夢の始まり
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「・・・ラ・・オウ・・・!?」
「・・!!?」
ナナシの知っている拳王、ラオウの紋章だった。
馬上の男は訝しげにナナシを睨んでいる。
まさか、そんなはずはない。
ナナシの知っている拳王は、ナナシの好きな物語の世界の中の人物だった。
その世界そのものがまず存在するはずがないのだ。
現実に会うことは、ありえない。
しかし、ナナシは妙な高揚感を覚えていた。
そのありえないことが、起こったのだとしたら・・―――
「このラオウを知っているのか・・!」
ナナシは馬上の男、ラオウを見つめて頷いた。
信じられないことだが、ここはどうやらあの物語の中の世界のようだ。
本当にそうなのだとすれば、ここへ来てからのすべてに合点がいく。
荒廃した土地や男たちの姿、その振る舞い、周りで起こっていることの何もかもすべてに。
ナナシは、じろりと自分を睨みつけるように見下ろすラオウに、静かに自分のことを話した。
自分がこの世界の人間ではないこと、そしてこの世界が自分のいた世界では物語であることを。
きっと、そう簡単には信じてもらえないだろう。
それでも、ナナシはラオウを真っ直ぐに見つめて、すべてを話した。
「・・この世界が物語りの中の話だと?そんな話信じられるものか!!」
「この女頭がオカシイんじゃねぇか?」
「おい・・何を言っているんだ!」
男たちの反応は予想通りで、全員が訝しげにナナシを見ている。
それはそうだろう、ナナシ自身だって逆の立場なら男たちと同じような反応をするだろう。
実際、ありえないような話なのだ。
しかしナナシは自分でもよくわからないうちに、この現実を受け止めていた。
なぜだかはわからない。
だがここにくるべくして来たのだと、頭の片隅でなぜか納得している自分がいた。
それも不思議ではあったが、普段の自分からは考えられないほどに、自分の心がいつのまにか落ち着いていることにナナシは内心驚いていた。
ナナシは黙って聞いているラオウに、話を続ける。