二人だけの秘密
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「やっっだもう!!! 付き合ってるなら早くそう言ってよ!!!! 私も優作も二人と進展が気になって仕方がなかったんだからね!?」
「すみません。彼女に夢中でして。」
「やっだもう!! 秀一くんったら!! ちゃーんと堕とされてるじゃない!!」
「えぇ、もう完全に。」
「ラウラちゃんもこんなイケメンで紳士なスパダリそうそういないからね!? しっかりと繋いでおくのよ!?」
「あっはは、」
「じゃあ私、優作に報告してくるから!!」
嵐のような女性とはまさに彼女のこと。
秀一の変装の出来を抜き打ちでチェックするため有希子が工藤邸に戻ってきた。家に秀一がいないことに気付き、連絡するのは自然の流れだ。「今どこにいるの?」なんて聞かれたら当然答えるわけで。
秀一が素顔でラウラの家にいることを知った時の有希子は、それはもうすごい反応だった。
秀一の背中をバッシバシ叩きながら叫び、同じようにラウラの背中も叩く。ラウラなんてあまりの力に咽せていた。
朝からドッと疲れた2人はソファに身体を預けた。しばらく何もしたくない。そう思えるほど有希子のパワーはすごかった。
「報告した方がよかったか?」
「うーん……でもお互い良い大人だし。親にわざわざ "恋人ができました" って報告する?」
「フッ、しないな。ティーンでもあるまいし。」
「でしょ? でも同棲状態だもんね……」
そこまで口にして初めて気付いた。
一般常識的に同棲するなら互いの親に挨拶に行くだろう。ラウラの両親は鬼籍に入っているため省略するとしても、秀一の両親、特に母親は身体が縮んでいるが健在だ。
「…私、秀一のお母さまに殴られたらどうしよう。MI6にいたんでしょ? ………吹っ飛ぶ。絶対吹っ飛ぶ。」
「ないな。もしお前が殴られそうになったら、俺が殴る。……それに今俺は死んだことになっているんでな。挨拶のしようがないだろう。」
「それもそっか。」
ラウラはポンッと拳を手のひらに当てた。
家では普通に素顔で過ごしているため忘れていたが、秀一は死んだことになっているのだった。変装して出かけるという異常性に順応してしまっている。
「俺の親に挨拶に行くとしたら……そうだな、それはこの時かな。」
そう言って秀一はラウラの左手の薬指にキスを落とした。その意味がわからないほどラウラは鈍くない。
「ふふっ」
もちろんラウラもその気でいるため、彼の左手の薬指にお返しのキスを落とした。
「息子はやらん! って言われたらどうしよう」
「ないな。絶対に。そんなことになったら真純も反対するだろう。メッセージのやりとりしているだろう?」
「うん。真純ちゃん妹みたいで可愛くて」
「あいつも姉のように思ってるだろうな。……だがまずは赤井秀一を復活させないと話にならない。お前との未来のためにも、早く組織を壊滅させないとな。」
「うん。私もいくらでも手伝うから。」
「それは心強いな。頼りにしている。」
きっかけは、一本の動画だった。
少年探偵団でキャンプに行った際いつも通り事件に巻き込まれ、火の回る建物に閉じ込められてしまった。燃え盛る炎と立ち込める煙で絶体絶命だったとき、綺麗な女性が斧で扉を壊して助けてくれたのだという。
助けてもらった礼を言うため、光彦は探偵である小五郎にその女性が映った動画を送ったのだ。女性が誰なのか突き止めて欲しい、と。普通なら大きな問題はない。───それが、一時的に元の姿に戻った灰原哀でなければ。
知り合いが見れば宮野志保だと断定できるほど顔がはっきりと映っており、その指にはとある特急列車の乗客しか持っていない限定のパスリングが嵌められていた。
誰かが事務所に侵入し、小五郎のパソコンを見てその動画を発見。同時にパソコンをハッキングしていた秀一も流石にこれはまずいと動き出した。それが事の発端である。
「コナンくんにも情報共有は済んでいて、策を練ってもらっています」
「新ちゃんなら大丈夫だと思うけど ……あ、」
秀一には内緒にしていたかったのだろう。有希子が完全にやってしまった、という顔で秀一を見るためラウラは思わず笑った。
「気付いていますよ。」
「え、そうなの!?」
伝説の女優もスイッチが入っていなければ大根役者なのだ。それを抜きにしても、コナンは自分が工藤新一であることを隠す気があるのだろうか。大きなメガネをかけたとはいえ元は幼い頃の新一そのもの。親戚の子ども設定にしても似ているし、何より様々なことに詳しすぎる。小学一年生とは思えない知識を披露しては「新一兄ちゃんに聞いた」と言うのだ。逆に隠し通せていると思っていた方が驚きだ。
しかも秀一は先日、コナンが変声機を使って新一の声で蘭に電話している姿を目撃した。ラウラはコナンと新一が同一人物であることを秀一に伝えていなかったため、秀一に確認されたのだ。「江戸川コナンは工藤新一が薬で縮んだ姿だな?」と。そこまでわかってしまえばもう何を言っても無駄なわけで、ラウラは素直に肯定した。
「当日は私も乗り込むわ。シャロンを止められるのは私だけだと思うし。」
「正直、ベルモットの足止めをしていただけるだけでかなり助かります。彼女が自由に動けば、誰に化けられているのかわかりませんから。」
「私は?」
「本当は、お前を危険な場所に連れて行きたくないんだがな。……言っても聞かないだろう?」
「うん。だって哀ちゃんの身が危ないんでしょう? それに私がいれば色々便利でしょ? 秀一以外で唯一全てを知ってるんだから。」
秀一が沖矢昴だということも。
真純が秀一の実の妹ということも。
安室がバーボンで、実は正義の味方だということも。
コナンと灰原の正体も。
最悪、ベルモットが誰かに変装したとしてもラウラなら見分けることが出来るかもしれない。
「だがな……」
ラウラを連れて行くメリットとデメリットが秀一の脳内で天秤にかけられた。
確かにメリットは大きい。ラウラに負担がかかるとはいえ、列車の記憶を視ればほぼリアルタイムで何が起きているか把握することが出来るのだ。そのアドバンテージは簡単にはひっくり返らない。
だがメリットよりもラウラを危険に晒したくないという気持ちが大きすぎて、天秤は一方に傾きかけている。
ラウラは考え込んでしまっている秀一に決定打を打ち込んだ。
「哀ちゃん、私のこと信頼してくれてると思うけど??」
「………参った」
「よっしゃ、勝った」
当日のラウラの役割は出来るだけ灰原と行動を共にすることだ。幸いにも灰原は風邪気味で、ラウラが付き添いの保護者として一緒にいても自然だ。
こうして、様々な人たちの思惑が絡まったミステリートレインが発車した。
