日々日記2

―――静寂と痛覚の空間。

2022/05/11 22:51
SS
そんなわけで、『マギレコ』パロと言いますか、“設定と世界観のみ”借りていると言う状態になっておりますが(汗)、学校イベラストバトルの話を。



正直まあまあグロイので、苦手な方は今すぐ戻ってください。救いも何もないのできついです(汗)。



それでも良いと言う方は、【追記】からどうぞ↓
追記
―――せめて、せめてこの人には、“楽しいと思える想い出”を作ってあげたい。



―――知らぬ誰かが叶えてくれたその“願い”の通り、あの人は仲間と共に楽しい時間を過ごすことが出来た。



笑って、はしゃいで、“人”としてごくごく自然な感情を浮かべて、自分に与えられた役目を忘れて。


それだけで私は嬉しかった。私も楽しかった。


ずっとずっと、こういう時が続けばいいのにと、弱い心の隅にずっと浮かべていた。




・・・でも、その矛盾は、いとも簡単に崩れた。



当然だ。“私の我儘(ねがい)”のせいで、せっかく救われた“世界”が壊れたら、元も子もない。



ああ、この夢の時間も、もう終わってしまう・・・。そう思っていた。



―――しかし、終わらなかった。矛盾を指摘されたにも関わらず、夢の時間が終わることは無かった。



もしかしたら、まだ続けても良いのかもしれない―――。そんな“甘え”を「肯定」と捉えて、ここまで来ていた。



・・・。


・・・。



・・・。




・・・感じる空気が、一瞬で変わった。



「―――ここは、何処だ・・・?」



私は目を開けると、薄暗い空間に立っていた。


先ほどまでみんなで遊園地にいたはずだが、どうやら強制的にここへ連れてこられたのだろう。



(でも、おかしい。話に聞いていたのと、全然違う)



同じようになった人ら曰く、最後の戦いは水の中で、“邪神”に身体を乗っ取られた直純さんと黄泉の国から出現した追っ手達を倒したと聞いていた。



(でも、どう考えても水の中じゃないし、何処にも直純さんの身体は無い。腐敗がだいぶ進んでいたから、早く助けないと・・・)



「―――っ!!?」



突然、電撃が身体中を走るような痛みを感じた。


ピリピリと耐え難い不快感を与え続けて、一向に止まろうとしない。




(何、これ・・・!!動けない・・・!!)



立っていられなくなり、思わず膝をついてしまう。



「・・・うぅ・・・」

「!!?」



態勢を崩した瞬間、呻き苦しむ声がした。私は強引に顔を声が聞こえた方に向ける。


痛みが強くなってしまったが、それはほんと一瞬のこと。そんなことは相手を見た途端に飛んでいった。




(直純さん!!?)



何時からここにいたのだろう。だいぶ弱り果てているように見えた。痛みに耐えるように身体を丸めて、うずくまっていた。




(一体、何が・・・、―――!!)




視界の端に、誰かの足が見えた。この空間に平然と立っている。


顔を直純さんから立っている相手へと移して、思わず言葉を失った。




(直純さんがもう1人!!?・・・違う、この直純さんは、“邪神”か!!?)



ずいぶんと腐敗してボロボロになっていたと聞いていたが、目の前にいる肉体は綺麗な状態だった。



“邪神”は痛みに苦しんでいる私と意識体の直純さんを交互に見ると、私の方に手を向けた。



瞬間、痺れるような痛みが消え去った。身体が自由に動けるようになる。




「直純さん!!」



倒れている直純さんに近づこうとして、しかし妨害される。


“邪神”が矢を放ってきたからだ。



宣戦布告と言うことだろう。その証拠に、強く睨んだ私を見ると、面白そうに嗤った。



(こいつだけは・・・、絶対に許せない!!)



私も戦闘状態に切り替える。―――これだけは、絶対に負けられない!!



**



お互いに攻防を繰り返すも、なかなか決着がつかない。



こちらの“体力”だけが奪われてゆく・・・。このまま長期化したら、間違いなく私の方が不利だ。



(クソッ・・・!!【神】だけあって、リソースに限界が無い・・・。でも、直純さんを身体を傷つけることは絶対に出来ない!!)



歯がゆい思いで体勢を整えていると、笑顔だった“邪神”の顔が、酷く歪んだ。



不意の打撃を受けたらしい。そのまま数歩後ろに下がると、“何か”を強引に引き抜いた。



忌々しそうに睨むと、それを強く折る。




(あれは・・・、矢?―――ハッ!!?)



後ろを振り返ると、次いで矢を構えていた直純さんがいた。こちらを睨みかけた“邪神”に対して、もう一射放つ。



私との戦闘で、相手への痛みが維持出来なかったのだろう。先ほどまでの弱りは見えなかった。




【やっと出てきやがったな、お前。俺の身体を勝手に使いやがって!!】
『ぐっ・・・、ぐぅ・・・』



連続して放たれる攻撃に、今度は“邪神”が呻き声をあげる。それは声と言うより、雑音だった。



「直純さん!!攻撃を―――」


止めてくださいと言うより先に、直純さんは苦い笑みを浮かべた。どうしようもないことだと言うように。




【ごめんね、永井さん。俺を傷つけないようにって気を遣ってくれてたのは、見てたから分かるよ。あん時と同じだなぁって】
「だって私は、何時もあなたを助ける為にいるんですから!!だから・・・!!」



だから、もうやめて。と、叫びそうになって、声が出なかった。




【―――おっ?】



一瞬、何が起こったのか分からない、と言うような軽い声とは裏腹に、身体に負わされた負傷が大きかった。


真ん中、心臓を抉るように空いた穴を見て、血を流す直純さん。



「直純さん!!!!!!!!」



懇願への叫びが、絶望に変わった。


“邪神”の方を見ると、強引に息の根を止めようと考えたのか、心臓を抉り取っていた。



【・・・あっそ、お前も、“そのつもり”だったわけだ。じゃあ、俺と、同じ考え、だな・・・】



意識体の直純さんが消えると、“邪神”の身体が倒れた。


“自分を殺したこと”で、黄泉の国とのリンクが切れた。今倒れている直純さんは、何者でもない。




・・・でも、1人残された私は、頭の中が真っ白になっていた。



(何で・・・、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして・・・!!)




―――どうして直純さんは、消えたの?


―――何故“邪神”は、死ぬことを選んだ?




(「俺と同じ考え」って、どういうつもりだったんですか!!直純さん!!)




問いかけても、答えてくれる人は誰もいない。



それどころか、何か嫌な音がした。空間ごと強引に壊しにかかるような音が。



(何・・・、一体何が起きようとしてるんですか・・・!!?)




“世界の歯車”になっていた直純さんが消えて、“この世界”が保たれるわけがない。



(まさか・・・、そんな・・・)




―――ずっと恐れていたことが、今まさに私の目の前で起きた。



生きている者達が何も知らずに死に絶え、無機物はその全てを消され、この“世界”は崩壊を始めていた。



何もかもが残らない、例外なく崩れ落ちてゆく・・・。



あの時助けた仲間達も、みんな・・・。



(まさかこれが、“私の我儘(ねがい)”の代償・・・?結局全ては、崩れ去っていく・・・)




助けたいと願った気持ちも、楽しいと感じた気持ちも、全て消えてゆく。




確かに最後は楽しい想い出だった。確かに私はそう願った。確かにそれは叶えられた。




・・・そもそも、矛盾を指摘された時点でこの“願い”は終わっていた。


それでも、この時がずっと続けばいいなと逃避し続けたのは、紛れもない自分。




崩れ、壊れ、“世界”の維持さえも厳しい状況だったのに、私は自分の役目に戻ることを拒否した。



―――だから直純さんは、自分で自分を殺す方を選んだ。


これ以上自分がいることで、私やみんなが不幸になるのなら、自分を消してしまえば何もかも終わらせられると。“想い出作り”の中でずっと抱いていたのだろう。



安直だ。凄く安直で、馬鹿げた考えだ。そんなことをして、どうなるか自分は分からないくせに。




(・・・いいえ、馬鹿は私だ。直純さんは再びここに来てからもずっと、葛藤と後悔を抱いていたことに気づかなかったなんて)




あの時私がすぐにでも終わらせていれば、こうなることはなかった。なのに・・・!!




何度も何度も同じ後悔だけが、私の頭の中を巡る。



既に“世界軸”から外れ、“世界の崩壊”を観測することしか出来ない私には、もうどうすることも出来ない。



傍にはもう、誰もいない・・・。助けたかったあの人も・・・。




噛み合っていた“歯車”は大きな音を立てて崩れ、そして塵になる。


ヒビが入っていた箇所から、いとも簡単に。







―――そして、私の目の前で今、“世界”は砂のように崩れ去り、消滅した。

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