log:petits fours



【2人以上、3人未満】
(初出:2018.12.24 よもやま クリスマスネタ)







ヨメさんと二人、ソファに並んで座り、テレビを観る。
画面に映っているのは、お笑い系の年末特番で。
正直、今この瞬間の我が家はクリスマスムードのカケラすら感じられない状況なのだが、時に喉の奥でくつくつと、時にお腹を抱えて大笑いしながら番組を楽しんでいるヨメさんの様子を横目に見ていると、「まぁ、こんな聖夜もありか」などと妙に気持ちが和んでしまう。

「あははは………んっ⁈、ぁいたたたっ!!」
「だ、大丈夫か?!」
「う、うん! 平気だよ。ちょっと、蹴られどころが悪かっただけで。ふふ…元気な子だよねぇ」

痛みに若干涙目になりながら、それでもこの上なく幸せそうな微笑みを浮かべて、ヨメさんが下腹を撫でた。
最近胎動が盛んになってきた俺たちの子は、ヨメさんの機嫌が良いときには、より一層動きが活発になるのだという。

「来年は、イブもクリスマス当日も平日になっちゃうけど、この子とあなたと三人で、ゆっくり過ごせたらいいな」
「そうだな…。ただ、2日のうちのどちらか、或いは直前の休日には、実家で大騒ぎすることになるだろうけど」
「それはそれで、楽しいよ! 昨日みたいに、家族みんなが一つ所に集まって、ワイワイ賑やかに過ごすのって、私にとっては長いこと憧れだったし」
「…そうか?」
「うん!」

力いっばい頷くヨメさんの笑顔があんまり綺麗で鮮やかで。
胸が詰まるような感覚を覚えながら、華奢な肩を引き寄せ、こめかみあたりに唇を押し当てた。

昨日に限らず、日頃からちょっとどころでなくテンション高めの親父や、実家に行くたびヨメさんに纏わり付いて離れない妹達。
そんな俺の家族を、内心では鬱陶しく迷惑に感じていたりはしないだろうか……ふと胸に浮かんでしまった鈍色の靄を、しかしながら一瞬で晴らしてしまったヨメさんは、やはり俺たち家族にとっての、かけがえのない第二のお日様なのだ。

俺の腕の中で、ヨメさんがくすぐったそうに笑いながら身じろぎをする。
腕の力を弛めてやれば、頬に優しくくちづけを返された。

絡む視線。
交わす微笑み。
そして、どちらともなくそっと唇を重ね合う。

触れ合わせるだけでは物足りなくなって、深くしかけたその途端、再びヨメさんが痛みに呻きながら下腹を抑えた。

「……おいおい、こんな時分からもういっちょ前に焼き餅焼くのかよ、うちの坊主は?!」

そうボヤきながらヨメさんの腹をそっと撫でれば、ボコン!と掌に軽い衝撃。
思わず深めてしまった眉間皺を目にしたヨメさんが、軽やかな声を立てて笑った。






終
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