龍神が審神者になる?
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――アオside――
おはようございます、現在15歳、桜衣葵月ことアオでーす。
あのスカウトの夏休みから約半年、明日中学を卒業する。
それまでに柚兄ややな兄、奏さんと連絡を取り合いながらなんとか過ごしてました。
で、明日卒業したらその日のうちに政府に行くことになってて、まず政府内で、初期刀選びと、霊力計測などをするらしい。
それが終われば自分の本丸へ行って、マニュアル通りのチュートリアルを受ける。予定。
ただ俺は訳ありに入るため、様子を見ながらやっていく、らしい。
いや、なんかもうね、すみませんこんなややこしい奴で。
で、今は荷造り中。
大きい奴は先にやな兄のとこに送っていいって事だったから、お言葉に甘えて送らせてもらった。
今は手持ちの確認とかだな。
「えーと、ケータイにタブレットにマニュアルにメモ帳に書くもんに、財布とハンカチ、ティッシュ、あとお菓子か」
「明日学校から帰ったらそのままの荷物でいいんやなか?」
ココアを机に置きながら風雅に突っ込まれ、「そうだった……」と項垂れたのだった。
「実家の荷物は送らんでええん?」
「んー迷ったけど、要るようなら本丸に送ってもらおうと思って、ここだけの荷物だけにしといた」
「さよか」
「風雅達も明日実家に帰るんだっけ?」
「せやな。もともとここは、学校に通うお前さんのために住んでた部屋じゃしの。実家からやと学校まで遠いし」
「実家近くの小学校も、柚兄達の代で廃校なったもんねぇ…」
ココアをのんびり飲みながら、片付いた部屋を見渡す。
物がなくなると、こんなに広かったんだなあと、しみじみ思う。
「実家に帰ってどうすんの?隠居?」
「おふくろ達がまたどっかで店始めるみたいじゃから、その手伝いかの」
「え、風華ちゃんたち店また再開するの?どこで?」
「俺もまだちゃんと聞いとらんからわからんわ」
「そっかー。こっち戻ってきたら行こっと」
ココアを飲んでいると、風蝶ちゃんが「ただいまー」と帰宅してきた。
この部屋での最後の晩御飯の買い出しに行ってたのだ。
「おかえりー」
「おかえり、すまんの、買い出し任せて」
「大丈夫ですよ、お兄には掃除をお願いしてたから。
簡単な料理になりますが、用意しますね」
「ありがとー。あ、水道とかガスは明日連絡する感じ?」
「せやで。あと残ってる家具とかも、午前中には親父らが運ぶん手伝いに来てくれるわ」
「アオくんは学校からそのまま政府ですか?」
「うん、柚兄が迎えに来てくれるって」
「忘れもんないようにの」
確かに。
明日から違う場所で新しい生活が始まるわけだし。
気を付けないと。
再度荷物確認とかしてる間に、ご飯ができたみたいだ。
それを食べて、お風呂に順番に入ったりして、ゆっくりと過ごしていると、いつの間にか寝てしまったらしく、起きたら朝だった。
学校に行く用意を済ませると、玄関に風雅と風蝶が見送りに来てくれた。
「俺らは最後の片づけとかあるから、式に行けん。すまんの」
「ごめんね、アオくん」
「大丈夫。むしろ任せてごめん」
「気にしなさんな。審神者になっても連絡は入れや?」
「もちろん。じゃ、行ってきます」
「いってらっしゃい」
「気を付けてね、いってらっしゃい」
二人に見送られ、学校へ行くと、俺と同じ卒業生や、式に出る在校生や保護者がちらほらいた。
クラスで友人らと話してる間に、式の時間になったため、講堂へ移動すると、見知った気配があった。
「(柚兄、やな兄も来てくれたんだ)」
柚兄が迎えに来ることはわかってたけど、やな兄も来てるとは。
しかも式にも保護者として来てくれてるとは思わなかった。
てか二人とも金髪でイケメンだから、目立ってる…。
周りが赤くなってるし…倒れる人が出ませんように。
少し遠い目をしながらも、卒業式は無事終了。
最後のホームルームを終えると、友人らと写真撮ったりして、兄二人の元へ行く。
が、兄二人は校門前で生徒やら奥様やらと、女性に囲まれていた。
「わー…久々に見たなこの光景…」
確か小学校の卒業式でもこんなことがあったなぁ…。
で、兄二人とお近づきになりたい女の子たちが俺と友達になろうとしたりと。
いやー若いね、うん。
「柚兄ー、やな兄ー」
「お、来た来た」
「おかえり、アオ。卒業おめでとう」
「おめでとさん」
「ありがと。そろそろ行く?」
「あぁ、さっさと行こうぜ。うるさいし」
「そうですね。では行きましょうか」
やな兄はうんざりしながら、柚兄はいい笑顔で周りをスルー?して駐車場へ向かった。
二人とも、そんなんじゃ彼女できないよ…。
車で1,2時間走ってると、政府についたみたいだった(俺は寝てた)
「先に食堂で昼ご飯にでもしようか」
「そうだな、奏さんからも、先に昼を済ませてきてくれって連絡きてたし」
「そうなんだ。てか、柚兄達の刀剣は連れてきてないの?」
「いや、お前の卒業式に行く予定もあったからな、奏さんとこに預けてきたんだ」
「俺らもだけど、彼らも目立つからね…」
「あぁ…」
確かに、二人は自分がイケメンって自覚はないけど、刀剣達が基本イケメンなのを分かってる。
余計目立って大変なことになるな…。
「彼らと合流しなくていいの?」
「食堂に来るよう奏さんに連絡したし、向こうで合流できるだろ」
「と、噂をすれば」
食堂らしきとこが見えてきた時、入口あたりで奏さんと、三人の刀剣達が居た。
「お疲れさまでした、柚、柳」
「奏さんも、お疲れ様です」
「お疲れさんです。刀剣達任せてすみません」
「大丈夫ですよ、仕事手伝ってもらってましたし。
アオさん、卒業おめでとうございます。ようこそ、時の政府へ」
「ありがとうございます。これからよろしくお願いします。
国広と薬研さんは半年ぶりかな」
「そうだな」
「あぁ、久しぶりだな」
「うん、これからよろしく。じゃあこの人が柚兄の刀剣?」
「そうだよ、俺の初鍛刀なんだ」
「オレは厚藤四郎!初めましてだな、アオさん!」
「初めまして、さんなんていらないですよ、アオでいいです。
藤四郎ってことは、粟田口、薬研さんの兄弟ですね。よろしくお願いします」
「あぁ!じゃあアオな!敬語はいいからさ、気軽に話してくれよ」
「ん、わかった」
食堂で昼ご飯を食べた後、先に審神者の登録と、初期刀選びをすることになった。
奏さん達の所属する部屋に移動し、登録を始める奏さん。
「登録する審神者名はどうしますか?」
「あ、アオでいいです。慣れてるし」
「わかりました。あと、戦闘系審神者の仮登録もやりますね」
「仮登録なんですか?」
「お前まだ霊力測定してねぇからな」
「現段階だと、戦闘系審神者の候補者なんだよ。だから、測定結果次第なんだ」
「なるほ」
「柚、登録してる間に、こんのすけの紹介と、初期刀選びしてもらっていいですか?」
「わかりました。こんのすけ」
柚兄がそう呼ぶと、可愛いモフモフな狐が現れた。
「初めまして、主様。ボクは管狐のこんのすけと申します」
「あ、ども、今日から審神者になるアオです」
「このこんのすけは、アオ専属のこんのすけになるから。あと、この子は神さんと神楽さんが選んだ子だから、事情は全部知ってるよ」
「おおう。手が早いねあの二人…えと、こんちゃん?俺のことはアオでいい。主様てのはやめてもらえるかい?」
「え!ですが…」
「ほんとは様付けも嫌なんだけど、こんちゃんはやめないだろうしね。だから、せめてアオ様にしてほしい」
「……わかりました。アオ様。これからよろしくお願いします」
「ん、ありがとう、よろしくな」
「んじゃ、次は初期刀選びだな」
薬研さんと厚さんが台に乗せた5振りの刀を持ってきて、俺の前に台を止めた。
「一振りは国広なんだけ?」
「あぁ、そうだ」
「まんばにするのか?」
「それはまだわからない」
「選ぶだけでいいからね。あ、抜いたらダメだからね」
「ん」
それぞれの刀の名前を教えてもらい、一振りずつジッと見る。
そして決めた一振り…。
「決めた。陸奥守吉行にする」
「それじゃ、陸奥守吉行を手に取って。顕現は本丸でやるから」
柚兄の指示に従い、陸奥守吉行を手に取ろうと触れると、ブワッと桜の花びらが舞い、目の前に濃いオレンジの色の着物を来た人が居た。
「わしは陸奥守吉行じゃ。せっかくこがな所に来たがやき、世界を掴むぜよ!」
俺はポカーンとその人物、陸奥守吉行を見ていた。
あれ、顕現は本丸でやるはずなんに…え、俺なんかした覚えないんだけど。
陸奥守吉行は俺や後ろにいる柚兄達を見て首を傾げ、頭をかく。
「あー…なんじゃ、わしが呼ばれたんは違うたかの?」
「いや、君を選んだのは間違ってない。ただ君を顕現するのは本丸で、って話だったから、ここで顕現して驚いただけ」
「ん?ここは本丸やなかったんか」
「そうそう、ごめんよ。君を選んだのに驚いて。俺はアオ、今日から審神者になる。君は俺の初期刀だ、よろしく」
「ほおか!よろしゅうの主!」
「俺のことはアオって呼んでくれ。主とか様付けって苦手なんだ」
「変わった主じゃのぉ…おん、わかったぜよ、アオ」
挨拶が終わったころに、周りが動きだした。
俺も驚いたけど、みんなも驚いている。
奏さんも登録が終わったみたいで、初期刀選びが終わるのを待ってたみたいだった。
「アオ、お前顕現は本丸でって話したよな?」
「いや、俺もここで顕現して驚いてる。てか俺なんもしてない。触れただけ」
「触れただけで顕現した…?」
「えーと…奏さん、こういう事例って…」
「私が知る限り、初めてです…」
「あー…アオの陸奥守、お前、顕現するとき何か感じたか?呼ばれたとか…」
「呼ばれる、と言うてええんかの?アオの暖かい霊力が流れてきての、目を開けたら顕現しちょった」
「…アオの霊力が漏れてたんじゃないのか?」
「そうだな、まんば。それしかねえだろうな…」
兄二人に呆れたようなため息をつかれ、奏さんは急いでPCに向かい、刀剣達は苦笑していたり様々だった。
「とりあえず…アオの陸奥守さん、俺はアオと、こちらの審神者、柳の担当官の柚です」
「俺は柳。柚は俺の双子の兄貴で、アオは俺らの末っ子の兄弟。で、普通は教育係てのは付かないんだが、アオは特殊で教育係に俺がなる」
「特殊??」
「アオは戦闘系審神者候補なんです」
「なんじゃその、戦闘系ちゅうのは?」
「戦闘系審神者とは、そのままの意味で、戦闘を行う審神者のことを指す。戦場にも、政府の依頼があった場合他の本丸にも行ったりするんだ」
「どういうことじゃ?」
国広達が陸奥守吉行に詳しく説明してくれてる間に、俺と兄二人は奏さんの方へ行く。
「奏さん、どうすか?」
「事例あります?」
「…似た報告はありましたが、触れただけで顕現した、というのはないですね…。本丸に行くまでに顕現してしまった、触れながら名前を言ったら顕現した、とか…」
「やっぱ漏れた霊力が流れて顕現したってことか」
「おそらくは…代表と会長に先に連絡しておきます。柚、アオさんの霊力測定お願いします」
「はい」
兄二人と、二人の刀剣、陸奥守吉行、こんちゃんとで、霊力測定をする部屋へ移動することに。
国広達の話を聞いて、難しい顔をしてる陸奥守吉行。
「どうした、陸奥守?」
「…自分の主が戦場に出るっちゅうんはのぉ…」
「まあ、家臣からしたら納得いかねえか」
「俺も最初は納得いかなかったがな」
「そういえば、厚も最初しぶったもんね」
「大将の場合、体弱いってのもあったしなー」
「でも昔の人は、主とか関係なく戦場に出てたでしょ?今の時代戦える人って早々いないだろうけど」
「ま、俺らも最初は戦えるかなんて自信もなかったけどな。喧嘩はできたけど」
「柳は喧嘩慣れしすぎなんだよ」
「…アオは平気なんかの?」
「慣れてるしね。稽古もしてたし」
「アオは強いぞ。主達の実家で手合わせしたことがあるが、何度も負けた」
「え!山姥切手合わせしたのか!?しかも負けた!?」
「あぁ、一年くらい前は引き分けかぎりぎり勝つかだったな。半年前は修行から帰ってきたところだったが、勝てなかった」
「アオってどんだけ強いんだよ…」
厚さんや陸奥守吉行は驚いている中、兄二人はなぜか遠い目をしていた。
で、話してる間に霊力測定する場所についたらしい。
中に入ると、バスケットボールくらいの大きさの球体が嵌った台があり、傍にはモニターらしきものがあった。
「あの球体に両手でも片手でもいいから手を置いてね。その人の霊力を読み取って、政府で位置づけてるランクが出るから」
「わかった」
柚兄達はモニター側に行き、少し操作してから「じゃ、はじめよっか」と言う。
俺は言われたように、片手を球体に置く。
すると俺の目の前にもモニターが現れ、計測を始める。
少しして計測が止まると、いろいろ出てきた。
「おーいろいろでた。柚兄、これどういう……え、なに」
柚兄に意味を聞こうと、モニターの皆を見ると、陸奥守吉行以外が変な顔をしていた。
「…総合B-ランク…?」
「いやありえねぇだろ。触れただけで顕現するほどの霊力がB-なんて」
「えーと…とりあえず意味は…」
「抑えてるとはいえB-…」
「あのー……」
「柚、柳、そんな変な顔しててもしゃあねーぞ」
「そうそう」
混乱してると、懐かしい声が聞こえ、振り向くと、久しぶりに会う家族が居た。
「神!神楽!」
おはようございます、現在15歳、桜衣葵月ことアオでーす。
あのスカウトの夏休みから約半年、明日中学を卒業する。
それまでに柚兄ややな兄、奏さんと連絡を取り合いながらなんとか過ごしてました。
で、明日卒業したらその日のうちに政府に行くことになってて、まず政府内で、初期刀選びと、霊力計測などをするらしい。
それが終われば自分の本丸へ行って、マニュアル通りのチュートリアルを受ける。予定。
ただ俺は訳ありに入るため、様子を見ながらやっていく、らしい。
いや、なんかもうね、すみませんこんなややこしい奴で。
で、今は荷造り中。
大きい奴は先にやな兄のとこに送っていいって事だったから、お言葉に甘えて送らせてもらった。
今は手持ちの確認とかだな。
「えーと、ケータイにタブレットにマニュアルにメモ帳に書くもんに、財布とハンカチ、ティッシュ、あとお菓子か」
「明日学校から帰ったらそのままの荷物でいいんやなか?」
ココアを机に置きながら風雅に突っ込まれ、「そうだった……」と項垂れたのだった。
「実家の荷物は送らんでええん?」
「んー迷ったけど、要るようなら本丸に送ってもらおうと思って、ここだけの荷物だけにしといた」
「さよか」
「風雅達も明日実家に帰るんだっけ?」
「せやな。もともとここは、学校に通うお前さんのために住んでた部屋じゃしの。実家からやと学校まで遠いし」
「実家近くの小学校も、柚兄達の代で廃校なったもんねぇ…」
ココアをのんびり飲みながら、片付いた部屋を見渡す。
物がなくなると、こんなに広かったんだなあと、しみじみ思う。
「実家に帰ってどうすんの?隠居?」
「おふくろ達がまたどっかで店始めるみたいじゃから、その手伝いかの」
「え、風華ちゃんたち店また再開するの?どこで?」
「俺もまだちゃんと聞いとらんからわからんわ」
「そっかー。こっち戻ってきたら行こっと」
ココアを飲んでいると、風蝶ちゃんが「ただいまー」と帰宅してきた。
この部屋での最後の晩御飯の買い出しに行ってたのだ。
「おかえりー」
「おかえり、すまんの、買い出し任せて」
「大丈夫ですよ、お兄には掃除をお願いしてたから。
簡単な料理になりますが、用意しますね」
「ありがとー。あ、水道とかガスは明日連絡する感じ?」
「せやで。あと残ってる家具とかも、午前中には親父らが運ぶん手伝いに来てくれるわ」
「アオくんは学校からそのまま政府ですか?」
「うん、柚兄が迎えに来てくれるって」
「忘れもんないようにの」
確かに。
明日から違う場所で新しい生活が始まるわけだし。
気を付けないと。
再度荷物確認とかしてる間に、ご飯ができたみたいだ。
それを食べて、お風呂に順番に入ったりして、ゆっくりと過ごしていると、いつの間にか寝てしまったらしく、起きたら朝だった。
学校に行く用意を済ませると、玄関に風雅と風蝶が見送りに来てくれた。
「俺らは最後の片づけとかあるから、式に行けん。すまんの」
「ごめんね、アオくん」
「大丈夫。むしろ任せてごめん」
「気にしなさんな。審神者になっても連絡は入れや?」
「もちろん。じゃ、行ってきます」
「いってらっしゃい」
「気を付けてね、いってらっしゃい」
二人に見送られ、学校へ行くと、俺と同じ卒業生や、式に出る在校生や保護者がちらほらいた。
クラスで友人らと話してる間に、式の時間になったため、講堂へ移動すると、見知った気配があった。
「(柚兄、やな兄も来てくれたんだ)」
柚兄が迎えに来ることはわかってたけど、やな兄も来てるとは。
しかも式にも保護者として来てくれてるとは思わなかった。
てか二人とも金髪でイケメンだから、目立ってる…。
周りが赤くなってるし…倒れる人が出ませんように。
少し遠い目をしながらも、卒業式は無事終了。
最後のホームルームを終えると、友人らと写真撮ったりして、兄二人の元へ行く。
が、兄二人は校門前で生徒やら奥様やらと、女性に囲まれていた。
「わー…久々に見たなこの光景…」
確か小学校の卒業式でもこんなことがあったなぁ…。
で、兄二人とお近づきになりたい女の子たちが俺と友達になろうとしたりと。
いやー若いね、うん。
「柚兄ー、やな兄ー」
「お、来た来た」
「おかえり、アオ。卒業おめでとう」
「おめでとさん」
「ありがと。そろそろ行く?」
「あぁ、さっさと行こうぜ。うるさいし」
「そうですね。では行きましょうか」
やな兄はうんざりしながら、柚兄はいい笑顔で周りをスルー?して駐車場へ向かった。
二人とも、そんなんじゃ彼女できないよ…。
車で1,2時間走ってると、政府についたみたいだった(俺は寝てた)
「先に食堂で昼ご飯にでもしようか」
「そうだな、奏さんからも、先に昼を済ませてきてくれって連絡きてたし」
「そうなんだ。てか、柚兄達の刀剣は連れてきてないの?」
「いや、お前の卒業式に行く予定もあったからな、奏さんとこに預けてきたんだ」
「俺らもだけど、彼らも目立つからね…」
「あぁ…」
確かに、二人は自分がイケメンって自覚はないけど、刀剣達が基本イケメンなのを分かってる。
余計目立って大変なことになるな…。
「彼らと合流しなくていいの?」
「食堂に来るよう奏さんに連絡したし、向こうで合流できるだろ」
「と、噂をすれば」
食堂らしきとこが見えてきた時、入口あたりで奏さんと、三人の刀剣達が居た。
「お疲れさまでした、柚、柳」
「奏さんも、お疲れ様です」
「お疲れさんです。刀剣達任せてすみません」
「大丈夫ですよ、仕事手伝ってもらってましたし。
アオさん、卒業おめでとうございます。ようこそ、時の政府へ」
「ありがとうございます。これからよろしくお願いします。
国広と薬研さんは半年ぶりかな」
「そうだな」
「あぁ、久しぶりだな」
「うん、これからよろしく。じゃあこの人が柚兄の刀剣?」
「そうだよ、俺の初鍛刀なんだ」
「オレは厚藤四郎!初めましてだな、アオさん!」
「初めまして、さんなんていらないですよ、アオでいいです。
藤四郎ってことは、粟田口、薬研さんの兄弟ですね。よろしくお願いします」
「あぁ!じゃあアオな!敬語はいいからさ、気軽に話してくれよ」
「ん、わかった」
食堂で昼ご飯を食べた後、先に審神者の登録と、初期刀選びをすることになった。
奏さん達の所属する部屋に移動し、登録を始める奏さん。
「登録する審神者名はどうしますか?」
「あ、アオでいいです。慣れてるし」
「わかりました。あと、戦闘系審神者の仮登録もやりますね」
「仮登録なんですか?」
「お前まだ霊力測定してねぇからな」
「現段階だと、戦闘系審神者の候補者なんだよ。だから、測定結果次第なんだ」
「なるほ」
「柚、登録してる間に、こんのすけの紹介と、初期刀選びしてもらっていいですか?」
「わかりました。こんのすけ」
柚兄がそう呼ぶと、可愛いモフモフな狐が現れた。
「初めまして、主様。ボクは管狐のこんのすけと申します」
「あ、ども、今日から審神者になるアオです」
「このこんのすけは、アオ専属のこんのすけになるから。あと、この子は神さんと神楽さんが選んだ子だから、事情は全部知ってるよ」
「おおう。手が早いねあの二人…えと、こんちゃん?俺のことはアオでいい。主様てのはやめてもらえるかい?」
「え!ですが…」
「ほんとは様付けも嫌なんだけど、こんちゃんはやめないだろうしね。だから、せめてアオ様にしてほしい」
「……わかりました。アオ様。これからよろしくお願いします」
「ん、ありがとう、よろしくな」
「んじゃ、次は初期刀選びだな」
薬研さんと厚さんが台に乗せた5振りの刀を持ってきて、俺の前に台を止めた。
「一振りは国広なんだけ?」
「あぁ、そうだ」
「まんばにするのか?」
「それはまだわからない」
「選ぶだけでいいからね。あ、抜いたらダメだからね」
「ん」
それぞれの刀の名前を教えてもらい、一振りずつジッと見る。
そして決めた一振り…。
「決めた。陸奥守吉行にする」
「それじゃ、陸奥守吉行を手に取って。顕現は本丸でやるから」
柚兄の指示に従い、陸奥守吉行を手に取ろうと触れると、ブワッと桜の花びらが舞い、目の前に濃いオレンジの色の着物を来た人が居た。
「わしは陸奥守吉行じゃ。せっかくこがな所に来たがやき、世界を掴むぜよ!」
俺はポカーンとその人物、陸奥守吉行を見ていた。
あれ、顕現は本丸でやるはずなんに…え、俺なんかした覚えないんだけど。
陸奥守吉行は俺や後ろにいる柚兄達を見て首を傾げ、頭をかく。
「あー…なんじゃ、わしが呼ばれたんは違うたかの?」
「いや、君を選んだのは間違ってない。ただ君を顕現するのは本丸で、って話だったから、ここで顕現して驚いただけ」
「ん?ここは本丸やなかったんか」
「そうそう、ごめんよ。君を選んだのに驚いて。俺はアオ、今日から審神者になる。君は俺の初期刀だ、よろしく」
「ほおか!よろしゅうの主!」
「俺のことはアオって呼んでくれ。主とか様付けって苦手なんだ」
「変わった主じゃのぉ…おん、わかったぜよ、アオ」
挨拶が終わったころに、周りが動きだした。
俺も驚いたけど、みんなも驚いている。
奏さんも登録が終わったみたいで、初期刀選びが終わるのを待ってたみたいだった。
「アオ、お前顕現は本丸でって話したよな?」
「いや、俺もここで顕現して驚いてる。てか俺なんもしてない。触れただけ」
「触れただけで顕現した…?」
「えーと…奏さん、こういう事例って…」
「私が知る限り、初めてです…」
「あー…アオの陸奥守、お前、顕現するとき何か感じたか?呼ばれたとか…」
「呼ばれる、と言うてええんかの?アオの暖かい霊力が流れてきての、目を開けたら顕現しちょった」
「…アオの霊力が漏れてたんじゃないのか?」
「そうだな、まんば。それしかねえだろうな…」
兄二人に呆れたようなため息をつかれ、奏さんは急いでPCに向かい、刀剣達は苦笑していたり様々だった。
「とりあえず…アオの陸奥守さん、俺はアオと、こちらの審神者、柳の担当官の柚です」
「俺は柳。柚は俺の双子の兄貴で、アオは俺らの末っ子の兄弟。で、普通は教育係てのは付かないんだが、アオは特殊で教育係に俺がなる」
「特殊??」
「アオは戦闘系審神者候補なんです」
「なんじゃその、戦闘系ちゅうのは?」
「戦闘系審神者とは、そのままの意味で、戦闘を行う審神者のことを指す。戦場にも、政府の依頼があった場合他の本丸にも行ったりするんだ」
「どういうことじゃ?」
国広達が陸奥守吉行に詳しく説明してくれてる間に、俺と兄二人は奏さんの方へ行く。
「奏さん、どうすか?」
「事例あります?」
「…似た報告はありましたが、触れただけで顕現した、というのはないですね…。本丸に行くまでに顕現してしまった、触れながら名前を言ったら顕現した、とか…」
「やっぱ漏れた霊力が流れて顕現したってことか」
「おそらくは…代表と会長に先に連絡しておきます。柚、アオさんの霊力測定お願いします」
「はい」
兄二人と、二人の刀剣、陸奥守吉行、こんちゃんとで、霊力測定をする部屋へ移動することに。
国広達の話を聞いて、難しい顔をしてる陸奥守吉行。
「どうした、陸奥守?」
「…自分の主が戦場に出るっちゅうんはのぉ…」
「まあ、家臣からしたら納得いかねえか」
「俺も最初は納得いかなかったがな」
「そういえば、厚も最初しぶったもんね」
「大将の場合、体弱いってのもあったしなー」
「でも昔の人は、主とか関係なく戦場に出てたでしょ?今の時代戦える人って早々いないだろうけど」
「ま、俺らも最初は戦えるかなんて自信もなかったけどな。喧嘩はできたけど」
「柳は喧嘩慣れしすぎなんだよ」
「…アオは平気なんかの?」
「慣れてるしね。稽古もしてたし」
「アオは強いぞ。主達の実家で手合わせしたことがあるが、何度も負けた」
「え!山姥切手合わせしたのか!?しかも負けた!?」
「あぁ、一年くらい前は引き分けかぎりぎり勝つかだったな。半年前は修行から帰ってきたところだったが、勝てなかった」
「アオってどんだけ強いんだよ…」
厚さんや陸奥守吉行は驚いている中、兄二人はなぜか遠い目をしていた。
で、話してる間に霊力測定する場所についたらしい。
中に入ると、バスケットボールくらいの大きさの球体が嵌った台があり、傍にはモニターらしきものがあった。
「あの球体に両手でも片手でもいいから手を置いてね。その人の霊力を読み取って、政府で位置づけてるランクが出るから」
「わかった」
柚兄達はモニター側に行き、少し操作してから「じゃ、はじめよっか」と言う。
俺は言われたように、片手を球体に置く。
すると俺の目の前にもモニターが現れ、計測を始める。
少しして計測が止まると、いろいろ出てきた。
「おーいろいろでた。柚兄、これどういう……え、なに」
柚兄に意味を聞こうと、モニターの皆を見ると、陸奥守吉行以外が変な顔をしていた。
「…総合B-ランク…?」
「いやありえねぇだろ。触れただけで顕現するほどの霊力がB-なんて」
「えーと…とりあえず意味は…」
「抑えてるとはいえB-…」
「あのー……」
「柚、柳、そんな変な顔しててもしゃあねーぞ」
「そうそう」
混乱してると、懐かしい声が聞こえ、振り向くと、久しぶりに会う家族が居た。
「神!神楽!」