ケンガンアシュラ
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『いやいや、今更ここで“待った”はナシだろうよ』
状況解ってる? そう静か、熱を滾らせた瞳で覗かれる。上からは、意地の悪い視線が配られるも、いつも余裕あるそれではなくて。――勿論、状況だけならば単純明快なのだ。散々脳を蕩かす濃厚なキスのあと、繰り返し体液を求めた唇が離れた矢先。互い、下着を離した
『その気にさせといてお預けたあ、良い性格してんじゃん。おちょくってんの』
「そんなんじゃないってば、」
余裕と滾り。しかし、その中に渦巻く感情は 声色の端にさえ表れる、確かな苛立ち。長い艶やかな髪がするり、この身に覆い被さる肌へ垂れれば。充たった毛先が針先のよう鋭く思え、無意識に肩が震えた。常、ふらふら、ふらふら。家に帰ってくる事もあれば、幾日も顔を見せない時など当たり前で。そんな彼との情事は、私にとっても準備を要する物なのだ。
「あなたが急に、連絡も無く帰ってくるからでしょう」
『会いてえから来たんだけど。つうか、俺が駆け引きとか面倒な事すると思ってる』
苦笑を含んだ溜め息のあと、そうして身を起こし。
「ねえ、泉、怒らないでちゃんと聞いてったら」
『はいはい、何ですかあ。手短にお願いしますよお』
耳を掻く仕草に、こちらも段々腹が立ってくる。しかし、今まできちんと伝えて来なかった私にも非が在るのだ。羞恥を伴う事から、わざわざ声にする物でもないと思って過ごして来たが、そう言う訳には行かないらしい。私は、生々しく
「いつもね、……その、あなたのが大き過ぎて、………は、…入らないのよ」
『いや、んな訳。そもそも、毎回ちゃんと入ってるだろ。まあ何ての、気分か知らねえけどさ、断るんなら、もっと上手い台詞考えられねえかな、それとも何。他に男でも出来た』
「………」
『あれれ…、何、黙っちゃって。おおい』
「泉の、…………馬鹿」
次第、私が瞳に水の膜を張って、沈黙に口を
『…悪い、じゃなくて。…ごめん、ごめんネ、ちと、言い過ぎた』
そう、分が悪そうな声が耳に届くと、何故だろう、酷く安心する。私は情事前、自身のそこを自ら馴らしている事、今日の彼の帰りが唐突だった事から、それがままなないで居た事、その両方を話した。勿論、そんな羞恥を声にしたあとは、特に茶化すような素振りもなく、薄ら瞳に浮かんで居た苛立ちも消えていて。
『つうかよ、言ってくれれば ちゃんと馴らすって、俺が』
「恥ずかしいから嫌なの、それに本当、時間掛かっちゃうから…」
『なに、それが原因で俺が浮気するとでも思ってる』
「……」
『……あー、あのさ、名前、』
すると、きつく抱かれた腕が解かれ、後、彼の瞳と視線が重なるのだ。それは眉を八の字に、苦笑を含める表情。心臓が、ぴくり跳ねる。
『俺、お前さんが 初めてなんだよ』
彼は、太い指の伸ばしては、私の髪を梳いていくのだ、優しく、まるで宝物を扱うように。
『一途になれた女』
「…………信じていいの」
『不安なら、一生かけて証明するけど』
どうする、そう問われたあと。
『ま、証明する為に ふらふらしてたっつうのもあるんだけどね』
「……どういう事」
厚い胸板を辿り見上げた彼は、ようやく整った、そんな表情で。でも何処か、企みのそれを浮かべている。
『家、買っちゃった』
「嘘」
『本当だよ。言ったじゃん、一生かけて証明するって』
「………」
『困った事にさ、お前さんが絡んじまうと。余裕なくなるみたいなんだよね、俺。早く囲いたくて仕方がねえっつうか』
嗚呼、格好悪い、と長い髪の毛を乱暴に掻く彼は仄か、頬を紅に染めていた。それは、証明するに意外と簡単であった。苛立ちの消えた彼の瞳に、自身のそれを重ねて。ついでに、両手を伸ばして首元へ絡ませるてゆく。
『一途になったらさ、なんか、凄え辛いのよ、俺、重たい男になってる見てえで。浮気とか疑っちゃうし』
「そう? 私は、今の泉が好きだけどな」
『……お前さんが、物好きで良かったよ』
呆れたような溜め息のあと、再びと。この身はシーツへ倒れ込む。大きく優しい指先が、また。髪を撫で、肩を伝い、熱いそこを辿っていくのだ。