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ヴィンセント
この無人島に置き去りにされてから10日が過ぎた
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ユフィ
あれ?
もうそんなに経った? -
ヴィンセント
ああ
だがこれまでの間に飛空艇や船が通り過ぎるような光景はなかった -
ユフィ
そーいえばそーだね
シドなんかは気紛れであちこち飛び回ったりするし、船だって最近は色んなとこから出てるし
言われてみれば見かけないのは変だね~ -
ヴィンセント
ダメ元ではあるがSOSを発信してみるか
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ユフィ
発信て?
スマホはないんだよ? -
ヴィンセント
古典的なやり方だ
焚火をして煙を上げたり砂浜にSOSの文字を書く -
ユフィ
そんなんで助け来るかな~?
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ヴィンセント
やらないよりマシだ
やるだけはやるぞ -
ユフィ
はいよ~
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そして海岸
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ユフィ
SOSの文字でっかく書いたよー!
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ヴィンセント
こっちも焚火をした
これだけ煙が出れば十分だろう -
ユフィ
暑いから離れたとこで焚火見守ってようよ
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ヴィンセント
ああ
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二人は並んで木陰の下に腰かけた
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ユフィ
あ、ねぇねぇ!
さっきSOS書いてる時にキレーな貝殻見つけたんだ! -
ヴィンセント
そうか
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ユフィ
一個ヴィンセントにやるよ
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ヴィンセント
いいのか?
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ユフィ
記念だよ、記念!
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ヴィンセント
・・・では、有難く貰うとしよう
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ユフィ
何だかんだ言ってそれなりにこの島で過ごせてるよねー
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ヴィンセント
ああ
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ユフィ
見たいテレビとか漫画から離れるのは惜しいけど自由だし、まぁ悪くないかな
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ヴィンセント
・・・
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ユフィ
・・・ヴィンセントはさ
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ヴィンセント
?
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ユフィ
棺桶から出てきて三十年ぶりに外を見た時の感想ってどんなもんだった?
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ヴィンセント
・・・三十年の間でこれだけ世の中が変わるものなのかと驚いたな
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ユフィ
ふーん
人間関係の方は? -
ヴィンセント
それこそ大幅に変化していた
所帯を持った者、別の職業に就いた者、様々だった -
ユフィ
その人たちに会いに行こうって気持ちには?
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ヴィンセント
・・・ならなかったな
こんな姿で会いに行ける筈もない -
ユフィ
そっか・・・ワザと辛い事聞いてごめん
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ヴィンセント
ちゃんと理由があるのだろう?
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ユフィ
うん・・・アタシたちはさ、あの紙っぺらの書いてる事が本当なら50日でこの島から出られるけどさ
なんとなく戻った時が不安なんだよね -
ヴィンセント
どういう事が不安なんだ?
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ユフィ
それこそさっきヴィンセントが言ったみたいに世界が大きく変わってたりとか仲が良かった人も随分変わってたりとかさ
世界にアタシたちを知ってる人はもう誰もいなかったらどーしようかって
なんか柄にもなく不安になっちゃってさ -
ヴィンセント
悪い事ではない
不安を感じるのは大切な事だ -
ユフィ
うん、分かってる・・・
でももうへっちゃらだよ -
ヴィンセント
何故?
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ユフィ
ヴィンセントがいるから
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ヴィンセント
・・・私が?
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ユフィ
そ!
ヴィンセントも今、アタシと同じ状況にあるから戻っても一人じゃないから寂しくないし -
ヴィンセント
・・・そうか
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ユフィ
ヴィンセントもアタシがいるから寂しくないぞ~!
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ヴィンセント
フッ・・・そうだな
私もお前が一緒にいてくれて嬉しいよ -
ユフィ
や、やけに素直じゃんか・・・!
そ、そーいえば船全然見えないね!
やっぱここら辺は通ってないのかな!? -
ヴィンセント
それかこの島自体が特殊なのかもしれん
私たちが突然こんな島に放り出された事を考えると不思議ではない -
ユフィ
世界から切り取られてるとか?
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ヴィンセント
普通ならば有り得ない話だが今のこの状況だとそうであってもおかしくはない
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ユフィ
切り取られたとして、どんな風に切り取られてんのかな?
例えば船を出して地平線の彼方まで行ってみるとそこから下は断崖絶壁!
つまりこの世界は四角形だった!とか! -
ヴィンセント
或いはそのまま行ってもただ海が続くだけ
つまり世界は丸い
ただし世界の規模は小さく、すぐに一周する事が可能となる -
ユフィ
てことは、この無人島で世界は終わりって事?
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ヴィンセント
そういう事だ
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ユフィ
じゃあアタシたち世界征服したね!!
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ヴィンセント
モーグリやチョコボたち先住民がいるだろう
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ユフィ
あれはまぁ・・・人間じゃないからノーカンで!
でもモーグリたちは人間界進出目指してるし・・・あ~も~訳分かんない!! -
ヴィンセント
無理はするな
頭を使うのは得意ではないだろう -
ユフィ
うっさい!
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ヴィンセント
それよりそろそろ火を消して戻るぞ
・・・無駄な事に付き合わせてしまって悪かった -
ユフィ
いいって
やらなかったらそれはそれで後悔してただろうしさ
それにこれはこれで楽しかったし -
ヴィンセント
そうか・・・それならば良いが・・・
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そしてその日の夜
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ユフィ
ZZZZZ
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ヴィンセント
・・・
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ユフィ
ZZZZZZ
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ヴィンセント
・・・この島に私一人だったら余計な事を考えて後ろ向きでいたかもしれない
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ユフィ
ZZZZZZZ
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ヴィンセント
だから、本当にお前がこの島に一緒にいてくれて感謝している
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ユフィ
ZZZZZZ
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ヴィンセント
ありがとう
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ユフィ
ZZZZ
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ユフィ
ZZZ・・・・・・エヘッ・・・
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