孫悟空♡甘夢短編集
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
今日は、悟空の誕生日。恋人同士になってから早一年目の、大事な記念日でもある。そんな大事な日に限って、悟空はなかなか姿を現してはくれない。きっと修行に明け暮れて、寝坊しているんだろう。私はそう思い、ひとり、近所のケーキ屋さんへ向かった。この日のために予約してあったオレンジのケーキを受け取って、自宅へ帰ろうとした、その時だった。目の前に野良犬が現れて、道を塞いでしまったのだ。
「シッシッ! あっち行って!」
私が片手を振りかざすと、野良犬が牙を向いて来て、怖くなって思わず後ずさりした。すると急に後ろから抱き寄せられて、私はびっくりして声を上げた。
「……わあっ!」
「ミント、でえじょうぶか?」
「……悟空!」
身体がふわり、ふわりと宙に浮いて、野良犬はそれに驚いたのか、走り去ってしまった。悟空に身を委ねて胸を撫で下ろしていると、悟空は私の顔を見て優しく微笑んだ。
「いい匂いがすんなぁ」
「……ケーキの、かな」
「いいや、ミントの匂いだ」
悟空に鼻でくんくんと嗅がれてしまうと、私は途端に恥ずかしくなって、帰宅を急かした。
二人で家に着いて、一緒に手を洗って。それから、食卓にオレンジケーキと炭酸飲料を並べた。
「オラ、ケーキより肉がいいぞ!」
「お肉は、焼肉を食べに行こう?」
「……ケーキが先なんかぁ」
「えへへ……」
ちょっぴり自己中心的な行動を、笑って誤魔化してみせた。笑って誤魔化すのは、悟空のクセが移ったんだと思う。それはそれで、幸せな感覚。
「悟空、お誕生日おめでとう!」
「サンキュー!」
「それから……」
「ん?」
「一年の記念日、おめでとう」
「あっ! もうそんなにかぁ!」
「……忘れてたな?」
「えへへ……」
お祝いの言葉の後に、キスを交わして。悟空と私は、あっという間にオレンジケーキを平らげてしまった。そして荷物をまとめて玄関へ向かうと、悟空が壁に片手をついて、私の事を見つめて来た。何事かと思って慌てていると、悟空は私の口角を指先でそっと拭って、ぺろりと舐めた。
「クリーム、ついてたぞ、ミント」
悟空はそう言って微笑んで、私の頭を撫でた。子供扱いされた感じもしたけれど、すごくすごく嬉しくて。平凡な日常の風景だけど、いつまでも続くようにと、彼の逞しい腕の中で願っていた。
「悟空、焼肉、行こう!」
「おう! いっぱい食うぞ」
「……腹八分目にしてね」
「あはは……」
玄関を出ると、私は悟空の広い手を、ぎゅっと強く繋いだ。すると悟空はそれを軽く握り返して、屈み込んでキスをして、無邪気に微笑んだ。大事な大事な日のキスは、オレンジケーキの甘酸っぱい香りがした。
「シッシッ! あっち行って!」
私が片手を振りかざすと、野良犬が牙を向いて来て、怖くなって思わず後ずさりした。すると急に後ろから抱き寄せられて、私はびっくりして声を上げた。
「……わあっ!」
「ミント、でえじょうぶか?」
「……悟空!」
身体がふわり、ふわりと宙に浮いて、野良犬はそれに驚いたのか、走り去ってしまった。悟空に身を委ねて胸を撫で下ろしていると、悟空は私の顔を見て優しく微笑んだ。
「いい匂いがすんなぁ」
「……ケーキの、かな」
「いいや、ミントの匂いだ」
悟空に鼻でくんくんと嗅がれてしまうと、私は途端に恥ずかしくなって、帰宅を急かした。
二人で家に着いて、一緒に手を洗って。それから、食卓にオレンジケーキと炭酸飲料を並べた。
「オラ、ケーキより肉がいいぞ!」
「お肉は、焼肉を食べに行こう?」
「……ケーキが先なんかぁ」
「えへへ……」
ちょっぴり自己中心的な行動を、笑って誤魔化してみせた。笑って誤魔化すのは、悟空のクセが移ったんだと思う。それはそれで、幸せな感覚。
「悟空、お誕生日おめでとう!」
「サンキュー!」
「それから……」
「ん?」
「一年の記念日、おめでとう」
「あっ! もうそんなにかぁ!」
「……忘れてたな?」
「えへへ……」
お祝いの言葉の後に、キスを交わして。悟空と私は、あっという間にオレンジケーキを平らげてしまった。そして荷物をまとめて玄関へ向かうと、悟空が壁に片手をついて、私の事を見つめて来た。何事かと思って慌てていると、悟空は私の口角を指先でそっと拭って、ぺろりと舐めた。
「クリーム、ついてたぞ、ミント」
悟空はそう言って微笑んで、私の頭を撫でた。子供扱いされた感じもしたけれど、すごくすごく嬉しくて。平凡な日常の風景だけど、いつまでも続くようにと、彼の逞しい腕の中で願っていた。
「悟空、焼肉、行こう!」
「おう! いっぱい食うぞ」
「……腹八分目にしてね」
「あはは……」
玄関を出ると、私は悟空の広い手を、ぎゅっと強く繋いだ。すると悟空はそれを軽く握り返して、屈み込んでキスをして、無邪気に微笑んだ。大事な大事な日のキスは、オレンジケーキの甘酸っぱい香りがした。
1/2ページ