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残業で いつもは乗らない時間帯の電車に乗った。
「(すごい人…帰宅ラッシュだから しょうがないけど)」
最寄りの駅までの辛抱だ。
しかし満員電車の蒸れた 人の匂い、
押しつぶされそうな 圧迫感。
「(やば、この匂い気持ち悪い…次の駅で降りて休んで…いやでも、
早く家に着きたいし…)」
考えている間にどんどん気分が悪くなってくる。
すると、
『名前さん?』
聞き慣れた声の方向へ振り返る。
「二郎くん…?」
『おー!やっぱ 名前さんじゃん、こんな時間に帰り?』
そこには 山田家二男の 山田二郎が。
タレ目でニカッと笑いながら 満員電車の
人混みを無理矢理掻き分けて こちらに向かってきた。
みちみちの車内を半ば強引に。
力づくで進んでくるのは何とも彼らしい。
「うん。残業で遅くなっちゃって。
二郎くんこそどうしたの? こんな時間まで」
よく見ると 二郎は平日というのに 制服ではなく私服を着ている。
『ああ、依頼の手伝いでさあ。力仕事だったし三郎には任せられねえじゃん?
だからこの俺が、兄ちゃんの代わりに仕事をこなして来たってワケよ!』
三郎が居ない所でも張り合おうとする二郎。
勝ち誇ったよう 自慢げにふんっ、と鼻で笑っていた。
「そっかあ、こんな遅い時間までお疲れ様。一郎くんには連絡してあるの?」
『おうよ!問題ねえよ』
遅い時間まで 元気で居られるのは本当に羨ましい。
体力を半分くらい分けて欲しいものだ。
瞬間、電車がカーブに差し掛かり、電車が大きく揺れた。
「っきゃ…!」
『おわっ、名前さん、危ねえ!』
二郎はたくましい腕で名前の細い手首を引っ張り、自分の方へと引き寄せた。
「ご、ごめんね。近くにつり革なくて…よろけちゃった、ありがとう」
『い、いや、いいよ。それより、…なんか大丈夫か?』
名前の顔色が良くない事に気付いたのか、二郎は大きな背を少し屈ませて 顔を覗いて来た。
「あ、うん。満員電車、久しぶりで。さっきから押し潰されて 気持ち悪くって」
『えっ、なんで早く言わねえんだよ』
「ごめんね…」
二郎は辺を見回したあと、人混みを力づくでかき分け、名前を壁側に連れて行った。
「じ、二郎くん?」
『え、駅付くまで。コレで我慢してろ』
すると二郎は赤面し、遠慮しながら壁ドンする。
「え?」
名前が押し潰されてないよう周囲にスペースを作ったのだ。
「二郎くん、背中、辛くない?」
二郎の後ろや周りには 満員電車の人混みの圧がぎゅうぎゅうに のしかかっている。
『バーカ。俺を誰だと思ってるんだよ。兄ちゃんの弟なんだぜ?
最強に決まってるだろ。こんなの屁でもねえよ』
そう言いながらも 二郎の手には強く力が入っており、名前を守るのにどれだけの
圧力に耐えているのかが すぐ分かる。
『二郎くん』
「あー?」
『二郎くんは 一郎くんの弟だけど、私にとっては 二郎くんは二郎だよ』
二郎は少し考えたあと、頭の上に 大きなはてなを浮かべた。
『なーに 三郎みてぇに 小難しい事言ってんだ。意味わかんねぇよ』
二郎の垂れた目と眉が好き。
恥ずかしいはずなのに 精一杯 周りから守ってくれる所が好き。
力強い腕が好き。
言いたい事はたくさんあるけれど、
それはまた二人きりになってから言おう。
今はこれで十分。
「ふふ、一番かっこいいって事」
その言葉に二郎は 一気に顔を真っ赤にし、ぷいっと そっぽを向いた。
『ばっ、バッカじゃねの…!そそ、そう言うの、軽々しく言うんじゃねえよ!』
名前の言葉で気が緩み 満員電車の周りの人混みに背中を押され、
二郎は態勢を崩し、名前に ぴたりとくっついてしまう。
『…!!わ、悪りぃぃ!! 具合悪いのにっ、重いよな、今どくからよ』
二郎が離れようとすると、名前は
「いいよ…」
『えっ』
「二郎くんなら…重くても、嬉しいから」
『…!だ、だから。小難しいこと、言うなって…言ってんだろ…』
鈍感な二郎も さすがに勘付いたようで。
必死に誤魔化す姿が 愛おしい。
気分が悪かったのも 嘘みたいだ。
満員電車も 彼となら特別に感じる。
『は、早く駅着かねえか、なあ…』
「そうだね。ちょっと息苦しいもんね」
『(…息苦しいっつーより。心拍数ハンパねえんだよ…駅付くまで俺はあと何回 心臓殴られんだ…)』
「(すごい人…帰宅ラッシュだから しょうがないけど)」
最寄りの駅までの辛抱だ。
しかし満員電車の蒸れた 人の匂い、
押しつぶされそうな 圧迫感。
「(やば、この匂い気持ち悪い…次の駅で降りて休んで…いやでも、
早く家に着きたいし…)」
考えている間にどんどん気分が悪くなってくる。
すると、
『名前さん?』
聞き慣れた声の方向へ振り返る。
「二郎くん…?」
『おー!やっぱ 名前さんじゃん、こんな時間に帰り?』
そこには 山田家二男の 山田二郎が。
タレ目でニカッと笑いながら 満員電車の
人混みを無理矢理掻き分けて こちらに向かってきた。
みちみちの車内を半ば強引に。
力づくで進んでくるのは何とも彼らしい。
「うん。残業で遅くなっちゃって。
二郎くんこそどうしたの? こんな時間まで」
よく見ると 二郎は平日というのに 制服ではなく私服を着ている。
『ああ、依頼の手伝いでさあ。力仕事だったし三郎には任せられねえじゃん?
だからこの俺が、兄ちゃんの代わりに仕事をこなして来たってワケよ!』
三郎が居ない所でも張り合おうとする二郎。
勝ち誇ったよう 自慢げにふんっ、と鼻で笑っていた。
「そっかあ、こんな遅い時間までお疲れ様。一郎くんには連絡してあるの?」
『おうよ!問題ねえよ』
遅い時間まで 元気で居られるのは本当に羨ましい。
体力を半分くらい分けて欲しいものだ。
瞬間、電車がカーブに差し掛かり、電車が大きく揺れた。
「っきゃ…!」
『おわっ、名前さん、危ねえ!』
二郎はたくましい腕で名前の細い手首を引っ張り、自分の方へと引き寄せた。
「ご、ごめんね。近くにつり革なくて…よろけちゃった、ありがとう」
『い、いや、いいよ。それより、…なんか大丈夫か?』
名前の顔色が良くない事に気付いたのか、二郎は大きな背を少し屈ませて 顔を覗いて来た。
「あ、うん。満員電車、久しぶりで。さっきから押し潰されて 気持ち悪くって」
『えっ、なんで早く言わねえんだよ』
「ごめんね…」
二郎は辺を見回したあと、人混みを力づくでかき分け、名前を壁側に連れて行った。
「じ、二郎くん?」
『え、駅付くまで。コレで我慢してろ』
すると二郎は赤面し、遠慮しながら壁ドンする。
「え?」
名前が押し潰されてないよう周囲にスペースを作ったのだ。
「二郎くん、背中、辛くない?」
二郎の後ろや周りには 満員電車の人混みの圧がぎゅうぎゅうに のしかかっている。
『バーカ。俺を誰だと思ってるんだよ。兄ちゃんの弟なんだぜ?
最強に決まってるだろ。こんなの屁でもねえよ』
そう言いながらも 二郎の手には強く力が入っており、名前を守るのにどれだけの
圧力に耐えているのかが すぐ分かる。
『二郎くん』
「あー?」
『二郎くんは 一郎くんの弟だけど、私にとっては 二郎くんは二郎だよ』
二郎は少し考えたあと、頭の上に 大きなはてなを浮かべた。
『なーに 三郎みてぇに 小難しい事言ってんだ。意味わかんねぇよ』
二郎の垂れた目と眉が好き。
恥ずかしいはずなのに 精一杯 周りから守ってくれる所が好き。
力強い腕が好き。
言いたい事はたくさんあるけれど、
それはまた二人きりになってから言おう。
今はこれで十分。
「ふふ、一番かっこいいって事」
その言葉に二郎は 一気に顔を真っ赤にし、ぷいっと そっぽを向いた。
『ばっ、バッカじゃねの…!そそ、そう言うの、軽々しく言うんじゃねえよ!』
名前の言葉で気が緩み 満員電車の周りの人混みに背中を押され、
二郎は態勢を崩し、名前に ぴたりとくっついてしまう。
『…!!わ、悪りぃぃ!! 具合悪いのにっ、重いよな、今どくからよ』
二郎が離れようとすると、名前は
「いいよ…」
『えっ』
「二郎くんなら…重くても、嬉しいから」
『…!だ、だから。小難しいこと、言うなって…言ってんだろ…』
鈍感な二郎も さすがに勘付いたようで。
必死に誤魔化す姿が 愛おしい。
気分が悪かったのも 嘘みたいだ。
満員電車も 彼となら特別に感じる。
『は、早く駅着かねえか、なあ…』
「そうだね。ちょっと息苦しいもんね」
『(…息苦しいっつーより。心拍数ハンパねえんだよ…駅付くまで俺はあと何回 心臓殴られんだ…)』