デフォルト名はマイです。
激戦のその後で
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「・・・チッ・・・わかった!!悪かったよ!
わかったからもう泣くのをやめろ。
ほら、生きてる。生きてるから・・」
動く方の腕でナナシの体を抱き寄せると、ナナシは大人しく胸に収まった。
ローの匂いと穏やかに刻まれるその鼓動を感じて、また胸元にしがみ付いて泣くナナシに、ローは呆れたように笑った。
生きていることをこんなにも喜んでくれる人がいるというのは、ローにとってはなんともむずがゆいような、それでいてとても心地よいものを感じることだった。
そして、ドレスローザに来ていたナナシを見つけた時に沸き上がってきた怒りの原因にも、ここではっと気づいたのだった。
失うことになる可能性があることの恐ろしさ。
それがあの時に沸き上がってきた怒りの原因だった。
なんとかしようにも動かない体がもどかしく、死なせたくないのに、自分で守ることができないその腹立たしさ。
(ったく…無茶苦茶しやがって。お前がいなくなったら俺はどうすりゃいいんだよ…)
危険をおかしてでも自分を追いかけてきたナナシの気持ちが、今なら少しわかるような気がしたローだった。
ナナシはひとしきり泣いたあと、様子を見にきたロビンに連れられて部屋を出ていった。
またな、とローが声をかけると泣きはらして目も当てられないような顔で嬉しそうに笑っていた。
ナナシが去っていった方を見ながら、ローは大泣きしていたナナシの姿を思い出す。
多少単純で素直なところもあったが、ローの知る限り基本的には冷静で、多少のことでは動じないような奴だ。
人目もはばからずに声を上げて泣くような奴ではなかったはずだった。
海賊という生業柄、死に直面することは珍しいことではない。
まさかあのナナシが、自分が死にかけるところを見て取り乱したり、生きていることを知って大泣きして喜んだりするようなことはないと思っていた。
それが、あの様。
ローはどこかくすぐたいものを感じながら、ナナシの泣き笑い顔を思い出して笑った。
「…くっく…ひでェ顔だ…」
その顔はとても穏やかだった。
その様子をニヤニヤしながら見守る小人族や麦わらの一味に、ローが気がつくのは少し経ってからのことだった。