人魚島~2つの呪い~(その4)
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時は少し遡る……
シン「………っっ!!」
先陣を切って洞窟内を進んでいたシンが不意に立ち止まる。
ナギ「どうし、」
シン「シッ……」
シンは人さし指を口に当てながらナギに静かにするように促した。
慌ててナギは口をつぐむ。
ソウシ「どうかした?」
次いでソウシが極小の声でシンにその意図を尋ねると、
シン「人魚がいる………現実に存在してるんだな…」
と、驚いた顔をしたままの彼が答えた。
ナギ「……!」
ソウシ「え、本当!?」
シンの発言を受けて、ナギとソウシも先の岩場を急ぎ確認する。
すると……
ソウシ「本当だ………凄く幻想的だね。」
艶のある黒髪の人魚が背中を向けて岩場に腰掛けているではないか。
虹色の色彩を放つ不思議な布を纏う彼女がピンクの尾ひれをパタパタとひらめかせる度に、水滴が舞い、洞窟内に射し込む光が反射してキラキラと輝いて見えた。
ソウシ·シン「…………」
ソウシとシンが人魚の姿に釘付けになっている間、ナギだけはある事に気が付いた。
ナギ『あれは……』
人魚の背中に見える2つの赤い印……あの痕は割と最近に見た記憶がある。
確か……今朝の出来事で……
そう認識した瞬間、
ナギ「馬!?」
ナギは思わず叫んでしまった。
馬「………!!」
ナギの声に反応した人魚が僅かに振り返った。
チラリと見えた横顔はやはり馬そのものだ。
シン「馬なのか!?」
ソウシ「えぇっっ、馬ちゃん!?」
遅れて2人も人魚の正体が馬だと気が付いたようだ。
しかし、当の馬はシリウスメンバー達とのやや久しぶりの再会に喜ぶことはせずに、
バシャンッ!!
と、すぐに水中に潜ってしまった。
ナギ「待てっっっ!!」
ナギは本能のまま、馬を追って水の中へ入っていった。
ソウシ「ちょっと待ってナギ!!
君はいつから泳げるようになったんだ!?」
慌ててソウシがナギを止めようとしたが、時既に遅し……
ナギ「………っがはっっ、」
泳げないナギの身体は徐々に海底へと沈み始める。
シン「…チッ、待ってろ!」
ナギを助けるためにシンは慌ててコートを脱ぎ捨てた。
ソウシ「いや、私が!」
ソウシも比較的着脱が簡単な胴着と袴を一気に脱ぎ、溺れているナギを助けようとした。
しかし、そんな彼らよりも早く、
馬『ナギさんっ!?泳げないのに何で!!』
人魚の馬が水中でナギの身体を抱き止めていた。
人魚の馬は遭難した時よりも容易にナギの体を支えたまま泳ぐ事が出来ている。
ナギ「……馬。」
馬「……………」
ナギは馬の名を呼んでみたが、彼女は軽く一瞥しただけで返事はしなかった。
ナギ『まだ怒ってるのか…』
変身薬の副作用で馬が話せなくなっている事を知らないナギは、無言の彼女に少なからずショックを受けていた。
ナギの足が地面に届く場所まで泳ぎ着いた時、ふいに馬の腕がナギから離れていった。
すぐに違和感を感じたナギは、
ナギ「………おい、馬?」
と、声を掛けたが、 案の定、馬は彼の声を無視して背を向けた。
そのまま水中に戻ろうとする馬の意思を察知したナギは、咄嗟に腰の鎖鎌を手に取った。
そして、
ビュッッッ!!
鎖の部分を馬の腕を目掛けて投げていた。
馬「………っっ!!」
いきなり鎖が腕に巻き付き、馬は驚いた様子を見せた。
そして、すぐに鎖を外そうとしたが、そうはさせまいとナギが鎖を強く引く。
バシャッバシャッッ!!
馬「……っ、………!!」
加減されているとはいえ、鎖に腕を締め付けられる痛みがあるのか馬の表情は非常に苦痛に満ちている。
ナギ「怪我するから暴れんな!!」
ナギが強く言っても馬は抵抗する事を止めなかった。
バシャッバシャンッ…!!
馬は必死に抗い、水中に潜ろうとするが、ナギも逃がしてはなるまいと、ついに力を入れて鎖を引かざるをえなくなった。
グィッッ!!
馬「……っっ!!」
非力な馬はすぐにナギの胸元まで引き戻され、大きな腕でその細腰をがっしりと抱えこまれてしまった。
2度とナギの前に姿を現さないと決意してシリウス号から下船したはずなのに……
馬の想いは虚しく、
ナギ「……逃げんじゃねぇよ。」
ナギの一言が心に重くのし掛かった。