ケンガンアシュラ
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表すなれば猫、そう、まるで猫だ。それも
「ガオラン、寝るならちゃんとベッドで寝なきゃ」
『……んう』
「シャワーはもう明日で良いけど、せめてシャツを脱いで洗濯に出して。ついでに襟元の汚れ、洗っちゃうから」
『……面倒だ、このままで構わん』
「私が構うのよ」
何度目だろう、彼の頭を膝に乗せながら、細い溜め息をつくのは。最悪、半ば無理矢理と重たな頭を置き去りに。彼だけを 今いるリビングで寝かせてもいいのだ。しかし、身に纏うシャツだけは脱いで貰いたい物。ただでさえ盛り上がる胸筋が、普段からシャツのボタンを千切りそうと うずうずしているのに。フローリングに雑魚寝し、寝返りでも打とう物なら、胸元のボタンなんか簡単に弾けてしまうに違いないのだ。以前だ、温かな陽が射す穏やかな休日の昼間。日々
「お願い、私も足が痺れて来たから、ね」
『この程度で痺れるなど、軟弱もいい所だ』
「そう言う問題じゃないでしょう」
転がったボタンが付いていたシャツは、彼のお気に入りの召し物だったらしく。慌て、起き掛けの彼と一緒になり、私も部屋の隅々まで探したのだが、それが一向、見つかる事はなかった。仕合でも特段ポーカーフェイスを崩さない彼だが、あからさまと落ち込みの表情を見せる様子に耐えきれず。翌日、類似したボタンを買っては裁縫を施したのである。それが今、彼が身に纏うシャツなのだ。
「せっかく付けたボタン、また取れたりしたら、あなた絶対落ち込むじゃない」
『…俺は、……俺はまだ飲めるぞ、サーパイン』
「お酒は終わり、サー君も帰ったわよ。ほら、起きて。シャツも脱いでベッドで寝て頂戴」
そもそもだ、彼が私の膝の上に寝転んだのには訳がある。つい先程、サーパインが特に連絡もなしに家を跨ぎ。夜明けの村の農村で育てたサツマイモを元に蒸溜した 特性の芋焼酎を持ち込んで来たのがきっかけだった。蒸溜したてと言う事もあり、度数は四十%とややウイスキーと同等。当初、目安であるダブルで手を止めるはずが、積もる話しと共、唇は酒の煽りを促して。結局、夕飯の前だった事から、空腹にアルコールがよく回ってしまったのだろう、サーパインが元気ハツラツと帰る頃には、既、彼の頭は私の膝に転がっていたという訳である。
『仕方あるまい』
それは大概、こちらの台詞なのだが。しかし、ようやく起きてその身からシャツを離し、ベッドへ向かう気になってくれたのだ。ここで水を差して
『十だ』
「…なにが」
『――俺の好いている所を十、応えろと言っている』
「……」
『そうすれば、シャツでも何でも脱いで さっさと床に着いてやろう』
酔っている、完全に酔っている。しかし、こんなになるまで酔う姿も珍しい事この上ない。別に
「ボクサーとして、世界最強な所」
『…まあな』
「超高速のフリッカージャブ、あれ、観る度に痺れちゃう」
『……好きなだけ見惚れるがいい』
「相手を侮辱しないで、敬意を払える所も好き」
『……ふん』
「超実践型ムエタイ、右に出る人は現れないわ」
『当たり前だ』
「あ、この前のカラオケ、私の好きな曲を練習してくれてたの、凄く嬉しかったな」
『…次は付いてくるなよ』
「食事に出かけた時、さり気なく椅子を引いてくれる所も素敵」
『嗜みだ』
「それに兎に角、顔が良い」
『……そうか』
「勿論、落ち着いた声も」
『……ほう』
「あと、張り裂けそうな胸板も好き。抱き締められると幸せになるの」
『…………、…最後はどうした』
「――セ………セックスが上手、とか、じゃ駄目かしら」
『最高だ』
何故か気分を良くした彼は、前述、約束した通り。早々、私の膝からその頭を退けては。お気に入りのシャツを洗濯ネットに入れてランドリーへ放り込んでいく。陽気に鼻歌さえ響かせ向かう先は寝室、あの様子では、明日は恐らく昼まで起きては来ないだろう。相当に酔い散らかした幻のような夜。膝の痺れを開放する為、思い切り脚を伸ばした。
――翌日、青い顔をした彼が『悪夢を見た気がする』そう、記憶混沌とさせ起床して来るその