【ゴルトレ♀】おしりぺんぺんされる話
「無理しすぎたらお仕置きって言ったよなァ? トレーナーさんよー」
深夜のトレーナー室の机に突っ伏したまま眠ってしまった私を起こしたのは、ゴールドシップの一声だった。
寝ぼけ眼のまま顔を上げると、そこには笑顔のゴールドシップ。しかし喜の感情はまるで見られず、彼女の笑顔が怒りを含んでいることは明白だった。
「今何時……っていうかゴルシ、夜中に寮から出たらダメ…………」
「非常事態っつってちゃんと申請してきましたー! ゴルシちゃんしっかり者だからな」
以前私が過労で倒れたときに彼女と交わした約束。決して、無理はしないこと。日付が変わる前には、トレーナー寮に帰ること。
私と彼女は、恋人同士だ。付き合ってみて分かったことだけれど、意外と彼女は心配性で過保護。
私が倒れて以降、必ず寝る前のおやすみとベッドでの自撮りを要求してくる。
朝撮っておいた写真を送れば、なんて浅はかな企みはあまりの眠気による寝落ちであっさりと失敗に終わってしまった。
私だって出来るだけ彼女に心配はかけたくないし、彼女を騙すような真似なんてしたくなかった。だけど。
「だって、大切なゴルシの、大事なレースの前だもん……」
私は唇を尖らせて言った。今日私が彼女との約束を破ってまでしたかった仕事。それは、彼女のトレーニングの調整だった。
彼女の人生を決めるであろうレース。何をしても落ち着かず、万が一のことはあってはいけない、と思い先輩ウマ娘たちの怪我の記録まで読んだりしていた。
彼女の耳はピクリと動き、眉間には皺が寄っていた。まずい、怒られる……
「アタシのためを思ってくれてるのはわかるけどよ。それでアンタが体を壊したりしたら、アタシはずっと責任感を抱えたままなんだぜ? そんな状態でいいレースなんてできるわけがねー」
でも、ありがとな。そう言うと、彼女は椅子に座った私に目線を合わせて、私の頭をわしわしと撫でた。私よりも大きい、だけどとっても綺麗なゴールドシップの手。
「ごめんなさい」
私の口から溢れた謝罪の言葉に、彼女は許さねーと返して笑った。
「悪いトレーナーには、当然お仕置きが必要だよな? ちゃんと、体で覚えられるようにしてやるよ」
彼女は優しく微笑んだまま、私の脇に手を差し入れる。
「ちょっと……えっ………!」
私はゴルシに抱き抱えられ、ソファへと運ばれてしまった。使い古された、茶色い合皮のソファに押し倒される。
「だめだよ、ゴルシ! こんなところで」
雰囲気に流されそうになったものの、なんとか彼女の理性を取り戻そうとした。しかし、彼女が退く様子は全くない。荒い息と獲物を狙う肉食獣のような目。もうだめだ……と思ったその時。
「お仕置きと言えば、おしりぺんぺんだよなぁ? ほら、ケツこっちに向けな」
「へぁ……? おしり、ぺんぺん……?」
彼女の口から発せられたのは、“おしりぺんぺん”という単語。絶対犯される……と思い、張り詰めていた緊張の糸が一気にほぐれる。
「いいから早くしろよな。こちとらオマエの尻が叩きたくて、右手が疼いとるんじゃい」
そう言うと、彼女は急にゴルゴル星の話をする時のような顔になった。
とにかく、ゴールドシップは私の尻を叩きたいらしい。一度これをやりたい! と決め込んだ彼女を諦めさせるのは、とても難しい。しかも、今回約束を破ったのは私だ。
「わかったよ……これでいい?」
ソファに四つん這いになって、ゴルシの方にお尻を向ける。スカートじゃなくて、ズボンにすればよかった……覚悟を決めたはずなのに、なんだかとても気恥ずかしくなってしまって、やっぱりいや……と姿勢を直そうとしたその時。
ぱしんっ、と鋭い音が耳に届いた。直後、痺れるような痛みが臀部に走る。
「アンタさ、本当はドMだろ」
ゴルゴル星のとぼけた表情はどこへやら。突然、ずっと隠してきた性癖をズバリと言い当てられ、私は身を固くした。
「知ってるんだぜ、アタシ。アンタの部屋に女向けのえってぃーな漫画たちがあること」
押入れの奥に隠してあるのに、なぜそれを? と聞き返そうとした途端、また痺れるような痛み。
「ぜーんぶ、SMモノだった。すぐにピンときたぜ、ぽやぽやしたオマエがサドなわけねー。あんたは、マゾだってな」
首を回すと、視界に入ったのは不敵な笑みを浮かべたゴールドシップだった。高いところから私を見下ろす視線に、思わずゾクリとしてしまう。隠してきた本当の私。本当は私ずっとこうして……
「隠しててごめんなさい、私本当は……」
ずっと、彼女にいじめられたかった。
「知ってる。あんたを満足させたくて、アタシも勉強してきた。だから……」
彼女は頭の方へと回ると、私の唇に自分の唇を落とした。
「されて嫌なことも、嬉しいことも教えてくれ。人によって、そういうのって違うんだろ?」
ぼんやりと蕩けかけた頭で、彼女の綺麗な瞳を見つめる。ゴールドシップは私の頭を撫でながら、優しく目を細めた。
「たくさん、満たしてやるから覚悟しろよ。アンタが満たされることで、アタシも満たされるんだからな」
心配性で、過保護な私の恋人。
「めいっぱい可愛がってやるよ」
そこに新しく、“ドS”のスキルが今夜加わった。
深夜のトレーナー室の机に突っ伏したまま眠ってしまった私を起こしたのは、ゴールドシップの一声だった。
寝ぼけ眼のまま顔を上げると、そこには笑顔のゴールドシップ。しかし喜の感情はまるで見られず、彼女の笑顔が怒りを含んでいることは明白だった。
「今何時……っていうかゴルシ、夜中に寮から出たらダメ…………」
「非常事態っつってちゃんと申請してきましたー! ゴルシちゃんしっかり者だからな」
以前私が過労で倒れたときに彼女と交わした約束。決して、無理はしないこと。日付が変わる前には、トレーナー寮に帰ること。
私と彼女は、恋人同士だ。付き合ってみて分かったことだけれど、意外と彼女は心配性で過保護。
私が倒れて以降、必ず寝る前のおやすみとベッドでの自撮りを要求してくる。
朝撮っておいた写真を送れば、なんて浅はかな企みはあまりの眠気による寝落ちであっさりと失敗に終わってしまった。
私だって出来るだけ彼女に心配はかけたくないし、彼女を騙すような真似なんてしたくなかった。だけど。
「だって、大切なゴルシの、大事なレースの前だもん……」
私は唇を尖らせて言った。今日私が彼女との約束を破ってまでしたかった仕事。それは、彼女のトレーニングの調整だった。
彼女の人生を決めるであろうレース。何をしても落ち着かず、万が一のことはあってはいけない、と思い先輩ウマ娘たちの怪我の記録まで読んだりしていた。
彼女の耳はピクリと動き、眉間には皺が寄っていた。まずい、怒られる……
「アタシのためを思ってくれてるのはわかるけどよ。それでアンタが体を壊したりしたら、アタシはずっと責任感を抱えたままなんだぜ? そんな状態でいいレースなんてできるわけがねー」
でも、ありがとな。そう言うと、彼女は椅子に座った私に目線を合わせて、私の頭をわしわしと撫でた。私よりも大きい、だけどとっても綺麗なゴールドシップの手。
「ごめんなさい」
私の口から溢れた謝罪の言葉に、彼女は許さねーと返して笑った。
「悪いトレーナーには、当然お仕置きが必要だよな? ちゃんと、体で覚えられるようにしてやるよ」
彼女は優しく微笑んだまま、私の脇に手を差し入れる。
「ちょっと……えっ………!」
私はゴルシに抱き抱えられ、ソファへと運ばれてしまった。使い古された、茶色い合皮のソファに押し倒される。
「だめだよ、ゴルシ! こんなところで」
雰囲気に流されそうになったものの、なんとか彼女の理性を取り戻そうとした。しかし、彼女が退く様子は全くない。荒い息と獲物を狙う肉食獣のような目。もうだめだ……と思ったその時。
「お仕置きと言えば、おしりぺんぺんだよなぁ? ほら、ケツこっちに向けな」
「へぁ……? おしり、ぺんぺん……?」
彼女の口から発せられたのは、“おしりぺんぺん”という単語。絶対犯される……と思い、張り詰めていた緊張の糸が一気にほぐれる。
「いいから早くしろよな。こちとらオマエの尻が叩きたくて、右手が疼いとるんじゃい」
そう言うと、彼女は急にゴルゴル星の話をする時のような顔になった。
とにかく、ゴールドシップは私の尻を叩きたいらしい。一度これをやりたい! と決め込んだ彼女を諦めさせるのは、とても難しい。しかも、今回約束を破ったのは私だ。
「わかったよ……これでいい?」
ソファに四つん這いになって、ゴルシの方にお尻を向ける。スカートじゃなくて、ズボンにすればよかった……覚悟を決めたはずなのに、なんだかとても気恥ずかしくなってしまって、やっぱりいや……と姿勢を直そうとしたその時。
ぱしんっ、と鋭い音が耳に届いた。直後、痺れるような痛みが臀部に走る。
「アンタさ、本当はドMだろ」
ゴルゴル星のとぼけた表情はどこへやら。突然、ずっと隠してきた性癖をズバリと言い当てられ、私は身を固くした。
「知ってるんだぜ、アタシ。アンタの部屋に女向けのえってぃーな漫画たちがあること」
押入れの奥に隠してあるのに、なぜそれを? と聞き返そうとした途端、また痺れるような痛み。
「ぜーんぶ、SMモノだった。すぐにピンときたぜ、ぽやぽやしたオマエがサドなわけねー。あんたは、マゾだってな」
首を回すと、視界に入ったのは不敵な笑みを浮かべたゴールドシップだった。高いところから私を見下ろす視線に、思わずゾクリとしてしまう。隠してきた本当の私。本当は私ずっとこうして……
「隠しててごめんなさい、私本当は……」
ずっと、彼女にいじめられたかった。
「知ってる。あんたを満足させたくて、アタシも勉強してきた。だから……」
彼女は頭の方へと回ると、私の唇に自分の唇を落とした。
「されて嫌なことも、嬉しいことも教えてくれ。人によって、そういうのって違うんだろ?」
ぼんやりと蕩けかけた頭で、彼女の綺麗な瞳を見つめる。ゴールドシップは私の頭を撫でながら、優しく目を細めた。
「たくさん、満たしてやるから覚悟しろよ。アンタが満たされることで、アタシも満たされるんだからな」
心配性で、過保護な私の恋人。
「めいっぱい可愛がってやるよ」
そこに新しく、“ドS”のスキルが今夜加わった。
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