log:petits fours
【恩師と教え子】
(初出:2014.3.2「捧げもの」内【cmellia】関連小ネタ)
「用事があるから、カレーを食べずに帰る」
そう言いだした井上に、「家で食べな」とタッパーにたんまりカレーを詰めて持たせて、学校を送り出した…その直後。
今度は黒崎が、調理室の扉を壊しそうな勢いで出て行ってしまった。
「………なんなんだ、あいつらは」
呆然と呟いた私の目の前で、くつくつと笑うのは星野先生。
私の高校時代の恩師でもあるこの御仁は、見た目おっとり穏やかだが、どうしてどうして非常に喰えない一面をお持ちだ。
「何がおかしいんです?」
上目使いに先生の瞳を覗き込めば、先生はゆるく首を横に振って。
「おかしいんじゃなくて、羨ましいと思ったんだよ。いやぁ、やっぱり若さってのはいいねぇ…」
「……はぁ」
何が何やら…と首を傾げる私に、星野先生は軽くウインクして。
それから手元にあったグラスを持ち上げると、それを左右に揺すりながら私に言った。
「越智よぅ、久しぶりに、今夜一緒に飲みに行くか?」
「先生のお誘いなら、何処にだってお供しますが……最近控えていたんじゃありませんでしたっけ?」
「今日くらいは構わんさ。ちょっと早いが、祝杯をあげようと思ってな」
「祝杯?」
「そ、祝杯。
………なぁ、越智。例の賭け、な。ありゃあ、多分俺たちの勝ちだぞ?」
「………まさか、黒崎に何かけしかけたんですか? それはルール違反の筈じゃ…」
「けしかけちゃいねぇよ。カマならかけたがな。そしたらあいつの方から相談してきやがったから、アドバイスしてやっただけ。
ルール違反にはならんよ」
「……相変わらず、策士でいらっしゃる」
呆れたように、呟けば。
一見好々爺、実は結構な腹黒狸じじいは、肩を竦め、悪戯っ子のような瞳をして笑ったのだった。
終
一護さんたち三学年時の担任団は、進学指導のストレス発散兼ねて、卒業までに一護さんと織姫さんがカップルとして成立するか否かの賭けをしております。
買った方が、学校近くのレストランのランチコースをおごって貰えるのです。