夢の始まり
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荒野の真ん中で、ナナシは呆然としていた。
頭が真っ白になるとは正にこういう状態のことを言うのだろう。
遠く背後に聳える岸壁と、石造りの堅固な建物のほかに見えるのは、無常に横たわる果てない砂地の水平線。
見慣れた建物はおろか、草木のひとつも見られない荒野に、ナナシはただ途方にくれていた。
今日は仕事も休みで、自室でゆっくりと過ごしていたはずだった。
春の陽気に誘われてうとうとしていたところまでは思い出せる。
しかし、無意識のうちにたとえば出歩いたのだったとしても、自分の住んでいた国にこんなところは無かったはずだ。
山の多い小さな島国に、こんな砂漠じみたところが、ましてや現代にあったはずがない。
いくら考えてみても答えの見つからない状況に頭を抱える。
うまく考えもまとまらない中、とにかく背後に見える建物に向かってみようと結論を出し、振り返ったときだった。
「おい!そこで何をしている!!」
「何者だ!!」
突然の大声に驚くナナシの前に現れたのは、鎧に身を包んだ2人の男たちだった。
これにはナナシも更なる混乱に目を見開くことになった。
男たちは手に重そうな槍を握っている。
鎧なんて今時映画の中の世界で時々見かけるくらいで、まさか実際に身に着ける人間を見ることになるなど夢にすら見たことはなかった。
ふと、もしかして映画の撮影か何かかとも思ったが、それにしては撮影に使用するはずの機器が一切見当たらない。
男たちは訝しげな顔で槍の先をナナシに向けた。
「ま、まって・・・あの・・み、道に迷って・・・!」
混乱のあまり何と言っているのか自分でもよくわからないが、とにかく何か話さなくてはと必死に言葉をつむぐ。
「妙な格好だな・・どこから来た!?」
「迷っただと!?ばかな!ここは一番近い村からでも馬を使わねば来られないようなところだぞ!」
何とか説明しようと考えをめぐらせるも、言葉が出てこない。
そうこうしているうちに、騒ぎを聞きつけたのか数人の男たちが様子を見にやってきた。
いずれもやはり鎧のようなものを身にまとっている。
しかしナナシはここで違和感を感じた。
後からやってきた男たちがなんと全員モヒカンで、しかもどこかでみたことがあるような気がするのだ。
「なんだぁ??何を騒いでやがる!」
「あぁ??女じゃねえか。」
「おいこりゃどうなってんだ?」
なんともガラの悪い男たち。
まさか、これを現代の自国で見られるはずがない。
「いや、急に現れて・・」
「急にぃ??」
最初にナナシを発見した男がそういうとガラの悪いモヒカン男がひとり、じろりとこちらを向き近くへ歩いてきた。
不快感を煽るような男の仕草と恐ろしさに、ナナシは縮こまった。
「確かに妙な格好だな・・」
「どっから来たんだ?」
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