log:未来狂詩曲
【僕らのチームのリーダーは】
(初出:2015.9.13)
「だーかーらっ! あたしが女だってこと以外に、クラス全員を納得させる反対理由があるなら、言ってみろっての!
ドッヂボール、サッカー、野球、徒競走、持久走、ボール投げ、跳び箱、マット運動、縄跳び、その他諸々ひっくるめて、あたしに敵うのは、うちの兄貴以外には居ないでしょーが!!」
「……しかしなぁ、黒崎。女の団長は、過去に例が無…」
「このジェンダーフリーの時代に何を言ってんですか、先生!!」
「……お前、意外と難しい言葉知ってんのな」
「『意外と』は余計です! 母の友人には、そのあたり専門にしてる弁護士とか居るんで、自然と覚えちゃったんですよ」
「その記憶力が、どうして学校の主要教科の授業には活かされんのだ…」
「何か言いましたか、先生?!」
「いや、なんでも……」
「とにかく!!
あたしが赤組の応援団長に相応しくないというなら、対抗馬をきちんと用意したうえで、説得力のある反論して貰おうじゃないの!!!」
だんっと机に両手を着いて、ぎろり…と教室内を見回す咲良。
誰もがその迫力に気押されて、一言の声も発することが出来なかった。
実際、咲良の運動神経の良さは、兄の蒼良の名と共に他校にも知れ渡っているほどだし、リーダーシップもきちんと取れるタイプだ。
担任が「前例が…」と渋っているだけで、クラスメイトたちには元より異存など無い。
「咲良ちゃんでいいと思います…て言うか、咲良ちゃんがいいです」
「そうだよな…きっと1組は蒼良を団長に立てて来るだろうし……そしたら対抗できるのは、咲良くらいのもんだしな」
賛成、と。
クラス全員の手が挙がってしまっては、流石の担任も承諾するしかない。
翌日、学校の児童会専用掲示板には、下記のような宣誓書が貼りだされた。
【赤組最高学年である6年2組は、黒崎咲良をクラスリーダー、ひいては赤組応援団長とし、来る運動会を正々堂々と戦い抜くことを、ここに誓約す】
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「おい、見たか! 児童会の掲示板!!」
「見た見た!」
「なぁ、蒼良ぁ…2組が咲良立てて来るんじゃ、やっぱりうちのクラスはお前しか居ないって!!!」
「う~ん」
蒼良は困ったように眉尻を下げて、微笑む。
「僕……どっちかって言ったら、参謀タイプのサブリーダーの位置の方が得意なんだけどな」
「でも、リーダー役だってちゃんとやれるじゃん! 実際、これまでも咲良主将の二組相手のドッヂボールやサッカーの対抗戦の結果は、五分五分なんだし……」
「そうだよ! 今度こそ咲良率いる二組との因縁の決着をつけようぜ!!」
「う~ん……」
「なぁみんな、みんなも蒼良が良いよな!!」
教室のそこかしこから、拍手がわきあがる。
「……みんなが、そんなに言うなら…」
「よっしゃ、決まった!!!」
その日の放課後を待たずして、児童会専用掲示板には下記文言の記された宣誓書が貼りだされた。
【白組最高学年である6年1組は、黒崎蒼良をクラスリーダー、ひいては白組応援団長とし、来る運動会を正々堂々と戦い抜くことを、ここに誓約す】
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「いやん、お母さんたちはどっちを応援したらいいのかしら?!」
「お母さんは、あたし。お父さんは蒼良君でお願い」
「……何でだ?」
「ファザコンと思われたら、ヤダ」
「………」
終