俺の刀剣になると、神は安心したように笑っていた。
「よし、行ってこい」
『ん。神楽によろしくね』
残ったお菓子の一部を神楽に渡すよう、神に頼み、俺たちは昨日使ったゲートで、俺の本丸へ向かった。
本丸につく頃には、お昼前…でもお昼にはまだ早い時間だった。
お菓子も食べたしね!
「さて…まずはいろいろ知るために、出陣から始めてもらうが、陸奥守と薬研の二振りで行ってもらう」
『え、二人だけ?』
「昨日も言ったけど、本来は初期刀だけで出陣して、その怪我を治す研修として、手入れをするというのが手順なんだけど、一振りだけで行かせてアオを悲しませたくないから、初鍛刀と出陣させようとしてたんだ」
「あぁ。だがどっかのバカが資源を渡してたみたいでな…そんで、アオが勝手に鍛刀したんだよ。まさか鶴丸を引くとは驚いたがな」
「まぁまぁ…それで予定通り、初期刀と初鍛刀でまずは出陣。怪我をした時点で戻ってきてもらって、手入れを学ぶ」
『なるほど。じゃあ刀装は今はなし?』
「あぁ。最初に行ってもらう戦場は、政府が用意した簡単なところだから、安心しろ。まんばの時みたいに重症で戻ってこないから」
「…主が鬼だったぞ、あの時…」
『陸奥、薬研、怪我したらすぐ撤退で』
「「お、おう…」」
刀だから、怪我は付き物と思うかもしれないけど、最初はあくまで俺に手入れの仕方を学ばせるためのもの。
なら無理に進軍する必要はない。
「陸奥守、薬研。あくまでアオに手入れを学ばせるための出陣だ。無理して進軍はするなよ。あと、わざと怪我を負う真似もするなよ」
「わかっちゅう」
「あぁ、怪我をしたらすぐに戻ってくるさ」
「今後の出陣は、怪我をしたら撤退とか、限度を決めての出陣をすればいい。あくまで今回だけだから」
『ん。わかった。…じゃあ、第一部隊、陸奥守吉行、薬研藤四郎』
「がっはっはっは!まかせちょけぇ!」
「組討なら任せとけ」
柚兄にタブレットをもらい、出陣先を確認する。
『出陣場所は函館。最初の出陣のため、怪我をしたら即撤退。隊長は陸奥守吉行』
「ワシが、長か!?おんしゃ、わかっちょるのぉ!」
『俺が手入れを学ぶための出陣だから、刀としてのお前たちはつまならいだろうけど…それでも、折れることなく、俺の元へ、この本丸へ帰還すること。これ絶対な』
「「あぁ!」」
「アオ様~!!」
と、今まで行方不明?だったこんのすけがやってきた。
『こん。おかえり。どこいたんだ?』
「ただいまでございます。政府でいろいろ手続きをしていまして、アオ様が政府へ行ってる間、本丸の確認をしていました」
『手続き?本丸の確認?』
「はい。厨の改装は既に完了しております。あと、こちらの本丸はゲートが二つございます」
「あぁ…ゲートのタイプを確認してたのか」
「左様でございます。政府や万屋街、現世に行くには先程から使われてます、こちらのゲートを使用します。出陣の際は、別のゲートを使用することになります」
『へぇ…来客が来るときのゲートは、さっきから使ってるゲート?』
「いえ、来客様がいらっしゃる場合は、玄関から見えますあちらの大きな門の前に到着されます。来客が到着したら、鈴の音が響きますので、それで来客が来たことを知らせてくれます。その時にアオ様が、本丸への入場を許可しましたら門が開くという形です」
『ふむ…じゃあ出陣のゲートは?』
「こちらです」
こんについていくと、俺の離れの逆側、本殿より少し奥のところ。
灯籠があり、その灯籠を広く囲むように、周りの四か所にも灯籠があった。
「中央の灯籠に、アオ様の霊力を流し込むことで、周りの灯籠に火が灯されます。それで出陣の準備が完了になります」
『あれ、行先の設定とかは?』
「それは出陣する隊長様に、行先の書いた紙をお渡ししていただく形になります。そしてその紙を中央の灯籠に入れていただくと、行先の設定が完了になります」
『へぇ…なんかややこしいねぇ…』
「出陣のゲートって、審神者によって違うからね…まあ、ゲートの改装は申請出したら一応できるよ。ただそのゲートが審神者に一番合ってたら難しいかもだけど」
『ふむ…紙ってなんでもいいの?』
「そうですね…アオ様の霊力が込められていれば大丈夫かと。このタイプはボクも見たことありませんので…」
「こんのすけ、遠征のゲートもここか?」
「はい。遠征の際は、遠征任務と記入していただき、行先を書いていただければ大丈夫です」
『出陣か遠征かをはっきりしとけばいいってことか』
俺は懐からメモ帳とペンを出し、霊力を込めながら文字を書く。
“出陣・函館”
『メモ帳しかなかったけど、いけるか?』
「…そうですね、霊力は込められてるようですので、大丈夫かと。
もし不具合があるようでしたら、政府に報告し、調査、確認します」
『わかった』
一応許可をもらい、それを陸奥へ渡すと、俺は中央にある灯籠へ霊力を流し込む。
すると、周りの灯籠に火が灯り、中央の灯籠には、俺の霊力が籠った火が灯った。
それを確認すると、陸奥と薬研が中央の灯籠に近づく。
「ほんじゃ、行ってくるにゃあ!」
「腕が鳴るぜ」
『二人とも、いってらっしゃい。気を付けて』
俺の言葉にニッと笑うと、陸奥は紙を灯籠へ入れる。
すると桜の花びらがぶわあぁと舞い、二人の姿は消えたのだった。
少しして、タブレットからピピっと音が鳴り、そちらを確認すると、出陣メンバーの名前と、ゲームとかにあるHPであろう、生存値が表示されていた。
「うん、ちゃんと向こうへ行けたみたいだね」
「はい、こちらに表示されている出陣先の表示も合ってますね」
「だな。タブレットで向こうの様子も見れるが、モニターを出すといろいろ動きながら確認できるぞ」
『モニター…これか?』
下の方に書かれてるモニター切り替えのボタンを押すと、俺の目の前に映像…モニターが現れた。
『これどういう仕組みなんかな…こっちの声って聞こえるの?』
「はい。向こうの声も聞こえますので、戦況を見ながら指示も出せます」
『へえ…陸奥、薬研、聞こえる?』
<!おお!アオ!聞こえちょるよ!>
<へえ、映像が出るんだな。大将達のこと見えてるぜ>
『ほー、こっちの映像も観えるんだ…今のとこどう?』
<近くに敵はいないようだ。このまま進んでみる>
『わかった』
「アオ、俺とまんばは少しでかけてくる。柚、蛍丸借りてもいいか?」
「あぁ、なるほどね。もちろん。蛍丸、お願いできるかい?」
「はーい」
『?いってらっしゃい?』
やな兄と国広、蛍丸さんが離れると、こんからの説明が入る。
「こちらのゲートは、手入れ部屋と資材置き場が近いので、負傷していてもすぐに手入れ部屋に運ぶことができます。持ち帰った資材もそのまま資材置き場へ運べますので、もし多くの資材を持ち帰った場合は、台車などもあります」
『へぇ…こん詳しいね』
「アオ様がこちらへ到着されるまでに、確認してましたので」
『ありがと。出陣してる間って、俺は何してればいいの?』
「最初のうちはモニターを見ててもいいけど、慣れてきたらいろいろ用事しながらモニターを確認したらいいよ。ずっと見て勉強もありだけど、慣れてくるとその時間を有効活用しようって審神者が多いしね」
『なるほど…』
少しすると、薬研の「敵発見」という言葉が聞こえた。
『何体?』
<短刀が2体じゃのぉ>
『…俺はまだどう指示を出したらいいかわかんない。すまんが、お前たちに任せようと思う。やれるか?』
<まかせちょけ!>
「あぁ、怪我をしたら即撤退するからな」
『よし、頼んだ』
敵に気づかれないよう、ゆっくり近づく二人。
ある程度の距離に近づくと、まずは薬研が突っ込み、その後ろに陸奥が続く。
二人に気づいた敵はすぐに戦闘態勢をとるが、一体は薬研が素早く倒し、陸奥は銃を使い倒した。
『…陸奥って刀使わんの?』
「陸奥守さんの元主さんが、坂本龍馬さんなんだけど、やっとうは時代遅れじゃきって言って、大抵は銃を使ってるよ」
「刀を使うときは、もちろんあるけど…ほとんど銃ですね…」
『へぇ…二人とも、人の体での戦闘は初だけど、大丈夫?』
<なんちゃあない>
<あぁ、問題ない。このまま進軍を続ける>
『了解』
二人が進んで行く様子を確認しながら、俺は自分なりに今後の事を考える。
厚と小夜は神の元に居た…つまり俺の事を聞いてる可能性が高い。
二人を除いて、陸奥に薬研、鶴丸だから…あと三人揃える必要がある。
あと、二人は元本丸の仲間…襲撃にあった点は触れない方がいいだろうけど、近侍の事や本丸の事、経験についてはいろいろ聞きたいから、しばらく俺の補佐か、近侍補佐みたいな事を任せてもいいかもしれん。
と、考え事してる間に、敵が見えた。
<脇差一体と短刀一体じゃ>
<大将、どうする?>
『なんか二人なら問題なく倒せそうだな…お前達に任せる』
<わかった>
<ほんじゃあ、行くぜよ!>
薬研が真っ先に向かうが、敵はこちらに気づくと、薬研の攻撃を躱し、陸奥へ向かう。
銃で対応するも、敵短刀の方が早い。
陸奥も何とか躱すが、頬を切られる。
『陸奥!』
<なんちゃあない!>
<旦那!後ろ!>
背後から迫ってきた脇差に刺された陸奥。
モニターには中傷と出た。
俺の頭に血が上り、霊力が溢れるのがわかる。
「アオ様!落ち着いてください!」
「アオ!」
薬研は短刀を倒すと、陸奥の元へ急ぐ。
<ええい…わしに抜かせたな!>
そう叫びながら肌け、刀を抜く陸奥。
そしてそのままの勢いで脇差を倒す……が、俺は思わずポカーンとしてしまい、霊力も収まる。
『…え、いきなり肌けたけど。何、あれ』
「あーあれは真剣必殺っていうやつなんだけど、中傷から重傷になるとでるんだ。大将達で言うゲームの必殺技ってやつみたいなやつだ」
『あー…そういえば、マニュアルに何か書いてあったな…なるほど、あれが……』
薬研は陸奥を心配しているが、陸奥は肌けた着物を直しながら、少し辛そうに笑っている。
『こん、帰還方法は』
「はい、現在出陣中の刀剣男士様側のモニターに、帰還要請の文字があるかと」
<帰還要請…これか>
「そちらに触れてください」
薬研がそこへ触れると、俺の方のモニターに“第一部隊・帰還要請あり”とでる。
その下に承認マークがあったから、そこに触れた。
すると、モニター向こうの二人が、行きと同じく桜に包まれ、モニターと同時に消えた。
「これでまたこちらの灯篭に部隊は帰還します」
『なるほど。陸奥は中傷…薬研も軽傷だけど怪我してるな』
モニターで改めて確認していると、中央の灯篭の周りに桜が舞い、二人が帰還する。
「はは…派手にやられてしもうたわ」
「すまん、大将…」
『?なぜ謝るかわからんけど…おかえり、陸奥、薬研。折れずに俺の元へ帰ってきてくれて、ありがとう』
俺が安心したようにそう言うと、二人は驚きながらも、少し照れて「ただいま」と言ってくれた。
神と柚兄が出て行った後、お菓子を広げ、水分を適当に選んでもらって談笑する。
『そういえば、神と刀剣らで何話してたん?』
「厚と小夜の紹介だな。あとは適当に話してたぞ。お前たちの心配もしていたが、神は俺たち刀剣の心配もしてくれるからな。本丸での事とかいろいろ話してた」
『代表直々にねぇ。あれ、代表て刀剣所持禁止なのか?』
「代表は一応、政治家みたいに投票とかで決まってなれるんだが、それ以外でもなれる方法があってな」
『え…その時のトップを暗殺してその座を奪う的な弱肉強食…?』
「アオさん…それは物騒だよ…」
「そんな物騒なやり方じゃねぇよ…。
本霊に気に入られたらなれるんだ」
『本霊…刀剣の?』
「そう。本霊に気に入られたら、投票とか関係なく代表になれるが、同時に本霊達の主になる。だからその時所持していた刀剣が居たら、政府所属の刀剣になるか、どこかの審神者の刀剣になる」
「神は政府に初めてきた時、本霊にすぐ気に入られたらしくてな。けど時の政府とか時間遡行軍とか刀剣とか、何も知らないのにいきなり代表なんてなれないって言って、最初は役員から始めたそうだ」
「その時戦闘系の部署に配属なって、俺たちが神の刀剣になったんだよ」
『へぇ…じゃあ神楽は?』
「神楽さんも、本霊に気に入られてましたけど…自分はトップとか向かないと言って、審神者になりました…神楽さんの刀剣達は、今も神楽さんの刀剣として、政府の仕事を手伝ってます…」
「んで、神さんが正式に代表やるって時に、神楽さんも会長に!って、当時の幹部やら役員らが何人も出てきて、会長してるってわけだ」
『なるほど…あの二人も大変やったんやねぇ…』
みんなでお菓子を分けながら食べるが、小夜さんが遠慮がち。
うーん…遠慮しなくていいんだけどねぇ。
『小夜さん、遠慮せず食べていいぞ』
「あ…はい…ありがとうございます…」
『あと、まだちゃんと俺の刀剣になったわけじゃないけど、俺に敬語はいらない。様付けも苦手だから、気軽にアオって呼んでほしい。
これは、厚さんにも言えるし、今後俺の刀剣になってくれる刀達にも言えることだ』
「え…」
『まぁこんのすけは無理だろうなぁて思って、せめてアオ様にしてもらってるんだけどな。薬研の大将呼びは気にならないからいいけど、主って呼ばれるより、審神者名でも名前で呼ばれたいんだよ』
笑いながら隣に居る小夜さんの頭を撫でれば、少し桜を舞わせていた。
いやぁ可愛いな。
「…それがあなたの望みなら、わかった…」
「あぁ!」
『ありがとな』
小夜さんと厚さんに了承してもらえたところで、神と柚兄が戻ってきた。
意外と早いな。
『おかえり、早かったね』
「神がその場で確認のハンコとかしたからね…。本来は早くてももうちょいかかるよ」
「後日でもいいんだが、その間にこいつらに任務任せちまいそうだしな。手っ取り早く終わらせた」
『任務入らない様に、それこそ権限使ったらいいんじゃない?』
「今までそうしてたけど、一応俺の刀剣でありながら、政府の刀剣でもあるからな…仕事が入っちまえば、先約がない限り任務は受けないといけねぇんだよ」
「それでさっさと手順を飛ばして、二振りをアオの刀剣に登録したったこと」
『なるほど』
お菓子を食べると、神も柚兄も席に戻ると、神から注意事項を説明される。
①再契約すると、練度は最初に戻るが、今までの知識や経験がなくなるわけじゃない
②霊力が馴染むまでは、ぎこちないだろうが、人の体に慣れてる分、感覚をすぐに掴むだろうから、すぐに普通と変わらなくなる
③神の元で働いていたのもあり、他の刀剣より、体術には自信があるだろう
と、これくらいだった。
『ふむ…体術に自信ありか』
「あぁ。もちろん、俺の元に居た山姥切も来派も得意だ。時間あるとき、お前も相手してもらえばいい。まあ…風雅に鍛えられてたお前には物足りないだろうが」
『物足りないかどうかは置いといて…刀剣男士だから、体術は苦手、もしくは無理かと思ってた』
「刀剣男士だからってできないわけじゃねぇよ。まあ苦手なやつも居るだろうが…」
『つまり教えれば出来るようになる…ふむ、やりたい子がいるなら教えよう』
俺は少しわくわくしながら、買ってきたペットボトルの緑茶を飲んだ。
『話は終わりかい?』
「あぁ、あと。これ」
神は懐からパスケースサイズの手帳みたいなやつを出し、俺に投げた。
普通にキャッチし、首をかしげながら中を見ると、俺の顔写真付きのカードが入っていた。
「お前のIDカードな。もう一つのポケットには通行証でも入れとけ。
通行証とIDカードは二つで一つのセットと思っとけ。一応どちらも、失くしたら再発行は出来るが、IDカードは時間もかかってめんどくせえからな…」
「しかも失くした理由によっては、罰金とかもあるからね…」
『気を付けます』
「あ、神さん。俺らが使ってた端末はどうしたらいいんだ?」
「あぁ、そのまま使ってていいぞ。連絡先も俺と神楽、戦闘系の部署、ブラック本丸対策課とか、一部だけだろ?
今後お前たちに任務の連絡は行かない様にするが、何かあれば連絡すればいい」
「わかりました…」
『?二人はケータイもってんの?』
「あぁ、政府所属の刀剣は、パートナーと居る事がほとんどだが、離れてるときの連絡用に一振りずつ持たせてる」
『ほー。俺んとこも慣れてきたら何振りかに持たせようかな…』
「金銭に余裕できてからにしろよ。支払いは審神者なんだしな」
『oh…』
確かに…貯金もあるとはいえ、毎月の支払となると、すぐに底をつきそうだ。
「さて…話は以上だ。何かあれば連絡するし、お前も連絡してきたらいい」
『ん。ありがとう』
「厚、小夜、アオを頼むぞ」
「任せとけ!」
「うん…」
「じゃあ、アオ。再契約しようか」
柚兄の言葉に頷くと、厚藤四郎と小夜左文字が刀に戻る。
二振りを手に持ち、霊力を流し込むと、桜の花びらが舞う。
「よっ……と。オレは、厚藤四郎。兄弟の中だと鎧通しに分類されるんだ」
「僕は小夜左文字。あなたは……誰かに復讐を望むのか……?」
『改めまして、俺は新人審神者のアオ。さっき言ったように、俺のことはアオと呼んでくれ。よろしくな』
「あぁ!よろしくな!」
「よろしく、お願いします…」
無事、二人が俺の刀剣になると、神は安心したように笑っていた。
「よし、行ってこい」
『ん。神楽によろしくね』
残ったお菓子の一部を神楽に渡すよう、神に頼み、俺たちは昨日使ったゲートで、俺の本丸へ向かった。
本丸につく頃には、お昼前…でもお昼にはまだ早い時間だった。
お菓子も食べたしね!
「さて…まずはいろいろ知るために、出陣から始めてもらうが、陸奥守と薬研の二振りで行ってもらう」
『え、二人だけ?』
「昨日も言ったけど、本来は初期刀だけで出陣して、その怪我を治す研修として、手入れをするというのが手順なんだけど、一振りだけで行かせてアオを悲しませたくないから、初鍛刀と出陣させようとしてたんだ」
「あぁ。だがどっかのバカが資源を渡してたみたいでな…そんで、アオが勝手に鍛刀したんだよ。まさか鶴丸を引くとは驚いたがな」
「まぁまぁ…それで予定通り、初期刀と初鍛刀でまずは出陣。怪我をした時点で戻ってきてもらって、手入れを学ぶ」
『なるほど。じゃあ刀装は今はなし?』
「あぁ。最初に行ってもらう戦場は、政府が用意した簡単なところだから、安心しろ。まんばの時みたいに重症で戻ってこないから」
「…主が鬼だったぞ、あの時…」
『陸奥、薬研、怪我したらすぐ撤退で』
「「お、おう…」」
刀だから、怪我は付き物と思うかもしれないけど、最初はあくまで俺に手入れの仕方を学ばせるためのもの。
なら無理に進軍する必要はない。
「陸奥守、薬研。あくまでアオに手入れを学ばせるための出陣だ。無理して進軍はするなよ。あと、わざと怪我を負う真似もするなよ」
「わかっちゅう」
「あぁ、怪我をしたらすぐに戻ってくるさ」
「今後の出陣は、怪我をしたら撤退とか、限度を決めての出陣をすればいい。あくまで今回だけだから」
『ん。わかった。…じゃあ、第一部隊、陸奥守吉行、薬研藤四郎』
「がっはっはっは!まかせちょけぇ!」
「組討なら任せとけ」
柚兄にタブレットをもらい、出陣先を確認する。
『出陣場所は函館。最初の出陣のため、怪我をしたら即撤退。隊長は陸奥守吉行』
「ワシが、長か!?おんしゃ、わかっちょるのぉ!」
『俺が手入れを学ぶための出陣だから、刀としてのお前たちはつまならいだろうけど…それでも、折れることなく、俺の元へ、この本丸へ帰還すること。これ絶対な』
「「あぁ!」」
「アオ様~!!」
と、今まで行方不明?だったこんのすけがやってきた。
『こん。おかえり。どこいたんだ?』
「ただいまでございます。政府でいろいろ手続きをしていまして、アオ様が政府へ行ってる間、本丸の確認をしていました」
『手続き?本丸の確認?』
「はい。厨の改装は既に完了しております。あと、こちらの本丸はゲートが二つございます」
「あぁ…ゲートのタイプを確認してたのか」
「左様でございます。政府や万屋街、現世に行くには先程から使われてます、こちらのゲートを使用します。出陣の際は、別のゲートを使用することになります」
『へぇ…来客が来るときのゲートは、さっきから使ってるゲート?』
「いえ、来客様がいらっしゃる場合は、玄関から見えますあちらの大きな門の前に到着されます。来客が到着したら、鈴の音が響きますので、それで来客が来たことを知らせてくれます。その時にアオ様が、本丸への入場を許可しましたら門が開くという形です」
『ふむ…じゃあ出陣のゲートは?』
「こちらです」
こんについていくと、俺の離れの逆側、本殿より少し奥のところ。
灯籠があり、その灯籠を広く囲むように、周りの四か所にも灯籠があった。
「中央の灯籠に、アオ様の霊力を流し込むことで、周りの灯籠に火が灯されます。それで出陣の準備が完了になります」
『あれ、行先の設定とかは?』
「それは出陣する隊長様に、行先の書いた紙をお渡ししていただく形になります。そしてその紙を中央の灯籠に入れていただくと、行先の設定が完了になります」
『へぇ…なんかややこしいねぇ…』
「出陣のゲートって、審神者によって違うからね…まあ、ゲートの改装は申請出したら一応できるよ。ただそのゲートが審神者に一番合ってたら難しいかもだけど」
『ふむ…紙ってなんでもいいの?』
「そうですね…アオ様の霊力が込められていれば大丈夫かと。このタイプはボクも見たことありませんので…」
「こんのすけ、遠征のゲートもここか?」
「はい。遠征の際は、遠征任務と記入していただき、行先を書いていただければ大丈夫です」
『出陣か遠征かをはっきりしとけばいいってことか』
俺は懐からメモ帳とペンを出し、霊力を込めながら文字を書く。
“出陣・函館”
『メモ帳しかなかったけど、いけるか?』
「…そうですね、霊力は込められてるようですので、大丈夫かと。
もし不具合があるようでしたら、政府に報告し、調査、確認します」
『わかった』
一応許可をもらい、それを陸奥へ渡すと、俺は中央にある灯籠へ霊力を流し込む。
すると、周りの灯籠に火が灯り、中央の灯籠には、俺の霊力が籠った火が灯った。
それを確認すると、陸奥と薬研が中央の灯籠に近づく。
「ほんじゃ、行ってくるにゃあ!」
「腕が鳴るぜ」
『二人とも、いってらっしゃい。気を付けて』
俺の言葉にニッと笑うと、陸奥は紙を灯籠へ入れる。
すると桜の花びらがぶわあぁと舞い、二人の姿は消えたのだった。
少しして、タブレットからピピっと音が鳴り、そちらを確認すると、出陣メンバーの名前と、ゲームとかにあるHPであろう、生存値が表示されていた。
「うん、ちゃんと向こうへ行けたみたいだね」
「はい、こちらに表示されている出陣先の表示も合ってますね」
「だな。タブレットで向こうの様子も見れるが、モニターを出すといろいろ動きながら確認できるぞ」
『モニター…これか?』
下の方に書かれてるモニター切り替えのボタンを押すと、俺の目の前に映像…モニターが現れた。
『これどういう仕組みなんかな…こっちの声って聞こえるの?』
「はい。向こうの声も聞こえますので、戦況を見ながら指示も出せます」
『へえ…陸奥、薬研、聞こえる?』
<!おお!アオ!聞こえちょるよ!>
<へえ、映像が出るんだな。大将達のこと見えてるぜ>
『ほー、こっちの映像も観えるんだ…今のとこどう?』
<近くに敵はいないようだ。このまま進んでみる>
『わかった』
「アオ、俺とまんばは少しでかけてくる。柚、蛍丸借りてもいいか?」
「あぁ、なるほどね。もちろん。蛍丸、お願いできるかい?」
「はーい」
『?いってらっしゃい?』
やな兄と国広、蛍丸さんが離れると、こんからの説明が入る。
「こちらのゲートは、手入れ部屋と資材置き場が近いので、負傷していてもすぐに手入れ部屋に運ぶことができます。持ち帰った資材もそのまま資材置き場へ運べますので、もし多くの資材を持ち帰った場合は、台車などもあります」
『へぇ…こん詳しいね』
「アオ様がこちらへ到着されるまでに、確認してましたので」
『ありがと。出陣してる間って、俺は何してればいいの?』
「最初のうちはモニターを見ててもいいけど、慣れてきたらいろいろ用事しながらモニターを確認したらいいよ。ずっと見て勉強もありだけど、慣れてくるとその時間を有効活用しようって審神者が多いしね」
『なるほど…』
少しすると、薬研の「敵発見」という言葉が聞こえた。
『何体?』
<短刀が2体じゃのぉ>
『…俺はまだどう指示を出したらいいかわかんない。すまんが、お前たちに任せようと思う。やれるか?』
<まかせちょけ!>
「あぁ、怪我をしたら即撤退するからな」
『よし、頼んだ』
敵に気づかれないよう、ゆっくり近づく二人。
ある程度の距離に近づくと、まずは薬研が突っ込み、その後ろに陸奥が続く。
二人に気づいた敵はすぐに戦闘態勢をとるが、一体は薬研が素早く倒し、陸奥は銃を使い倒した。
『…陸奥って刀使わんの?』
「陸奥守さんの元主さんが、坂本龍馬さんなんだけど、やっとうは時代遅れじゃきって言って、大抵は銃を使ってるよ」
「刀を使うときは、もちろんあるけど…ほとんど銃ですね…」
『へぇ…二人とも、人の体での戦闘は初だけど、大丈夫?』
<なんちゃあない>
<あぁ、問題ない。このまま進軍を続ける>
『了解』
二人が進んで行く様子を確認しながら、俺は自分なりに今後の事を考える。
厚と小夜は神の元に居た…つまり俺の事を聞いてる可能性が高い。
二人を除いて、陸奥に薬研、鶴丸だから…あと三人揃える必要がある。
あと、二人は元本丸の仲間…襲撃にあった点は触れない方がいいだろうけど、近侍の事や本丸の事、経験についてはいろいろ聞きたいから、しばらく俺の補佐か、近侍補佐みたいな事を任せてもいいかもしれん。
と、考え事してる間に、敵が見えた。
<脇差一体と短刀一体じゃ>
<大将、どうする?>
『なんか二人なら問題なく倒せそうだな…お前達に任せる』
<わかった>
<ほんじゃあ、行くぜよ!>
薬研が真っ先に向かうが、敵はこちらに気づくと、薬研の攻撃を躱し、陸奥へ向かう。
銃で対応するも、敵短刀の方が早い。
陸奥も何とか躱すが、頬を切られる。
『陸奥!』
<なんちゃあない!>
<旦那!後ろ!>
背後から迫ってきた脇差に刺された陸奥。
モニターには中傷と出た。
俺の頭に血が上り、霊力が溢れるのがわかる。
「アオ様!落ち着いてください!」
「アオ!」
薬研は短刀を倒すと、陸奥の元へ急ぐ。
<ええい…わしに抜かせたな!>
そう叫びながら肌け、刀を抜く陸奥。
そしてそのままの勢いで脇差を倒す……が、俺は思わずポカーンとしてしまい、霊力も収まる。
『…え、いきなり肌けたけど。何、あれ』
「あーあれは真剣必殺っていうやつなんだけど、中傷から重傷になるとでるんだ。大将達で言うゲームの必殺技ってやつみたいなやつだ」
『あー…そういえば、マニュアルに何か書いてあったな…なるほど、あれが……』
薬研は陸奥を心配しているが、陸奥は肌けた着物を直しながら、少し辛そうに笑っている。
『こん、帰還方法は』
「はい、現在出陣中の刀剣男士様側のモニターに、帰還要請の文字があるかと」
<帰還要請…これか>
「そちらに触れてください」
薬研がそこへ触れると、俺の方のモニターに“第一部隊・帰還要請あり”とでる。
その下に承認マークがあったから、そこに触れた。
すると、モニター向こうの二人が、行きと同じく桜に包まれ、モニターと同時に消えた。
「これでまたこちらの灯篭に部隊は帰還します」
『なるほど。陸奥は中傷…薬研も軽傷だけど怪我してるな』
モニターで改めて確認していると、中央の灯篭の周りに桜が舞い、二人が帰還する。
「はは…派手にやられてしもうたわ」
「すまん、大将…」
『?なぜ謝るかわからんけど…おかえり、陸奥、薬研。折れずに俺の元へ帰ってきてくれて、ありがとう』
俺が安心したようにそう言うと、二人は驚きながらも、少し照れて「ただいま」と言ってくれた。