不可抗力、ってことにしてください
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それからというもの、Kittyはジンを見つけると挨拶をするようになった。
だが、すぐにこちらから距離を縮めるなんてつまらないことはしない。堕ちるなら向こうからでなくては。
あれほど毛を逆立てながらジリジリと後ろに下がり震えていた子猫はもういない。こちらの様子を伺ってそろりと近づき好意を鳴き声で伝えては逃げる。そんないじらしい行動にジンは愉悦を味わいつつ、気まぐれに反応を見せて興味を引かせた。駆け引きなんてスリルを含んだものでは無い、これはただジンだけが愉しめる遊びだった。
現に一度、ジンは挨拶をし忘れたKittyに近づき、その呆けた顔に笑みをこぼした。たったそれだけのことだけで、Kittyは顔を真っ赤にしたまましばらく硬直していた。(ビルの奥に向かう途中で振り返ったが、思わず呼吸をしているか心配になるほどに1ミリも動かなかった)
そうして完全に警戒を解かれた頃合を見計らってこちら側に引きずり込んで、飼い主は誰なのかをその小さな体に教え込む。その日はそう遠くないだろうと、ジンはほくそ笑んでいた。
「……、ちょっとジン、聞いてるの?」
「あ?」
思考を飛ばしていたからか、ベルモットの声を適当に聞き流していたらしい。不機嫌そうにしていたベルモットだったが、すぐにどうでもよさそうに笑みを浮かべた。
「まあいいわ。貴方がどうしようが、あの子の姉になるのは私だもの。さて、次は何をしようかしら……」
「……は?姉だァ?」
「そうよ。あの子、私のハニトラ紛いの行動に蕩けた顔で"お姉様……"なんて言うのよ?色んな性癖が擽られちゃうじゃない」
「ゲホッ」
何やら聞き捨てならない情報が一度に入り、ジンは思わず吸い込んだ煙草の煙に咳き込んだ。まず、この女はあの少女にハニトラを仕掛け、仕掛けられた本人はまんまと引っかかっているらしい。初期の警戒心はどこへ行った。この女こそ最も要注意人物な訳だが、あの娘が知る由はないだろうことに気づく。
「でもその反応、やっぱり貴方も相当気に入ってるみたいね」
「……」
「いいの?言っておくけど、私は本気よ」
女は静かに唇を吊り上げていた。
思考が俺とことごとく被っていることを認めたくはないが、だからこそKittyがこの女のものになる前に動かなければならない。煙草を灰皿にぐしゃりと押し付ける。
命じられた任務の実行の日まで大分余裕はある。
ジンはスマホの時計を確認し、立ち上がった。
もう仕事に取り掛かっているであろうKittyの元へ向かうために。
だが、すぐにこちらから距離を縮めるなんてつまらないことはしない。堕ちるなら向こうからでなくては。
あれほど毛を逆立てながらジリジリと後ろに下がり震えていた子猫はもういない。こちらの様子を伺ってそろりと近づき好意を鳴き声で伝えては逃げる。そんないじらしい行動にジンは愉悦を味わいつつ、気まぐれに反応を見せて興味を引かせた。駆け引きなんてスリルを含んだものでは無い、これはただジンだけが愉しめる遊びだった。
現に一度、ジンは挨拶をし忘れたKittyに近づき、その呆けた顔に笑みをこぼした。たったそれだけのことだけで、Kittyは顔を真っ赤にしたまましばらく硬直していた。(ビルの奥に向かう途中で振り返ったが、思わず呼吸をしているか心配になるほどに1ミリも動かなかった)
そうして完全に警戒を解かれた頃合を見計らってこちら側に引きずり込んで、飼い主は誰なのかをその小さな体に教え込む。その日はそう遠くないだろうと、ジンはほくそ笑んでいた。
「……、ちょっとジン、聞いてるの?」
「あ?」
思考を飛ばしていたからか、ベルモットの声を適当に聞き流していたらしい。不機嫌そうにしていたベルモットだったが、すぐにどうでもよさそうに笑みを浮かべた。
「まあいいわ。貴方がどうしようが、あの子の姉になるのは私だもの。さて、次は何をしようかしら……」
「……は?姉だァ?」
「そうよ。あの子、私のハニトラ紛いの行動に蕩けた顔で"お姉様……"なんて言うのよ?色んな性癖が擽られちゃうじゃない」
「ゲホッ」
何やら聞き捨てならない情報が一度に入り、ジンは思わず吸い込んだ煙草の煙に咳き込んだ。まず、この女はあの少女にハニトラを仕掛け、仕掛けられた本人はまんまと引っかかっているらしい。初期の警戒心はどこへ行った。この女こそ最も要注意人物な訳だが、あの娘が知る由はないだろうことに気づく。
「でもその反応、やっぱり貴方も相当気に入ってるみたいね」
「……」
「いいの?言っておくけど、私は本気よ」
女は静かに唇を吊り上げていた。
思考が俺とことごとく被っていることを認めたくはないが、だからこそKittyがこの女のものになる前に動かなければならない。煙草を灰皿にぐしゃりと押し付ける。
命じられた任務の実行の日まで大分余裕はある。
ジンはスマホの時計を確認し、立ち上がった。
もう仕事に取り掛かっているであろうKittyの元へ向かうために。