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昼休み・会社の食堂
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リーブ「お疲れ様です、ヴィンセント」
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ヴィンセント
ああ
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リーブ「隣宜しいですか?」
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ヴィンセント
ああ
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リーブ「許嫁の女性との同棲生活はどうですか?」
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ヴィンセント
順調ではない事は確かだ
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ヴィンセント
今日なんかは同じ時間の電車に乗りそうな雰囲気だったので先に家を出て一つ早い電車に乗って来た
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リーブ「おや。でも無理もないですね。お互いの事をよく知りもしない状態で同棲を始めればそうなると思います」
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ヴィンセント
・・・チャンスはあったと言えばあったのだがな
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リーブ「それをしなかった理由は?」
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ヴィンセント
仕事と受験だ
それからお互いの予定が合わなかったのと・・・私の個人的な事情だ -
リーブ「詮索しても?」
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ヴィンセント
平たく言えば失恋だ
大学の時に色々あってな・・・
失恋直後に会う気になどなれないし、立ち直った後も相手に逃げるようで申し訳ないと思った -
リーブ「成程、中々複雑なようで。ですがいつまでも失恋の傷に逃げている訳にはいきませんよ」
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ヴィンセント
逃げている?
私が? -
リーブ「実際そうでしょう?それを言い訳に許嫁の方と距離を縮めるのを躊躇っているんですから」
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ヴィンセント
・・・
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リーブ「勿論、立ち直った後に許嫁と仲良くなるという後ろめたさは分かります。都合良く利用しているのではないかという葛藤は誰しもあります。ですがその葛藤を解決する糸口は許嫁の方を理解する事にあると私は思います」
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ヴィンセント
・・・だといいのだが
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リーブ「相手を理解して、貴方を理解してもらって、そうして距離を縮めて新しい気持ちが芽生えた時、貴方の葛藤は自然と解消されてますよ」
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ヴィンセント
・・・理解をするにはどうしたらいいと思う?
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リーブ「なんだか哲学みたいな質問ですね。そうですね、いきなり弾んだ会話というのはハードルが高いと思うので許嫁の方を少し観察してみてはどうでしょうか?」
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ヴィンセント
観察・・・
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リーブ「好きな物嫌いな物、良い所悪い所、どんな事でもいいですからそれをメモに認めて覚えて会話をするきっかけに繋げてみるんです。歳の離れた女性ですからジェネレーションギャップはあるかもしれませんがそこはまぁ頑張って下さい」
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ヴィンセント
分かった
実践してみるとしよう
助言、感謝する -
リーブ「上手くいくように祈ってますよ」
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その日の夜の自宅
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ユフィは帰ってきていたが既に部屋に引っ込んでいた
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ヴィンセント
(これでは観察するどころの話ではないな)
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ヴィンセント
(とはいえ、お互いに同じ空間に長く居れないのも事実)
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ヴィンセント
(・・・水でも飲むか)
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ガチャ(冷蔵庫を開ける)
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ヴィンセント
(ん?冷蔵庫の奥に隠すようにプリンが・・・)
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ヴィンセント
(私が好きなのかどうかも分からず、自分用に買ったのが後ろめたくて隠したのか?)
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ヴィンセント
・・・
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ヴィンセント
・・・フッ
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未来の妻の観察メモ
・甘い物が好き
・可愛らしい一面がある
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