吾輩とサトル



吾輩はごはんが好きである。

ごはんが嫌いな生き物などいないだろう。吾輩は湿ったごはんよりも、カリカリしているごはんの方が好きだ。食べた感があって満たされる。

サトルと過ごすようになってから、吾輩の食生活は一変した。前にいた場所で与えられていたごはんも美味しかったが、今のごはんを知るとあれはごはんではなかったと思う。それくらい違うのだ。鼻を突き抜ける匂いも、噛む時の食感も、舌を刺激する味覚も、全部違うのだ。

「シュガーもごはん食べようね〜」
「なーお」

そう言ってサトルが吾輩専用の器にごはんを入れてくれる。どこかに行ったときに土の塊を捏ねて作ったものだ。吾輩のためのものを、サトルが自らの手で作ってくれたのだ。こんなにも嬉しいことはない。吾輩ははやる気持ちを全面に出してサトルに催促する。早くごはんほしい。

「ごぉ、ぁん」
「ごはん!? 今ご飯って言ったよね!?」
「ごぉ…あん!」
「ごはん!! すごい!! シュガーはやっぱり天才だねぇ♡」

抱き上げられて顔にいっぱいチュッチュされる。それも嬉しいが、吾輩は早くごはんたべたい。

「もっかい言ってごらん? ご は ん!」
「ぉあん!」
「シュガーはすごいね〜!!」

何でもいいからはやくごはんくれ。




吾輩は寝ることが好きである。

寝ることが嫌いな生き物はいないだろう。吾輩もまた然り。いや、他の生き物よりも寝ることが好きだ。ぐうたらしたい。

たまに家で留守番することもあるが、サトルと一緒に出掛けることが多い。吾輩の居場所はサトルのいる場所なのでな。
そのとき、吾輩はサトルの頭にお腹をつけて寝てることが多い。あそこはサトルの匂いで包まれるから良いぞ。やはりサトルにくっついていると安心するのだ。だから吾輩は今日もサトルの頭の上で寝る。今日はへそ天の気分だ。頭のカーブに背中が当たって気持ちがいいのだ。皆もやってみるといい。

サトルの服の中で寝る時もある。丸まって寝たい気分の日はこれに限る。
たまにサトルが上から覗き込んでくるのも良い。わざとモゾモゾ動いて、サトルが覗いた時にチューをするのも良い。驚いたあとに目を蕩けさせて笑うサトルの顔を見て、吾輩は胸の辺りが満たされるのだ。




吾輩はサトルが好きである。

好きなんて単調な言葉では伝わらない。それこそベリーベリー大好きソーマッチだ。

サトルとずっと一緒にいたいし、サトルになら何をされてもいい。吾輩を地獄に落とす形をしているハサミを持ってきても大人しく爪を差し出す。爪を切られると戦闘能力が落ちるから、「みゃーん」としばらく弱いふりをして甘えるまでがセットだ。

サトルに言われたことは守る。
ソファの足で爪をガリガリしちゃダメだとか、サトルの匂いがするからって洗濯機の中に入っちゃダメだとか、お着替えしてるときにガン見しちゃいけません、だとか。
だから吾輩はソファの足で爪をガリガリせずにカリッ、くらいでやめてるし、洗濯機の中には入らず洗濯籠の中に入るようにしてるし、お着替えしてるときは物陰から見るようにしてる。

「あのー、シュガーさん? 覗いてるのバレてるからね??」
「……にゃーん」
「にゃーんじゃないよシュガー。まったく。」

そう言って、いつもより強めに頭を撫でられる。サトルは吾輩に甘いから、いつもなんだかんだで許してくれるのだ。

吾輩はどんなものよりもサトルが大好きである。


5/10ページ
スキ