日々日記2
―――崩壊から始まる話。
2022/05/11 23:59SS
―――てなわけで、こちらが第3部の序章です(唐突)。
2.5部ラストと言いますか、学校イベラストの話から繋がっています。
【追記】からどうぞ↓
2.5部ラストと言いますか、学校イベラストの話から繋がっています。
【追記】からどうぞ↓
追記
・・・。
・・・。
・・・。
・・・あれから、一体どれだけ過ぎたんだろう。
“無”になってから、どれだけ経ったんだろう。
何もない。何も見えない。何も感じない。
それで良いと思った。もう何も考えない方が良いと。
そうしないと、自分がやってしまった事への重大性に押し潰されそうになるから。
もっと時間が経てば、自分も“同じ”になるかもしれない。だから、“無”になる。
・・・。
・・・。
・・・。
『―――』
『―――?』
『―――の?』
不意に、誰かの声がした。
こんな空間に、誰もいるわけがない。最初はそう思っていたが、しかし1つだけ思い出したことがあった。
―――私の我儘(ねがい)を、叶えた存在―――
久しぶりに“目を開ける”と、眩しくて視界が見えなかった。
徐々に“無”にしていた感覚を取り戻していく。眩しかったのは“遥かに大きな存在”が放つ光が理由だった。
『ああ、良かった。何回声をかけても、応じてくれなかったから心配したよ』
【・・・】
『貴女、声が出せないのね・・・。私が言ってることは分かる、よね?前にも少しだけ話をしたし』
彼女は悲しそうな表情を浮かべると、“私”を大きな手で包み込むように拾い上げた。
『私の方こそごめんなさい・・・。軽率なことをして、余計に悲しませてしまって・・・』
『今度はきっと大丈夫と思って送り届けたけど、まさかこんなことになってしまうなんて・・・』
『本当に、ごめんなさい。貴女にとっての大切な人も、喪わせてしまって・・・』
【・・・】
私は何か言いかけたが、そもそも“声が出せない”。
この存在は、“私の我儘”を叶えてくれただけだ。それに甘え、目を逸らし、最後まで問題を直視しようとしなかった私のせいだ・・・。
『貴女もあの人も、自分のせいだって抱え込みやすいね。・・・だから、真っ先に自分を犠牲にしやすいのか』
その言い分に、自分への失笑を感じた。
・・・そういえば、この存在はどうして、“ここ”にいるんだろう?“歯車”から外れ、“世界軸”から外れた存在しかいないはずなのに。
こちらが“疑問に思っている”と、思わず出ていた笑みを浮かべたまま、自分のことを話し始めた。
『・・・うん、私もね、みんなを守る為に願ったの。そして、自ら望んで、“世界”から外れた』
『もう誰も絶望してほしくなかったから。悲しんでほしくなかったから。・・・だったら私は、その全てを背負って、みんなから絶望を無くすんだって。それだけの希望が、私にあったから』
『その時ね、貴女もいたの。“別の世界軸の貴女”が。だから、ほっとけなかったの。違うと分かっていても、貴女は貴女だから』
【・・・!】
・・・確かに、“違う世界”からやって来た人達を私は知っていた。同じ人でも、“住む世界”で全然違うことを。
そしてこの存在は、―――“別の世界軸の皆川さん”は、自分の“世界”を救う為に1人犠牲になることを選んだ。
『貴女には、私とは違う“力”がある。だから、今度こそやり直すことが出来るよ』
【・・・】
・・・しかし、そう言われて、再びと言う気持ちになれるわけが無かった。
既に“世界”は完全崩壊をして、もう存在してしないのだ。そもそもやり直すことが出来ない。
それでも彼女は、もう一度言った。
『大丈夫、まだ終わってないよ。貴女は見えないフリをしているだけで、本当は最初かあるんだよ?』
【!】
何が、と“思った瞬間”、彼女の手の平に何かがあった。
光の私と同じぐらいの歯車が、1つ。
『これ、貴女の傍で浮いていてね。一緒に救い上げたの。きっとあの人だろうって』
【!!】
『こういうところも同じだね。例え形を失っても、何かを遺そうとするところ。ふふっ』
【・・・】
彼女は私に歯車を渡そうとして、掴もうとした指が止まる。
険しい表情をして。
『・・・これを貴女に渡したら、また全てが動き出す。でももし貴女がもう、やり直したくないと思うのなら、これは渡せない』
【・・・!!】
『最後に1つだけ聞くよ?さっきからずっと、問いかけていたこと』
―――貴女は、本当にこのままでいいの?
取り返しのつかないことをして、結局、私はその罪からも逃げてしまった。
向き合おうとせず、崩壊したみんなと同じようになろうとしていた。
あの人は、いつも私にさえ何も言わず、全てを抱え込んでしまう。
誰がどう足掻いても、自分は報われないことを理解しているから。その存在に成り果ててしまったから。
・・・そんなの、いいわけがない!!
楽しかった日々が偽りだったとしても、かけがえのない日々が夢だったとしても、“あの時”は確かに存在していた。
唯一みんなが何事もなく過ごせていた“世界”。歪み、捻じ曲げられるまでは確かにあった“世界線”。
可能性はゼロじゃない。その証拠が1つの歯車にあった。
『―――決まったみたいだね。それじゃあ、これを貴女に渡します』
彼女は優しく歯車を拾い上げると、私の元へと運んできた。
歯車に触れた瞬間、私は再び肉体を得ていた。
「あっ・・・」
手には、ボタンサイズの歯車があった。それを大切に、確かめるように握りしめた。
崩壊した時間が、少しずつ、ゆっくり動き出し始めた。もうすぐ“今度こその世界”が始まる。
『きっとこれが最後だろうけど、信じてるから。今度は“希望”で終わらせられると。私はここから、貴女達の行く末を見守っているから―――』
視界が激しく光り輝き、一瞬だけ全ての感覚を失った。
**
・・・。
・・・。
・・・。
・・・私は、ゆっくり目を開け、呼吸を整えた。久しぶりの大地に下りたものの、そこには崩れていた建物のみで人が誰もいなかった。
(これは、完全崩壊の途中で時間を戻されたのか・・・)
(目を逸らすどころか、目にしっかり焼き付けた上で前へ進めと言うことか。・・・ははっ、そりゃそうですよね)
―――今度こそ、私はあの人を助ける。
歯車を握りしめて、私は歩き出した。
・・・。
・・・。
・・・あれから、一体どれだけ過ぎたんだろう。
“無”になってから、どれだけ経ったんだろう。
何もない。何も見えない。何も感じない。
それで良いと思った。もう何も考えない方が良いと。
そうしないと、自分がやってしまった事への重大性に押し潰されそうになるから。
もっと時間が経てば、自分も“同じ”になるかもしれない。だから、“無”になる。
・・・。
・・・。
・・・。
『―――』
『―――?』
『―――の?』
不意に、誰かの声がした。
こんな空間に、誰もいるわけがない。最初はそう思っていたが、しかし1つだけ思い出したことがあった。
―――私の我儘(ねがい)を、叶えた存在―――
久しぶりに“目を開ける”と、眩しくて視界が見えなかった。
徐々に“無”にしていた感覚を取り戻していく。眩しかったのは“遥かに大きな存在”が放つ光が理由だった。
『ああ、良かった。何回声をかけても、応じてくれなかったから心配したよ』
【・・・】
『貴女、声が出せないのね・・・。私が言ってることは分かる、よね?前にも少しだけ話をしたし』
彼女は悲しそうな表情を浮かべると、“私”を大きな手で包み込むように拾い上げた。
『私の方こそごめんなさい・・・。軽率なことをして、余計に悲しませてしまって・・・』
『今度はきっと大丈夫と思って送り届けたけど、まさかこんなことになってしまうなんて・・・』
『本当に、ごめんなさい。貴女にとっての大切な人も、喪わせてしまって・・・』
【・・・】
私は何か言いかけたが、そもそも“声が出せない”。
この存在は、“私の我儘”を叶えてくれただけだ。それに甘え、目を逸らし、最後まで問題を直視しようとしなかった私のせいだ・・・。
『貴女もあの人も、自分のせいだって抱え込みやすいね。・・・だから、真っ先に自分を犠牲にしやすいのか』
その言い分に、自分への失笑を感じた。
・・・そういえば、この存在はどうして、“ここ”にいるんだろう?“歯車”から外れ、“世界軸”から外れた存在しかいないはずなのに。
こちらが“疑問に思っている”と、思わず出ていた笑みを浮かべたまま、自分のことを話し始めた。
『・・・うん、私もね、みんなを守る為に願ったの。そして、自ら望んで、“世界”から外れた』
『もう誰も絶望してほしくなかったから。悲しんでほしくなかったから。・・・だったら私は、その全てを背負って、みんなから絶望を無くすんだって。それだけの希望が、私にあったから』
『その時ね、貴女もいたの。“別の世界軸の貴女”が。だから、ほっとけなかったの。違うと分かっていても、貴女は貴女だから』
【・・・!】
・・・確かに、“違う世界”からやって来た人達を私は知っていた。同じ人でも、“住む世界”で全然違うことを。
そしてこの存在は、―――“別の世界軸の皆川さん”は、自分の“世界”を救う為に1人犠牲になることを選んだ。
『貴女には、私とは違う“力”がある。だから、今度こそやり直すことが出来るよ』
【・・・】
・・・しかし、そう言われて、再びと言う気持ちになれるわけが無かった。
既に“世界”は完全崩壊をして、もう存在してしないのだ。そもそもやり直すことが出来ない。
それでも彼女は、もう一度言った。
『大丈夫、まだ終わってないよ。貴女は見えないフリをしているだけで、本当は最初かあるんだよ?』
【!】
何が、と“思った瞬間”、彼女の手の平に何かがあった。
光の私と同じぐらいの歯車が、1つ。
『これ、貴女の傍で浮いていてね。一緒に救い上げたの。きっとあの人だろうって』
【!!】
『こういうところも同じだね。例え形を失っても、何かを遺そうとするところ。ふふっ』
【・・・】
彼女は私に歯車を渡そうとして、掴もうとした指が止まる。
険しい表情をして。
『・・・これを貴女に渡したら、また全てが動き出す。でももし貴女がもう、やり直したくないと思うのなら、これは渡せない』
【・・・!!】
『最後に1つだけ聞くよ?さっきからずっと、問いかけていたこと』
―――貴女は、本当にこのままでいいの?
取り返しのつかないことをして、結局、私はその罪からも逃げてしまった。
向き合おうとせず、崩壊したみんなと同じようになろうとしていた。
あの人は、いつも私にさえ何も言わず、全てを抱え込んでしまう。
誰がどう足掻いても、自分は報われないことを理解しているから。その存在に成り果ててしまったから。
・・・そんなの、いいわけがない!!
楽しかった日々が偽りだったとしても、かけがえのない日々が夢だったとしても、“あの時”は確かに存在していた。
唯一みんなが何事もなく過ごせていた“世界”。歪み、捻じ曲げられるまでは確かにあった“世界線”。
可能性はゼロじゃない。その証拠が1つの歯車にあった。
『―――決まったみたいだね。それじゃあ、これを貴女に渡します』
彼女は優しく歯車を拾い上げると、私の元へと運んできた。
歯車に触れた瞬間、私は再び肉体を得ていた。
「あっ・・・」
手には、ボタンサイズの歯車があった。それを大切に、確かめるように握りしめた。
崩壊した時間が、少しずつ、ゆっくり動き出し始めた。もうすぐ“今度こその世界”が始まる。
『きっとこれが最後だろうけど、信じてるから。今度は“希望”で終わらせられると。私はここから、貴女達の行く末を見守っているから―――』
視界が激しく光り輝き、一瞬だけ全ての感覚を失った。
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・・・。
・・・。
・・・。
・・・私は、ゆっくり目を開け、呼吸を整えた。久しぶりの大地に下りたものの、そこには崩れていた建物のみで人が誰もいなかった。
(これは、完全崩壊の途中で時間を戻されたのか・・・)
(目を逸らすどころか、目にしっかり焼き付けた上で前へ進めと言うことか。・・・ははっ、そりゃそうですよね)
―――今度こそ、私はあの人を助ける。
歯車を握りしめて、私は歩き出した。