吾輩とサトル




今日も吾輩とサトルは学校に行く。

サトルは学校の教師というものをやっていて、子どもに何かを教えている。吾輩はその付き添いだ。といっても吾輩はなにもしない。


サトルが前に立っているとき、吾輩は頭の上にいることが多い。吾輩の居場所はそこであるから当然だ。

「ここ超大事だからちゃんと覚えておいてねー。テストに出るよー」
「うなぁん」

サトルが生徒に声をかけるときに返事をするのが楽しい。そうすると、サトルは頭の上にいる吾輩を手で優しくポンポンしてくれるのだ。サトルは優しい。ここテストに出るぞ。



服の中で寝てる時もある。でも何となく寝たくないときは、サトルの胸あたりから顔を出している。服の裾に白くて丸い前足をひっかけて、サトルと同じ方向を向いて世界を楽しむ。
サトルが生徒たちの方を見ると、当然吾輩にも生徒が見える。皆サトルの話を聞かずに吾輩ばかり見ている。吾輩のことはいいからサトルの話を聞け。サトルの服から頭を出している吾輩がベリーベリーキュートソーマッチなのはよくわかるが、サトルの話を聞け。

サトルが板に何かを書いているとき、吾輩はわかったふりをしてウニャウニャ言っておく。吾輩にはよくわからん記号が読めんからな。多分吾輩はかわいいとか、サトルは吾輩のことが大好きだとか書いてあるに違いない。ここもテストに出るぞ。



机の上に乗るときもある。サトルが広げた本の上に座り込んでサトルを困らせるのも楽しい。

「ちょっとー、シュガーさーん?? ページめくりたいんだけどいいですかー」
「なぁぁぅん」

退かずにいると、大抵大きな手で抱き上げられてページをめくられる。そしてその上に置かれる。吾輩は重しじゃないぞ。

「……これを計算していくと、このXは5になる。Xがわかればこの方程式を解いて、Yが3になる」

心地いいサトルの声は吾輩を戦闘不能にする。眠りの状態異常だ。これを自分で解除することはできぬ。……Zzz

「…なぉぉぉ……んんん…」

なんかうるさいな。

「ウァァウゥゥ……ニャアアア!?!?」

急に大きな音が聞こえて、何事かと飛び起きる。耳をピンと立てて身体を小さくし、周りの状況を観察する。

「ブッッ!! 大丈夫だよ、シュガー。怖いことないからね」
「……今こいつ、自分の寝言にビビって起きたよな?」
「起きたな。」
「しゃけ。」

サトルにお尻をポンポン叩くように撫でられて気持ちが落ち着いてくる。さっきの大きな音は一体なんだったんだ。どこかの猫に攻撃されたかと思った。

とりあえず腹が立ったのでパンダに一発猫パンチを喰らわす。

「うぉ!?」
「ウゥゥ……ナウナウー」

不満の声が口から漏れ出る。そんなときはサトルが吾輩を抱っこして落ち着かせてくれる。サトルと目を合わせているとなぜか心が落ち着いてきて、それまで考えてたことがどうでも良くなる。サトルだいちゅき。



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