トリコ
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「ブランチさんはさ、」
『ああ?』
「私のこと、どのくらい好きなの?」
そういうと、突然の問いに彼は慌てて噴き出した。
『はあ!? いきなり自分何言っとるん』
「だって、ブランチさんの口から、ちゃんと“好きだ”って聞いてないもの」
その言葉に、赤い顔をますます赤くさせるブランチ。
『そんなん、言わなくたってわかるやろ』
「それはそうかもしれないけど、口で聞きたいのよ、女の子は」
『かー、面ッ倒くさ』
そうして私が口を尖らせ、拗ねるのを見ると。
彼は頭をガシガジ掻きながら、少し戸惑った様子で口を開くのだ。
『あ〜…そやな、例えば、名前が敵に捕らわれたとするやろ』
「うん?」
『ほいで、お前を逃がす代わりに こう要求されたとする』
「なんて?」
ブランチはドヤ顔で言う。
『ワシの鼻と名前の命を交換やってな』
「う、うん?」
訳が分からないが、とりあえず聞くとする。
『ほなら、ワシは躊躇せず、この立派は鼻をもいで敵に差し出すんや!』
「………うん?」
『首傾げてるとこ悪いんやけど、ここ感動するとこやで自分』
「えっ、嘘、どこらへんが?」
ブランチは驚き、目を丸くした。
『い、今ので分からへんのかい!』
「うん…?」
『なんでやねん!!ええか、お前のためなら、この鼻の一本や二本や三本、なあんも惜しくないいうことや!』
「鼻は一本しかないよ、というか、“本”っていう数え方がそもそもおか」
『どアホ!聞けや!と・も・か・く!自分になにがあっても、ワシは捨て身で名前を守るくらい、そんくらいの気持ちっちゅうことや!』
息を切らすブランチに、私は問いかける。
「という事は?」
『分ッからへんやつやな…てか、そんな期待した目で見るなや』
「好き?」
『…………好きやねんで』
「よくできました」
『ッ……!ホンマ腹立つわ~』