廃墟島~滅びの女王と二刀流の剣士~(その7)
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……………………………
結局、ナギとハヤテの2人は馬が戻って来るまで起きて待つことにした。
しかし、待機してる間、2人で同じマットレスの上で待つのは気まず過ぎるので、ナギは部屋の椅子を借り、ハヤテはベッドに座っている。
ハヤテ「あぁぁ!! 耳元で鬱陶しい!!」
ずっと聞こえ続ける囁き声に、ハヤテの苛々は募る一方だ。
ナギ「………どんな風に聞こえてんだ?」
ハヤテ「いや、女の声でずっとぼそぼそ喋ってんだよ。
けどそれが何言ってんのか全く聞き取れねぇから気持ち悪ぃっつーか、例えるなら隣の部屋で誰かが話してる感じっつうの?
喋ってる事自体はわかるんだけど、何話してるかまではわかんねぇわけ。」
ナギ「……………」
ハヤテの言われた通りに想像すると、確かに気にもなるし、もどかしい気持ちにもなるだろうな、とナギは納得した。
ナギ「………女の声、か。
船に女は馬しかいねぇし、まず侵入者の可能性はねぇな。」
ハヤテ「へぇ、ここに来てもナギ兄は現実的に考えるんだな。」
ハヤテはナギの発言に心底感心している。
ナギ「………あ?」
ハヤテ「いや、今までの流れからして俺は女王に狙われてて、幽霊とかそっち方面の問題かなって思うだろ?
なのに『侵入者が』って言っちゃうナギ兄の冷静なとこ、尊敬出来るなって…」
ハヤテは思ったままの感想を正直に述べた。
その時、
バンッッッ!!
ナギ「………!?」
ハヤテ「はぁ、またかよ。」
外から窓を叩き付けるような大きな音がしたのだが、ハヤテは特段驚く素振りも見せずにうんざりするだけだった。
……………………………
コンコンッ、
シン「ドクター、開けますよ。」
シンはソウシの部屋をノックしたのだが、本人の了承を得ずに、
ガチャッ!
と、無遠慮に扉を開けた。
馬「えっ、そんなすぐ開けて大丈夫っすか!?」
シンの後ろに控えていた馬は彼の暴挙に驚き、
ソウシ「わっっっ、ちょっと待って!!」
また、部屋主のソウシも慌てふためいている。
シン「……(絶句)」
馬「……(ドン引き)」
2人は目の前の光景を見て固まっている。
ソウシ「いきなりドアを開けるのはいただけないな…」
ソウシは焦りながらも机の上の作品群を隠そうとしている。
そこにはナギに没収されてからも新たに造られ続けた木彫りの馬像がゴロゴロと転がっていた。
また、今の今まで創作活動をしていたのか、筆記具と新たな馬像(苦しそうな表情編)の図案も机の上に置かれたままになっている。
シン「この人形は全部…」
馬「あわあわあわ…」
男性の部屋にたくさんの木彫りの女性像があればそれは異様な光景にしか映らない。
しかもそれらの像は全て、
ソウシ「フフ、天使過ぎる馬ちゃん、だね。」
馬「ふんぎゃぁぁぁぁぁぁーーーーーーー!!」
対象とされた馬本人は絶叫せざるをえなかった。
……………………………
一先ず落ち着いてから、馬は夢で見たルー国の内情をソウシとシンに説明した。
ソウシ「呪い、か。」
シン「フン、人間を使って儀式をするとは面白い話だな。
是非とも生で見てみたい。」
馬「ぼそっ(変態サディストシンさんが王様だったら率先して処刑や呪いをやってそう。)」
シン「何か言ったか?」
馬「言ってません!」
3人は航海室に日記と史書を持ち込み、話し込んでいる。
シン「思うに、この島は太古に消滅した『ルー大陸』だと思う。」
ソウシ「うん、私もそう思ってた。
島自体の規模は仮説よりも小さかったけど……衣服とか、建造物とか、何よりも街の名前自体が『ルー』だしね。」
馬「『ルー大陸』?
『ヌーの大移動』なら知ってますが……あの牛みたいなやつらが群れで移動してくんですが、途中、若いヌーの1頭が沼地を渡り切れずに、」
シン「『ルー大陸』について説明してやるからお前は黙ってろ。」
ソウシ「『ヌーの大移動』私も知ってるよ。
たかだか牛の話なのに涙無しには語れない、」
シン「ドクターも黙っててください。」
馬とソウシが同じ場にいると、どうしてもツッコミ属性の人間は忙しくなってしまう。