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リーブ「そういえば相手の方とはその後進展はありましたか?」
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ヴィンセント
週に一度、二人だけの時間を作った
他にもあの子が徐々に心を開いてきてくれていて少しだけ仲良くなれたように思う -
リーブ「ちゃんと貴方の方からも歩み寄っているんですか?」
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ヴィンセント
ああ
とは言ってもまだ名前を一度呼んだ程度だが -
リーブ「ですが頑張って努力はしているようですね。でしたら私の方からも援護しましょうか。これをどうぞ」
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ヴィンセント
映画のチケット?
私の為にここまでしなくていい -
リーブ「いえ、実を言うと知り合いに貰ったんですけどもう観たものだったので。このまま放置するのも勿体無いですし遠慮無く受け取って下さい」
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ヴィンセント
本当にいいんだな?
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リーブ「ええ。その代わり、ちゃんと役立てて下さいよ。報告を楽しみにしてますから」
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ヴィンセント
しっかり成果を出せるように善処しよう
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その日の夜
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コンコンコン
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ユフィ
んー?
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ヴィンセント
今大丈夫か?
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ユフィ
うん
なーに? -
ヴィンセント
同僚から映画のチケットを譲って貰ったんだが今度の休みにどうだ?
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ヴィンセント
勿論、友人と行ってきても構わないが・・・
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ユフィ
行こ行こ!
一緒に映画行こ!
ちなみに何の映画? -
ヴィンセント
ホラー映画のようだが
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ユフィ
げっ
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ヴィンセント
ホラーが苦手なら他の映画でも構わないが
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ユフィ
べ、別に怖くなんかないし!
勿体無いしそれで大丈夫だよ!! -
ヴィンセント
・・・ならいいが
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そして当日
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ヴィンセント
・・・足が震えているようだが大丈夫か?
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ユフィ
な、何が!?
ただの武者震いだし! -
ヴィンセント
(映画で武者震い・・・)
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ユフィ
あ、アタシ、ポップコーン買って来るけど他になんかいる?
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ヴィンセント
いや、私が買って来る
ここで待っていてくれ -
ユフィ
ダーメ!
この間奢ってくれたんだから今日はアタシの番! -
ヴィンセント
だが・・・
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ユフィ
だがも駄菓子もなーい!
アタシの顔を立てると思って遠慮しないで何でも言ってよ! -
ヴィンセント
・・・では、ホットコーヒーのブラックを
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ユフィ
ポップコーンとかは?
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ヴィンセント
いや、コーヒーだけでいい
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ユフィ
んー
じゃ、買って来るー -
ヴィンセント
(しっかりした子だな)
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そして上映時
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ユフィ
・・・
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ヴィンセント
(ポップコーンを食べる手が完全に止まったな。怯えているのか、魅入っているのか)
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女優『きゃあああああああ!!!』
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ユフィ
(ビクッ!!)
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ヴィンセント
(いや、怯えているな。このままだと驚きで跳ね上がってポップコーンを撒き散らしてしまうほどに)
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トントン(肩を叩く)
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ユフィ
(ビクゥッ!)
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ユフィ
な何?(小声)
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ヴィンセント
ポップコーンを落としそうだ
私が持っていよう(小声) -
ユフィ
(コクッ)
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ユフィは頷くと静かにヴィンセントにポップコーンを渡して、そこから手を伸ばしてポップコーンを食べた
しかしーーー -
俳優『ノォオオオオオオ!!』
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ユフィ
(ビクッ!!)
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ギュッ(ヴィンセントの袖を掴む)
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ヴィンセント
・・・
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女優『いやぁああ!死にたくなぁーーーい!!』
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ユフィ
(ビクゥッ!!)
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バッ(ヴィンセント肩に顔を寄せる)
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ヴィンセント
(余程ホラーが苦手なようだな)
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上映終了後
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ヴィンセント
大丈夫か?
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ユフィ
へ、へーき・・・
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ヴィンセント
(やつれた顔で言われても説得力がないな)
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そして夜
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ガチャ(リビングのドアを開ける)
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ユフィ
あ・・・
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リビングに入ると、ユフィがソファでホットミルクを飲んでいた
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ヴィンセント
まだ起きていたのか
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ユフィ
うん、まぁ・・・眠れないからちょっとホットミルクでもって思って
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ヴィンセント
・・・そんなに怖かったか?
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ユフィ
ち、違うし!
単純に目が冴えてて眠れないだけだし!! -
ヴィンセント
(どう見ても強がりだがあまり突っ込まないでやろう)
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ヴィンセントはキッチンでインスタントコーヒーを作るとユフィの隣に座った
拳一つ分の距離を空けて -
ユフィ
・・・!
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ヴィンセント
・・・もしも
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ユフィ
う、うん!?
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ヴィンセント
もしも次に映画を観る機会があったとしたら何が見たい?
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ユフィ
えっと・・・明るくて面白いやつがいい、かな
あとアニメとか -
ヴィンセント
・・・分かった、覚えておこう
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ユフィ
・・・ヴィンセントは?
どういう映画が好き? -
ヴィンセント
特に拘りはないが何かの続編や外伝作品はあまり見ない
元を見ていないと話についていけないからな -
ユフィ
そりゃぁね
見てても面白くないし -
ユフィ
じゃあ本は?
いつも何読んでるの?
アタシ、本はあんまり読まないけど何読んでるのかなーって思ってさ -
ヴィンセント
推理小説や伝記物が主だな
後は何となく気になった物を読む事もある -
ユフィ
へー
知的でカッコいいね
アタシは漫画ばっかりだよ -
ヴィンセント
漫画も立派な文化だ
それに私も昔は読んでいた -
ユフィ
そうなんだ!?
じゃあ今は何で読んでないの? -
ヴィンセント
単純に読みたいと思う漫画がないだけだ
興味を引くものがあれば恐らく買って読んでいるだろう -
ユフィ
でも読んでる所あんまり想像出来ないなー
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ヴィンセント
見慣れていないからだ
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ユフィ
あと想像しようとしてもコーヒー片手に優雅に飲んでるイメージが先に出ちゃうな〜
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ユフィ
あとワインとかも上品に飲みこなしてる感じがする
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ヴィンセント
確かにワインの方が好きだがそこまで上品でもないと思うが
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ユフィ
逆にワインの下品な飲み方なんてあるの?
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ヴィンセント
香りや味を楽しまずに豪快に飲み干す、だろうな
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ユフィ
ヴィンセントはそれしてるの?
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ヴィンセント
いや
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ユフィ
じゃぁ上品じゃん
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ヴィンセント
あまり過大評価をされても困る
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ユフィ
やだよ
高い評価じゃなきゃ困るよ -
ユフィ
だ、だってさ・・・ヴィンセントはさ・・・
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ユフィ
・・・
-
ヴィンセント
私が何だ?
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ユフィ
や、やっぱやめ!
何でもない!!
それより他の話!
ヴィンセント何かない!? -
ヴィンセント
そうだな・・・
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ヴィンセント
キミの・・・ユフィの好きな食べ物は何だ?
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ユフィ
好きな食べ物?
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ヴィンセント
仕事で外食をする事が多々ある
そうでなくとも評判の良い店も知っている
よければまた二人で食事にでも行かないか? -
ユフィ
行く行く!
じゃ、じゃあヴィンセントの好きな食べ物も教えて?
アタシも友達とよく色んな所に食べに行くから美味しい店知ってるよ! -
ユフィ
ちなみにアタシの好きな物は―――
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こうして二人は夜通しお互いの事について話していくのであった
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そして翌朝
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ヴィンセント
ん・・・朝か・・・
あのまま話し込んでソファで寝てしまったか -
ユフィ
スー・・・スー・・・
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ヴィンセント
?
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ユフィの寝息が聞こえて見下ろすと、ユフィが自分の膝を枕に気持ち良さそうに眠っていた
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ヴィンセント
・・・フッ
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ヴィンセントはそんなユフィの柔らかな黒髪を優しく数回撫でると起こさないように静かに抱き上げて部屋に運んだ
最初は部屋に入っていいものか躊躇ったが、風邪を引いてしまっては良くないと思い至り、なるべく部屋の中を見ないようにしながらユフィをベッドの上に横たわらせて毛布をかけてあげた -
ユフィ
んふ・・・ふふふ・・・スー・・・
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ヴィンセント
楽しそうな夢を見ているようで何よりだ
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ヴィンセント
昨夜の話を参考に今度は楽しい映画を探しておこう
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ヴィンセント
おやすみ、ユフィ
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ヴィンセントはもう一度ユフィの頭を優しく撫でると静かに部屋を出て行った。
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