龍神が審神者になる?
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――柳side――
俺は審神者をしてる柳。
本名じゃねぇけどな。
今日から長くて約一週間は、実家に帰省する、んだが…。
まさか昨日、奏さんから同行を頼まれるとは…。
つか、年に一度か二度くらいの反応に、力を抑えてるはずなのに漏れてるってことは…あいつしかいねぇよなあ…。
で、今日は奏さんと俺の双子の兄、柚の三人と、それぞれの刀剣三振りを連れていくんだが…昨日そのことを俺の刀剣に伝えたら、みんな行きたがる…いや、今回はもう決めてたから、諦めてもらったけどな。
今にも私闘が始まりそうで疲れたぜ…。
とりあえず、現世に行くということで、刀剣達には現代の私服を着てもらってるから、目立ってないはずだ(顔がいいから否定できない)
まあ一応田舎だし、大丈夫だろ。
「さて、駅で待ち合わせと言われたけど…」
「あ、来たみたいだよ」
大きな車が二台、俺らの前に止まった。
「よ、おかえりお二人さん」
「「ただいま、風雅」」
「久しいなあ」
「雅一もきてくれたのか」
「そりゃの、大所帯でくるなら、これくらいの車二台はいるじゃろ」
「お久しぶりです、風雅さん、雅一さん。突然申し訳ありません」
「構わんよ。ほれ、適当に二手に分かれて乗りな」
雅一の言う通り、二手に分かれて車に乗り込むと、実家へ向かった。
駅から車でだいたい一時間の山奥にあるからなあ。
「そいや、アオは実家に?」
「せやで、おふくろらとお昼とお菓子作っとるわ」
「へー。つか、お前ら静かだな?」
後ろの刀剣へ話しかけると、少し緊張した感じだった。
「い、いや、初めて主のご実家に行くし、楽しみでもあるんだけど…」
「緊張しちゃって…」
「俺は何度か行ったがな」
「あぁ…風雅、眼帯の長身は、太刀、燭台切光忠。女の子のような子は、短刀、乱藤四郎だ。まんばは前に会ったな」
「せやな。お二人さん、そない緊張せんでよかよ。燭台切は、確かおふくろに料理のレシピ聞きたかったんやけ?」
「あ、はい。前に主が持ち帰った煮物や和菓子がすごくおいしかったので…」
「普通にはなしたらよかよ~で、乱は確か初鍛刀やったけ?」
「え!そこまで知ってるの!?」
「柳に聞いてたからの。で、他三人は?」
「残りの三人は、柚んとこの刀剣。大太刀、蛍丸。太刀、明石国行。短刀。愛染国俊」
「その三振りは来派の刀じゃな」
「なんや、それも主はんから?」
「せやでー」
いろいろ話してる間に、実家に到着。
荷物を下ろし、自分の部屋へ運び、俺と柚の刀剣には客間を使うように言うと、背中に衝撃が走った。
「ぐえっ」
「やな兄!久しぶり!」
「アオ…久しぶり、ただ内臓がまろびでるところだったから、もうちょい加減してくれな?」
「あ、ごめん」
「よし」
「久しいな、アオ」
「あ!国広!久しぶりー!」
まんばはアオの頭を撫でると少し微笑んだ。
「えと、燭台切光忠さんと、乱藤四郎さん、で合ってる?」
「おう、合ってるぞ」
「え、主さん、僕たちのこと皆に話してるの?」
「つか写真送ってるからな」
「えっ、かっこ悪いとこばっか送ってないよね!?」
「そこかよ…」
「あ、もうすぐお昼できるから、大広間に集まってなー」
「おー柚んとこにも伝えとくわ」
「任せた!」
アオはそういうと台所へ帰っていった。
「アオは変わらないな」
「だな…あれでも15なはずだけどなー」
「え、15なの!?」
「もっと下かと…」
「身長で判断したなら、気を付けろよ…あいつ、一応気にしてるからな…」
広間に行くと昼食が用意されており、刀剣の自己紹介も要件も、ご飯の後になり、ひとまず飯を食うことに。
今日の昼はかつ丼だった。
俺はもちろん、アオも風雅も雅一も、大食い組はお代わりをしていた。
刀剣達もお代わりをしていて、少しは緊張がほぐれたようだ。
デザートはほうじ茶プリンに抹茶ティラミス、抹茶、ほうじ茶のチーズケーキにコーヒーと紅茶のゼリーといろいろあった。
「すげえ作ったな…」
「甘いもの苦手な人もいるかもしれないから、コーヒーと紅茶のゼリーも追加しちゃった」
さて、デザート食べながら、まずは自己紹介するか。
といっても、俺と柚の刀剣は、写真や手紙で教えてるから大丈夫。
「改めまして、お久しぶりでございます。奏です。
こちらの三振りは、私の刀剣男子です」
「私は大太刀、石切丸という」
「僕は堀川国広、脇差です」
「薬研藤四郎だ。政府内で柚の旦那の体調管理を任されてる」
「奏の刀剣は、みんな俺らのこと知っとるん?」
「はい、神さんと神楽さんには伝えとけといわれてましたので」
「あー…まあ奏ちゃん、二人の上司でもあるけど、ある意味私たちの担当みたいなものだもんねぇ…」
「私はそのつもりですが…。それで、今回こちらにお邪魔させていただいたのは、政府内で噂が流れてるからなんです」
「噂?」
奏さんや俺、柚は、昨日の話を皆にすると、みんなは納得した顔になり、アオを見た。
「ん?」
「いや、隠しても隠し切れんのお前さんくらいじゃろ…」
「けっこう抑えてるんだけどねぇ…」
「それで、審神者に、もしくは政府役人にということかの?」
「はい…ですが強制はしたくないので。
…それと…神さんから、この動画を見せろと…」
奏さんはタブレットにある映像を出すと、それを皆に見せる。
すると、部屋全体が重い空気覆われた。
「っ…」
「な、に…」
「……こいつらは」
「っ…歴史、修正主義者…時間、遡行、軍…です」
「……そうか…こいつらが…」
少しして、重苦しい空気から解放されると、アオは「一人になりたい」と、部屋を出ていったのだった。
「神が、これを見せろって言うたんやな?」
「はい…」
「…何年もあったのに今見せるということは…進路を悩んでるならこい、ってことやろな…」
「…もしかして、神も神楽も政府に行ったのは…」
「これも理由じゃろな。あいつらも、あいつらなりに責任感じ取るはずやし」
「…雅一、風雅、アオは…」
「…奏ももじゃけど、昔話したよな、俺らのこと」
「あぁ」
「……大昔、俺らの里を破壊したのが、こいつらじゃ」
「「「!?」」」
「遡行軍は、大きな歴史に、史実に残る歴史を狙ってるはずじゃ…」
「そうらしいの。けんど…実際俺らは一度滅ぼされた。神と神楽を残し、アオが自分の魂に呪いをかけた」
「それ以来アオは何度も転生してきた。俺らも、何度もアオを探し、見つけた」
「……神は、他に何か言ってた?」
「「選ぶのはあいつだ」と…」
「さよか…」
アオが一人になりたいということで、俺らは、事情を知らない刀剣男子達(まんばと奏さんの刀剣以外)に説明をする。
アオや現代表と現会長が龍神で、龍神の眷属達を夜桜組と呼んでること、俺らの生い立ちなど。
何も知らなかった彼らはいろいろ驚いていた 。
「主さんと柚さんは眷属じゃないの?」
「あぁ、俺たちは眷属の契約していないからね」
「俺はしたいけどな」
「お前さんは昔から言うとるな」
「あれ、でもアオさんから霊力は感じたけど、神力は感じなかったよ?」
「確かに…」
「アオは転生先を選べないからね。妖として生まれたり、半妖として生まれたり、人として生まれたり、いろいろな形で生まれてきたの」
「今生は人として生まれたんじゃ。ただ龍神としての記憶を全て思い出せば、人の寿命も関係なく、龍神として覚醒する。
力も使えるし、長く生きることができるんじゃ。今生はまだ生まれて15年くらいじゃけどの」
「今生は、もともと霊力が高かったけどね。普段は人の姿でできるだけ抑えてるんだけど、最近また霊力が高くなったみたいで」
「それで調査班に引っかかって、主さんが調査、スカウトということになったんですね」
「はい、調査部隊が、怪奇現象!?と怖がるものも増えましたので」
「それでよく政府に入ったよなぁ…」
「霊力が少ない、もしくはほぼないものは、だいたいが調査部門か、特技があれば情報部などに配属ですからね」
奏さんはのんきに抹茶のチーズケーキを食べているが…あんた、さっきほうじ茶のチーズケーキに紅茶のゼリーも食ってたよな…。
意外なとこで甘党だと判明したわ。
「……奏さんとしては、アオを欲しいと思いますか?」
気になっていたんだろう、柚が奏さんに確認する。
奏さんは「そうですね…」と言いながらフォークを置く。
「個人的にも、政府としても私は欲しいと思います。
きちんと霊力測定器にかけたわけじゃないので、実際の力はわかりませんが…ですが、おそらく柳以上の力はあるでしょう。もしそうなら、私の所属する部署に欲しいのです。柳と同じで」
「柳と同じ…ということは、戦闘系の審神者や政府役人が所属しとる部署やな?」
「はい。戦闘系とは、そのまま、遡行軍と渡り合える力を持ち、刀剣男子と共に戦う。これは前衛型、中衛型、後衛型とわかれます。
また戦闘系の役割は、ブラック本丸対策課が手に負えない場合の強制執行部…のようなものですかね。あとは、特殊な仕事が入った場合、それを行うのが、戦闘系の審神者や役員が所属している部署になります」
「けど、その部署の戦闘できる審神者は、条件を満たさないとなれません。柳さんや柚さんのように、霊力が高い人じゃないとなれないんです」
「それと、ただ高いだけじゃないけない。政府の定めている数値以上でなければいけないんだ。だから、戦闘系の審神者は数が少ないんだ」
「なるほどの…」
「…ですが、私は本人の意思を優先したいので、やりたくないならそれで構いませんし、無理にスカウトはしたくないですから」
「本人が審神者なり役員なるいうたら?」
「そうですね、審神者を選ぶのであれば、しばらくの教育係として、柳にお願いしようかと思っています」
「って俺かよ」
「あなたなら、しっかり教えれると思っておりますので。
また、柳と同じように、審神者をしながら戦闘系をしてくださるのであれば、担当官を柚にと思ってます。この二人なら、アオさんのサポートはもちろん、いろいろわかっているでしょうし。役員として、柚や私と同じ部署に所属を希望するのであれば、私が直接仕事を教えますし、責任も私が持ちます」
「…前から思うとったんじゃけど、奏はなんでそこまで俺らに尽くすような感じなん?」
雅一が思ったことを言えば、奏さんは、少し目を伏せながらも話してくれた。
「…本当の話かはわかりませんが、私の先祖は、龍神様に助けていただいたと、祖母に昔聞いたことがあるんです」
「龍神に?」
「はい、それが神さんや神楽さん、アオさんやアオさんの当時のご両親かはわかりません。ですが、祖母は物語のように話してくれて、いつか会えるなら、恩返しがしたいねぇと、ずっと話していました。龍神様のおかげで、祖母も母も、私も生まれてこれたので」
「…そのご先祖さんのことは、なんもわからんのかの?」
「はい…昔は書物などがあったらしいと祖母に聞いたことはありますが、戦争などで焼けてしまい…」
「さよか…」
「ですが、私は龍神様だけでなく、神様を大事にしたいと思っています。私自身、刀剣男子と人の間に生まれた存在ですから。母と出会ってくれた父に、母を守ってくれる刀剣男子達に感謝してますので」
「奏ちゃんは綺麗な心の持ち主ね~あ、抹茶ティラミスも食べる?」
「是非いただきます」
真面目な話してたはずなんだけどな…いきなり目を光らせてデザートに食いつく奏さん……切り替えすげえわ。
「…俺、アオのとこ行ってくるわ」
「俺も行くよ」
「お前らは自由にしてていいぞ、光忠は風華にレシピ聞きたいだろ?」
「あ、うん、ありがとう主」
さてさて…末っ子は大丈夫かねぇ…。
俺は審神者をしてる柳。
本名じゃねぇけどな。
今日から長くて約一週間は、実家に帰省する、んだが…。
まさか昨日、奏さんから同行を頼まれるとは…。
つか、年に一度か二度くらいの反応に、力を抑えてるはずなのに漏れてるってことは…あいつしかいねぇよなあ…。
で、今日は奏さんと俺の双子の兄、柚の三人と、それぞれの刀剣三振りを連れていくんだが…昨日そのことを俺の刀剣に伝えたら、みんな行きたがる…いや、今回はもう決めてたから、諦めてもらったけどな。
今にも私闘が始まりそうで疲れたぜ…。
とりあえず、現世に行くということで、刀剣達には現代の私服を着てもらってるから、目立ってないはずだ(顔がいいから否定できない)
まあ一応田舎だし、大丈夫だろ。
「さて、駅で待ち合わせと言われたけど…」
「あ、来たみたいだよ」
大きな車が二台、俺らの前に止まった。
「よ、おかえりお二人さん」
「「ただいま、風雅」」
「久しいなあ」
「雅一もきてくれたのか」
「そりゃの、大所帯でくるなら、これくらいの車二台はいるじゃろ」
「お久しぶりです、風雅さん、雅一さん。突然申し訳ありません」
「構わんよ。ほれ、適当に二手に分かれて乗りな」
雅一の言う通り、二手に分かれて車に乗り込むと、実家へ向かった。
駅から車でだいたい一時間の山奥にあるからなあ。
「そいや、アオは実家に?」
「せやで、おふくろらとお昼とお菓子作っとるわ」
「へー。つか、お前ら静かだな?」
後ろの刀剣へ話しかけると、少し緊張した感じだった。
「い、いや、初めて主のご実家に行くし、楽しみでもあるんだけど…」
「緊張しちゃって…」
「俺は何度か行ったがな」
「あぁ…風雅、眼帯の長身は、太刀、燭台切光忠。女の子のような子は、短刀、乱藤四郎だ。まんばは前に会ったな」
「せやな。お二人さん、そない緊張せんでよかよ。燭台切は、確かおふくろに料理のレシピ聞きたかったんやけ?」
「あ、はい。前に主が持ち帰った煮物や和菓子がすごくおいしかったので…」
「普通にはなしたらよかよ~で、乱は確か初鍛刀やったけ?」
「え!そこまで知ってるの!?」
「柳に聞いてたからの。で、他三人は?」
「残りの三人は、柚んとこの刀剣。大太刀、蛍丸。太刀、明石国行。短刀。愛染国俊」
「その三振りは来派の刀じゃな」
「なんや、それも主はんから?」
「せやでー」
いろいろ話してる間に、実家に到着。
荷物を下ろし、自分の部屋へ運び、俺と柚の刀剣には客間を使うように言うと、背中に衝撃が走った。
「ぐえっ」
「やな兄!久しぶり!」
「アオ…久しぶり、ただ内臓がまろびでるところだったから、もうちょい加減してくれな?」
「あ、ごめん」
「よし」
「久しいな、アオ」
「あ!国広!久しぶりー!」
まんばはアオの頭を撫でると少し微笑んだ。
「えと、燭台切光忠さんと、乱藤四郎さん、で合ってる?」
「おう、合ってるぞ」
「え、主さん、僕たちのこと皆に話してるの?」
「つか写真送ってるからな」
「えっ、かっこ悪いとこばっか送ってないよね!?」
「そこかよ…」
「あ、もうすぐお昼できるから、大広間に集まってなー」
「おー柚んとこにも伝えとくわ」
「任せた!」
アオはそういうと台所へ帰っていった。
「アオは変わらないな」
「だな…あれでも15なはずだけどなー」
「え、15なの!?」
「もっと下かと…」
「身長で判断したなら、気を付けろよ…あいつ、一応気にしてるからな…」
広間に行くと昼食が用意されており、刀剣の自己紹介も要件も、ご飯の後になり、ひとまず飯を食うことに。
今日の昼はかつ丼だった。
俺はもちろん、アオも風雅も雅一も、大食い組はお代わりをしていた。
刀剣達もお代わりをしていて、少しは緊張がほぐれたようだ。
デザートはほうじ茶プリンに抹茶ティラミス、抹茶、ほうじ茶のチーズケーキにコーヒーと紅茶のゼリーといろいろあった。
「すげえ作ったな…」
「甘いもの苦手な人もいるかもしれないから、コーヒーと紅茶のゼリーも追加しちゃった」
さて、デザート食べながら、まずは自己紹介するか。
といっても、俺と柚の刀剣は、写真や手紙で教えてるから大丈夫。
「改めまして、お久しぶりでございます。奏です。
こちらの三振りは、私の刀剣男子です」
「私は大太刀、石切丸という」
「僕は堀川国広、脇差です」
「薬研藤四郎だ。政府内で柚の旦那の体調管理を任されてる」
「奏の刀剣は、みんな俺らのこと知っとるん?」
「はい、神さんと神楽さんには伝えとけといわれてましたので」
「あー…まあ奏ちゃん、二人の上司でもあるけど、ある意味私たちの担当みたいなものだもんねぇ…」
「私はそのつもりですが…。それで、今回こちらにお邪魔させていただいたのは、政府内で噂が流れてるからなんです」
「噂?」
奏さんや俺、柚は、昨日の話を皆にすると、みんなは納得した顔になり、アオを見た。
「ん?」
「いや、隠しても隠し切れんのお前さんくらいじゃろ…」
「けっこう抑えてるんだけどねぇ…」
「それで、審神者に、もしくは政府役人にということかの?」
「はい…ですが強制はしたくないので。
…それと…神さんから、この動画を見せろと…」
奏さんはタブレットにある映像を出すと、それを皆に見せる。
すると、部屋全体が重い空気覆われた。
「っ…」
「な、に…」
「……こいつらは」
「っ…歴史、修正主義者…時間、遡行、軍…です」
「……そうか…こいつらが…」
少しして、重苦しい空気から解放されると、アオは「一人になりたい」と、部屋を出ていったのだった。
「神が、これを見せろって言うたんやな?」
「はい…」
「…何年もあったのに今見せるということは…進路を悩んでるならこい、ってことやろな…」
「…もしかして、神も神楽も政府に行ったのは…」
「これも理由じゃろな。あいつらも、あいつらなりに責任感じ取るはずやし」
「…雅一、風雅、アオは…」
「…奏ももじゃけど、昔話したよな、俺らのこと」
「あぁ」
「……大昔、俺らの里を破壊したのが、こいつらじゃ」
「「「!?」」」
「遡行軍は、大きな歴史に、史実に残る歴史を狙ってるはずじゃ…」
「そうらしいの。けんど…実際俺らは一度滅ぼされた。神と神楽を残し、アオが自分の魂に呪いをかけた」
「それ以来アオは何度も転生してきた。俺らも、何度もアオを探し、見つけた」
「……神は、他に何か言ってた?」
「「選ぶのはあいつだ」と…」
「さよか…」
アオが一人になりたいということで、俺らは、事情を知らない刀剣男子達(まんばと奏さんの刀剣以外)に説明をする。
アオや現代表と現会長が龍神で、龍神の眷属達を夜桜組と呼んでること、俺らの生い立ちなど。
何も知らなかった彼らはいろいろ驚いていた 。
「主さんと柚さんは眷属じゃないの?」
「あぁ、俺たちは眷属の契約していないからね」
「俺はしたいけどな」
「お前さんは昔から言うとるな」
「あれ、でもアオさんから霊力は感じたけど、神力は感じなかったよ?」
「確かに…」
「アオは転生先を選べないからね。妖として生まれたり、半妖として生まれたり、人として生まれたり、いろいろな形で生まれてきたの」
「今生は人として生まれたんじゃ。ただ龍神としての記憶を全て思い出せば、人の寿命も関係なく、龍神として覚醒する。
力も使えるし、長く生きることができるんじゃ。今生はまだ生まれて15年くらいじゃけどの」
「今生は、もともと霊力が高かったけどね。普段は人の姿でできるだけ抑えてるんだけど、最近また霊力が高くなったみたいで」
「それで調査班に引っかかって、主さんが調査、スカウトということになったんですね」
「はい、調査部隊が、怪奇現象!?と怖がるものも増えましたので」
「それでよく政府に入ったよなぁ…」
「霊力が少ない、もしくはほぼないものは、だいたいが調査部門か、特技があれば情報部などに配属ですからね」
奏さんはのんきに抹茶のチーズケーキを食べているが…あんた、さっきほうじ茶のチーズケーキに紅茶のゼリーも食ってたよな…。
意外なとこで甘党だと判明したわ。
「……奏さんとしては、アオを欲しいと思いますか?」
気になっていたんだろう、柚が奏さんに確認する。
奏さんは「そうですね…」と言いながらフォークを置く。
「個人的にも、政府としても私は欲しいと思います。
きちんと霊力測定器にかけたわけじゃないので、実際の力はわかりませんが…ですが、おそらく柳以上の力はあるでしょう。もしそうなら、私の所属する部署に欲しいのです。柳と同じで」
「柳と同じ…ということは、戦闘系の審神者や政府役人が所属しとる部署やな?」
「はい。戦闘系とは、そのまま、遡行軍と渡り合える力を持ち、刀剣男子と共に戦う。これは前衛型、中衛型、後衛型とわかれます。
また戦闘系の役割は、ブラック本丸対策課が手に負えない場合の強制執行部…のようなものですかね。あとは、特殊な仕事が入った場合、それを行うのが、戦闘系の審神者や役員が所属している部署になります」
「けど、その部署の戦闘できる審神者は、条件を満たさないとなれません。柳さんや柚さんのように、霊力が高い人じゃないとなれないんです」
「それと、ただ高いだけじゃないけない。政府の定めている数値以上でなければいけないんだ。だから、戦闘系の審神者は数が少ないんだ」
「なるほどの…」
「…ですが、私は本人の意思を優先したいので、やりたくないならそれで構いませんし、無理にスカウトはしたくないですから」
「本人が審神者なり役員なるいうたら?」
「そうですね、審神者を選ぶのであれば、しばらくの教育係として、柳にお願いしようかと思っています」
「って俺かよ」
「あなたなら、しっかり教えれると思っておりますので。
また、柳と同じように、審神者をしながら戦闘系をしてくださるのであれば、担当官を柚にと思ってます。この二人なら、アオさんのサポートはもちろん、いろいろわかっているでしょうし。役員として、柚や私と同じ部署に所属を希望するのであれば、私が直接仕事を教えますし、責任も私が持ちます」
「…前から思うとったんじゃけど、奏はなんでそこまで俺らに尽くすような感じなん?」
雅一が思ったことを言えば、奏さんは、少し目を伏せながらも話してくれた。
「…本当の話かはわかりませんが、私の先祖は、龍神様に助けていただいたと、祖母に昔聞いたことがあるんです」
「龍神に?」
「はい、それが神さんや神楽さん、アオさんやアオさんの当時のご両親かはわかりません。ですが、祖母は物語のように話してくれて、いつか会えるなら、恩返しがしたいねぇと、ずっと話していました。龍神様のおかげで、祖母も母も、私も生まれてこれたので」
「…そのご先祖さんのことは、なんもわからんのかの?」
「はい…昔は書物などがあったらしいと祖母に聞いたことはありますが、戦争などで焼けてしまい…」
「さよか…」
「ですが、私は龍神様だけでなく、神様を大事にしたいと思っています。私自身、刀剣男子と人の間に生まれた存在ですから。母と出会ってくれた父に、母を守ってくれる刀剣男子達に感謝してますので」
「奏ちゃんは綺麗な心の持ち主ね~あ、抹茶ティラミスも食べる?」
「是非いただきます」
真面目な話してたはずなんだけどな…いきなり目を光らせてデザートに食いつく奏さん……切り替えすげえわ。
「…俺、アオのとこ行ってくるわ」
「俺も行くよ」
「お前らは自由にしてていいぞ、光忠は風華にレシピ聞きたいだろ?」
「あ、うん、ありがとう主」
さてさて…末っ子は大丈夫かねぇ…。