【パマトレ♀】愛してるって言ってよね

「どしたのトレーナー、急に自販機なんて……ジュースでも買ってくれるの?」
 きょとんとした顔でこちらを見つめたパーマーに、私は言った。
「パーマー、愛してるよ。大好き、すごーく大好き! だから、心配しないで」
 そのまま私は、彼女をぎゅっと抱きしめた。ここで格好よく彼女の体を包込めればよかったのだけれど、あいにく私は背が低いため、彼女に抱きつく形になってしまった
「え、ちょっ! きゅ、急に愛してるって……その……えっとぉ…………」
 きょとんと子犬みたいな顔をしていたパーマーが、みるみるうちに赤くなっていく。
「赤くなってる。パーマー、照れてるの?」
「だってこんなところで……誰かに見られたら恥ずかしいし……」
 昔から好きとはよく言っているけれど、改めて愛していると言ったのは同棲以来初めてだった。
「誰も見てないよ、わたしたちだけだもん」
 そう言って私はへにゃりと笑った。
「……トレーナーずるい!! ずるいー! そんな可愛い顔で愛してるよって抱きつかれたら……私、私…………!」
 パーマーはもー、と言いながら抱きつく私を思い切り抱きしめ返す。ふと見上げた先にある彼女のウマ耳はとても真っ赤だった。
 これでもう不安じゃないかな? と彼女の表情を伺おうと巻きつけた腕を解いて体を少し離したそのとき。
「私ばっかり赤くなって、ずるいよ。トレーナーも真っ赤になれー!」
 えっ? と口に出るより前に私の唇は塞がれてしまった。軽いキスかと思いきや、彼女の舌はあれよあれよと言う間に私の口内に侵入してきた。
「んぅ……まって。こんなところで……」
 私がなんとか唇を離すと、彼女は
「あれー? 『誰も見てないよ、私たちだけだもん』って言ったのはどこの誰だっけー?」
 さっきまで真っ赤になっていた彼女はどこへやら。彼女は私の顎に手を添えて軽く顔を上げさせると、再び唇を重ねてきた。
 しばらくの深い口づけのあと彼女は濡れた口元を拭い、私に囁いた。
「今日のデートはお家デートに変更だね。久しぶりに燃えてきちゃった」
 そう言った彼女の目は熱情を孕んでいて、わずかに息も上がっている。
 私たちは腕を組み、互いの体温を感じながら今来たばかりの道を戻っていく。
「家に帰ったら、私のことしか考えられないようにしてあげるから。また、愛してるって言ってよね」
 彼女は悪戯っぽく笑うと、そのまま私の腰にするりと手を回した。
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