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ヴィンセント
(綺麗にアイロンがけされたワイシャツ)
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ヴィンセント
(畳まれた洗濯物)
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ヴィンセント
(沸かしてある風呂)
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ヴィンセント
・・・
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ヴィンセント
(家事の殆どを任せっきりだな)
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ヴィンセント
(これは・・・あまり良くない・・・だろうな)
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別の時
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ユフィ
(きちんと分別された上で収集日に出されるゴミ)
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ユフィ
(定期的に補充される牛乳)
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ユフィ
(家の掃除)
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ユフィ
(光熱費やその他諸々の支払い)
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ユフィ
(あの人、仕事で毎日忙しいのにアタシってば色々任せっきりじゃん)
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ユフィ
(それは流石にどーよ?)
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そして平日の夜
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ガチャ(リビングのドアを開ける)
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ユフィ
あ・・・
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ヴィンセント
・・・それは私のワイシャツか?
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ユフィ
・・・うん
ソファの上、置いとくね? -
ヴィンセント
ああ・・・
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ヴィンセント
・・・少しいいか?
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ユフィ
?
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ヴィンセント
無理に私のワイシャツにアイロンをかけてくれなくていい
君には君の時間があるだろう? -
ユフィ
あー、うん・・・
でもアタシもハンカチとかブラウスにアイロンかけなきゃだし、そのついでだから気にしなくていーよ -
ヴィンセント
・・・そうか
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別の日の平日の夜
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ユフィ
(牛乳の予備がもう一本だけか~。明日帰りにスーパーでヨーグルトと一緒に買ってくるかな)
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ガチャ(リビングの扉が開く)
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ユフィ
あ・・・
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ヴィンセント
・・・冷蔵庫、いいか?
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ユフィ
う、うん・・・って、それ・・・
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ヴィンセント
ん?
どうした? -
ユフィ
牛乳・・・それにヨーグルトも
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ヴィンセント
なくなりそうだから買ってきた
ヨーグルトは君がいつも食べている物を買ってきたつもりだったのだが違うか? -
ユフィ
全然そんな事はないけどそっちは仕事帰りで疲れてるでしょ?
アタシが買ってくるから無理しなくていいよ -
ヴィンセント
帰り道にスーパーがあるから何も問題はない
それに重い物だ、私が持つべきだ -
ユフィ
そ、そう・・・?
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ヴィンセント
何か他に欲しい物があれば買って来るが
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ユフィ
な、ないよ!?
だいじょーぶ! -
ユフィ
(生活費とか甘えたまんまでいいのかな・・・)
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ヴィンセント
(仕事で一日中いない以上、私に出来るのはこれくらいのものだがもっと他にないだろうか・・・)
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翌日の大学
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ユフィ
とまぁそんな訳でさ、シェルクはどう思う?
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シェルク「ユフィは大学生ではありますが同棲している以上はバイト代から少ないながらもいくらかは出すべきだと思いますが、相手の方が受け取るとは思えませんね」
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ユフィ
そーなんだよね~
せめてヨーグルト代だけでもって言っても多分受け取ってくれないだろうな~ -
ユフィ
かと言って買ってこなくていいなんて言ったら多分感じ悪いよね?
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シェルク「距離が出来てしまうのは確かですね。下手をしたら不穏な雰囲気になってしまうかと」
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ユフィ
だよね~
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シェルク「今の所、相手が不満を言っていないのなら変に触らない方がいいと思います。それよりも別の視点から考えてみるのはどうでしょうか?」
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ユフィ
別の視点?
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シェルク「生活費云々についてはもっとお互いの距離が縮まって普通に会話が出来るようになった時までに置いておくとして、労いをかけるのはどうでしょうか」
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ユフィ
お仕事お疲れ様~とか?
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シェルク「そうです。相手は社会人ですから働いて疲れて帰ってきているので、ユフィの方から『お疲れ様』などといった声をかけたり、買ってきてくれた物をしまってあげて相手に風呂を進めるんです。難易度は高いかもしれませんが行動や言葉で労い、感謝の意を伝えるのも大切だと思います」
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シェルク「遠慮するばかりでは却って距離を遠ざけてしまうだけなのでこういう方法もアリだと思います」
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ユフィ
な~るほど!
押してダメなら引いてみろみたいなもんだね! -
シェルク「なんだか違うようなそうでもないよう気もしますがそんな感じです。頑張って下さい」
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その頃、会社では・・・
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リーブ「成程、家事の殆どを任せてしまっていると」
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ヴィンセント
ああ
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リーブ「ですが仕方ない部分もあるんじゃないですか?貴方は一日中会社に勤めていて家事をする余裕などない訳ですし」
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ヴィンセント
確かにそうなのだが同棲してまだ間もない上に当たり前のように押し付けるのは如何なものかと思ってな
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リーブ「それは一理ありますが全く手伝っていないという訳ではないのでしょう?」
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ヴィンセント
ゴミ出しと買い出し、それから休日は私が風呂を沸かしたり軽く家の掃除をしている
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リーブ「洗濯は?」
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ヴィンセント
それは流石に手をつけていない
彼女も私に下着を触られるのは嫌だろう -
リーブ「自分の下着は洗わせているのにですか?」
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ヴィンセント
・・・
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ヴィンセント
・・・あ
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リーブ「やはり」
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ヴィンセント
私は何て事を・・・
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リーブ「ですがまぁ、女性というのは意外にその辺は気にしないと言いますか。それに相手の方はそれまで父親と二人暮らしをしていたのでしょう?」
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ヴィンセント
ああ、幼い頃に母親が亡くなって以来な
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リーブ「なら男性の下着くらいは普通に見慣れているからそこまで悩まなくても良いでしょうね。勿論、失念していて軽率だった事は恥ずべき事ですが」
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ヴィンセント
・・・私はどうしたらいいだろうか
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リーブ「普通にただ一言『いつもありがとう』と言えばいいんじゃないでしょうか。家事というのは『やってもらって当たり前』という意識になりがちですからね。言葉だけでも感謝を伝える事は大切ですよ」
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ヴィンセント
・・・なるほどな
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そしてその日の夜
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ヴィンセント
(早速実行に移すとしよう)
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ガチャ
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ユフィ
(帰って来た!)
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ユフィ
お、お帰り!
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ヴィンセント
・・・ああ
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ユフィ
き、今日もお疲れ!
風呂沸いてるからさ!
牛乳とかありがと!
アタシが片付けておくよ! -
ヴィンセント
あ、ああ・・・キミはもう入ったのか?
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ユフィ
う、うん!
先に入った・・・よ? -
ヴィンセント
・・・そうか
キミも疲れているだろうにすまない、感謝している
他にも家の事をしてくれて感謝している -
ユフィ
い、いいよ、別に・・・
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ヴィンセント
・・・
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ユフィ
・・・
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ヴィンセント
・・・入ってくる
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ユフィ
うん・・・ゴユックリ・・・
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ヴィンセント
(少し不自然だったか?)
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ユフィ
(ちょっと挙動不審だったかな?)
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ヴィンセント
(だがあちらも少し不自然であったからお互い様だな)
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ユフィ
(まーあっちもなんか挙動不審な感じだったしいいよね)
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ヴィンセント
(とりあえず今日はこれで良しとしよう)
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ユフィ
(明日は朝から出かけるから早く寝よーっと)
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後日(オマケ)
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リーブ「ダメに決まってるじゃないですか」
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ヴィンセント
・・・そうか
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シェルク「肝心な何かが伝えられていない気がします。もっと努力しましょう」
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ユフィ
そんな赤ペン先生みたいなコメントすんなよ~
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