バクテン!!
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『…俺じゃ無理じゃん…エース。』
県予選を無事2位で通過した私立蒼秀館高等学校。通称アオ高。
寮に戻り、部屋で一息着いているだろう、恋人の女川に 差し入れをしようと部屋の前まで来た。
ドアに手をかけると、部屋の中で 彼の独り言が聞こえる。
『俺の アレが無ければ確実に1位通過だった。肝心な所で俺…くそ…何で…』
《アレ》とは、例の着地の事だろう。
演技後は気にする様子も見せず、笑っていた女川だが、当然、何も感じてない訳じゃない。
普段 明るくヘラヘラ笑っている彼の、苦しそうな声。奥歯を食いしばる切ない音が聞こえる。
こういう時は、きっと一人になりたいはず。
出直そう。
部屋をあとにしようと思った矢先。
『……声、聞きてえな……』
「(まーちょんかな?)」
『名前ちゃん…。かけたら出てくれっかな』
「…!?」
ふいに女川が携帯を発信する。するとすぐ部屋の外にいる私の携帯が甲高く鳴った。
出直そうと思っていたが、電話に出る代わりに彼の部屋のドアをそっと開ける。
『!?…ちょ! え!?』
女川は、持っている携帯と私を交互に見渡し、何が起こったのか分からない様子で慌てている。
「えっと。…ごめんね、来ちゃってた」
-----------
『なんだよ〜もう。来てたならさっさと入ってよ。驚かすなんて ひでぇじゃん!』
「ながよしくん、ごめんって。驚かすつもりは全然なくて、ただ」
『ただ?』
「ちょっと…辛そうな感じだったから、一人の方が いいのかなって。立ち聞きする気はなかったの」
『……。』
あの独り言は 誰にも聞かれたくなかったに違いない。
すると、黙って聞いていた 女川の大きく温かい手が私の頬を優しく撫でた。
「ながよしくん…?」
『…なーんで名前ちゃんが泣いてんの?』
いつの間に涙が出ていたんだろう。
少し困ったような顔で、女川が私を見つめている。でも、その目はとても優しい。
彼自身が一番辛いはずなのに、こんな時でも人に優しく出来る彼が好きだ。
それなのに。
「…私、ながよしくんが辛いのに、何も出来てなくて…。なんて声かけていいかも分からなくて」
『うん』
「…け、結局こうして泣いて、ながよしくん困らせる事しか出来なくて」
『ううん』
「情けなくてッ……」
いいかけると、女川が私を引き寄せ、すっぽりと腕の中に閉じ込める。
「な、がよしくん」
『名前ちゃんは。何も出来てなくねーよ』
ふわっとジャージから香る、柔軟剤と少し汗の匂い。
落ち着く。
『俺が声聞きてえなって思った時、すぐ来てくれたじゃん、エスパーみたいにさ。だから、何も出来てなくねーよ。ありがとな』
ハッと顔をあげると、途端に柔らかい唇が重なる。
「ながよしくんッ…」
顔が熱くなっていくのが分かる。
『でも…今回ちょっとヘコんだのは事実。ミスした事も、美里の絶対的存在感に圧倒された事も』
「ん…」
『間違いなくこのチームのエースはアイツだよ。次の地区大会は美里に譲る。けど、インターハイじゃ、必ず俺がエースだ、美里はそれまでの代理エース!』
「ふふ、代理エースじゃありませんって言われるよ」
『かもな』
抱きしめる女川の背中に手を回し、私は彼を強く抱きしめ返した。
『名前ちゃん?』
「……チームのエースは美里くんかもしれないけど。…わ、私の中でのエースは、昨日も今日も、これから先も、ずっとずっと」
『…』
「ずーっと、ながよしくんだけだよ」
『…名前ちゃん…そういうとこホントさあ』
あっけに取られた女川が、目を丸くし、少ししたあと ため息を付いた。
『俺、すぐ調子乗るよ?』
そうしてまた、彼の唇が触れる。
熱い眼差しが送られる。完全に雄の顔だ。
今度は ねっとりとした舌を絡ませるキス。
いつの間にか、腰に手を回され身動きが取れなくなっていた。
「っん、…あッ…な、がよしくんッ…」
『逃げんな。ちゃんと俺のと絡ませてよ、ほら』
濃厚で、甘くて。クラクラする。
女川の少し荒い、熱い吐息で頭がおかしくなりそう。
「…あ…な、ながよしくん…ッ…待って」
『ん?』
「……あの…当たって…えと…」
腰に手を回されていた為、女川と身体が密着している。キスの途中からジャージ越しに彼のものが当たり、気になって仕方がない。
彼とは未だにキス止まりなのだ。
『…!……し、しょうがねえじゃん。好きな子 ギュってしてチューしたら そりゃ大きくなっちゃうでしょお!?』
攻めるなと言わんばかりに、慌てて隠す彼にこちらまで 赤面してしまう。
『んな あからさまに嫌がらないでよ〜…』
「違ッ、嫌とかじゃなくて…!…えっと」
私は両腕をぎこちなく広げてみせた。
「県予選が終わったら……。な、ながよしくんが欲しいもので、…私があげられるもの全部あげたいなって決めてて…だから、その」
女川は 目を丸くしたあと、綺麗な金髪をガシガシ掻く。そして困ったように微笑んだ。
『……なんなんだよ、ホントに』
女川は広げた私の手を取り、そのまま優しく押し倒す。
『…なあ…抵抗しないと続き。しちゃうよ?』
ピンクに染まった毛先が私の頬をくすぐる。
くすぐったいのに、心地良い。
「…いいよ…」
女川はジャージを脱ぎ捨てる。露わになるのは、細くても鍛えられた綺麗な肉体。
『…名前ちゃんの可愛くて やらしい声聞いたら、調子乗って 激しくしちゃうかもよ?』
「……な、ながよしくんになら、何されても嬉しいから……だから、いいよ…」
瞬間、女川が私にキスを落とす。
『俺、名前ちゃんの 一番のエースでいつ続ける。…だから、ずっと。俺だけを見ててほしい』
「ん…ずっと、ずっと見てる。私の…。チームの。…日本のエースになるまでずっと」
女川は、優しく微笑み、私をきつく抱きしめる。
手を組み繋ぎ、彼はそっと、深く、私の首筋に唇を這わせた。
県予選を無事2位で通過した私立蒼秀館高等学校。通称アオ高。
寮に戻り、部屋で一息着いているだろう、恋人の女川に 差し入れをしようと部屋の前まで来た。
ドアに手をかけると、部屋の中で 彼の独り言が聞こえる。
『俺の アレが無ければ確実に1位通過だった。肝心な所で俺…くそ…何で…』
《アレ》とは、例の着地の事だろう。
演技後は気にする様子も見せず、笑っていた女川だが、当然、何も感じてない訳じゃない。
普段 明るくヘラヘラ笑っている彼の、苦しそうな声。奥歯を食いしばる切ない音が聞こえる。
こういう時は、きっと一人になりたいはず。
出直そう。
部屋をあとにしようと思った矢先。
『……声、聞きてえな……』
「(まーちょんかな?)」
『名前ちゃん…。かけたら出てくれっかな』
「…!?」
ふいに女川が携帯を発信する。するとすぐ部屋の外にいる私の携帯が甲高く鳴った。
出直そうと思っていたが、電話に出る代わりに彼の部屋のドアをそっと開ける。
『!?…ちょ! え!?』
女川は、持っている携帯と私を交互に見渡し、何が起こったのか分からない様子で慌てている。
「えっと。…ごめんね、来ちゃってた」
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『なんだよ〜もう。来てたならさっさと入ってよ。驚かすなんて ひでぇじゃん!』
「ながよしくん、ごめんって。驚かすつもりは全然なくて、ただ」
『ただ?』
「ちょっと…辛そうな感じだったから、一人の方が いいのかなって。立ち聞きする気はなかったの」
『……。』
あの独り言は 誰にも聞かれたくなかったに違いない。
すると、黙って聞いていた 女川の大きく温かい手が私の頬を優しく撫でた。
「ながよしくん…?」
『…なーんで名前ちゃんが泣いてんの?』
いつの間に涙が出ていたんだろう。
少し困ったような顔で、女川が私を見つめている。でも、その目はとても優しい。
彼自身が一番辛いはずなのに、こんな時でも人に優しく出来る彼が好きだ。
それなのに。
「…私、ながよしくんが辛いのに、何も出来てなくて…。なんて声かけていいかも分からなくて」
『うん』
「…け、結局こうして泣いて、ながよしくん困らせる事しか出来なくて」
『ううん』
「情けなくてッ……」
いいかけると、女川が私を引き寄せ、すっぽりと腕の中に閉じ込める。
「な、がよしくん」
『名前ちゃんは。何も出来てなくねーよ』
ふわっとジャージから香る、柔軟剤と少し汗の匂い。
落ち着く。
『俺が声聞きてえなって思った時、すぐ来てくれたじゃん、エスパーみたいにさ。だから、何も出来てなくねーよ。ありがとな』
ハッと顔をあげると、途端に柔らかい唇が重なる。
「ながよしくんッ…」
顔が熱くなっていくのが分かる。
『でも…今回ちょっとヘコんだのは事実。ミスした事も、美里の絶対的存在感に圧倒された事も』
「ん…」
『間違いなくこのチームのエースはアイツだよ。次の地区大会は美里に譲る。けど、インターハイじゃ、必ず俺がエースだ、美里はそれまでの代理エース!』
「ふふ、代理エースじゃありませんって言われるよ」
『かもな』
抱きしめる女川の背中に手を回し、私は彼を強く抱きしめ返した。
『名前ちゃん?』
「……チームのエースは美里くんかもしれないけど。…わ、私の中でのエースは、昨日も今日も、これから先も、ずっとずっと」
『…』
「ずーっと、ながよしくんだけだよ」
『…名前ちゃん…そういうとこホントさあ』
あっけに取られた女川が、目を丸くし、少ししたあと ため息を付いた。
『俺、すぐ調子乗るよ?』
そうしてまた、彼の唇が触れる。
熱い眼差しが送られる。完全に雄の顔だ。
今度は ねっとりとした舌を絡ませるキス。
いつの間にか、腰に手を回され身動きが取れなくなっていた。
「っん、…あッ…な、がよしくんッ…」
『逃げんな。ちゃんと俺のと絡ませてよ、ほら』
濃厚で、甘くて。クラクラする。
女川の少し荒い、熱い吐息で頭がおかしくなりそう。
「…あ…な、ながよしくん…ッ…待って」
『ん?』
「……あの…当たって…えと…」
腰に手を回されていた為、女川と身体が密着している。キスの途中からジャージ越しに彼のものが当たり、気になって仕方がない。
彼とは未だにキス止まりなのだ。
『…!……し、しょうがねえじゃん。好きな子 ギュってしてチューしたら そりゃ大きくなっちゃうでしょお!?』
攻めるなと言わんばかりに、慌てて隠す彼にこちらまで 赤面してしまう。
『んな あからさまに嫌がらないでよ〜…』
「違ッ、嫌とかじゃなくて…!…えっと」
私は両腕をぎこちなく広げてみせた。
「県予選が終わったら……。な、ながよしくんが欲しいもので、…私があげられるもの全部あげたいなって決めてて…だから、その」
女川は 目を丸くしたあと、綺麗な金髪をガシガシ掻く。そして困ったように微笑んだ。
『……なんなんだよ、ホントに』
女川は広げた私の手を取り、そのまま優しく押し倒す。
『…なあ…抵抗しないと続き。しちゃうよ?』
ピンクに染まった毛先が私の頬をくすぐる。
くすぐったいのに、心地良い。
「…いいよ…」
女川はジャージを脱ぎ捨てる。露わになるのは、細くても鍛えられた綺麗な肉体。
『…名前ちゃんの可愛くて やらしい声聞いたら、調子乗って 激しくしちゃうかもよ?』
「……な、ながよしくんになら、何されても嬉しいから……だから、いいよ…」
瞬間、女川が私にキスを落とす。
『俺、名前ちゃんの 一番のエースでいつ続ける。…だから、ずっと。俺だけを見ててほしい』
「ん…ずっと、ずっと見てる。私の…。チームの。…日本のエースになるまでずっと」
女川は、優しく微笑み、私をきつく抱きしめる。
手を組み繋ぎ、彼はそっと、深く、私の首筋に唇を這わせた。
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