【ゴルトレ♀】酔っ払い夢主とゴルちゃん

 恋人のゴールドシップとの同棲が始まって一ヶ月。当然、私たちは新婚さんのごとく甘い生活を送っていた。
「つまるところ、高校時代の友達と飲みに行くと」
「はい、ゴルシ様」
「さらに、男が2名来ると」
「ええ、そうなのです」
 私たちはダイニングテーブルの代わりにしている座卓の前で向かい合わせに座っていた。
 同棲を始めて以来、一緒に居られるときはずっと時間を共にしてきた私たちにとって初めての「別々に過ごす夜」だ。
 私はそんなことを考えながら、いつになく真剣なゴールドシップの顔を見つめていた。
 そもそも夜遅くの外出許可が降りるのかも怪しかったが、彼女は首を縦に振って、「うむよろしい」と神妙な面持ちで言った。
「いいの!?」
「良いっつってんだろ。行ってこいよ、せっかくだし」
 許可が出たのがなんだか意外で、私の声はいつになく裏返っていた。
「ダメって言うと思ってたんだろ」
 自由奔放な奇人と呼ばれるゴールドシップだが、意外と心配性でかなり嫉妬深い。
 22時以降は絶対に1人で外出させてくれないし、私が他のウマ娘の走りに見惚れようものなら、「アタシだけを見てろよ」なんて言いながら部屋だろうが街中だろうがダッシュを決めて見せるほどだ。
「まあ。ゴルシちゃん、寛大ですから」
 ホホホホホ〜、とポーズを決めて彼女は笑った。
 そして来たるべき飲み会の日。私は、アルコールに弱いくせに一丁前に酒を飲み、見事べろんべろんに酔っ払った。
「あーるーけーないーーーーー」
 そう叫ぶ私を友人4人はなんとか自宅まで運び入れてくれた。そして、手早くゴールドシップにバトンパスすると、彼らはそそくさと去っていった。
 いつもよりぐにゃりとした視界で、玄関まで私を引き取りに来てくれたゴールドシップを眺める。
「私の彼女は相変わらず美人だし綺麗で可愛いな〜」
 私の呟きに彼女は「おう、そうだな」と適当な相槌を打って私を抱き抱えた。なんだか、いつもより機嫌が悪い気がする。
 下から仰ぎ見る彼女の顔は、いつもと同じく美しかった。鼻は高いし、目元はくっきりしているし……
「なんでそんなに綺麗なの! 可愛いの! このこのこの! おっぱいもおっきいし! おっきいしぃ……」
 お姫様抱っこをされているから、彼女のそれはそれは豊かな胸が頬にむにゅりと当たる。私はつい、自分の貧相な胸と見比べた。
「まだ気にしてたのかよ」
 彼女は私をソファまで運んで、隣に腰掛けた。ぐでりと溶けた大福アイスのようになっている私を見て呟いた。
「気にするよ! だって全人類がおっぱり大好きだもーん」
「アタシは好きだぜ、アンタの貧相な[[rb:乳房 > ちぶさ]]。可愛いじゃねーか」
 彼女のどストレートな言葉にむくれた私の顔を見下ろす彼女の目は、慈愛に満ちていた。
「私ねぇ、実はさらしでおっぱい潰してるんだよ! 本当はね、Eカップあるんだから」
 彼女の哀れみの目がなんだか気に食わなくて、私はこんな、適当なことを口にした。
 太腿の横に置いてあるゴルシの手を取って、自分の胸へと押し付ける。
 所詮酔っ払いの戯言。私は「ばーか」とか「あんぽんたん」とか言われるのを期待していた。
 しかし、帰ってきた言葉は「ばーか」でも、「あんぽんたん」でもなかった。
「ふーん。見せてもらおうじゃねーか、オメーのEカップとやらを」
 ゴールドシップは不敵な笑みを浮かべて、わしわしと手を動かした。
 自分から胸を押し付けるなんて、なんだか誘っているみたいだ。私は自分の行動が急に恥ずかしくなってしまって、首をぶんぶんと横に振った。
「やっぱりいまのなし! なしだから! 私寝るね、おやす……」
「おい待てコラ。逃さねーよ」
 少し酒も抜けてきて、自力でベッドまで行こうとした私の腕を彼女はぐいと掴み、あれよあれよという間にソファへと押し倒されてしまった。
 彼女の目はいつになく熱っぽくて、私は初めて自分の軽はずみな行動が彼女のスイッチを入れてしまったことに気がついた。
 嫉妬と情欲と。こんな表情、久々だ。こうなったら、彼女はもう止まらない。
「オメー、そんな可愛い面してアタシ以外と飲んでたってわけ? アタシ、内心すげーヤキモチ妬いてたんだけど」
 いつもは表情豊かな彼女が、獲物を狙う獣みたいな目をして、私を見下ろしている。その鋭い、熱を帯びた眼光に私は思わずぞくりとした。
「今ここでぶち犯されるか、ベッドで犯されるか選べよ」
 彼女は少し乱暴にそう言い放った。じっとりとした淫猥さを含むその声に、思わず体が疼く。
 あまりの恍惚から何も言えなくなった私に、彼女は続けた。
「無言はイエスの意味として捉えちまうぞ」
 彼女はそのまま、私のブラウスに手をかけた。あっという間に全てのボタンが外されて、子供みたいな大きさのブラジャーが露わになる。
「やだ……やっぱり…………なんか恥ずかしい」
 自分の平らな胸がやけに恥ずかしく思えてきて、私は脱がされたブラウスに手を伸ばした。
 私の動きに合わせて、中古屋で買った古いソファはきしりと音を立てた。
 そして、彼女は私の手をすばやく捕まえたあと、耳元で囁いた。
「ほら、アンタの全部見せてみろよ」
 私が明日の寝不足を予感したとき、かさかさとした私の唇にゴールドシップのやわらかな唇が落とされた。
 どうやら、私たちの夜はまだまだこれかららしい。
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