龍神が審神者になる?
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――柳side――
「にしてもけっこうかかったな…このまま本丸行って、初鍛刀するか…」
「柳様、本来ですと刀剣男士による出陣ですよ?」
「あぁ、あの胸糞悪い思いをアオにさせるわけねえだろ?」
「俺も審神者の立場なら、嫌だしね」
「?胸糞悪い出陣?」
「初期刀を顕現させたら、次にするのが出陣。が、これは初期刀のみでの出陣で、必ず怪我をして戻ってくるようになってる」
「練度も1で、刀装もなしだからね。で、その怪我を手入れという方法で治すんだけど、それを学ぶための出陣ってやつなんだ」
「俺は教育係も居なかったし、当時柚は、まだ研修中だったからな…本来は担当官かこんのすけが居ながらのチュートリアルなんだが、当時俺には担当官がいなくて、こんのすけだけでな。まぁ何も知らないまままんばを行かせてな」
「あの時の主は、鬼のようだったな…」
「鍛刀からお願いします」
アオは、目は笑ってないが、いい笑顔でそう言う…。
こんのすけも思わず「はいいぃぃ!」って返事してるしな…。
「あ、ここから本丸に行くよ。政府はいくつかゲートがあるから、そこらへんはマニュアルに書いてるから読んでてね」
「わかった」
「本丸からのゲートの操作は、本丸によって勝手が違うから、気を付けてね」
「政府からだと、こちらのパネルに行先のIDを入力していただきます。自分の本丸へ帰還する場合は、通行証をパネルにかざすだけで設定できます」
「通行証?」
「お前のはまだ発行されてねえから、今回は入力な」
「じゃ、アオやってみようか」
「ん」
柚がアオにパネルの操作を教えながらやらせていると、新しいものに興味ありありな陸奥守が後ろから見ていた。
俺んとこの陸奥守もあんな時期あったな…。
「さすがに刀剣も、現代のものに慣れるか」
「まあ、じじい達は未だに無理なやつもいるがな」
「まんばも最初無理かと思ってたが…まさか最初にできるようになるとはな」
「あんたの教えが上手かったからな」
「そりゃどーも」
「やな兄、国広、できたからいこー」
「おー」
「あぁ」
アオが開けたゲートを渡り、アオの本丸に…と思ったら、俺の本丸だった。
「は?俺の本丸?」
「うん、やな兄も着替えたいだろうし」
「柳、大きい荷物はもう運んだって言ってたけど、衣服類はまだって言ってただろ…」
「あぁ……忘れてた」
すっかり忘れてたぜ…まあいいか。
玄関の方へ行くと、ゲートが動いたからな、刀剣達が集まりだしてた。
「主!おかえり!」
「おかえりなさい!」
「おーただいま。後でまた出るけどな」
「あ!アオさんだ!」
「乱さん、久しぶりー」
「久しぶりだね!」
「あ、主と柚の末っ子さんだっけ?可愛いじゃん」
「それは俺が小さいからですか加州さん」
「あれ、俺のこと知ってるの?」
「やな兄達から写真で教えてもらってるので。でもちゃんとは覚えれてないけど」
「はいはい、挨拶は後でもできる。柚、俺の部屋にアオの服があるし、連れてってやってくれ。俺後で行くから」
「わかったよ。アオ、先に着替えようか」
「ん」
「まんば達はちょいと待ってな」
各自にそういうと、俺は厨に行き、光忠たちの様子を見る。
「よ、厨組。どうだ?」
「主?もう帰ってきたのかい?」
「え!まだ終わってないよ!?」
「大丈夫だって、着替えに戻っただけだからよ。アオの服も部屋に置いたままだったの忘れててな」
「じゃあ、また出るのかい?」
「あぁ。ま、アオの本丸に行って鍛刀させたりもするしな」
「こっちは、大丈夫です…」
「はい、任せてください!」
「あぁ、悪いな。頼んだ」
厨の様子を見てから、俺も部屋に向かうと、外に柚が居た。
まんば達は玄関あたりで話してた。
「お帰り、今着替えてるよ」
「あぁ。今日は鍛刀だけでいいか。本丸の中とか見たいだろうし」
「最初はどこも同じだけど、改装できるしね」
「俺んとこは増築と、厨の改装くらいだな」
「アオもそれくらいするかもね。実家に似てるから大きくは変えないかもだけど」
「着替えたー」
「おーって、その着物…」
「あらら」
着替えて出てきたアオが着てたのは、俺の瞳の色と合わせた碧の着物に、濃いめの灰色の袴だった。
それはいいんだけど…。
「お前、まだ俺のお下がり着てたのか…」
「やな兄達はすぐ成長したから、綺麗なままだったし、もったいないって思って。柚兄のもあるよ」
「まだ着てるとは思わなかったよ」
「古くなったら巾着にしたりいろいろリサイクルしてるよ」
「そうなんだ、でも綺麗なままだね」
「風華ちゃん達の手入れのおかげだね。やな兄も着替えてきなよ」
「…おー…」
まさかまだお下がりを着てるとは思わず、驚いた…。
なんか疲れた気もする…まあやることはまだあるからな、さっさと着替えるとしよう。
俺も着流しにさっさと着替え、適当に羽織を羽織って外に出る。
「あー…ずっとスーツは疲れるな…」
「慣れれば大丈夫だけどね」
「お前は役員だしな」
「そういえば、やな兄いつも髪下ろしてるけど、結わないの?」
「めんどいしな。夏は適当に結ってるけど」
「そうなんだ」
「さ、アオの本丸行こうか。荷物はこれで全部?」
「これで全部だぜ。アオが送ってきたでかい奴は先に運んだからな」
「マジか。ありがとう、やな兄」
「おう、んじゃ、行こうぜ」
玄関に戻り、まんば達と合流し、本丸の連中にまた出ることを伝え、アオの本丸へゲートで行く。
こっちのが断然早いしな。
「本丸についたら、まずは鍛刀をするね。そのあと、本丸の探検でもしようか」
「場所の把握とかしないとだもんね」
「まあ間取りは違うが、実家と似てるし、すぐ覚えると思うぞ」
「アオ達の実家に似とるがか?」
「和風の家って意味でな」
「審神者によって、厨を先にリフォームする人もいるね」
「てことは、火起こし系?」
「うん、審神者の中には料理する人もいるけど、刀剣が増えると刀剣達がやるとこが多いから、昔の厨の形にしてるみたいだよ」
「へー」
予定を立てながら向かってると、あっという間についた。
「おお…」とアオが声を漏らし、きょろきょろしている。
「あ、霊力が本丸に行きわたると、元ある結界に馴染んで、勝手に結界が強化できるようになってるから。霊力が多い人は、二重とかにしてる人もいるよ」
「ただ維持もしなきゃだから、一つの結界を強化するくらいのがいいってのが政府の考えだ」
「ふむ…化け物認定の霊力を持つ俺ならできそうな気もするけど」
「神様からは、霊力が安定するまでは無茶するなと言伝を預かってます」
「あらら…残念」
「まあまあ。さ、荷物置いたら鍛刀ね。審神者の部屋はどうしようか」
「決まってないの?」
「離れに審神者が住む場合もあるから、一応そこだな。あそこは小さいが厨も風呂も厠もある。そこを使わず、執務室兼私室にする審神者も居れば、執務室の隣を私室にするやつもいる」
「んー…」
「あと、審神者になった時に貯金がある人は、最初から自分の好みに合わせた改装をする人もいるよ。柳は刀剣が増えてから、増築と厨の改装をしたね」
「改装はまだとっおこうかな…とりあえず離れを私室にしとこ。後でいろいろ変えるだろうけど」
「いいんじゃないかな、じゃ、荷物置いて始めようか」
「はーい」と返事をして、アオは離れにこんのすけと行った。
「陸奥守は部屋決めなくていいのか?」
「わしゃあどこでもえいよ。こじゃんと広いと悩むしにゃあ」
「あぁ、俺も初めは悩んだ」
「俺のとこは寮になるからね。ただ広いマンションだし、部屋も多いから悩んだよ」
「大将ほとんどリビングのソファーで寝てるだろ…」
「柚…」
「あ、ははは…ついそのまま寝ちゃうことが多くて…」
「それで蛍丸が運んでくれることがほとんどだな」
「さすが大太刀…」
「ただいまー」
走って戻ってきたアオ。
意外と早くて驚いた。
「こんのすけ、資源はあるんだよな?」
「はい、最初は政府で用意します。その後は遠征や任務達成などの報酬でもらえます。
また、万屋での購入も可能です」
「資源は、鍛刀と手入れ、刀装作りで消費するから、使いすぎには気を付けて、こまめに資源集めや任務を頑張ってね」
「ん、気を付ける」
鍛刀部屋に移動すると、鍛刀を行う式神が集まってきた。
「おおう…可愛い」
「彼らは式神。鍛刀をしてくれるよ」
「ちなみに審神者の間で妖精とも呼ばれてる」
「マジか。自分でやるんだと思ってた」
「今の時代なかなかいないけどね」
「風雅は自分でやってるからさ」
「いやあいつは器用すぎんだよ…。で、口頭でも紙でも、方法はなんでもいい。こいつらに資源の指示を出して、刀を打ってもらうんだ」
「えーと、木炭、玉鋼、冷却材、砥石だっけ」
「そ。最低50で、最高999の間で指示を出すんだけど、最初はall50でやるんだよ」
「こちらの依頼札を渡して指示を出してくださいね」
「じゃあ、式神さん、すべての資源を50でお願い」
アオの指示を聞いて、式神は小さい手をオーケイと表し、資源を運び、鍛刀を始める。
モニターに20分の文字が現れる。
「20分、てことは短刀だっけ?」
「あぁ、合ってる。で、早く顕現したいなら、手伝い札ってのを使う」
「今回は手順を知るためですので、この手伝い札を使いましょう」
こんのすけがアオに渡すと、アオは式神へ手伝い札を渡す。
するとあっという間に短刀が出来上がった。
「おおう、早い」
「この手伝い札は、手入れにも使えるから。依頼札も手伝い札も資源と同じようにして集めれるから」
「また鍛刀や刀装作りには、近侍が必要になりますので」
「近侍…あぁ…確か審神者の仕事の手伝いとかしてもらうためやっけ?」
「まあ、簡単に言うと日直みたいなもんだな」
「それ分かりやすい」
「で、今アオの近侍は陸奥守さんだから。今後当番制にしてもいいし、固定にしてもいい」
「ん。顕現は確か霊力を流し込めばいいんだっけ」
「あぁ。陸奥守の時は漏れてた霊力が流れたからな…」
「なんかごめんよ。さて…」
アオは短刀に触れ、霊力を流し込みだす。
するとすぐに桜吹雪が舞い、刀剣男士が現れた。
「よお大将。俺っち、薬研藤四郎だ。兄弟ともども、よろしく頼むぜ」
「あ、薬研さんだ」
「いや同じ薬研でもこいつはお前の薬研だからな」
「わかってますー。俺はアオ。今日から審神者になった新米です。君は俺の初鍛刀。よろしく」
「あぁ、こちらこそ」
「で、俺の初期刀の、陸奥守吉行」
「陸奥守吉行じゃ。よろしゅうの!」
「初期刀に初鍛刀ってことは、まだ俺らだけなんだな」
「そうじゃのう」
「じゃあそっちの厚は?」
「初めまして、俺はアオと、こちらの審神者、柳の担当官の柚。厚は俺の刀剣です」
「なるほどな」
「俺は柳。柚の双子の弟で、アオの兄貴で、アオの教育係だ」
「大将の兄弟か。よろしく頼む」
「あぁ。たぶん薬研にはアオのことで迷惑かけるだろうから、すまんが頼むな」
「迷惑??」
「なんじゃ、薬研とアオになんかあるがか?」
「まあな。正確には薬研の医療知識にアオが世話になるってことだ」
「あーなるほどのう」
「ねー、次3時間20分だってー」
「おー珍しい……は?」
「「はああああぁぁぁ!?」」
俺と柚は声を上げてアオを見る。
するとアオの後ろでタイマーが動いていた。
「おいこらアオさん?何勝手にやってんだ」
「さっき資源の使いすぎに気を付けるよう言ったよな?」
「うん、でもこんから神楽の言伝聞いて、やった」
「「神楽の?」」
「神楽様から、資源を預かってましたので。もう一振りしてもいいとのことでした」
「「なに会長権限使ってんだあのバカ…」」
「大将の口調が久々に悪くなったなあ…」
「まあ、もう一振りできないこともないが…資源を渡していたとはな」
「神は知ってんのか…?」
「そこまではボクもわかりませんね…」
なんか余計に疲れた気がするぜ…。
「…とりあえず、鍛刀はここまでにして、本丸の探検でもしようか…どこに何があるか把握したいだろうしね…」
「手伝い札は使わずこのままでいく?」
「あぁ…このままでいい。あぁ、そうだ。今日は俺の本丸で飯食え。まだここなんもねえし」
「ん、ありがとー」
「んじゃ、適当に見てこい。一通り見たら、執務室な」
そういって解散し、俺は柚と俺らの刀剣と一緒に、タイマーを見た。
「勝手にやったことも驚きだが、まさか3時間20分の刀剣を引くとはな…」
「最近その時間の刀剣が増えたとはいえ、いきなりレア枠きたね…しかも太刀」
「すげーな、アオ」
「そうだな。柚、叫んで大丈夫だったか?」
「一気に疲れた気がする…」
「同感…とにかく、神楽は会ったら一発蹴り入れるか」
「俺の分もよろしく」
「任せろ」
「大将達ってたまに怖いな…」
「…そうだな…」
「にしてもけっこうかかったな…このまま本丸行って、初鍛刀するか…」
「柳様、本来ですと刀剣男士による出陣ですよ?」
「あぁ、あの胸糞悪い思いをアオにさせるわけねえだろ?」
「俺も審神者の立場なら、嫌だしね」
「?胸糞悪い出陣?」
「初期刀を顕現させたら、次にするのが出陣。が、これは初期刀のみでの出陣で、必ず怪我をして戻ってくるようになってる」
「練度も1で、刀装もなしだからね。で、その怪我を手入れという方法で治すんだけど、それを学ぶための出陣ってやつなんだ」
「俺は教育係も居なかったし、当時柚は、まだ研修中だったからな…本来は担当官かこんのすけが居ながらのチュートリアルなんだが、当時俺には担当官がいなくて、こんのすけだけでな。まぁ何も知らないまままんばを行かせてな」
「あの時の主は、鬼のようだったな…」
「鍛刀からお願いします」
アオは、目は笑ってないが、いい笑顔でそう言う…。
こんのすけも思わず「はいいぃぃ!」って返事してるしな…。
「あ、ここから本丸に行くよ。政府はいくつかゲートがあるから、そこらへんはマニュアルに書いてるから読んでてね」
「わかった」
「本丸からのゲートの操作は、本丸によって勝手が違うから、気を付けてね」
「政府からだと、こちらのパネルに行先のIDを入力していただきます。自分の本丸へ帰還する場合は、通行証をパネルにかざすだけで設定できます」
「通行証?」
「お前のはまだ発行されてねえから、今回は入力な」
「じゃ、アオやってみようか」
「ん」
柚がアオにパネルの操作を教えながらやらせていると、新しいものに興味ありありな陸奥守が後ろから見ていた。
俺んとこの陸奥守もあんな時期あったな…。
「さすがに刀剣も、現代のものに慣れるか」
「まあ、じじい達は未だに無理なやつもいるがな」
「まんばも最初無理かと思ってたが…まさか最初にできるようになるとはな」
「あんたの教えが上手かったからな」
「そりゃどーも」
「やな兄、国広、できたからいこー」
「おー」
「あぁ」
アオが開けたゲートを渡り、アオの本丸に…と思ったら、俺の本丸だった。
「は?俺の本丸?」
「うん、やな兄も着替えたいだろうし」
「柳、大きい荷物はもう運んだって言ってたけど、衣服類はまだって言ってただろ…」
「あぁ……忘れてた」
すっかり忘れてたぜ…まあいいか。
玄関の方へ行くと、ゲートが動いたからな、刀剣達が集まりだしてた。
「主!おかえり!」
「おかえりなさい!」
「おーただいま。後でまた出るけどな」
「あ!アオさんだ!」
「乱さん、久しぶりー」
「久しぶりだね!」
「あ、主と柚の末っ子さんだっけ?可愛いじゃん」
「それは俺が小さいからですか加州さん」
「あれ、俺のこと知ってるの?」
「やな兄達から写真で教えてもらってるので。でもちゃんとは覚えれてないけど」
「はいはい、挨拶は後でもできる。柚、俺の部屋にアオの服があるし、連れてってやってくれ。俺後で行くから」
「わかったよ。アオ、先に着替えようか」
「ん」
「まんば達はちょいと待ってな」
各自にそういうと、俺は厨に行き、光忠たちの様子を見る。
「よ、厨組。どうだ?」
「主?もう帰ってきたのかい?」
「え!まだ終わってないよ!?」
「大丈夫だって、着替えに戻っただけだからよ。アオの服も部屋に置いたままだったの忘れててな」
「じゃあ、また出るのかい?」
「あぁ。ま、アオの本丸に行って鍛刀させたりもするしな」
「こっちは、大丈夫です…」
「はい、任せてください!」
「あぁ、悪いな。頼んだ」
厨の様子を見てから、俺も部屋に向かうと、外に柚が居た。
まんば達は玄関あたりで話してた。
「お帰り、今着替えてるよ」
「あぁ。今日は鍛刀だけでいいか。本丸の中とか見たいだろうし」
「最初はどこも同じだけど、改装できるしね」
「俺んとこは増築と、厨の改装くらいだな」
「アオもそれくらいするかもね。実家に似てるから大きくは変えないかもだけど」
「着替えたー」
「おーって、その着物…」
「あらら」
着替えて出てきたアオが着てたのは、俺の瞳の色と合わせた碧の着物に、濃いめの灰色の袴だった。
それはいいんだけど…。
「お前、まだ俺のお下がり着てたのか…」
「やな兄達はすぐ成長したから、綺麗なままだったし、もったいないって思って。柚兄のもあるよ」
「まだ着てるとは思わなかったよ」
「古くなったら巾着にしたりいろいろリサイクルしてるよ」
「そうなんだ、でも綺麗なままだね」
「風華ちゃん達の手入れのおかげだね。やな兄も着替えてきなよ」
「…おー…」
まさかまだお下がりを着てるとは思わず、驚いた…。
なんか疲れた気もする…まあやることはまだあるからな、さっさと着替えるとしよう。
俺も着流しにさっさと着替え、適当に羽織を羽織って外に出る。
「あー…ずっとスーツは疲れるな…」
「慣れれば大丈夫だけどね」
「お前は役員だしな」
「そういえば、やな兄いつも髪下ろしてるけど、結わないの?」
「めんどいしな。夏は適当に結ってるけど」
「そうなんだ」
「さ、アオの本丸行こうか。荷物はこれで全部?」
「これで全部だぜ。アオが送ってきたでかい奴は先に運んだからな」
「マジか。ありがとう、やな兄」
「おう、んじゃ、行こうぜ」
玄関に戻り、まんば達と合流し、本丸の連中にまた出ることを伝え、アオの本丸へゲートで行く。
こっちのが断然早いしな。
「本丸についたら、まずは鍛刀をするね。そのあと、本丸の探検でもしようか」
「場所の把握とかしないとだもんね」
「まあ間取りは違うが、実家と似てるし、すぐ覚えると思うぞ」
「アオ達の実家に似とるがか?」
「和風の家って意味でな」
「審神者によって、厨を先にリフォームする人もいるね」
「てことは、火起こし系?」
「うん、審神者の中には料理する人もいるけど、刀剣が増えると刀剣達がやるとこが多いから、昔の厨の形にしてるみたいだよ」
「へー」
予定を立てながら向かってると、あっという間についた。
「おお…」とアオが声を漏らし、きょろきょろしている。
「あ、霊力が本丸に行きわたると、元ある結界に馴染んで、勝手に結界が強化できるようになってるから。霊力が多い人は、二重とかにしてる人もいるよ」
「ただ維持もしなきゃだから、一つの結界を強化するくらいのがいいってのが政府の考えだ」
「ふむ…化け物認定の霊力を持つ俺ならできそうな気もするけど」
「神様からは、霊力が安定するまでは無茶するなと言伝を預かってます」
「あらら…残念」
「まあまあ。さ、荷物置いたら鍛刀ね。審神者の部屋はどうしようか」
「決まってないの?」
「離れに審神者が住む場合もあるから、一応そこだな。あそこは小さいが厨も風呂も厠もある。そこを使わず、執務室兼私室にする審神者も居れば、執務室の隣を私室にするやつもいる」
「んー…」
「あと、審神者になった時に貯金がある人は、最初から自分の好みに合わせた改装をする人もいるよ。柳は刀剣が増えてから、増築と厨の改装をしたね」
「改装はまだとっおこうかな…とりあえず離れを私室にしとこ。後でいろいろ変えるだろうけど」
「いいんじゃないかな、じゃ、荷物置いて始めようか」
「はーい」と返事をして、アオは離れにこんのすけと行った。
「陸奥守は部屋決めなくていいのか?」
「わしゃあどこでもえいよ。こじゃんと広いと悩むしにゃあ」
「あぁ、俺も初めは悩んだ」
「俺のとこは寮になるからね。ただ広いマンションだし、部屋も多いから悩んだよ」
「大将ほとんどリビングのソファーで寝てるだろ…」
「柚…」
「あ、ははは…ついそのまま寝ちゃうことが多くて…」
「それで蛍丸が運んでくれることがほとんどだな」
「さすが大太刀…」
「ただいまー」
走って戻ってきたアオ。
意外と早くて驚いた。
「こんのすけ、資源はあるんだよな?」
「はい、最初は政府で用意します。その後は遠征や任務達成などの報酬でもらえます。
また、万屋での購入も可能です」
「資源は、鍛刀と手入れ、刀装作りで消費するから、使いすぎには気を付けて、こまめに資源集めや任務を頑張ってね」
「ん、気を付ける」
鍛刀部屋に移動すると、鍛刀を行う式神が集まってきた。
「おおう…可愛い」
「彼らは式神。鍛刀をしてくれるよ」
「ちなみに審神者の間で妖精とも呼ばれてる」
「マジか。自分でやるんだと思ってた」
「今の時代なかなかいないけどね」
「風雅は自分でやってるからさ」
「いやあいつは器用すぎんだよ…。で、口頭でも紙でも、方法はなんでもいい。こいつらに資源の指示を出して、刀を打ってもらうんだ」
「えーと、木炭、玉鋼、冷却材、砥石だっけ」
「そ。最低50で、最高999の間で指示を出すんだけど、最初はall50でやるんだよ」
「こちらの依頼札を渡して指示を出してくださいね」
「じゃあ、式神さん、すべての資源を50でお願い」
アオの指示を聞いて、式神は小さい手をオーケイと表し、資源を運び、鍛刀を始める。
モニターに20分の文字が現れる。
「20分、てことは短刀だっけ?」
「あぁ、合ってる。で、早く顕現したいなら、手伝い札ってのを使う」
「今回は手順を知るためですので、この手伝い札を使いましょう」
こんのすけがアオに渡すと、アオは式神へ手伝い札を渡す。
するとあっという間に短刀が出来上がった。
「おおう、早い」
「この手伝い札は、手入れにも使えるから。依頼札も手伝い札も資源と同じようにして集めれるから」
「また鍛刀や刀装作りには、近侍が必要になりますので」
「近侍…あぁ…確か審神者の仕事の手伝いとかしてもらうためやっけ?」
「まあ、簡単に言うと日直みたいなもんだな」
「それ分かりやすい」
「で、今アオの近侍は陸奥守さんだから。今後当番制にしてもいいし、固定にしてもいい」
「ん。顕現は確か霊力を流し込めばいいんだっけ」
「あぁ。陸奥守の時は漏れてた霊力が流れたからな…」
「なんかごめんよ。さて…」
アオは短刀に触れ、霊力を流し込みだす。
するとすぐに桜吹雪が舞い、刀剣男士が現れた。
「よお大将。俺っち、薬研藤四郎だ。兄弟ともども、よろしく頼むぜ」
「あ、薬研さんだ」
「いや同じ薬研でもこいつはお前の薬研だからな」
「わかってますー。俺はアオ。今日から審神者になった新米です。君は俺の初鍛刀。よろしく」
「あぁ、こちらこそ」
「で、俺の初期刀の、陸奥守吉行」
「陸奥守吉行じゃ。よろしゅうの!」
「初期刀に初鍛刀ってことは、まだ俺らだけなんだな」
「そうじゃのう」
「じゃあそっちの厚は?」
「初めまして、俺はアオと、こちらの審神者、柳の担当官の柚。厚は俺の刀剣です」
「なるほどな」
「俺は柳。柚の双子の弟で、アオの兄貴で、アオの教育係だ」
「大将の兄弟か。よろしく頼む」
「あぁ。たぶん薬研にはアオのことで迷惑かけるだろうから、すまんが頼むな」
「迷惑??」
「なんじゃ、薬研とアオになんかあるがか?」
「まあな。正確には薬研の医療知識にアオが世話になるってことだ」
「あーなるほどのう」
「ねー、次3時間20分だってー」
「おー珍しい……は?」
「「はああああぁぁぁ!?」」
俺と柚は声を上げてアオを見る。
するとアオの後ろでタイマーが動いていた。
「おいこらアオさん?何勝手にやってんだ」
「さっき資源の使いすぎに気を付けるよう言ったよな?」
「うん、でもこんから神楽の言伝聞いて、やった」
「「神楽の?」」
「神楽様から、資源を預かってましたので。もう一振りしてもいいとのことでした」
「「なに会長権限使ってんだあのバカ…」」
「大将の口調が久々に悪くなったなあ…」
「まあ、もう一振りできないこともないが…資源を渡していたとはな」
「神は知ってんのか…?」
「そこまではボクもわかりませんね…」
なんか余計に疲れた気がするぜ…。
「…とりあえず、鍛刀はここまでにして、本丸の探検でもしようか…どこに何があるか把握したいだろうしね…」
「手伝い札は使わずこのままでいく?」
「あぁ…このままでいい。あぁ、そうだ。今日は俺の本丸で飯食え。まだここなんもねえし」
「ん、ありがとー」
「んじゃ、適当に見てこい。一通り見たら、執務室な」
そういって解散し、俺は柚と俺らの刀剣と一緒に、タイマーを見た。
「勝手にやったことも驚きだが、まさか3時間20分の刀剣を引くとはな…」
「最近その時間の刀剣が増えたとはいえ、いきなりレア枠きたね…しかも太刀」
「すげーな、アオ」
「そうだな。柚、叫んで大丈夫だったか?」
「一気に疲れた気がする…」
「同感…とにかく、神楽は会ったら一発蹴り入れるか」
「俺の分もよろしく」
「任せろ」
「大将達ってたまに怖いな…」
「…そうだな…」