龍神が審神者になる?
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※※この話から、主人公アオのセリフは『』にします。突然の変更申し訳ありません※※
――柳side――
「…じ…」
「ん…」
「主、朝だぞ」
「…ん~……ぁ?国広…?」
「あぁ」
「あー…目覚まし忘れてた…すまん」
「気にするな。それより、もう朝餉できるぞ。アオ起こして来い」
「おー………って、道理で温いわけだ」
国広…まんばに起こしてもらい、布団をめくると、アオが俺の布団に潜り込み、俺に抱き着いて寝ていた。
そりゃ温くて余計寝るわ。
「ん?そういや柚は?」
「柚と柚の厚は一度政府に行くと言っていた。アオの本丸に行くとき戻ってなかったら、連絡いれてくれと言っていたぞ」
「そうか。わかった」
まんばが部屋を出ていくのを見送ると、アオを起こすため揺するが…なかなか起きない。
最近またちゃんと寝ていなかったか?
「アオ、起きろ。朝だ」
『ん~…』
「アオ」
『ん…ま、だ……』
「起きろ。朝餉食わねえの?」
『や…ん、おきる…』
ちゃんと起きていないが、なんとか起こし、布団の上から退かせる。
座ったまままた寝そうだな……とりあえず布団を畳んで、寝巻だが先に朝餉に行くか…。
アオを立たせ、背を押してやれば、半目になりながらも歩き出す。
『ふぁあ~…』と大きな欠伸をしながら背伸び…少しは起きたか。
「起きたか?」
『ん…なんとか…やな兄温くて…』
「俺はお前が温かったと思うけど。相変わらず温いなお前」
『肉体は15やし…子供体温かと…』
「で、相変わらず寒がり、と」
アオは極端に寒いのと暑いのが苦手みたいで、真冬と真夏はだいたいダウンしている。
ただ寒さの方が弱いらしく、少しでも寒いと感じると、夏場でもパーカーを羽織ってた。
あとは少しでも日焼けしないようにらしいけど。
大広間につく頃には、アオも目が覚めていた。
刀剣達は揃って俺らを待っていた。
「おはよう、主、アオ。よく寝ていたみたいだね」
「はよ。悪いな遅れて。起きたらアオが布団に潜り込んでてな…」
『おはようございます。すみません…やな兄が温くて快適でした』
「わ、分かります。主様の懐は、温かくて、落ち着きます…!」
「はい!顕現したての頃、寝るというのがよくわからなくて困っていたら、主君が一緒に寝てくれました!」
「そういえば、俺も安定も、眠れない時は主が頭撫でてくれたんだよね」
「うんうん、気づいたら朝になってたからびっくりしたよ」
『やな兄相変わらず寝かせるの上手いんだね』
「お前や柚が居たしな…つか、俺も風雅達からしてもらったり教えてもらったからな」
「あれ?柚さんにもしてたの?」
「あぁ。体弱くて、昔はよくせき込んでなかなか寝付けない時もあったしな。たまにやってた」
『へぇ…そういえば、陸奥と薬研、鶴丸は寝れた?今の皆の話を聞くと、寝るとかいろいろ分からないみたいだけど』
「いやぁ…昨日はいつの間にか寝ちょってのぉ…」
「あぁ…少し頭も痛いな…」
「鶴さん達に関しては、お酒の力で寝れたんだろうね。薬研君はどうだった?」
「あー…確かによくわからなかったな。けど周りが教えてくれたから、なんとか寝れたな」
「ま、昨日はたいして何もしてないからな。体を動かせば、自然と眠くなることも覚えていくだろう。よし、食うか」
俺が号令をかけると、みんなもいただきます!と手を合わせて朝餉を食べ始める。
今日は和食だ。
『…やっぱ人の体初めてだし、いろいろ分からん感じかな…』
「だろうな。俺のとこもだいたいはそうだし…まんばは最初から慣れてたけどな」
「あんたの見て覚えたからな」
「ボクも主さんの真似したりしたよ!よくわからない時は教えてもらったの!それからボクと山姥切さんで、みんなにも教えていったんだ!」
『なるほど。あれ、じゃあ昨日の夕餉の時、三人ともお箸とか分からなかったんじゃ…』
「あぁ、乱と山姥切が教えてくれたから大丈夫だったぜ、大将」
『ごめん、三人とも…乱さんに国広も。俺が教えないといけないのに…』
「気にするな」
「そうだよ!それに昨日の主役はアオさんだったんだもん!ボクらが手助けできることはやるから!」
『ダメ人間製造機…ありがとうございます』
「俺もまんばと乱には特に頼っちまうんだよな…初期組の中の初期組だし」
さて、ゆっくり朝餉を食べ終わり、アオには離れに戻ってもらい、風呂と用意を済ませとくよう言った。
俺は今日の予定を皆に伝える。
「よし、じゃあ今日の予定な。
俺はアオの指導で本丸を空ける。夕餉までには戻ると思うから、内番と遠征を頼む。何かあれば連絡してこい。
あと、今日は乱も連れてく」
「え、ボク?」
「朝餉の時、お前たちの感覚の話したろ?お前なら一番わかってるだろうし、分かりやすく教えれると思うからな」
「確かに。山姥切は時々感覚的になるからな…乱ならいろいろ教えれるでしょう」
「そーね。俺も乱にはいろいろ教えてもらったし。山姥切は確かに感覚的に説明する時があるからね」
「まあそれもあるが、時間が取れれば、まんばにしてもらうこともあるからな。二人のうちどちらかは、できるだけ俺の近くに居てもらうつもりだ。乱、頼めるか?」
「うん、任せて!ボク頑張るよ!」
「よし。じゃ、解散。まんばと乱は行く準備を頼む。アオのとこの三人は、自由にしていて構わない。準備が終われば向かうから、玄関かゲート近くにはいるようにな」
それぞれから返事を聞き、俺も離れに戻る。
部屋に入る前にノックをすると、入って大丈夫とアオからの許可が聞こえ、中へ入る。
「お、準備終わってるな」
『うん、やな兄も風呂入ってきたら?』
「そうしたいけど、今入ると時間かかっちまうからな…諦める。
とりあえず着替えたり準備するから、お前は玄関かゲート近くに行ってな」
『ん』
アオが部屋から出ていくのを見送り、着流しに着替え、刀を帯刀する。
昨日は卒業式ってのもあったから、刀は持っていかなかったが、普段から一応持ち歩いてる。
あと、アオに渡すつもりで用意してた、昨日飲んだ抹茶ミルクの元、一応タバコと、財布、スマホ…くらいか。
それを持って、玄関へ。
アオとアオの刀剣、まんば、乱が準備万端と待っていた。
見送りも来ており、みんなと話していた。
「待たせた」
『大丈夫、話してたし』
「んじゃ、行くか……ん?」
草履を履き、よし出発って時に、スマホが鳴り出した。
柚からの着信だった。
<おはよう、柳。今アオの本丸?>
「はよ。…すまん、まだ俺の本丸だ」
<あ、そうなんだ。なら丁度良かった>
「ん?」
<神さんが、アオに用があるみたいでね。一度政府に来てもらえると助かる>
「神が?…わかった。どこへ行けばいい?」
<俺らの部署があるフロアに来てくれれば大丈夫。あ、アオに受付のこと教えてあげてね>
「了解。んじゃ、後でな」
俺は電話を切ると、ため息をつく。
『?柚兄?』
「あぁ。神がアオに用があるらしくてな。政府に来てほしいってよ」
「神、っちゅうと…昨日アオの霊力測定しとった時にきた、アオの家族やったにゃあ」
「そうそう。アオに用って……権限使った何かじゃないだろうな…。
とりあえず政府向かうが…薬研、悪いが政府に入る時と出るとき、刀に戻ってアオの懐に居てくれないか?」
「何かあるのか?」
「政府にお供していい刀剣は二振りまでなんだよ!でも懐に入れてる刀剣は数えられないんだ。護身用に自分の刀剣帯刀してる人もいるからね」
「事前に申請してたら、問題ないんだが…申請してるかわかんねぇからな…悪い」
「なるほどな。わかった。大将、預けたぜ」
『ん、後でね』
薬研はアオへ本体を渡すと、刀に戻った。
自然に懐へ入れたアオを確認し、ゲートへ行き横のパネルに通行証を翳す。
行先を政府に設定し、見送りにきた刀剣達に振り替える。
「んじゃ、行ってくる」
「いってらっしゃい」
「アオさん、いつでも遊びにきてくださいね」
『ありがとうございます。お邪魔しました、また来ます』
「主、何かあれば連絡してね」
「おう」
「世話になったにゃあ!」
「またな!」
それぞれ挨拶し、ゲートを開けると進んでいく。
少しすると、政府の入口につく。
『あれ、昨日のゲートじゃないんだ』
「あぁ、基本的に受付通さないといけなくてな。俺らのように審神者をしながらどこかの部署に所属してる奴は、受け付け通さなくてもいいが、会議の時や指示が来てるときは通らないといけない。
今回はお前に受付のことも説明するからな」
『へぇ』
「で、入口の自動ドアを通って右側、そこが審神者の受付。左側は政府所属の奴の受付」
『俺らは?』
「政府所属の審神者だが、俺らは一応審神者が本職だしな。右側だ。会議の時は混雑するときもあるから、そん時は左側も使える」
自動ドアを通り、右側にある受付に向かい、通行証とは別のIDを受付のおねーさんに渡す。
「担当官の柚に呼ばれてきました。確認お願いします」
「かしこまりました、少々お待ちください。……審神者名・柳様、ID確認…はい、確認できました。そちらの審神者様はアオ様でお間違いないでしょうか?」
『あ、はい。アオです』
「ありがとうございます。アオ様はまだIDカードを発行されてませんので、通行証で受付させていただきますね」
俺は自分のIDを受け取り仕舞う。
アオは通行証を出すと、おねーさんに渡し、受け付けしてもらう。
「……はい、アオ様も確認できました。ありがとうございます。
担当官の柚さんからは、行先は伝えてあると伺っておりますが…」
「はい、把握してます」
「かしこまりました。ではお進みください」
「ありがとうございます」
『ありがとうございます』
アオは通行証を受け取り仕舞うと、俺の後ろについてくる。
奥にあるエレベーターに向かいながら、説明していく。
「さっき俺が受付に渡したやつ、あれはIDカード。審神者の登録証であり、身分証の役割をする。通行証もIDは付いてるが、あくまで通行用だから、受付での身分証確認にはならない。
もし政府に来るとき忘れたら、通行証と、入館許可の書類を書いて、それで確認してくれるが、時間はかかる」
『レンタルショップの会員カードみたいな感じかぁ』
「身分証の価値が一気に下がったな…。
で、このIDカード、演練の時も要るが、ただ演練では、忘れたら政府みたいに通行証と書類での受付、ってのは出来ない。必ずIDカードが要るから気を付けろ」
「忘れたら取りに帰らないといけないからな。たまに演練でそんな審神者を見かける」
「へぇ。そういえば、刀剣男士だけで政府に入ることはできるのかい?」
「自分の審神者が居ないと来る理由もないだろうに…まあ出来るぜ。政府所属の刀剣男士も居るしな。自分の審神者が政府に来てて、連絡手段もない場合。急ぎ連絡取りたいって時は、さっきの受付で審神者名と所属国、あと覚えているなら、本丸ID…番号を伝えればいい。確認して連絡してくれるはずだから」
「なるほどな」
「んで…受付通ったら、奥にエレベーターがあるから、そこから目的地の階へ行く。行けない階もあるから、確認してから乗れよ」
エレベーターのスイッチを押すと、すぐに扉が開いたため乗り込む。
全員乗ると、行先のボタンを押し、扉を閉める。
動き出したエレベーターの壁に凭れかかり、煙草を取り出し…。
『やな兄、ここエレベーター』
「……そうだった…」
「柳は煙草吸いよるがか」
「主さん、本丸だとけっこう吸ってるもんね」
「喫煙所があればそこでも吸ってるな」
「そうだな…ちっ、吸いてえ…」
「お、止まったぞ」
鶴丸の声に、壁から背を離し、開いた扉から外へ出ると、柚と柚の刀剣、蛍丸が居た。
「お、きたきた。おはよ、みんな」
「おはようございまーす」
『おはよう、柚兄、蛍丸さん』
「はよ…柚、一服してきていいか」
「あー…昨日そんな吸えなかったからね…いいよ。あと、喫煙可の応接室使うから」
「おー…」
エレベーター近くの喫煙所に入り、煙草に火をつける。
あー…生き返る…。
外の会話を聞きながら、ゆっくり吸う。
『そういえば、厚さんじゃないんだ』
「うん、今日は訓練の日だからね」
「今日の近侍は俺、蛍丸でーす」
『久しぶりだね、蛍丸さん』
「だね」
「ところで、薬研さんは?本丸?」
「政府にお供していい刀剣は二振りだけだから、薬研には懐に入ってもらってるの」
「あぁ…柳に言い忘れてた…アオの刀剣、三振り連れてくる許可もらってたのに…顕現して大丈夫だよ」
『マジか。薬研藤四郎』
「昨日ぶりだな、柚の旦那」
「そうですね。すみません、申請だしてたのに伝え忘れてしまって…」
「気にしてないさ」
「柚は早くから政府に戻ったんだな」
「はい、着替えとかしてから、少し仕事してました。アオ、後で昨日の報告書返すね」
『はーい』
あー…申請だしてたか。
薬研に悪いことしたか…ボーっと聞きながら、煙草を吸い終わると、灰皿に捨て、外へ行く。
「悪い。生き返った」
「だろうね。じゃ、行こうか」
「神は来てるのか?」
「たぶん、先についてると思うよ」
柚に案内してもらった応接室は、俺らの部署と連携してる部署がたまに使う、大きめの部屋だった。
柚がノックすると、中から「どうぞー」と聞こえる。
「失礼します。神さん、アオ来ましたよ」
「おう、さんきゅー」
窓を開け、携帯灰皿片手に煙草を吸ってる神。入口から離れたところで吸ってるのは、柚に配慮してだ。
「アオ、柚と柳と三人で、人数分の水分買ってきてくれ」
『いいけど、どこで?』
「政府内に、何か所かコンビニあるから。あ、あと二振り来るから、そいつらのも。柳、俺の煙草、カートンで頼む」
「来て早々パシリか…」
「まぁそう言うな。財布渡すから、俺の金で買ってこい。
お前もカートン買っていいし。アオも柚も気になった菓子とかあれば買っていいぞ」
『よし任せろ』
「単純だね…」
神から財布を預かると、俺ら三兄弟でコンビニへ向かったのだった。
――柳side――
「…じ…」
「ん…」
「主、朝だぞ」
「…ん~……ぁ?国広…?」
「あぁ」
「あー…目覚まし忘れてた…すまん」
「気にするな。それより、もう朝餉できるぞ。アオ起こして来い」
「おー………って、道理で温いわけだ」
国広…まんばに起こしてもらい、布団をめくると、アオが俺の布団に潜り込み、俺に抱き着いて寝ていた。
そりゃ温くて余計寝るわ。
「ん?そういや柚は?」
「柚と柚の厚は一度政府に行くと言っていた。アオの本丸に行くとき戻ってなかったら、連絡いれてくれと言っていたぞ」
「そうか。わかった」
まんばが部屋を出ていくのを見送ると、アオを起こすため揺するが…なかなか起きない。
最近またちゃんと寝ていなかったか?
「アオ、起きろ。朝だ」
『ん~…』
「アオ」
『ん…ま、だ……』
「起きろ。朝餉食わねえの?」
『や…ん、おきる…』
ちゃんと起きていないが、なんとか起こし、布団の上から退かせる。
座ったまままた寝そうだな……とりあえず布団を畳んで、寝巻だが先に朝餉に行くか…。
アオを立たせ、背を押してやれば、半目になりながらも歩き出す。
『ふぁあ~…』と大きな欠伸をしながら背伸び…少しは起きたか。
「起きたか?」
『ん…なんとか…やな兄温くて…』
「俺はお前が温かったと思うけど。相変わらず温いなお前」
『肉体は15やし…子供体温かと…』
「で、相変わらず寒がり、と」
アオは極端に寒いのと暑いのが苦手みたいで、真冬と真夏はだいたいダウンしている。
ただ寒さの方が弱いらしく、少しでも寒いと感じると、夏場でもパーカーを羽織ってた。
あとは少しでも日焼けしないようにらしいけど。
大広間につく頃には、アオも目が覚めていた。
刀剣達は揃って俺らを待っていた。
「おはよう、主、アオ。よく寝ていたみたいだね」
「はよ。悪いな遅れて。起きたらアオが布団に潜り込んでてな…」
『おはようございます。すみません…やな兄が温くて快適でした』
「わ、分かります。主様の懐は、温かくて、落ち着きます…!」
「はい!顕現したての頃、寝るというのがよくわからなくて困っていたら、主君が一緒に寝てくれました!」
「そういえば、俺も安定も、眠れない時は主が頭撫でてくれたんだよね」
「うんうん、気づいたら朝になってたからびっくりしたよ」
『やな兄相変わらず寝かせるの上手いんだね』
「お前や柚が居たしな…つか、俺も風雅達からしてもらったり教えてもらったからな」
「あれ?柚さんにもしてたの?」
「あぁ。体弱くて、昔はよくせき込んでなかなか寝付けない時もあったしな。たまにやってた」
『へぇ…そういえば、陸奥と薬研、鶴丸は寝れた?今の皆の話を聞くと、寝るとかいろいろ分からないみたいだけど』
「いやぁ…昨日はいつの間にか寝ちょってのぉ…」
「あぁ…少し頭も痛いな…」
「鶴さん達に関しては、お酒の力で寝れたんだろうね。薬研君はどうだった?」
「あー…確かによくわからなかったな。けど周りが教えてくれたから、なんとか寝れたな」
「ま、昨日はたいして何もしてないからな。体を動かせば、自然と眠くなることも覚えていくだろう。よし、食うか」
俺が号令をかけると、みんなもいただきます!と手を合わせて朝餉を食べ始める。
今日は和食だ。
『…やっぱ人の体初めてだし、いろいろ分からん感じかな…』
「だろうな。俺のとこもだいたいはそうだし…まんばは最初から慣れてたけどな」
「あんたの見て覚えたからな」
「ボクも主さんの真似したりしたよ!よくわからない時は教えてもらったの!それからボクと山姥切さんで、みんなにも教えていったんだ!」
『なるほど。あれ、じゃあ昨日の夕餉の時、三人ともお箸とか分からなかったんじゃ…』
「あぁ、乱と山姥切が教えてくれたから大丈夫だったぜ、大将」
『ごめん、三人とも…乱さんに国広も。俺が教えないといけないのに…』
「気にするな」
「そうだよ!それに昨日の主役はアオさんだったんだもん!ボクらが手助けできることはやるから!」
『ダメ人間製造機…ありがとうございます』
「俺もまんばと乱には特に頼っちまうんだよな…初期組の中の初期組だし」
さて、ゆっくり朝餉を食べ終わり、アオには離れに戻ってもらい、風呂と用意を済ませとくよう言った。
俺は今日の予定を皆に伝える。
「よし、じゃあ今日の予定な。
俺はアオの指導で本丸を空ける。夕餉までには戻ると思うから、内番と遠征を頼む。何かあれば連絡してこい。
あと、今日は乱も連れてく」
「え、ボク?」
「朝餉の時、お前たちの感覚の話したろ?お前なら一番わかってるだろうし、分かりやすく教えれると思うからな」
「確かに。山姥切は時々感覚的になるからな…乱ならいろいろ教えれるでしょう」
「そーね。俺も乱にはいろいろ教えてもらったし。山姥切は確かに感覚的に説明する時があるからね」
「まあそれもあるが、時間が取れれば、まんばにしてもらうこともあるからな。二人のうちどちらかは、できるだけ俺の近くに居てもらうつもりだ。乱、頼めるか?」
「うん、任せて!ボク頑張るよ!」
「よし。じゃ、解散。まんばと乱は行く準備を頼む。アオのとこの三人は、自由にしていて構わない。準備が終われば向かうから、玄関かゲート近くにはいるようにな」
それぞれから返事を聞き、俺も離れに戻る。
部屋に入る前にノックをすると、入って大丈夫とアオからの許可が聞こえ、中へ入る。
「お、準備終わってるな」
『うん、やな兄も風呂入ってきたら?』
「そうしたいけど、今入ると時間かかっちまうからな…諦める。
とりあえず着替えたり準備するから、お前は玄関かゲート近くに行ってな」
『ん』
アオが部屋から出ていくのを見送り、着流しに着替え、刀を帯刀する。
昨日は卒業式ってのもあったから、刀は持っていかなかったが、普段から一応持ち歩いてる。
あと、アオに渡すつもりで用意してた、昨日飲んだ抹茶ミルクの元、一応タバコと、財布、スマホ…くらいか。
それを持って、玄関へ。
アオとアオの刀剣、まんば、乱が準備万端と待っていた。
見送りも来ており、みんなと話していた。
「待たせた」
『大丈夫、話してたし』
「んじゃ、行くか……ん?」
草履を履き、よし出発って時に、スマホが鳴り出した。
柚からの着信だった。
<おはよう、柳。今アオの本丸?>
「はよ。…すまん、まだ俺の本丸だ」
<あ、そうなんだ。なら丁度良かった>
「ん?」
<神さんが、アオに用があるみたいでね。一度政府に来てもらえると助かる>
「神が?…わかった。どこへ行けばいい?」
<俺らの部署があるフロアに来てくれれば大丈夫。あ、アオに受付のこと教えてあげてね>
「了解。んじゃ、後でな」
俺は電話を切ると、ため息をつく。
『?柚兄?』
「あぁ。神がアオに用があるらしくてな。政府に来てほしいってよ」
「神、っちゅうと…昨日アオの霊力測定しとった時にきた、アオの家族やったにゃあ」
「そうそう。アオに用って……権限使った何かじゃないだろうな…。
とりあえず政府向かうが…薬研、悪いが政府に入る時と出るとき、刀に戻ってアオの懐に居てくれないか?」
「何かあるのか?」
「政府にお供していい刀剣は二振りまでなんだよ!でも懐に入れてる刀剣は数えられないんだ。護身用に自分の刀剣帯刀してる人もいるからね」
「事前に申請してたら、問題ないんだが…申請してるかわかんねぇからな…悪い」
「なるほどな。わかった。大将、預けたぜ」
『ん、後でね』
薬研はアオへ本体を渡すと、刀に戻った。
自然に懐へ入れたアオを確認し、ゲートへ行き横のパネルに通行証を翳す。
行先を政府に設定し、見送りにきた刀剣達に振り替える。
「んじゃ、行ってくる」
「いってらっしゃい」
「アオさん、いつでも遊びにきてくださいね」
『ありがとうございます。お邪魔しました、また来ます』
「主、何かあれば連絡してね」
「おう」
「世話になったにゃあ!」
「またな!」
それぞれ挨拶し、ゲートを開けると進んでいく。
少しすると、政府の入口につく。
『あれ、昨日のゲートじゃないんだ』
「あぁ、基本的に受付通さないといけなくてな。俺らのように審神者をしながらどこかの部署に所属してる奴は、受け付け通さなくてもいいが、会議の時や指示が来てるときは通らないといけない。
今回はお前に受付のことも説明するからな」
『へぇ』
「で、入口の自動ドアを通って右側、そこが審神者の受付。左側は政府所属の奴の受付」
『俺らは?』
「政府所属の審神者だが、俺らは一応審神者が本職だしな。右側だ。会議の時は混雑するときもあるから、そん時は左側も使える」
自動ドアを通り、右側にある受付に向かい、通行証とは別のIDを受付のおねーさんに渡す。
「担当官の柚に呼ばれてきました。確認お願いします」
「かしこまりました、少々お待ちください。……審神者名・柳様、ID確認…はい、確認できました。そちらの審神者様はアオ様でお間違いないでしょうか?」
『あ、はい。アオです』
「ありがとうございます。アオ様はまだIDカードを発行されてませんので、通行証で受付させていただきますね」
俺は自分のIDを受け取り仕舞う。
アオは通行証を出すと、おねーさんに渡し、受け付けしてもらう。
「……はい、アオ様も確認できました。ありがとうございます。
担当官の柚さんからは、行先は伝えてあると伺っておりますが…」
「はい、把握してます」
「かしこまりました。ではお進みください」
「ありがとうございます」
『ありがとうございます』
アオは通行証を受け取り仕舞うと、俺の後ろについてくる。
奥にあるエレベーターに向かいながら、説明していく。
「さっき俺が受付に渡したやつ、あれはIDカード。審神者の登録証であり、身分証の役割をする。通行証もIDは付いてるが、あくまで通行用だから、受付での身分証確認にはならない。
もし政府に来るとき忘れたら、通行証と、入館許可の書類を書いて、それで確認してくれるが、時間はかかる」
『レンタルショップの会員カードみたいな感じかぁ』
「身分証の価値が一気に下がったな…。
で、このIDカード、演練の時も要るが、ただ演練では、忘れたら政府みたいに通行証と書類での受付、ってのは出来ない。必ずIDカードが要るから気を付けろ」
「忘れたら取りに帰らないといけないからな。たまに演練でそんな審神者を見かける」
「へぇ。そういえば、刀剣男士だけで政府に入ることはできるのかい?」
「自分の審神者が居ないと来る理由もないだろうに…まあ出来るぜ。政府所属の刀剣男士も居るしな。自分の審神者が政府に来てて、連絡手段もない場合。急ぎ連絡取りたいって時は、さっきの受付で審神者名と所属国、あと覚えているなら、本丸ID…番号を伝えればいい。確認して連絡してくれるはずだから」
「なるほどな」
「んで…受付通ったら、奥にエレベーターがあるから、そこから目的地の階へ行く。行けない階もあるから、確認してから乗れよ」
エレベーターのスイッチを押すと、すぐに扉が開いたため乗り込む。
全員乗ると、行先のボタンを押し、扉を閉める。
動き出したエレベーターの壁に凭れかかり、煙草を取り出し…。
『やな兄、ここエレベーター』
「……そうだった…」
「柳は煙草吸いよるがか」
「主さん、本丸だとけっこう吸ってるもんね」
「喫煙所があればそこでも吸ってるな」
「そうだな…ちっ、吸いてえ…」
「お、止まったぞ」
鶴丸の声に、壁から背を離し、開いた扉から外へ出ると、柚と柚の刀剣、蛍丸が居た。
「お、きたきた。おはよ、みんな」
「おはようございまーす」
『おはよう、柚兄、蛍丸さん』
「はよ…柚、一服してきていいか」
「あー…昨日そんな吸えなかったからね…いいよ。あと、喫煙可の応接室使うから」
「おー…」
エレベーター近くの喫煙所に入り、煙草に火をつける。
あー…生き返る…。
外の会話を聞きながら、ゆっくり吸う。
『そういえば、厚さんじゃないんだ』
「うん、今日は訓練の日だからね」
「今日の近侍は俺、蛍丸でーす」
『久しぶりだね、蛍丸さん』
「だね」
「ところで、薬研さんは?本丸?」
「政府にお供していい刀剣は二振りだけだから、薬研には懐に入ってもらってるの」
「あぁ…柳に言い忘れてた…アオの刀剣、三振り連れてくる許可もらってたのに…顕現して大丈夫だよ」
『マジか。薬研藤四郎』
「昨日ぶりだな、柚の旦那」
「そうですね。すみません、申請だしてたのに伝え忘れてしまって…」
「気にしてないさ」
「柚は早くから政府に戻ったんだな」
「はい、着替えとかしてから、少し仕事してました。アオ、後で昨日の報告書返すね」
『はーい』
あー…申請だしてたか。
薬研に悪いことしたか…ボーっと聞きながら、煙草を吸い終わると、灰皿に捨て、外へ行く。
「悪い。生き返った」
「だろうね。じゃ、行こうか」
「神は来てるのか?」
「たぶん、先についてると思うよ」
柚に案内してもらった応接室は、俺らの部署と連携してる部署がたまに使う、大きめの部屋だった。
柚がノックすると、中から「どうぞー」と聞こえる。
「失礼します。神さん、アオ来ましたよ」
「おう、さんきゅー」
窓を開け、携帯灰皿片手に煙草を吸ってる神。入口から離れたところで吸ってるのは、柚に配慮してだ。
「アオ、柚と柳と三人で、人数分の水分買ってきてくれ」
『いいけど、どこで?』
「政府内に、何か所かコンビニあるから。あ、あと二振り来るから、そいつらのも。柳、俺の煙草、カートンで頼む」
「来て早々パシリか…」
「まぁそう言うな。財布渡すから、俺の金で買ってこい。
お前もカートン買っていいし。アオも柚も気になった菓子とかあれば買っていいぞ」
『よし任せろ』
「単純だね…」
神から財布を預かると、俺ら三兄弟でコンビニへ向かったのだった。