日々日記2
*歯痒さからの“感情”論*
2026/03/15 21:01SS
※いきなりだけど、この間高幡不動辺りを歩いていた時の私と杉たんの記録(ログ)をば。
「色々かっ飛んでこれかよ!!!!!となるかもしれないけど、この時の記録(ログ)が今一番まとめやすいからねぇ・・・。それに、杉たんのあれこれにも触れとかないとね」
『まあ、初めての方に改めて説明もしなきゃですしねぇ・・・。彼も彼でまあまあややこしいし』
『川上の体調が安定してるのなら、私は特に何も言わないかな。本当はテニフェス時の記録(ログ)まとめとかやんなきゃいけないのに』
「んねぇ・・・」
→そんなわけで、いきなりだけど始めるよぉ―――。
追記
↓【追記】
―――2025年 3月11日 午後14時頃
歴史館から日野宿本陣まで向かう途中の下り坂で、俺は姫に声をかける。
顔色は見るからによろしくはないのだが、足元にはふらつきを感じさせないのが唯一の救いと言うべきか・・・。
「姫・・・、体調のほどは大丈夫ですか?かなり酔いが悪いようでしたら、何処かに座って休むことも」
「バスに乗ってる時よりかは落ち着いたから、大丈夫だよぉ~~~。それより、ごめんね、杉たん。どっちにしてももう戻れない距離まで来ちゃったから・・・」
「もうどちらにしても積んでしまいますもんね。薬も飲めませんし、吐けるなら吐いた方が楽になると思うんですが」
「いや何かそれはちょっと不味いと言うかねうん」
力強く拒否られて、それ以上は言えない。とにかく、姫の傍から離れないよう、適切な距離で共に歩く。
姫の体調不良についてはこれ以上触れられないと判断し、では違う話題をしようとして、俺は思わず言葉を飲み込んだ。
(何を、話したらいいんだ?)
皆川さんの話題?それとも、直純さんの話題?
(・・・いや、今はそう言う時間じゃない。“今は何の為にこうしている”んだ?)
姫は今、俺の為にここにいる。だったら別の話をする必要は微塵もない。
―――そう、俺の為―――。
「?杉たん、どうしたの?」
不意に足を止めた俺に気づいた姫が、同じく歩みを止めて振り向く。
その顔色は相変わらず白っぽくて、全然血の気を感じさせないが、今は確かに目の前にいる。当たり前のようにいる。
その“当たり前のような違和感”に、俺は飲み込んでいた言葉を思わず吐き出した。
「・・・姫は、千葉さんのことを知っていますよね?」
「千葉君?ああうん、知ってるよ。彼には私が“見え”ないんだよねぇ・・・」
「そうです。俺も時折貴女が“見え”なくなりますが、―――姫、元から“見え”ない人の気持ちはどう思っていますか?」
―――千葉さんは、姫と長い間パートナーとして共演していた仲だった。
それ故に、この方には姫の姿は“見え”ないし、声も聞こえない。
“見え”ない人には、代わりに白い羽として見えると言うことも伝えていない為、千葉さんは姫がまだここにいることを一切知らない。
(・・・俺も、前よりかは“見え”る頻度が増えたけど、それでも時折姫が見えなくなってしまうんだよなあ)
俺もどちらかと言うと、千葉さんと同じ立場の人間だった。
姫と生前近すぎたからか、β体になったとしても“見”ることが叶わない人間の一人。
辛うじて“見え”ているし羽のことも知っているからまだ良いが・・・。
(ほんと、皆川さん達は当たり前のように姫が“見え”ているから、“見え”ない人達の気持ちなんて分からないだろう)
“見え”ないのは千葉さんだけではない、宮田さんもそうだ。下手をすれば、そもそも姫の何もかもを知らない人達ばかりになっていくだろう。
この“当たり前の違和感”が、徐々に“何もなくなってしまう”。“見え”る人間が減っていけば、自然と姫はいないも同然と化す。
「“見え”ない人の気持ち・・・?」
「そう言う方々と間接的に接してきて、どうお思いですか?素直な答えを聞かせていただけたら」
「・・・」
あまり坂道で立ち止まらせたくはないのだが、幸い、俺達以外には誰もいない。
姫が答えるのをただ静かに待っていると、
「やっぱり、悲しいと思う。特に千葉君はそう言う立場になったことがあるから、よーく分かるだろうし」
「でしょうねぇ・・・。そちらだと千葉さんが後日成仏する幽霊役でしたし」
「杉たんがそう言う気持ちも、分かるよ。―――いつか本当に私が“見え”なくなる日が来るのは、怖いから」
そう言って、姫は俺と目線を合わせた。やはりまだ微妙に体調不良を引き摺りつつも、逆に俺を安心させようとする表情で。
「リョーちゃんを焚き付けるのも私が完全に消えた時にどうするかを知りたいからだろうし、今はこうしてちゃんと目を合わせて会話出来てても、ある日突然姿も声も分からなくなる恐怖もあるからなんだよねぇ・・・」
「・・・そうですよ、俺は何時、姫が完全に分からなくなるのかが一番怖いんです。俺にはどうすることも出来ないですし、迷惑をかけることしか出来ないから」
「そんなことないよ。と言うか、今はむしろ私が迷惑かけちゃってるし・・・」
たはは・・・、と力なく笑う姫。
「むしろ、杉たんがいてくれて安心したよぅ。あれこれ一緒に応急処置したり、こうして会話しながら一緒に歩いてくれたり、心配してくれたり、それでかなり心強いんだよ」
「そりゃそうですよ。その為に俺は一緒に来ているんですから」
そう、今の時間は俺だけだと、それは言葉にせず胸に秘めておく。
「すみません、変なことを聞いてしまって。そろそろ向かいましょうか」
「そだねー。新選組の歴史とか調べるの好きだから、楽しいよぉ~~~♪」
「姫が楽しんでくれているなら、俺も凄く嬉しいですし楽しいです」
ふっと微笑んで、再び坂道を下る。
今こうして隣にいられる“違和感”を、そっと噛み締めて―――。
―――2025年 3月11日 午後14時頃
歴史館から日野宿本陣まで向かう途中の下り坂で、俺は姫に声をかける。
顔色は見るからによろしくはないのだが、足元にはふらつきを感じさせないのが唯一の救いと言うべきか・・・。
「姫・・・、体調のほどは大丈夫ですか?かなり酔いが悪いようでしたら、何処かに座って休むことも」
「バスに乗ってる時よりかは落ち着いたから、大丈夫だよぉ~~~。それより、ごめんね、杉たん。どっちにしてももう戻れない距離まで来ちゃったから・・・」
「もうどちらにしても積んでしまいますもんね。薬も飲めませんし、吐けるなら吐いた方が楽になると思うんですが」
「いや何かそれはちょっと不味いと言うかねうん」
力強く拒否られて、それ以上は言えない。とにかく、姫の傍から離れないよう、適切な距離で共に歩く。
姫の体調不良についてはこれ以上触れられないと判断し、では違う話題をしようとして、俺は思わず言葉を飲み込んだ。
(何を、話したらいいんだ?)
皆川さんの話題?それとも、直純さんの話題?
(・・・いや、今はそう言う時間じゃない。“今は何の為にこうしている”んだ?)
姫は今、俺の為にここにいる。だったら別の話をする必要は微塵もない。
―――そう、俺の為―――。
「?杉たん、どうしたの?」
不意に足を止めた俺に気づいた姫が、同じく歩みを止めて振り向く。
その顔色は相変わらず白っぽくて、全然血の気を感じさせないが、今は確かに目の前にいる。当たり前のようにいる。
その“当たり前のような違和感”に、俺は飲み込んでいた言葉を思わず吐き出した。
「・・・姫は、千葉さんのことを知っていますよね?」
「千葉君?ああうん、知ってるよ。彼には私が“見え”ないんだよねぇ・・・」
「そうです。俺も時折貴女が“見え”なくなりますが、―――姫、元から“見え”ない人の気持ちはどう思っていますか?」
―――千葉さんは、姫と長い間パートナーとして共演していた仲だった。
それ故に、この方には姫の姿は“見え”ないし、声も聞こえない。
“見え”ない人には、代わりに白い羽として見えると言うことも伝えていない為、千葉さんは姫がまだここにいることを一切知らない。
(・・・俺も、前よりかは“見え”る頻度が増えたけど、それでも時折姫が見えなくなってしまうんだよなあ)
俺もどちらかと言うと、千葉さんと同じ立場の人間だった。
姫と生前近すぎたからか、β体になったとしても“見”ることが叶わない人間の一人。
辛うじて“見え”ているし羽のことも知っているからまだ良いが・・・。
(ほんと、皆川さん達は当たり前のように姫が“見え”ているから、“見え”ない人達の気持ちなんて分からないだろう)
“見え”ないのは千葉さんだけではない、宮田さんもそうだ。下手をすれば、そもそも姫の何もかもを知らない人達ばかりになっていくだろう。
この“当たり前の違和感”が、徐々に“何もなくなってしまう”。“見え”る人間が減っていけば、自然と姫はいないも同然と化す。
「“見え”ない人の気持ち・・・?」
「そう言う方々と間接的に接してきて、どうお思いですか?素直な答えを聞かせていただけたら」
「・・・」
あまり坂道で立ち止まらせたくはないのだが、幸い、俺達以外には誰もいない。
姫が答えるのをただ静かに待っていると、
「やっぱり、悲しいと思う。特に千葉君はそう言う立場になったことがあるから、よーく分かるだろうし」
「でしょうねぇ・・・。そちらだと千葉さんが後日成仏する幽霊役でしたし」
「杉たんがそう言う気持ちも、分かるよ。―――いつか本当に私が“見え”なくなる日が来るのは、怖いから」
そう言って、姫は俺と目線を合わせた。やはりまだ微妙に体調不良を引き摺りつつも、逆に俺を安心させようとする表情で。
「リョーちゃんを焚き付けるのも私が完全に消えた時にどうするかを知りたいからだろうし、今はこうしてちゃんと目を合わせて会話出来てても、ある日突然姿も声も分からなくなる恐怖もあるからなんだよねぇ・・・」
「・・・そうですよ、俺は何時、姫が完全に分からなくなるのかが一番怖いんです。俺にはどうすることも出来ないですし、迷惑をかけることしか出来ないから」
「そんなことないよ。と言うか、今はむしろ私が迷惑かけちゃってるし・・・」
たはは・・・、と力なく笑う姫。
「むしろ、杉たんがいてくれて安心したよぅ。あれこれ一緒に応急処置したり、こうして会話しながら一緒に歩いてくれたり、心配してくれたり、それでかなり心強いんだよ」
「そりゃそうですよ。その為に俺は一緒に来ているんですから」
そう、今の時間は俺だけだと、それは言葉にせず胸に秘めておく。
「すみません、変なことを聞いてしまって。そろそろ向かいましょうか」
「そだねー。新選組の歴史とか調べるの好きだから、楽しいよぉ~~~♪」
「姫が楽しんでくれているなら、俺も凄く嬉しいですし楽しいです」
ふっと微笑んで、再び坂道を下る。
今こうして隣にいられる“違和感”を、そっと噛み締めて―――。