龍神が審神者になる?
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――柚side――
アオの本丸に来て、初鍛刀して、薬研さんが顕現して、さらにもう一振り鍛刀して…今は本丸探検ということで、解散して…。
アオのやらかしは、いつも疲れる気がする…いや、アオが悪いわけじゃないけどね。
柳は厨に行き、山姥切さんも一緒に行ったから、俺と厚で一つ一つ部屋を見て、布団があるか確認。
まあ、担当官のやることじゃないだろうけど、大事な末っ子に世話を焼きたくなるだけ。
小さい時は、遊べるときは遊んでたけど、近くの小学校が廃校になったから、アオは風雅と風蝶と一緒に、新しい小学校近くのマンションに引っ越した。
実家からだと、アオの通ってた小学校は少し遠くて、その間に俺らが通う中学校があったから、長期休み以外、なかなか会えなかったんだよね。
俺らも部活あったし。
「大将ーこっちは全部揃ってたぜ!」
「ありがとう、厚」
「いいって事よ!大事な兄弟に世話焼きたくなる気持ちわかるしな!」
「あはは…助かるよ」
「柚の旦那、厚、ちょっといいか?」
一足先に執務室へ行こうかと考えていると、薬研さんが来た。
「薬研、本丸探検はもういいのか?」
「あぁ、大将から好きな部屋使っていいとは言われたが、こんだけあると悩むしな。適当に使うことにした」
「そうですか。それで、どうかされました?」
「…陸奥守の旦那に、大将が戦闘系審神者だということを聞いたんだが…柚の旦那も柳の旦那も、大将と兄弟だろ?戦場に大将を出していいのかと思ってな」
あぁ、なるほど。
薬研さん達からしたら、自分の主が戦場に出ることを良しと思わない。
俺らはどういう思いなのか、気になったのか。
「…執務室に行きながら話しましょうか。柳も来るでしょうから」
そういい、執務室へ向かいながら話をする。
「最初、アオをスカウト…審神者や役員への勧誘へ行った時、戦闘系審神者や役員が居る俺らの部署に、アオを欲しいと奏さん…俺らの上司は言ったんだけど、強制はしないとも言ってたんです」
「つまり、大将が選んだ?」
「そうですね。でもアオには、戦闘系審神者の話はしてなかったんです。家族には話してましたから、家族か、奏さんから聞いたと思うんですけど…。それで、審神者になるまでの約半年、連絡取り合ってたんですけど、急に戦闘系審神者になると言ってきて…」
「大将も柳も、奏さんにどういうことだ!って血相変えて問いだしたもんなぁ」
「あはは……戦闘系審神者の話は、奏さんは話してないと分かったけど、なぜアオが決めたのか…奏さんもアオにすぐ、確認してくれたよ。アオは自分の意思で決めたと言ってね。
すぐに結論を出さなくてもいいって、奏さんも柳も俺も言ったんだけど、やるの一点張りでね…」
執務室へつき、厚が座布団を用意してくれて、そこへ座る。
「ありがとう、厚」
「いいってことよ!」
「…それで、大将は戦闘系審神者に?」
「まあ、そうでね。ですが、まだ候補者の段階だったんです。
今日審神者の登録したんですが、本来なら、霊力測定次第で戦闘系審神者になるか決めてもらうんですけど、アオはすでに戦闘系審神者になることを伝えてましたので、そのまま手続きが行われたんです」
「で、測定結果が見事条件に達してたため、晴れて戦闘系審神者になった。条件に達さない霊力なら俺らも止めてたんだけどな」
「柳…あれ、お茶ってありました?」
「こっちへ来る前に歌仙に渡されてな。最初の本丸は、一通り食器も道具もあるから、落ち着いたら飲むといい、と」
「で、ポットもあったし、保温状態で持ってきたってわけ」
柳と山姥切さんがポットや湯呑などをもってきて、お茶を入れていく。
「で、薬研はアオを戦場に行かせることに対して、俺らはどう思ってるか聞きたいってか?」
「あ、あぁ…」
「相変わらず柳の旦那の理解力はすげえな」
「そうでもないぞ。……まあ…行かせたくもない、が、事実俺らより霊力も戦闘技術も上なんだよ、アオ」
「は…?」
「アオの霊力は、政府で定めてる最高ランクよりも上なんです。俺らも今日知ったんですけど…しかも、抑えた状態で、です」
「抑えても抑えきれてないんだよな…戦闘技術は、家族に護身用に教えられたけど、すげえ強くなってな…」
「俺も何度も負けてる」
「…とんでもねえお人のとこに顕現したな…」
「ははは…まあ、俺らもほんとは反対なんですけど、アオが決めましたし…なら、アオが無事で居られるよう、俺らは手助けするだけです」
「そういうこと」
柳が淹れてくれたお茶を飲み、薬研さんを見ると、ため息をつきながらも腹をくくったように頷く。
「…わかった。大将が怪我をしたら俺がちゃんと見る。旦那方は旦那方で手を貸してくれるとありがたい」
「当たり前だ。俺らもサポートすっから、安心しろ」
「俺もできるだけ手助けしますね」
「大将は体調と相談だな」
「う…でも昔よりは丈夫になったよ」
「確かに丈夫にはなったけど、もともと体弱いんだし、無理はしないでくれよー?」
「ん?柚の旦那は体弱いのか」
「生まれつきな。体力もついてきて丈夫になってきたけど、油断するとぶっ倒れるんだよ」
「俺が顕現した頃は、よく寝込んでたからな…」
厚にはほんと世話になりっぱなしだなぁ…。
顕現した頃、体力もついてきてたけど、まだよく寝込んでた。
そのたびに厚は慌ててたし、奏さんにすぐ連絡してたなぁ…。
だんだん慣れてきて、これくらいなら大丈夫って判断もできるようになるし、奏さんの薬研さんに簡単な講習もしてもらったりと…他の厚藤四郎より、医療に強いんじゃ?って思うほどだね。
「なあ、柚。やっぱアオの取り扱い説明書いるんじゃね?」
「うーん…悩みどころだね…」
「オレはアオのことまだわかんねーから何とも言えないぜ…」
「大将の取り扱い説明書?」
「こんな時のアオはどうしたらいいかとか、だな。だいたいは甘味で解決だろうが」
「国広もやな兄も柚兄も酷くない?」
「がっはっは!アオは難しい奴なんじゃな!」
「あ、お帰り。本丸内はどうだった?」
「広かったけど、刀剣が増えたら増築間違いなしだね」
陸奥守さんとアオが執務室に来て、山姥切さんがお茶を淹れてくれる。
柳は懐からコンビニで買った一口大福を取り出す。
「ほれ、今やってる鍛刀が終われば晩飯になるし、今はこれだけな。お前らも食え」
「あ、一口大福!」
「今日卒業式終わってから買ってたんだよね」
「ま、こいつ車で寝てたけどな」
「大福っちゅーと、こない小さかったがか?」
「これは一口大福です。その名の通り、一口サイズ…大きさですね。一口で食べれるくらいの大きさにした大福なんです」
「いただきまーす」
「早いな、アオ…」
「アオは甘味好物だしな」
袋を開けて、すぐに食べるアオ。
それを真似て、陸奥守さんも薬研さんも食べてみる。
二人とも美味いと気に入ったようだ。
もう一袋も開け、俺らもいただく。
「そういや、こんのすけは?」
「厨の改装だけしようと思って、お願いしたら手続きしてくるって」
「あぁ、なら明日には改装終わるかな」
「こんもそれくらいって言ってた。んで、次は?」
「一日に一回、報告書出すのはわかってるな?」
「その報告書の出し方や、Sanizonの使い方とかを教えようと思ってね」
俺と柳で報告書の書き方、出し方などを説明し、質問があればそれに答えていく。
実際に今日の報告書を書いてもらい、それをそのまま受け取る。
「うん、大丈夫そうだね。じゃあこれはコピーしたらまた返すから。本来なら、手書きで書いたこれをパソコンに読み取って、そっちを出してもらうね」
「最初からパソコンの方でやればよくね?」
「俺も最初思ったけどな。まあ本人がちゃんとやってるかの確認でもあるから。悪いことしたら筆跡鑑定にも出されるし」
「マジか。提出終わった報告書は?」
「これは審神者によるんだけど、保管する人もいれば、パソコンで保管するから処分する人もいるよ。まあ最初からもういらないからって、メモ書きに使う人もいるね」
「ちなみに俺は保管してる。ある意味日記みたいなもんだし」
「あぁ、それわかりやすい」
「もしアオが寝込んでたり、利き手が使えなくて、刀剣男士が代筆する場合。代筆が誰かを書かなきゃいけない。
陸奥守なら、報告書の最後のところに、代筆・陸奥守吉行と名前もちゃんと書かないといけない」
「なるほどにゃあ」
「もし審神者が現世に何日か帰ってる場合、その時は刀剣男士が報告書を書くことになってます。ですが、それはあくまで出陣していたら出してもらう形になってますので、出陣をしていない時は大丈夫です」
「審神者が居なくても出陣ってできるのか?」
「一応な。術に長けてる審神者なら、簡易的な手入れができる札を作ってるやつもいるし。まあ審神者が本丸を何日か留守にするときは、出陣はやめといた方がおススメだな」
まあその方がいいね。
机の傍のタブレットを取り、アオに説明していく。
「で、これ。このタブレットで鍛刀の時間の確認も、負傷してる刀剣の確認もできるからね。
あと、このアイコンがSanizonのね。使い方は現世の通販と同じだけど、届く方法が、この木箱に送られる」
「ちなみに食料品、特に生ものは、夜九時までなら、だいたいはその日のうちに届く。九時以降は翌日になるからな。それ以外はだいたい24時間いけるぞ」
「便利すぎる」
「まあ物によっては何日もかかるかな。あと、Sanizonを使わなくても、政府で用意してる家具とかもあって、そっちはいつでも取り出せるよ。こっちのアイコンね」
「ほー。内番服?てのもあるんだ」
「それは刀剣男士のな。ずっと戦装束ってわけにはいかねえし、内番で畑仕事とかもやるしな」
「なるほど。じゃあとりあえず、陸奥と薬研の内番服を選んで…」
「決定押したら、木箱を開ける」
木箱を開けたアオは、「おお…」と驚きながらも、面白そうに目をキラキラさせていた。
そして二人に内番服を渡し、政府で用意してるリストを一通り見る。
「Sanizon以外だと、万屋街て場所があるから、そこで購入もできる」
「まあ教えるとしたら、明日かな」
「じゃあ今日は終わり?」
「時間はまだあるから…ん-…」
「あ、じゃあさアオ。部屋割りで、粟田口部屋先に決めるといいぞ」
「?粟田口部屋?」
「あぁ、なるほどな」
「それもそうだね。アオ、今実装されてる刀剣で、一番多い刀派が粟田口なんだ。部屋割りは審神者が決める場合もあるけど、アオみたいに好きに使っていいって審神者も居る」
「刀派や由縁のある刀同士、顕現順、増えたら増築して一人一部屋の本丸もある。だいたい多いのが、刀派や由縁のある刀同士だな」
「なるほど。やっぱ兄弟と同じがいいって子も居れば、一人部屋のがいいって子も居るか」
「そうだな。ちなみにタブレットで本丸の見取り図出るから、決まればそこに名前を記していけばいい」
さっそくタブレットの見取り図を開き、確認するアオ。
「ここが大広間で…あ、この部屋他のところより大きいんだ。じゃあここを粟田口部屋にしようか。薬研、いいかい?」
「あぁ、正直広すぎて悩んでたしな」
「じゃあ、今鍛刀してる刀も含め三人だし、明日から増えたとしても、一気に増えるわけじゃないから…しばらくこの粟田口部屋でみんな寝てもらおうかな。粟田口の子が増えたり刀が増えたら、それぞれの部屋に移動で」
「わかったぜよ!」
「じゃあ俺と陸奥守の旦那は、内番服置いてくる」
「ん、行ってらっしゃい」
二人が出ていき、タブレットを見ていたアオが「そういえば」といい、俺らはアオを見る。
「戦闘系の説明?はいいの?」
「あぁ、それはまだ先の予定。今はまず審神者として慣れることが先な」
「あ、あと。日々の日課の業務もあるから、ちゃんと確認してね。それを達成して報告書に書かないと、報酬はもらえないから」
「ん」
「演練ってやつはわかるか?」
「ええと…確か、政府で主催してる、刀剣達の訓練場?だっけ」
「あぁ、これの詳しい話はまた今度するが、お前はしばらく免除になる」
「え、そうなん?」
「戦闘系審神者って、いろいろ言われてるからね…。まあ普通の審神者にも、慣れてきたくらいに解禁って形もあるんだ」
「へー…戦闘系って、悪く言われてるとか?」
「まあ、いろいろだな…」
「気になるなら、さにちゃんっていう掲示板見るといいよ。審神者も刀剣男士も見れる掲示板と、審神者だけの掲示板、刀剣男士だけの掲示板もあるから、情報収集にはもってこいだね」
「先輩審神者たちの経験だったり、うちの子可愛い自慢だったり、いろんな噂もあるからな」
「なにそれ面白そう。時間ある時じっくり見よ」
タブレットの鍛刀時間を確認すると、一時間はきっていた。
意外と早いな…もうそんなに時間が経ってたのか。
「置いてきたぜ。次はどうすんだ?」
「陸奥守は?」
「とりあえず、自分が使う部屋を決めて、そこに内番服を置いてくるってよ」
「あー…あと今必要になりそうなものを出すか…さっきは内番服だけったし…みんなの寝巻に、あと…部屋に足りないものがあればそれを出すかな」
「あ、寝巻はまだだけど、机とか座布団とか、布団は一通りそろってるぜ」
「おー…じゃあどうしようか」
悩んでいる中、「アオ様ー!」と、こんのすけが帰ってきた。
「こん、お帰り」
「はい、ただいまでございます。奏様より、ID付通行許可書のカードを預かってまいりました。これがあれば、政府への出入りはもちろん、本丸を行き来することも可能になります」
「それは他の本丸も?」
「いえ、これには条件がありまして、縁が繋がってる本丸、つまり、お互い行き来するような仲の本丸でないと無理です。柳様の本丸とは自由に行けますが、それ以外の本丸へは、最初にID入力が必要になります」
「つまり、そのIDを登録?しないと、友人ができても行き来はできないってことね」
「左様でございます。あと、こちらは審神者様専用の通帳とクレジットカードになってます。政府用の銀行になってまして、引き出し申請はタブレットで行えます。引き出した額は木箱へ送られてきます。クレジットカードの引き落としに関しましては、審神者様本人か、担当官、もしくはボク、こんのすけへ引き落とし額を渡し、そちらで手続きが行われます」
「ふむ、自分でやるか、柚兄かこんに渡せばいいってことやね」
「そうだね。政府専用の銀行になるから、これも俺らの仕事だね。自分でやる場合は、政府内の銀行に行けばできるよ」
「ま、無駄遣いは気を付けろよ」
「ん、もともとの貯金もあるから、大丈夫やとは思うけど」
「あとは、万屋街の金銭は、今の時代に合わせてるから、混乱はしないかな」
「小判とかかと思ってた」
「昔はそうだったらしいけど、やっぱ現代に慣れてる審神者が混乱しやすくてな…それで、小判制度から現代の形になったんだよ」
「あーね」
「アオ様がお持ちという貯金ですが、ご自身で管理も可能です。もしくはこちらのアオ様の口座に入れることも可能ですが、いかがいたしますか?」
「自分で保管するよ、今までもそうだったし」
「かしこまりました」
陸奥守さんもちょうど戻ってきて、再びタブレットと睨めっこするアオ。
「このタブレットは、本丸に一つ?」
「まあそうだね。刀剣男士が勝手にほいほい購入してしまわないようにね」
「刀剣男士で、これが欲しいってのがあれば、審神者の許可が下りれば買えるが。ただ酒は未成年じゃ無理だから、成人するまでは万屋街で買うといい。もちろん、刀剣男士は連れてけよ」
「ふむふむ。じゃあ刀剣達が掲示板見るには?これを貸せばいい?」
「そういう本丸もあるし、俺のとこみたいにパソコン導入してるとこもある。Sanizonで販売してるパソコンは、政府独自のネットが使えるやつだからな。Sanizonでの購入はそのタブレットと政府支給の審神者用のパソコンのみだが、他の機能はだいたいパソコンにもある」
「なるほど。じゃあパソコンに強い刀剣が居てくれたら、みんなに教えれるか」
「そうだな。俺のとこはまんばが最初にパソコンを扱えるようになって、そっから興味あるやつが使えるようになってったぞ」
「国広すご」
「初期刀だしな。慣れると便利だぞ。陸奥守は興味あるんじゃないか?こっちの陸奥守もすぐに使えるようになったしな」
「ほうじゃのお。現代のもんはどれも興味あるぜよ」
「薬研も簡単に使えるようになれば、本だけではわからない医療の知識も増えるぞ」
「現代の技術はそんなに発展しているのか」
「やな兄、しばらく国広レンタルさせて」
「俺が来てるときは構わない。国広、こいつらにも教えてやってくれ」
「わかった」
いろいろ話してる間に、鍛刀の時間が終わっていた。
そろそろ迎えに行こうかというと、鍛刀部屋へ向かう。
もう6時くらいかな。
アオの本丸に来て、初鍛刀して、薬研さんが顕現して、さらにもう一振り鍛刀して…今は本丸探検ということで、解散して…。
アオのやらかしは、いつも疲れる気がする…いや、アオが悪いわけじゃないけどね。
柳は厨に行き、山姥切さんも一緒に行ったから、俺と厚で一つ一つ部屋を見て、布団があるか確認。
まあ、担当官のやることじゃないだろうけど、大事な末っ子に世話を焼きたくなるだけ。
小さい時は、遊べるときは遊んでたけど、近くの小学校が廃校になったから、アオは風雅と風蝶と一緒に、新しい小学校近くのマンションに引っ越した。
実家からだと、アオの通ってた小学校は少し遠くて、その間に俺らが通う中学校があったから、長期休み以外、なかなか会えなかったんだよね。
俺らも部活あったし。
「大将ーこっちは全部揃ってたぜ!」
「ありがとう、厚」
「いいって事よ!大事な兄弟に世話焼きたくなる気持ちわかるしな!」
「あはは…助かるよ」
「柚の旦那、厚、ちょっといいか?」
一足先に執務室へ行こうかと考えていると、薬研さんが来た。
「薬研、本丸探検はもういいのか?」
「あぁ、大将から好きな部屋使っていいとは言われたが、こんだけあると悩むしな。適当に使うことにした」
「そうですか。それで、どうかされました?」
「…陸奥守の旦那に、大将が戦闘系審神者だということを聞いたんだが…柚の旦那も柳の旦那も、大将と兄弟だろ?戦場に大将を出していいのかと思ってな」
あぁ、なるほど。
薬研さん達からしたら、自分の主が戦場に出ることを良しと思わない。
俺らはどういう思いなのか、気になったのか。
「…執務室に行きながら話しましょうか。柳も来るでしょうから」
そういい、執務室へ向かいながら話をする。
「最初、アオをスカウト…審神者や役員への勧誘へ行った時、戦闘系審神者や役員が居る俺らの部署に、アオを欲しいと奏さん…俺らの上司は言ったんだけど、強制はしないとも言ってたんです」
「つまり、大将が選んだ?」
「そうですね。でもアオには、戦闘系審神者の話はしてなかったんです。家族には話してましたから、家族か、奏さんから聞いたと思うんですけど…。それで、審神者になるまでの約半年、連絡取り合ってたんですけど、急に戦闘系審神者になると言ってきて…」
「大将も柳も、奏さんにどういうことだ!って血相変えて問いだしたもんなぁ」
「あはは……戦闘系審神者の話は、奏さんは話してないと分かったけど、なぜアオが決めたのか…奏さんもアオにすぐ、確認してくれたよ。アオは自分の意思で決めたと言ってね。
すぐに結論を出さなくてもいいって、奏さんも柳も俺も言ったんだけど、やるの一点張りでね…」
執務室へつき、厚が座布団を用意してくれて、そこへ座る。
「ありがとう、厚」
「いいってことよ!」
「…それで、大将は戦闘系審神者に?」
「まあ、そうでね。ですが、まだ候補者の段階だったんです。
今日審神者の登録したんですが、本来なら、霊力測定次第で戦闘系審神者になるか決めてもらうんですけど、アオはすでに戦闘系審神者になることを伝えてましたので、そのまま手続きが行われたんです」
「で、測定結果が見事条件に達してたため、晴れて戦闘系審神者になった。条件に達さない霊力なら俺らも止めてたんだけどな」
「柳…あれ、お茶ってありました?」
「こっちへ来る前に歌仙に渡されてな。最初の本丸は、一通り食器も道具もあるから、落ち着いたら飲むといい、と」
「で、ポットもあったし、保温状態で持ってきたってわけ」
柳と山姥切さんがポットや湯呑などをもってきて、お茶を入れていく。
「で、薬研はアオを戦場に行かせることに対して、俺らはどう思ってるか聞きたいってか?」
「あ、あぁ…」
「相変わらず柳の旦那の理解力はすげえな」
「そうでもないぞ。……まあ…行かせたくもない、が、事実俺らより霊力も戦闘技術も上なんだよ、アオ」
「は…?」
「アオの霊力は、政府で定めてる最高ランクよりも上なんです。俺らも今日知ったんですけど…しかも、抑えた状態で、です」
「抑えても抑えきれてないんだよな…戦闘技術は、家族に護身用に教えられたけど、すげえ強くなってな…」
「俺も何度も負けてる」
「…とんでもねえお人のとこに顕現したな…」
「ははは…まあ、俺らもほんとは反対なんですけど、アオが決めましたし…なら、アオが無事で居られるよう、俺らは手助けするだけです」
「そういうこと」
柳が淹れてくれたお茶を飲み、薬研さんを見ると、ため息をつきながらも腹をくくったように頷く。
「…わかった。大将が怪我をしたら俺がちゃんと見る。旦那方は旦那方で手を貸してくれるとありがたい」
「当たり前だ。俺らもサポートすっから、安心しろ」
「俺もできるだけ手助けしますね」
「大将は体調と相談だな」
「う…でも昔よりは丈夫になったよ」
「確かに丈夫にはなったけど、もともと体弱いんだし、無理はしないでくれよー?」
「ん?柚の旦那は体弱いのか」
「生まれつきな。体力もついてきて丈夫になってきたけど、油断するとぶっ倒れるんだよ」
「俺が顕現した頃は、よく寝込んでたからな…」
厚にはほんと世話になりっぱなしだなぁ…。
顕現した頃、体力もついてきてたけど、まだよく寝込んでた。
そのたびに厚は慌ててたし、奏さんにすぐ連絡してたなぁ…。
だんだん慣れてきて、これくらいなら大丈夫って判断もできるようになるし、奏さんの薬研さんに簡単な講習もしてもらったりと…他の厚藤四郎より、医療に強いんじゃ?って思うほどだね。
「なあ、柚。やっぱアオの取り扱い説明書いるんじゃね?」
「うーん…悩みどころだね…」
「オレはアオのことまだわかんねーから何とも言えないぜ…」
「大将の取り扱い説明書?」
「こんな時のアオはどうしたらいいかとか、だな。だいたいは甘味で解決だろうが」
「国広もやな兄も柚兄も酷くない?」
「がっはっは!アオは難しい奴なんじゃな!」
「あ、お帰り。本丸内はどうだった?」
「広かったけど、刀剣が増えたら増築間違いなしだね」
陸奥守さんとアオが執務室に来て、山姥切さんがお茶を淹れてくれる。
柳は懐からコンビニで買った一口大福を取り出す。
「ほれ、今やってる鍛刀が終われば晩飯になるし、今はこれだけな。お前らも食え」
「あ、一口大福!」
「今日卒業式終わってから買ってたんだよね」
「ま、こいつ車で寝てたけどな」
「大福っちゅーと、こない小さかったがか?」
「これは一口大福です。その名の通り、一口サイズ…大きさですね。一口で食べれるくらいの大きさにした大福なんです」
「いただきまーす」
「早いな、アオ…」
「アオは甘味好物だしな」
袋を開けて、すぐに食べるアオ。
それを真似て、陸奥守さんも薬研さんも食べてみる。
二人とも美味いと気に入ったようだ。
もう一袋も開け、俺らもいただく。
「そういや、こんのすけは?」
「厨の改装だけしようと思って、お願いしたら手続きしてくるって」
「あぁ、なら明日には改装終わるかな」
「こんもそれくらいって言ってた。んで、次は?」
「一日に一回、報告書出すのはわかってるな?」
「その報告書の出し方や、Sanizonの使い方とかを教えようと思ってね」
俺と柳で報告書の書き方、出し方などを説明し、質問があればそれに答えていく。
実際に今日の報告書を書いてもらい、それをそのまま受け取る。
「うん、大丈夫そうだね。じゃあこれはコピーしたらまた返すから。本来なら、手書きで書いたこれをパソコンに読み取って、そっちを出してもらうね」
「最初からパソコンの方でやればよくね?」
「俺も最初思ったけどな。まあ本人がちゃんとやってるかの確認でもあるから。悪いことしたら筆跡鑑定にも出されるし」
「マジか。提出終わった報告書は?」
「これは審神者によるんだけど、保管する人もいれば、パソコンで保管するから処分する人もいるよ。まあ最初からもういらないからって、メモ書きに使う人もいるね」
「ちなみに俺は保管してる。ある意味日記みたいなもんだし」
「あぁ、それわかりやすい」
「もしアオが寝込んでたり、利き手が使えなくて、刀剣男士が代筆する場合。代筆が誰かを書かなきゃいけない。
陸奥守なら、報告書の最後のところに、代筆・陸奥守吉行と名前もちゃんと書かないといけない」
「なるほどにゃあ」
「もし審神者が現世に何日か帰ってる場合、その時は刀剣男士が報告書を書くことになってます。ですが、それはあくまで出陣していたら出してもらう形になってますので、出陣をしていない時は大丈夫です」
「審神者が居なくても出陣ってできるのか?」
「一応な。術に長けてる審神者なら、簡易的な手入れができる札を作ってるやつもいるし。まあ審神者が本丸を何日か留守にするときは、出陣はやめといた方がおススメだな」
まあその方がいいね。
机の傍のタブレットを取り、アオに説明していく。
「で、これ。このタブレットで鍛刀の時間の確認も、負傷してる刀剣の確認もできるからね。
あと、このアイコンがSanizonのね。使い方は現世の通販と同じだけど、届く方法が、この木箱に送られる」
「ちなみに食料品、特に生ものは、夜九時までなら、だいたいはその日のうちに届く。九時以降は翌日になるからな。それ以外はだいたい24時間いけるぞ」
「便利すぎる」
「まあ物によっては何日もかかるかな。あと、Sanizonを使わなくても、政府で用意してる家具とかもあって、そっちはいつでも取り出せるよ。こっちのアイコンね」
「ほー。内番服?てのもあるんだ」
「それは刀剣男士のな。ずっと戦装束ってわけにはいかねえし、内番で畑仕事とかもやるしな」
「なるほど。じゃあとりあえず、陸奥と薬研の内番服を選んで…」
「決定押したら、木箱を開ける」
木箱を開けたアオは、「おお…」と驚きながらも、面白そうに目をキラキラさせていた。
そして二人に内番服を渡し、政府で用意してるリストを一通り見る。
「Sanizon以外だと、万屋街て場所があるから、そこで購入もできる」
「まあ教えるとしたら、明日かな」
「じゃあ今日は終わり?」
「時間はまだあるから…ん-…」
「あ、じゃあさアオ。部屋割りで、粟田口部屋先に決めるといいぞ」
「?粟田口部屋?」
「あぁ、なるほどな」
「それもそうだね。アオ、今実装されてる刀剣で、一番多い刀派が粟田口なんだ。部屋割りは審神者が決める場合もあるけど、アオみたいに好きに使っていいって審神者も居る」
「刀派や由縁のある刀同士、顕現順、増えたら増築して一人一部屋の本丸もある。だいたい多いのが、刀派や由縁のある刀同士だな」
「なるほど。やっぱ兄弟と同じがいいって子も居れば、一人部屋のがいいって子も居るか」
「そうだな。ちなみにタブレットで本丸の見取り図出るから、決まればそこに名前を記していけばいい」
さっそくタブレットの見取り図を開き、確認するアオ。
「ここが大広間で…あ、この部屋他のところより大きいんだ。じゃあここを粟田口部屋にしようか。薬研、いいかい?」
「あぁ、正直広すぎて悩んでたしな」
「じゃあ、今鍛刀してる刀も含め三人だし、明日から増えたとしても、一気に増えるわけじゃないから…しばらくこの粟田口部屋でみんな寝てもらおうかな。粟田口の子が増えたり刀が増えたら、それぞれの部屋に移動で」
「わかったぜよ!」
「じゃあ俺と陸奥守の旦那は、内番服置いてくる」
「ん、行ってらっしゃい」
二人が出ていき、タブレットを見ていたアオが「そういえば」といい、俺らはアオを見る。
「戦闘系の説明?はいいの?」
「あぁ、それはまだ先の予定。今はまず審神者として慣れることが先な」
「あ、あと。日々の日課の業務もあるから、ちゃんと確認してね。それを達成して報告書に書かないと、報酬はもらえないから」
「ん」
「演練ってやつはわかるか?」
「ええと…確か、政府で主催してる、刀剣達の訓練場?だっけ」
「あぁ、これの詳しい話はまた今度するが、お前はしばらく免除になる」
「え、そうなん?」
「戦闘系審神者って、いろいろ言われてるからね…。まあ普通の審神者にも、慣れてきたくらいに解禁って形もあるんだ」
「へー…戦闘系って、悪く言われてるとか?」
「まあ、いろいろだな…」
「気になるなら、さにちゃんっていう掲示板見るといいよ。審神者も刀剣男士も見れる掲示板と、審神者だけの掲示板、刀剣男士だけの掲示板もあるから、情報収集にはもってこいだね」
「先輩審神者たちの経験だったり、うちの子可愛い自慢だったり、いろんな噂もあるからな」
「なにそれ面白そう。時間ある時じっくり見よ」
タブレットの鍛刀時間を確認すると、一時間はきっていた。
意外と早いな…もうそんなに時間が経ってたのか。
「置いてきたぜ。次はどうすんだ?」
「陸奥守は?」
「とりあえず、自分が使う部屋を決めて、そこに内番服を置いてくるってよ」
「あー…あと今必要になりそうなものを出すか…さっきは内番服だけったし…みんなの寝巻に、あと…部屋に足りないものがあればそれを出すかな」
「あ、寝巻はまだだけど、机とか座布団とか、布団は一通りそろってるぜ」
「おー…じゃあどうしようか」
悩んでいる中、「アオ様ー!」と、こんのすけが帰ってきた。
「こん、お帰り」
「はい、ただいまでございます。奏様より、ID付通行許可書のカードを預かってまいりました。これがあれば、政府への出入りはもちろん、本丸を行き来することも可能になります」
「それは他の本丸も?」
「いえ、これには条件がありまして、縁が繋がってる本丸、つまり、お互い行き来するような仲の本丸でないと無理です。柳様の本丸とは自由に行けますが、それ以外の本丸へは、最初にID入力が必要になります」
「つまり、そのIDを登録?しないと、友人ができても行き来はできないってことね」
「左様でございます。あと、こちらは審神者様専用の通帳とクレジットカードになってます。政府用の銀行になってまして、引き出し申請はタブレットで行えます。引き出した額は木箱へ送られてきます。クレジットカードの引き落としに関しましては、審神者様本人か、担当官、もしくはボク、こんのすけへ引き落とし額を渡し、そちらで手続きが行われます」
「ふむ、自分でやるか、柚兄かこんに渡せばいいってことやね」
「そうだね。政府専用の銀行になるから、これも俺らの仕事だね。自分でやる場合は、政府内の銀行に行けばできるよ」
「ま、無駄遣いは気を付けろよ」
「ん、もともとの貯金もあるから、大丈夫やとは思うけど」
「あとは、万屋街の金銭は、今の時代に合わせてるから、混乱はしないかな」
「小判とかかと思ってた」
「昔はそうだったらしいけど、やっぱ現代に慣れてる審神者が混乱しやすくてな…それで、小判制度から現代の形になったんだよ」
「あーね」
「アオ様がお持ちという貯金ですが、ご自身で管理も可能です。もしくはこちらのアオ様の口座に入れることも可能ですが、いかがいたしますか?」
「自分で保管するよ、今までもそうだったし」
「かしこまりました」
陸奥守さんもちょうど戻ってきて、再びタブレットと睨めっこするアオ。
「このタブレットは、本丸に一つ?」
「まあそうだね。刀剣男士が勝手にほいほい購入してしまわないようにね」
「刀剣男士で、これが欲しいってのがあれば、審神者の許可が下りれば買えるが。ただ酒は未成年じゃ無理だから、成人するまでは万屋街で買うといい。もちろん、刀剣男士は連れてけよ」
「ふむふむ。じゃあ刀剣達が掲示板見るには?これを貸せばいい?」
「そういう本丸もあるし、俺のとこみたいにパソコン導入してるとこもある。Sanizonで販売してるパソコンは、政府独自のネットが使えるやつだからな。Sanizonでの購入はそのタブレットと政府支給の審神者用のパソコンのみだが、他の機能はだいたいパソコンにもある」
「なるほど。じゃあパソコンに強い刀剣が居てくれたら、みんなに教えれるか」
「そうだな。俺のとこはまんばが最初にパソコンを扱えるようになって、そっから興味あるやつが使えるようになってったぞ」
「国広すご」
「初期刀だしな。慣れると便利だぞ。陸奥守は興味あるんじゃないか?こっちの陸奥守もすぐに使えるようになったしな」
「ほうじゃのお。現代のもんはどれも興味あるぜよ」
「薬研も簡単に使えるようになれば、本だけではわからない医療の知識も増えるぞ」
「現代の技術はそんなに発展しているのか」
「やな兄、しばらく国広レンタルさせて」
「俺が来てるときは構わない。国広、こいつらにも教えてやってくれ」
「わかった」
いろいろ話してる間に、鍛刀の時間が終わっていた。
そろそろ迎えに行こうかというと、鍛刀部屋へ向かう。
もう6時くらいかな。