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とある丘
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ガイドモーグリ「到着クポ~!ここがミステリースポットの『見えずの丘』クポ!この丘の上から下の平原を眺めるとそこにいる人が見えなくなるクポ」
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ユフィ
へ~
やっぱよくある磁場の関係ってやつ? -
ヴィンセント
定番はそうだがこの島の事だ、他の何かしらの力も働いているだろう
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ユフィ
ちなみに声とか音って聞こえるの?
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ガイドモーグリ「聞こえるクポ」
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ユフィ
んじゃ、アタシ試しにあそこ行ってみるから見えるか確かめてみて!
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ガイドモーグリ「あ、お客さん!」
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ヴィンセント
放っておけ、言い出したら聞かない娘だ
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一分後
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ユフィ
おーい!
ヴィンセンとー!
見ーえーるー? -
ヴィンセント
いや、見えんな
お前の方から私は見えるか? -
ユフィ
見えるー!
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ヴィンセント
お前は今どの辺にいる?
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ユフィ
どの辺って・・・思いっきりヴィンセントたちから見える所にいるよ~!
手ぇ振ってるの分かんない~? -
ヴィンセント
全く見えないぞ
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ユフィ
アタシも確認したいから交代してー!
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ヴィンセント
いいだろう
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一分後
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ヴィンセント
ユフィ、見えるか?
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ユフィ
見えなーい!
今なんかしてるー? -
ヴィンセント
・・・太極拳をしてる
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ユフィ
マジで!?
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ヴィンセント
冗談だ
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ユフィ
な~んだ
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ガイドモーグリ「お客さんたち満足したクポ?だったら次に行くクポ!」
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とある木の前
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ガイドモーグリ「お次は『泣木べそ』クポ」
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ヴィンセント
『泣木べそ』?
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ガイドモーグリ「この木は今日みたいな雨の降っていない日でも何故か枝や葉っぱの先から雫が滴り落ちるクポ」
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ユフィ
うわっ
気色悪っ -
ヴィンセント
だから泣きべそをかく木で『泣木べそ』か
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ガイドモーグリ「しかも噂によると大昔にとあるモーグリがこの木になっている木の実を食べて頭がおかしくなって失踪したって噂クポ。しかも失踪する直前にそのモーグリは自分の部屋である事をしていたクポ。それは―――」
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ユフィ
(ゴクッ)
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ガイドモーグリ「お掃除だったクポ」
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ユフィ
くだらなっ
普通訳の分からない落書きとか不気味な絵を残してたとかそんなんじゃないの!? -
ガイドモーグリ「そのモーグリは片付けられないモーグリで有名だったらしいクポ!どれだけ言われても片付けられなかったらしいクポ!それなのに突然お部屋を綺麗にお片付けするなんて恐怖クポ!!」
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ユフィ
話のオチのくだらなさに恐怖するわっ!
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ヴィンセント
ちなみに失踪したモーグリはそれ以降見つかっていないのか?
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ガイドモーグリ「見つかってないらしいクポ。島中探したけどどこにもいなかったって話クポ」
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ユフィ
これでオチがしっかりしてれば完璧だったのにね
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ヴィンセント
何はともあれ、食べるなよ、ユフィ
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ユフィ
食べないっつの!
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ガイドモーグリ「喧嘩はその辺にして次のミステリースポットに行くクポ」
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跡地っぽい所
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ガイドモーグリ「到着クポ~」
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ユフィ
何ここ?
如何にもな苔の生えた石畳があるけど -
ガイドモーグリ「ここは千年の人間さんたちが住んでいた場所クポ」
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ユフィ
うそぉ!?
こ~んな何にもない所に!? -
ヴィンセント
風化や劣化で建物の形はなくなったが場所としては住んでいた、という事だろう
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ユフィ
そ、そのくらい分かってるよ!
でもこんな所に住んでたんだね
アタシたちの住んでる所とは真逆かな -
ヴィンセント
恐らく当時はここが一番住みよい場所だったのかもしれないな
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ユフィ
そんで?
ここの何がミステリースポットだっていうのさ?
もしかして千年前の人間たちが住んでたからっていう適当な理由じゃないだろーな~? -
ガイドモーグリ「勿論そんな理由じゃないクポ!一番のミステリーはあれクポ!!」
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そう言ってモーグリは地面のとある一つの石のブロックを指差す
そこには小さい把手のような台形の鉄板が付いていた -
ユフィ
把手?
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ヴィンセント
どこがミステリーなんだ?
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ガイドモーグリ「なんとこの把手、如何にも下に何かありそうなのに全く開かないのクポ!」
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ユフィ
元々開かないんじゃなくて?
この把手もただの飾りとかさ -
ガイドモーグリ「いくら千年前と言えどこんな無意味な物は絶対に地面に付けないクポ!絶対に何かが隠されているクポ!」
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ユフィ
もしかしたら腹筋する時に足ひっかけて使ってたかもしんないじゃん?
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ガイドモーグリ「むしろお嬢さんの発想が凄いクポ・・・その考えは流石になかったクポ・・・」
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ヴィンセント
だがまぁ、有り得ないだろうな
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ユフィ
押したり引いたり上下左右にスライドしたりしたの?
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ガイドモーグリ「やってみたけど全然開かなかったって話クポ」
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ユフィ
ダイナマイトとか重機とかは?
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ガイドモーグリ「そんなよく分からない物、この島にはないクポ」
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ヴィンセント
モーグリ村の文明水準を見ただろう?
あれが限界だ -
ユフィ
チョコボの持ってたクラッシュストーンは?
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ガイドモーグリ「システム上、あれは壁にしかぶつけられないクポ」
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ヴィンセント
軽々しくシステムと口にするな
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ユフィ
ヴィンセント、なんか他に方法ないかな?
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ヴィンセント
・・・一つだけあるかもしれん
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ユフィ
え?
どんなの!? -
ヴィンセント
押しても引いてもスライドしてもダメなら―――
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ユフィ
(ゴクッ)
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ヴィンセント
回してみればいい
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クルッ(把手を中心にブロックが回る)
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ユフィ
回るのかよ!!!
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ガイドモーグリ「その発想はなかったクポ・・・お嬢さんとは別の意味で凄い発想をするクポね」
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ユフィ
んでんで?
中には何が入ってた?
お宝?
それともマテリア? -
ヴィンセント
いや、日記だな
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ユフィ
な~んだ
で?で?
何が書いてあんの? -
ヴィンセント
千年前の文字で書かれている上に激しい劣化の所為で何も読み取る事ができん
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ユフィ
せめてミレニアムアイテムの図解とかないの?
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ヴィンセント
ミレニアム・・・アイテム・・・?
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ガイドモーグリ「お嬢さん、全く関係のない作品を口にするのは良くないクポ。いくらこれを書いてる時の作者が再燃していたとはいえダメクポ」
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ヴィンセント
これの処遇だが、どうする?
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ユフィ
燃やすか戻すか捨てるかのどれかじゃない?
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ガイドモーグリ「燃やすなんてありえないクポ!学者モーグリに回して解読してもらうクポ!!」
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ユフィ
これが日記や恥ずかしいポエムだったら千年越しの公開処刑だね
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ヴィンセント
どんな時でもそういったものは隠さず処分をしておくべきだという事だ
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ユフィ
そーいうヴィンセントは神羅屋敷にこういものとか隠してんじゃないの?
ルクレツィア博士への愛のポエムとかさ? -
ヴィンセント
そういうのを綴るような男に見えるか?
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ユフィ
でも実はって事もあるしねー?
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ヴィンセント
探したいなら好きにするといい
だがお前一人で行くんだな -
ユフィ
うぇっ!?
何でアタシ一人!? -
ヴィンセント
私が行く義理はどこにもない
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ユフィ
い、いいのかよ!?
恥ずかしいポエムとか見られるかもしれないんだぞ!? -
ヴィンセント
元よりそんな物はないから慌てる必要もない
他の皆にもユフィには同行しないように言っておく -
ユフィ
卑怯だぞ!!
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ヴィンセント
さて、私は先に帰るとしよう
ツアーはこれで終わりでいいんだな? -
ガイドモーグリ「終わりクポ。お疲れ様クポー」
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ユフィ
あ、待てよヴィンセント!
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ヴィンセントとユフィの背中が遠ざかっていき、見えなくなる頃・・・
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ガイドモーグリ「スポットではないけどこの島にはもう一つのミステリーがあるクポ。それは・・・」
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ガイドモーグリ「『ガイドモーグリ』なんて本当は存在しないクポ」
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ガイドモーグリの体は透けて行き、そして姿形は見えなくなってしまうのであった
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