バクテン!!
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耳にイヤホンをし、音漏れを確認しながら 私は、相変わらず泣き所が分からない任侠映画を眺めている。
私の背中には 亘理が中間試験の為に一人、ノートと にらめっこしていた。
築館先輩に頼まれ、同学年で毎回赤点をパスしている私に、亘理の勉強を見てほしいとお願いされたのだ。
この中間試験に 部内の全員が赤点をパスしなければ、その年のマット練習が出来ない…。
というキャプテンと監督の謎の約束により、各部屋で、築館先輩はキャプテンと女川先輩を。
美里は翔太郎に英語を教えている。
ふと、イヤホンから、叫び声が聞こえる。
“何でじゃァッ、兄ぃ!!”
“時代が変わっちまったのさ……あの橋のようにな”
画面の中の任侠映画はクライマックスなのだろうか。大体いつもここで亘理は泣くのだが、どうも分からない。
分からない映画を見ても仕方がない。
私は、イヤホンを外し、背中を向ける亘理に声をかけた。
「亘理くん、今 なんの勉強?」
『…漢字』
「へえ」
意外に真面目に勉強しているんだなと関心して、亘理のノートを覗く。
すると
「って、ちょっと、亘理くん何それ」
見ると、確かに漢字が書かれているが、ノートにはズラズラと 仏恥義理 夜露死苦など絶対テストには出ないであろう文字で埋め尽くされていた。
『何って。漢字』
「そうじゃなくて! 勉強してるのは偉いけど、それは中間試験に出ないから!ちゃんと範囲の勉強しようよ」
勢いでノートを取り上げる。
『ああっ、何すんだ…!』
瞬間、亘理が素早く反応し、何を焦っているのか 私が取り上げたノートを奪い返そうと必死になる。
「だって、範囲の勉強しなきゃ意味ないでしょ!」
『分かった!ちゃんと勉強するから それ返せって!おい……って、うおッ…!』
「…きゃっ…!」
焦る亘理がバランスを崩し、私を押し倒す形で床に倒れ込んだ。
ふと 視線が重なる。今までにない程 近く、亘理の息遣いを感じる距離だ。
『す、すまんっ、大丈夫か』
「う…うん、平気。ごめんね、ノート…無理矢理 取ったりして…」
『いや、俺こそ ヤケになって……って、すまん。今どく』
「…っ、待って!」
慌てて離れようとする亘理の服を掴み、私は彼を引き寄せた。
『…〜ッ!おまっ、何すんだ』
途端に赤面させる彼に 私もつられて顔が熱くなるのを感じた。
さっきよりも一段と近い距離。
もう少しで唇さえ触れてしまいそう。
「…ね、ねえ。なんでノートを取られて…そんなに焦ってたの?」
『……!…そ、そんなの、何だっていいじゃろが』
「…言わないと離してあげない」
『はあ!?…馬鹿、こんな状況で 先輩や双葉たちが来たら大騒ぎだぞ』
目を泳がせる亘理は一層 怪しい。
「なら、大騒ぎになる前に早く教えてよ…」
『……』
「…亘理くんってば」
すると観念したのか、亘理は渋々ノートを私に見せた。
そこには 力強いけど、少し汚い文字で。
"愛死天流名前"
と、デカデカと書いてあったのだ。
なぜか、身体が火照っていく。
亘理も同じなようで、顔を真っ赤に染め、焦りなのか しっとり汗をかいていた。
「…わ、亘理くん、これ…なに?」
おずおずと聞くと、彼はぶっきらぼうに答える。
『……か、漢字』
そんな事は分かってる。そうじゃなくて。
「これ、なに…?」
『……………告白』
「…これ、私?」
『……おう』
恥ずかしさが頂点に達し、お互い 顔を
手で仰いだ。
覆いかぶさる亘理を目の前に、私は無意識に小さな声を漏らした。
「………どう…しよ…。嬉しい…」
『えッ…!』
亘理は目を大きく見開いたあと、間髪入れずに問いただす。
『名前、今、今なんつった!』
「…な、なんでもない……空耳だよ」
『んなわけあるか! 俺ら!り、両思いってことか!?』
亘理は私の肩をグラグラ揺らす。頭が振られて酔いそう。
なおも 肩を揺さぶり続ける彼に、私は声を大にした。
「…ち、…中間試験!」
『え』
「試験で全教科赤点なしだったら、その時、ちゃんと教える……から」
自分で言っておいて、言葉の最後は 恥ずかしさに負け、糸のような細い声になっていく。
それを聞いた亘理は途端に叫びだした。
『うおおおお!』
「な、なにっ…」
『武者震い!』
そう言って再び ノートとペンを持ち、机に向かって猛勉強を始めた。
勉強してくれるのは有り難いが、試験の結果次第では さっきの答えをもう一度、伝える事となる。
恥ずかしさで顔から汗が吹き出した。
そんな私を他所に亘理は 依然 叫び声を上げながら勉強を続ける。
声を聞いて駆けつけた 先輩や双葉たち。
この状況を 何と説明したら良いんだろう。
私の背中には 亘理が中間試験の為に一人、ノートと にらめっこしていた。
築館先輩に頼まれ、同学年で毎回赤点をパスしている私に、亘理の勉強を見てほしいとお願いされたのだ。
この中間試験に 部内の全員が赤点をパスしなければ、その年のマット練習が出来ない…。
というキャプテンと監督の謎の約束により、各部屋で、築館先輩はキャプテンと女川先輩を。
美里は翔太郎に英語を教えている。
ふと、イヤホンから、叫び声が聞こえる。
“何でじゃァッ、兄ぃ!!”
“時代が変わっちまったのさ……あの橋のようにな”
画面の中の任侠映画はクライマックスなのだろうか。大体いつもここで亘理は泣くのだが、どうも分からない。
分からない映画を見ても仕方がない。
私は、イヤホンを外し、背中を向ける亘理に声をかけた。
「亘理くん、今 なんの勉強?」
『…漢字』
「へえ」
意外に真面目に勉強しているんだなと関心して、亘理のノートを覗く。
すると
「って、ちょっと、亘理くん何それ」
見ると、確かに漢字が書かれているが、ノートにはズラズラと 仏恥義理 夜露死苦など絶対テストには出ないであろう文字で埋め尽くされていた。
『何って。漢字』
「そうじゃなくて! 勉強してるのは偉いけど、それは中間試験に出ないから!ちゃんと範囲の勉強しようよ」
勢いでノートを取り上げる。
『ああっ、何すんだ…!』
瞬間、亘理が素早く反応し、何を焦っているのか 私が取り上げたノートを奪い返そうと必死になる。
「だって、範囲の勉強しなきゃ意味ないでしょ!」
『分かった!ちゃんと勉強するから それ返せって!おい……って、うおッ…!』
「…きゃっ…!」
焦る亘理がバランスを崩し、私を押し倒す形で床に倒れ込んだ。
ふと 視線が重なる。今までにない程 近く、亘理の息遣いを感じる距離だ。
『す、すまんっ、大丈夫か』
「う…うん、平気。ごめんね、ノート…無理矢理 取ったりして…」
『いや、俺こそ ヤケになって……って、すまん。今どく』
「…っ、待って!」
慌てて離れようとする亘理の服を掴み、私は彼を引き寄せた。
『…〜ッ!おまっ、何すんだ』
途端に赤面させる彼に 私もつられて顔が熱くなるのを感じた。
さっきよりも一段と近い距離。
もう少しで唇さえ触れてしまいそう。
「…ね、ねえ。なんでノートを取られて…そんなに焦ってたの?」
『……!…そ、そんなの、何だっていいじゃろが』
「…言わないと離してあげない」
『はあ!?…馬鹿、こんな状況で 先輩や双葉たちが来たら大騒ぎだぞ』
目を泳がせる亘理は一層 怪しい。
「なら、大騒ぎになる前に早く教えてよ…」
『……』
「…亘理くんってば」
すると観念したのか、亘理は渋々ノートを私に見せた。
そこには 力強いけど、少し汚い文字で。
"愛死天流名前"
と、デカデカと書いてあったのだ。
なぜか、身体が火照っていく。
亘理も同じなようで、顔を真っ赤に染め、焦りなのか しっとり汗をかいていた。
「…わ、亘理くん、これ…なに?」
おずおずと聞くと、彼はぶっきらぼうに答える。
『……か、漢字』
そんな事は分かってる。そうじゃなくて。
「これ、なに…?」
『……………告白』
「…これ、私?」
『……おう』
恥ずかしさが頂点に達し、お互い 顔を
手で仰いだ。
覆いかぶさる亘理を目の前に、私は無意識に小さな声を漏らした。
「………どう…しよ…。嬉しい…」
『えッ…!』
亘理は目を大きく見開いたあと、間髪入れずに問いただす。
『名前、今、今なんつった!』
「…な、なんでもない……空耳だよ」
『んなわけあるか! 俺ら!り、両思いってことか!?』
亘理は私の肩をグラグラ揺らす。頭が振られて酔いそう。
なおも 肩を揺さぶり続ける彼に、私は声を大にした。
「…ち、…中間試験!」
『え』
「試験で全教科赤点なしだったら、その時、ちゃんと教える……から」
自分で言っておいて、言葉の最後は 恥ずかしさに負け、糸のような細い声になっていく。
それを聞いた亘理は途端に叫びだした。
『うおおおお!』
「な、なにっ…」
『武者震い!』
そう言って再び ノートとペンを持ち、机に向かって猛勉強を始めた。
勉強してくれるのは有り難いが、試験の結果次第では さっきの答えをもう一度、伝える事となる。
恥ずかしさで顔から汗が吹き出した。
そんな私を他所に亘理は 依然 叫び声を上げながら勉強を続ける。
声を聞いて駆けつけた 先輩や双葉たち。
この状況を 何と説明したら良いんだろう。