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激戦のその後で
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慌てて小人たちが止めにやってくる。
ローが怒鳴る様を驚いたような顔で、呆然と力なく聞いていたナナシは俯いた。
言うことを聞かなかったことで、嫌われたかもしれない。
もう一緒にいることを許してはくれないかもしれない。
それでも、ナナシは後悔はしていなかった。
ついてきていなかったら、ナナシは船の中で今頃不安に押しつぶされていただろう。
ローが強いのは十分よく知っている。
それでも、相手がドフラミンゴであればこそ、絶対に大丈夫だと、いつものように安心して待っていられるはずはなかった。
どんなに怖くても、たとえ自分が途中で死んでしまうようなことになったとしても、それでも黙って船で待ってはいられなかったのだ。
ここまで本当によく無事でついてこられたものだと自分でも驚いているのではあるが。
今まで見たこともないほどに自分に対して感情むき出しで怒っているローに、多少の動揺はあるものの、今のナナシにはそれさえも些細なことだと思えるほどに安堵の気持ちが大きかった。
こうして怒鳴られているのは、お互いが生きていてこそ。
ああ、生きているのだ。
自分も、ローも、生きているんだ。
「・・・ふ・・・っ」
うつむいたままのナナシの肩が震えている。
「・・おい、聞いて「うわあああん」」
「・・・!?」
立ったまま、ナナシは突然声を上げて泣き出した。
「どうしたんだ・・・!?」
それまで成り行きを黙って見守っていた麦わらの一味も、突然の大泣きに身を起こして覗き込む。
「・・・っく・・・ロ”-・・・いぎ、生きて・・・うわあああん」
ナナシが言わんとしていることを察して、呆けるロー。
「な、なんだ今更・・!?おい、落ち着け・・」
「生きてたっ・・ロー・・・生き、生きて・・・っ」
必死で泣くのを抑え込みながら、ナナシはローの顔に手を伸ばした。
涙が邪魔で、顔が見えない。
頬を撫で、小さな両手で顔を包み、その温もりを確かめる。
生きているんだ。
青い顔で、力なく意識を失ったまま運ばれるローの姿を見たときは本当に恐ろしかったのだ。
もう目を覚ましてくれないのではないかと思うと、死の危険を感じつつ駆け回っていたあの激戦の渦中にいたときよりも、恐ろしくてたまらなかった。
ロビンとレベッカが抱きしめて止めていてくれなかったら、恐らく発狂していただろう。
こうして触れて伝わるこの暖かさが、怒鳴られているのだとはいえ声が聞けることが、ナナシにはどうしようもなく嬉しかった。
ナナシは顔がぐしゃぐしゃになるのも気にせず泣いていた。
ぐすぐすと鼻をすすりながら、次々に流れる涙をぬぐいもせずに、溢れる嬉しさを抑えることなく、ただ喜びに泣いていた。
呆然とされるがままになっていたローは、ナナシの全身で表される自分が生きていたことに対する喜び様に、湧き上がってきていた怒りがすっかり収まっていることに気が付いた。
むしろ、その喜び様が嬉しいとさえ感じている。