星と宿命と小さな決意
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風に頬をなでられて、ナナシはふと目を覚ました。
眠りから覚めたばかりの頭が違和感を覚える。
真っ白な布団に包まっているが、自分の布団はこんな色だっただろうか?
!!!
ぼんやりとしたままごろんと寝返りをうったその時、ふと一瞬で昨日のことを思い出し、覚醒したナナシはあわてて飛び起きる。
そうだ、ここはラオウがいる世界。
元の世界とはどこか違う異質な調度品を見て、確信する。
昨日の出来事は、夢ではないのだと。
あの時、決死の思いで出た申し出を、なんと意外にもあのラオウは受け入れてくれたのだった。
つまり、ここはラオウの城の一室である。
最上階に位置するラオウの部屋の、割と近くに部屋を与えられたナナシは今日からラオウの元で過ごすことになる。
これは願い出た本人であるナナシにとっても、本当に意外なことだった。
まさかあのラオウが見ず知らずの異界人を側に置くなんて、部下たちも相当意外だったに違いない。
部下たちの狐につままれたような顔が鮮明に思い出される。
あのラオウが、得体の知れない異界人を拾うなんて驚きだ。
女に手をかけたことはないと言っていたシーンがあったはずだから、幸い命だけは助けてくれたかもしれないが・・
あのとき、ナナシは咄嗟に連れて行って欲しいと願い出た。
あんな荒野にひとり放り出されて無事生きていられるとも思えなかったし、頼れるものが他になかったということもあったが、なによりここに飛ばされてラオウに出会ったことに何か宿命のようなものを感じたからだった。
願いながらも、そこで拒否され放り出され、ましてや命を奪われるようなことになったとしても、それはそれでまた宿命なのだと心の片隅で妙に理解し納得している自分もいた。
元の世界で読んだ物語のなかではひとりひとりが宿命を背負っていたが、自分も何か星の宿命を背負っているのだろうか。
言い知れぬ不安が沸き起こりそうになるのを振り払うように頭を振ると、ナナシはベッドから抜け出した。