日常と予兆
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ラオウの側にいることを許されてから数週間が過ぎた。
あれから、ナナシは出来るだけラオウの側にいるために、ラオウの身の回りの世話を進んで引き受けるようになっていた。
始めはナナシを訝しむ者や、ナナシの存在を知らない者から襲われそうになることも度々あったが、なんとか事なきを得て現在に至る。
最初にこの世界へ来たときのあの衝撃的な出来事を引きずることなく、普段と変わらない調子で過ごせているナナシにとって、この世界で過ごす日々は少しずつ日常になりつつあった。
ナナシはラオウの身の回りの世話だけでは空いてしまう時間を、武器庫の武器や防具の手入れ、傷の手当ての仕方を習う時間に充てることにしていた。
最初の数日間だけでも、遠征から戻った時、日頃の訓練時、はたまた何もなくても喧嘩など、とにかく重軽傷問わず連日怪我を負う兵士が多かったからだ。
その甲斐あってか最初はナナシを邪険にしていた者達も、日々負傷者の手当てを手伝う姿を見て、ナナシへの当たりが多少和らいできている。
そんな兵士達の中には、日頃から常に空気がピリピリと張り詰めている城の中で、無邪気に屈託なく笑うナナシに毒気を抜かれた者達も少なからずいることに、ナナシは気づいていなかった。
兵士達が武装していることもあって始めは多少恐怖も感じていたが、少しでも話してみれば派手ななりをしている男達も普通の人間なのだ。
毎日顔を合わせていれば、最初は意地悪ばかりしていた者もぶっきらぼうではあるが、色々と教えてくれるようになったり、中には冗談を言って笑いあえる者も出てきた。
しかしそれでも、日頃の緊張感あふれる中での一瞬の出来事だ。
常に緊張しているこの世界では、本人達がどう思っているのかどうかはともかく、彼らも生き残るのに必死なのだろう。
とは言っても、やはりというか、どうしようもなく狂気に満ちた者も少なくはなかったのだが・・