二人だけの秘密
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熱い情交を結んだ後、ともに入浴して身体を清めた二人は広いベッドでぴたりとくっついて微睡んでいた。
鍛えられた腕を枕として提供する秀一はラウラの髪を優しく指で梳きながら、思い出したかのように告げた。
「そういえば、俺の代わりに叱ってもらって悪かったな。」
秀一が何を指して謝っているのかわからないラウラは閉じていた目を開けて彼を見上げる。
「……ん? なんのこと??」
「真純のことだ。」
秀一の口から現役女子高生の名前、しかもファーストネームが飛び出すと思わなかったのか、ラウラは目を見開いて秀一を凝視する。
「真純って、真純ちゃん? え、なんで……一体どういう関係?! …………ま、まさか、、、娘?!」
そう続けたラウラの頭を秀一が軽く叩いた。そんなわけがない。
「そんなわけないだろう……妹だ。」
「え………え?? 妹? Younger sister?」
妹とは同じ親から生まれた年下の女性のことをいう。思わず意味を考えてしまうほど、ラウラにとって秀一から出た言葉が衝撃的だったのだ。
「あぁ。正真正銘の兄妹だ。」
「っえーーーーー!!!! 聞いてない! え、じゃあなに、真純ちゃんが私の義妹になるの!? え、すごい嬉しい!! どうしよう!!」
「そういうことになるな。」
さらっと結婚する前提で話が進んでいる。秀一はもちろん、ラウラもその気である。秘密を知っているのは秀一だけで、その上でこんなに愛してくれる人など他にいない。
だが結婚するためには、秀一が赤井秀一の姿で生活できるようにならなければ話にならない。でなければ入籍すら出来ないのだから。
「そういえば、俺の家族のことは話していなかったな……別に隠していたわけではないが、少々複雑でな。真純の他に弟が一人いるんだが、兄妹3人苗字が違う。」
「ちょっと待って、どういう状況なのそれ。」
兄妹2人で苗字が違うのはまだわかる。父と母の苗字を名乗っているのだとすれば、珍しいがないことではない。しかし、3人全員苗字が違うとは一体何事か。
「俺の赤井は父のものだ。真純は世良、これは母の旧姓だ。すぐ下の弟は秀吉といってな、羽田を名乗っている。秀吉は養子にいって苗字が羽田になった。」
「養子…?」
「秀吉は棋士をしていてな。知らないか? 羽田秀吉大覚名人だ。」
「きし?? Knight?」
「いいや、将棋をやっている。」
「Shougi!!!」
Oh! と完全に外国人のリアクションで返すラウラは、将棋というThe 日本人な競技に大興奮である。
ラウラ自身、将棋をやってみようと思ったことはあったが、駒の種類とそれぞれの役目や動き方を見せられて断念した。ちなみに彼女はチェスも出来ない。頭脳を使った戦いは得意ではないのだ。だからといって肉体戦が出来るわけでもない。ラウラに出来るのは常識を逸脱した方法で行われる情報収集だけだ。
「すごい! じゃあなに、秀一はFBIの凄腕狙撃手で、弟さんは将棋やってて、真純ちゃんはJK探偵なの!? なにそのハイスペック兄妹!!!」
「あ、あぁ、まぁそうだな。」
きゃっきゃするラウラについていけないのか、秀一は少々押され気味だった。
こんな状態のラウラに、母は元MI6の諜報員で父は探偵だったなんて言ったら、さらに収拾がつかなくなる。だから両親のことはまた今度にしよう。そう思った秀一だったが、ラウラの次の言葉でその考えはどこかへ飛んでいった。
「じゃあお父さまとお母さまは?? 何やってる人なの?」
「……」
ウッと押し黙った秀一だったが、自身の腕の中から見上げてくるアクアブルーの瞳には敵わなかった。惚れた弱みである。
ただ両親のことを伝えるとなれば、芋蔓式に組織のこと、ひいては秀一の目的も話さなければならない。それが秀一に少しだけ照れくさいような感情を抱かせた。
「父は探偵をしていた。秀吉の義理の兄である羽田浩司が殺された事件を調べるために出ていったきり、帰ってきていない。その後母に送られてきたメールから、俺は父がなんらかの形で組織と接触してしまったと思っている。………俺がFBIをやっているのは、父の真相を探るためだ。」
「……そうなんだ、」
秀一の目は絶対に暴いてみせるという強い想いと、組織の謎を早く知りたいという好奇心に満ちていた。
「お父さまのお名前はなんていうの? 私も情報収集しておくよ。」
「赤井務武だ。組織に近付けば自ずとわかってくるだろう。頭の端に入れておいてくれればそれでいい。」
「ん、わかった」
さて、次は母のことである。
「母は俺を出産するまで、MI6にいてな。イギリスの諜報機関だ。」
「えー!! ……じゃあ家族でイギリスのMI6とアメリカのFBIにツテがあるってこと?!」
「そういうことになるな。」
すごいすごい! ときゃっきゃするラウラを宥めながら、秀一は続きを語り出した。
「どうやら母も、ボウヤやあの少女と同じ薬を飲まされたらしくてな。今は中学生ほどになっているらしい。……俺はしばらく会ってないから、これは秀吉の情報だが。」
「そうなんだ…、」
ラウラは与えられたたくさんの情報を整理することで精一杯だった。どれだけ複雑なんだ、赤井一家。
そこに未来の自分が嫁入りすることを考えると、身内になるのだからしっかり理解しなければならない。
ラウラは自らの脳内に描かれた赤井一家の家系図に自分の名前を刻んで満足そうに笑った。そこに宮野一家、つまり灰原の家も刻まれることになるなんて夢にも思っていなかった。
「あ、そういえばさ。私も思い出したんだけど、」
「なんだ?」
ラウラは耐えきれずにクスクスと笑った。思い出しただけでにやけてしまう。そしてこれから秀一に残酷なことを告げて、秀一がどんな反応をするか。想像するだけで笑える。
「秀一さ、私が物の記憶視れるってわかってる?」
「……何が言いたい」
そんなことわかっている。素手で触れた人工物の記憶を視ることができ、視ている間のラウラに触れればその者も視ることができる。他でもないラウラからそう説明してもらったではないか。
「……秀一さ、付き合う前にこの部屋で何してたの?」
「───ッッ!?」
ようやく気付いたのか秀一は息を呑んで硬直した。
脳を駆け回るのはあの日々の記憶。毎夜ラウラが寝静まってから部屋を訪れ、寝顔を眺めては唇を指でなぞり、キスを落とした。
全 て 筒 抜 け だ っ た … … ! !
秀一は穴に埋まりたくなった。こんなに恥ずかしいと思ったのは一体いつぶりだろうか。とりあえず今はこの情けない顔を見られたくない。そう思って布団を被ったが、すぐにラウラによって剥がされる。
「どんな顔してるの〜?? あはは、見せてよ〜しゅういち〜♡」
秀一は精一杯の虚勢を張って取り繕うが、それすらラウラにはお見通しだ。
「あはっ………かわいいね、秀一♡」
勝ち誇った笑みで鼻先にキスを落としてくるものだから、秀一のプライドに火がついた。
「え? ……ちょ、っとまって! 嘘でしょ!?」
「なんだ? 可愛い彼氏を慰めてくれないのか?」
いつも通りの調子に戻った秀一はラウラをベッドに押し倒すと、硬くなったそれを押し当てた。
「まっ、………んん!!」
ラウラの抗議の声は口の中に消えていった。
