実は寂しがりな子猫。
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「じゃ、お大事にな、嬢ちゃん」
「またあのビルで会えるのを楽しみにしてるわ……、ああもちろん会いたくなったら遠慮なく言ってちょうだい?携帯には私の番号、登録しておいたから」
「いつの間に……でも本当にありがとうございました、その、楽しかったです」
あれから何だかんだで時間が過ぎて。気付けば外では烏が沈む夕日に向かってカアと鳴いていた。
泊まっていくわ!と言って聞かなかったベル姉を何とか説得して(というよりジンさんが無理矢理何とかした)、玄関先で2人を見送る。やっぱりちょっと寂しくて俯いていると、ウォッカさんにはぐしゃぐしゃと頭を撫でられ、ベル姉には頬にキスを贈られた。何だか本当に猫にでもなったような気分だった。
「あの、ジンさんも……ありがとうございました」
最後に扉をくぐろうとした背中に声をかける。
ゆっくりと振り向いたジンさんと目が合う。少しだけ体がビクッとなったが咎められることもなかった。
するとジンさんの手が伸びてきて、たった今ベル姉が触れた頬を忌々しげに拭われた。
「ったく、誰彼構わず媚を売りやがって」
「ふ、不可抗力でして……」
「ほぉ、遂に俺に意見するまでになったか」
「ご、ごめんなさい……」
「そろそろ首輪が必要かもな……」
「えっ」
物騒なことをぶつぶつと言い始めたジンさん。冗談に聞こえないし、このままでは本当に猫用の首輪を買ってくるかもしれない。申し訳ないが、私はまだ人でありたいのだ。
私は慌ててジンさんの手を掴み、まくし立てた。
「く、首輪なんて無くても私はジンさんの猫だってちゃんと!わかってますから!だから、首輪は要らないです!」
せめて、せめてあと少しだけ私に心の余裕があれば。きっとこの発言が自身に及ぼす影響について、きちんと考えられただろうに。
「……へぇ」
「…ん?あれ、今私なんて…」
ふと見たジンさんの目は、ギラギラとして、しっかりこちらを定めていて。
(あ、まずい)
本能で危険を感じ、手を離した。
しかしもう、逃げられそうにない。
「偉いじゃねぇかKitty……、自分の立場をよくわかっているらしい」
狂気的な笑みを浮かべたジンさんに、くいと顎を上げられる。
その親指が、私の唇をなぞっていく。
「褒美をやりたいとこだが……"ここ"はまだ早いな」
くつくつと喉奥で笑いながら、私の頭を探るように撫でていく。そのくすぐったさと笑い声にぞわりと鳥肌が立った。
「……ここでいいか」
指が小さな耳の、裏側をつーっとなぞり、
「ぃや……っ!?」
思わず悲鳴のような声を上げる。自分から出たとは思えないような声に、恥ずかしさで両手で口を覆ったが時既に遅し。
「ハッ、随分と可愛い声で鳴くんだな……なら」
──もっと聞かせてみろ
ジンさんの熱い舌が、私の耳を容赦なく嬲った。
中々戻ってこないジンさんを心配したウォッカさんが、家のドアを開ける頃には私は限界を迎えていて。
「いい子にしてろよ、俺のKitty」
そう言ってジンさんは、あの綺麗な銀髪を翻し去っていった。
彼がいなくなったあとのドアを、私はぼーっと見つめることしか出来なかった。
(何だろ、この気持ち)
胸の奥に色も分からないような感情が生まれた気がした。
それは恋と呼ぶには濁っていて、恐怖と呼ぶには甘すぎる。そんな想いを、私は何と呼べばいいのだろうか。
答えは、そう簡単には出そうになかった。
「またあのビルで会えるのを楽しみにしてるわ……、ああもちろん会いたくなったら遠慮なく言ってちょうだい?携帯には私の番号、登録しておいたから」
「いつの間に……でも本当にありがとうございました、その、楽しかったです」
あれから何だかんだで時間が過ぎて。気付けば外では烏が沈む夕日に向かってカアと鳴いていた。
泊まっていくわ!と言って聞かなかったベル姉を何とか説得して(というよりジンさんが無理矢理何とかした)、玄関先で2人を見送る。やっぱりちょっと寂しくて俯いていると、ウォッカさんにはぐしゃぐしゃと頭を撫でられ、ベル姉には頬にキスを贈られた。何だか本当に猫にでもなったような気分だった。
「あの、ジンさんも……ありがとうございました」
最後に扉をくぐろうとした背中に声をかける。
ゆっくりと振り向いたジンさんと目が合う。少しだけ体がビクッとなったが咎められることもなかった。
するとジンさんの手が伸びてきて、たった今ベル姉が触れた頬を忌々しげに拭われた。
「ったく、誰彼構わず媚を売りやがって」
「ふ、不可抗力でして……」
「ほぉ、遂に俺に意見するまでになったか」
「ご、ごめんなさい……」
「そろそろ首輪が必要かもな……」
「えっ」
物騒なことをぶつぶつと言い始めたジンさん。冗談に聞こえないし、このままでは本当に猫用の首輪を買ってくるかもしれない。申し訳ないが、私はまだ人でありたいのだ。
私は慌ててジンさんの手を掴み、まくし立てた。
「く、首輪なんて無くても私はジンさんの猫だってちゃんと!わかってますから!だから、首輪は要らないです!」
せめて、せめてあと少しだけ私に心の余裕があれば。きっとこの発言が自身に及ぼす影響について、きちんと考えられただろうに。
「……へぇ」
「…ん?あれ、今私なんて…」
ふと見たジンさんの目は、ギラギラとして、しっかりこちらを定めていて。
(あ、まずい)
本能で危険を感じ、手を離した。
しかしもう、逃げられそうにない。
「偉いじゃねぇかKitty……、自分の立場をよくわかっているらしい」
狂気的な笑みを浮かべたジンさんに、くいと顎を上げられる。
その親指が、私の唇をなぞっていく。
「褒美をやりたいとこだが……"ここ"はまだ早いな」
くつくつと喉奥で笑いながら、私の頭を探るように撫でていく。そのくすぐったさと笑い声にぞわりと鳥肌が立った。
「……ここでいいか」
指が小さな耳の、裏側をつーっとなぞり、
「ぃや……っ!?」
思わず悲鳴のような声を上げる。自分から出たとは思えないような声に、恥ずかしさで両手で口を覆ったが時既に遅し。
「ハッ、随分と可愛い声で鳴くんだな……なら」
──もっと聞かせてみろ
ジンさんの熱い舌が、私の耳を容赦なく嬲った。
中々戻ってこないジンさんを心配したウォッカさんが、家のドアを開ける頃には私は限界を迎えていて。
「いい子にしてろよ、俺のKitty」
そう言ってジンさんは、あの綺麗な銀髪を翻し去っていった。
彼がいなくなったあとのドアを、私はぼーっと見つめることしか出来なかった。
(何だろ、この気持ち)
胸の奥に色も分からないような感情が生まれた気がした。
それは恋と呼ぶには濁っていて、恐怖と呼ぶには甘すぎる。そんな想いを、私は何と呼べばいいのだろうか。
答えは、そう簡単には出そうになかった。