一織ワンドロライ
ここからは、りりゅ様主催になります。
お題:料理/食事
井上の作る料理は、いつだってとんでもなく独創的で。
材料を聞いたときには、「…それ、食えんの?」と青冷める勢いで不安になることもある。
だけど、実際に食ってみりゃあ、不味かったことなんて一度も無くて。
むしろ、そこらのレストランの創作料理よか、何倍も美味しいと感じることが殆どだ。
それこそ、あの材料の組み合わせで、どうしてこの味が出せるのだろう…と。
まるで、魔法のようにも思えるほど。
加えて。
料理を食べる俺を眺めては、にこにこと笑う。
その笑顔が、俺にとって重要なスパイスの一つになっていることもまた、違えようのない事実で。
この、唯一無二の宝にも勝る笑顔を。
今のように週に一度や二度などではなく、毎朝毎夜、目にすることができたなら…と。
しかもそれを、俺だけの特権とすることができたなら、どんなにか…と。
いつしか心に思い描くようになっていた光景を、現実のものとすべく、なけなしの勇気を振り絞ることに決めたのが、一週間ほど前のこと。
「コーヒー、煎れてくるね!」
彼女が席を立った、その隙に。
上着のポケットの中を探り、小さな箱を握りしめた。
終
(初出:2017.12.5)
お題:料理/食事
井上の作る料理は、いつだってとんでもなく独創的で。
材料を聞いたときには、「…それ、食えんの?」と青冷める勢いで不安になることもある。
だけど、実際に食ってみりゃあ、不味かったことなんて一度も無くて。
むしろ、そこらのレストランの創作料理よか、何倍も美味しいと感じることが殆どだ。
それこそ、あの材料の組み合わせで、どうしてこの味が出せるのだろう…と。
まるで、魔法のようにも思えるほど。
加えて。
料理を食べる俺を眺めては、にこにこと笑う。
その笑顔が、俺にとって重要なスパイスの一つになっていることもまた、違えようのない事実で。
この、唯一無二の宝にも勝る笑顔を。
今のように週に一度や二度などではなく、毎朝毎夜、目にすることができたなら…と。
しかもそれを、俺だけの特権とすることができたなら、どんなにか…と。
いつしか心に思い描くようになっていた光景を、現実のものとすべく、なけなしの勇気を振り絞ることに決めたのが、一週間ほど前のこと。
「コーヒー、煎れてくるね!」
彼女が席を立った、その隙に。
上着のポケットの中を探り、小さな箱を握りしめた。
終
(初出:2017.12.5)