log:petits fours



【みんなで、ごはん】
(初出:2018.06.17 父の日 兼 真咲さん命日)







父の日と真咲の命日が重なった、その日。
夕食時には一護の住居に家族全員が集まり、ちょっとした宴席となった。

皆で、乾杯兼献杯をして。
それぞれが手に箸や小皿を手にとり、和やかに食事が始まったところで、一勇が不思議そうに織姫を見上げて問いかけた。

「どうしておばあちゃんだけ? そらおじちゃんも仲間に入れてあげようよ」

卓上に置かれた真咲の遺影を指差しながらの言葉に、困惑顔で口をつぐむ織姫。
そんな母親の反応に、さらに首を傾げた息子の頭をくしゃり…とひと撫でした一護は、席を立ってサイドボードへと近づくと、その上に置かれていた昊の写真を手に取り、食卓へと戻ってきた。

「一護くん…」

躊躇いがちに口を開きかけた織姫を、小さな微笑みで制しながら、一護が真咲の遺影と並ぶように昊の遺影を置く。
すると一勇はにこにこと笑いながらグラスを持ち上げ、大きな声で「おじちゃんにも、かんぱい!」と言った。
夏梨と遊子、そして一心もまた、グラスを手に取り一勇に唱和する。

なおも困惑顔の織姫に向かい、一護はにっ…と口の端を釣り上げて。
兄とは言えど、父親に成り代わって織姫を育て上げたのだから、今日、この日に労われる資格は充分にあるはずだ…と。
そう語りながら、昊の写真に向かってビールの注がれたグラスを掲げ、目礼 した。

ビールを飲み下す一護の横顔を見つめる織姫、その瞳が、溢れる涙で揺らいでいく。
やがて織姫は指先でそっと涙を拭い、手元のグラスを取り上げながらつぶやいた。

「ありがとう、お兄ちゃん。
ありがとうございます、お義母さま」

向かいの席では、いつの間にか一心の膝の上へ移動していた一勇が、「みんなで食べるご飯は、いつもよりずっとずっと美味しいね!」と、満面の笑みを浮かべてはしゃいでいた。










終
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